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第269回「こんなクリニックあってもええんちゃう?」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。急に涼しくなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

今月のクリニック通信は当院の正式移転のお知らせになります! 新しい住所は、「神戸市中央区加納町3丁目10-7-1 Villa Yua 10F 1001号室」です。場所としては神戸市中央区の加納町3丁目に大きな交差点と歩道橋がありますが、その交差点の北西の角から2軒目の、ガラス張りのビルになります。地図は「アクセス・診療時間」のページに掲載しておりますのでご覧ください。移転が本当にバタバタで荷物の整理や準備などがまだまだありますので、誠に勝手ながら診察は10月後半からの開始とさせていただきますが、新しいクリニックに是非皆様もお越しください!


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さて移転にトラブルはつきものですが、今回も本当に大変でした。計画を立てた時は3ヶ月もあるので十分なんて思っていましたが、結局最後までドタバタで、よく引っ越せたなぁという感じ。ほんとにいつもの事ながら情けない限りです…(^_^;)。 物件探しも大変でしたが、手続きがいろいろ大変で…特に今回はメインバンクも変えたので、まずはそれがかなり大変でした。10年程前に、銀行の窓口に行かなくてもクリニックまで担当者が来てくれると言うので播州信用金庫に資金を移したんですが、担当者が変わる度にだんだん来なくなり、最近ではあれはできない、これはできないと言い出す始末。そんなんやったら、銀行変えた意味ないやん! おまけに、この時代にネットバンキングの入出金明細が1か月前までしか見られないんです! 移転すると遠くなって記帳も行きにくくなるし、こんな不便なとこはもうやめじゃ!と、銀行を変えようとしたんですが…いざ変更しようとすると、税金や電気を始め支払いが口座振替になっているものが山のようにあり、その変更がめちゃくちゃ面倒くさい。通帳に「NTT」と印字されているだけで何の支払いか分からないものもあったりして、調べるのに一苦労…NTTってめっちゃ子会社多いんですよね~。ネットで変更しようとしたらいろんなNTTがあって、パスワードが違うだのIDが違うだのと出て全然進みません。結局電話で問い合わせるのが一番早かった💦。(友人Mには「普段ちゃんと管理してないから、見直すのにいい機会だよ」って笑われましたが…。)さらに、ネット銀行にしようとしたら国税はネット銀行の扱いがほとんどなかったりしてまたまた進まず、銀行の手続きだけで1ヶ月以上かかってしまいました。


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やっと銀行の手続きを終えたら、次は家具の処分です。新しいクリニックには先月号でお知らせしたように卓球台を置くので、アンティーク家具は合わないし、家具を置くと狭くなってしまうので、思い切ってピアノと共に処分する事にしました。エクセルに家具の写真を貼ってメール添付すれば何社にも送れるとMが言うのでやってみましたが、処分する家具が多いのでエクセルに貼るのにも一苦労。やっとできたと思ったらメールで送れるところも少ないし、送っても「実際に見ないと査定できない」というところがほとんどで、結局写真で査定してくれたのは1社だけでした。(Mの提案は先進的過ぎて時代がついてこない事が時々あるんですよね(^_^;)。)おまけにホームページでは大々的に「家具の高価買い取りはおまかせ!」とか謳ってても、実際には値段もつかないとか引き取り費用がかかるところがほとんど。完全に「やらせ」やん! 値段がついても、雀の涙ほど…。アンティーク家具って買う時は結構高いのに、売る時はめちゃくちゃ安くなるんですねぇ。桁が2つも違うがな。安く買い叩いた家具をまた何十万で売るんやから、アンティーク家具屋ってぼろい商売やなぁ。(勿論、在庫が売れれば…の話ですけど…(^_^)。)

ピアノやアンティーク家具を全て処分すると言うと皆さんに「まぁもったいない」と言われ、異人館通クリニックの頃から使っていた家具やピアノと別れるのは名残惜しいですが、新たな前進のためには仕方ないですよね…。


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そんな合間に新しいクリニックの工事の手配もしないといけないし、新しい家具も買わないといけないし、大忙しです。しかもこんな時に内装工事を頼んだKさんが工事の直前に10日もフランス出張とは。メールの不具合なのか、何回も間違った図面が送られてきて焦りました(^_^;)。 そしてもう一つの難関は、永年ため込んだ膨大な量の書類の処分です。(勤務医時代はほぼ2年毎に転勤があったので、書類を詰め込んだ段ボールを開けないまま次の転勤が来る…なんて事がよくありました(^_^;)。)常連の患者様でお医者さんや歯医者さんの奥様に書類の整理ができない話をすると、「うちの夫もそうですよ~。お医者さんってなんで書類の整理あんなに苦手なんでしょうねぇ?」って笑われましたが…。気が遠くなるような量の書類を少し片づけると体中が痛くなって進まないので学生バイトを雇って片付けを手伝ってもらい、彼女のお蔭でなんとか移転できる見込みが立ってきました。思えば、自分のクリニックを立ち上げ、右も左も分からない頃から失敗を重ねて気づけば20年以上の月日が流れ、そしてなんとかここまでやってくることができました。引っ越しを機に色々なものを処分したのですが、手に取ればどれも思い出がよみがえってくるものばかり…。他人にとってはガラクタなのですが、自分にとっては人生を共にしてきた相棒達です。なんだか相棒達を処分するのは心苦しいと思う反面、そうしなければ次のステージに進む事もできません。学生が来てくれた前半には、ここはもう「終活」と思いながら思い切って処分をしていきました。逆に言えば「処分」はできるくらい元気がある時にやらないといけない事なんでしょうね。


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しかし後半は、内装工事中に移転先に届くように手配した家具が上手く届かなかったりでバタバタに。特にAmazonの配送の酷い事と言ったら! 指定した日に届かないのでカスタマーに文句を言うと、自社のミスの癖に「当日の再配達はできない」と言ったり、「すぐに再配達します」と言いつつしなかったり、狙ったように工事の人がいない時間に再配達されたり…パーテーションなども届かないので工事が進まず、その対応に追われているうちにどんどん時間がなくなってきました。おまけに移転の3日前に家具の処分を頼んでいたところから急に処分できないと言われ、他を探すのに大わらわ。結局引越し屋さんに頼み込んでなんとか処分してもらう事になりましたが、荷物の整理が間に合わなくなって最後は取り敢えず段ボールに詰め込んで持って行け!みたいな感じになり、移転当日は朝から引越し屋さんが家具を運び出す横で学生と一緒に荷物を段ボールに詰め込みながら引越し屋さんや内装屋さんに指示を飛ばすというバタバタの展開に。なんとか時間通りに旧クリニックを明け渡す事ができましたが、普段の10倍速で手足と口を動かす羽目になり、めちゃくちゃ疲れました。(いつもながらギリギリにならないと何も進まず、最後がバタバタになるのは相変わらずで情けない限りですが…。)という訳で、移転後すぐは何がどこにあるか分からない状態でして…開院まで少しお時間をいただきたいと思います。ただ、学生アルバイトの子は本当にテキパキとよく働いてくれ、彼女のお蔭で移転ができたと言っても過言ではありません。要らなくなったものをあげると凄く喜んでくれたり、最後には「短い間でしたが本当にお世話になりました。引っ越しの準備をしながら先生の学生時代や研修医時代のお話を聞いた時間がとても楽しく、心に残っています。(中略)また先生とお話できる機会があれば嬉しいです!」というお手紙までくれて、こっちがお世話になったのに、とても嬉しかったです。


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先月号でお知らせしたように、移転後は今までとはガラッと雰囲気を変えた、アンチエイジングの要となる「食と運動」を象徴した内装で皆様をお迎えするつもりです。ただ、すでに書いた通りクリニックのメインオブジェクトは卓球台とアイランドキッチンです。これは私なりにアンチエイジングとは何か…と考えた末の集大成としてのアイコンなんですが、皆様がご覧になったら「ありゃ…何ここ? 本当にクリニックなの?」みたいな印象を受けられるかもしれません。でも、怖いもの見たさの興味本位で全く構いませんので、お時間が許せば是非お越しくださいね。

思えば私が神戸に美容系のクリニックをオープンした時にはそれこそ数えるほどしか美容クリニックはなかったのが、今は私自身も把握できないくらい沢山ありますよね。時代が変われば環境も変わるもんだなぁ…とつくづく思います。そうなれば、もうこの年になった訳だし他のクリニックと競争する事なく、自分独自の道を歩んでいく最後にしたいという思いが募ってきました。美容クリニックの数がこんなに沢山あるという事は、患者様は完全に選び放題な訳です。正直な話、いくつかのクリニックがなくなったからと言って困るような人はいないのが現状ですよね。そうであれば「なんか分からないけど、面白い人がやっている」とか、「めっちゃニッチな感じだけど、自分にはなんか合うんだよね…」みたいな選択肢があってもいいんじゃないかな…って割り切る事ができるようになりました。


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もう一つ、非常に言いにくいけどやっぱり言っちゃおうかな…。美容系の治療って二つの側面があります。一つは方法論的な面。これは名前のついている治療方法と言えば分かりやすいと思います。例えばボトックス治療という最も古くからある、そして非常に効果が高い画期的な治療方法ですね。ボトックスを新しくクリニックで導入したいという事になれば、ボトックスという薬剤を仕入れすれば医師免許のある人であれば誰でも始める事ができます。つまりこれは、ボトックスという薬剤を開発研究した人達の業績のお陰で、多くの人が恩恵を受ける事ができています。一方で、ボトックスを注射で皺を作り出す筋肉に入れる訳ですが、適当に注射すればいい…ってものではないです。そもそも、人間の筋肉構成なんて各人各様だし、薬剤に対する効きも人によって違います。なので「美しい仕上がり」を求めると、本当に個人個人に真剣に向き合わねばなりません。「そんなの当たり前でしょ?」って思われるかもしれませんが、それがそんな事はないのです…(^_^;)。ぶっちゃけた話をすれば、そんな事してたら経営的に成立しないんです…。 あ…言っちゃった…(^_^;)。


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私のように個人クリニックの場合はオーナーが納得すればある程度自由にやれますが、チェーン経営のクリニックには売上と利益のノルマがあるので、「美しい仕上がり」の為に真面目に向き合っていたら時間がいくらあっても足りず、利益目標をクリアするなんて絶対に不可能なんですね。なので、ボトックス注射でも一人当たり10分もかけていられない…というのが実情ではないでしょうか…。やっぱりいくら宣伝でいい事を言っても、現実の経済活動という事を考えれば限界がある訳です。じゃ、有名チェーンクリニックでない個人経営のクリニックだとそんな限界はないのか…。と言うと、これも実情は違います。個人経営のクリニックって、当たり前ですが医者がオーナーですよね。医者って、高校卒業した後に大学の医学部に行ってそのまま医者の世界だけで生きているので、「経営」の感覚なんて持っている人の方が稀なんです。普通のクリニックは規模が小さくても看護師さんが数人いますよね。それにレーザーなどの医療機器を開業する時にローンで購入しているし、場合によっては高い高いコンサル雇っているし、日々の売上と利益に追われているという事で言えば大差ない訳です。だから、このような事は美容業界では誰でも知ってるけど言ってはいけないタブーでした。では私はこのタブーをなぜ気にしなくて良いのか…と言うと、「ぶっちゃけ、、もう利益出さなくても良くない??…」って真面目に考えたからです。 …あ…また言っちゃった…(^_^)。


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もうこの年になれば「終活」という事は現実の世界ですし、あと何年できるのか分かりません。また、お陰様で年金ももらえる年になりました。スタッフを雇わなければ自分が生活できるだけの収入があれば良い…と考えると、私は1日に一人とか二人の患者様を診るだけでもいいんじゃないかな…って思うようになったんです。そうだ、そうすればようやく本当に「個人個人の美しさの追求」という課題に目を向ける事ができる…と思うようになりました。今までのクリニックの運営でここが最後の難関でした。やっぱり小さくても従業員を雇って家賃を払っていれば、クリニックを経営しているという事実から逃げる事ができません。人生の最後のステージになり、「経営」から自由になれれば、最後の難関だった事に向き合う事ができる…と思ったのが本音でもあります。なので最後のクリニックはスタッフを雇う事もなく、私が一人で電話対応もカウンセリングも施術もお会計もお見送りも…対応するつもりです。なので1日に3名以上の予約を取る事ができません。しかしその分、完全に1対1で個別に皆様に向き合う事ができると思います。(1日に施術できる患者様が非常に少なくなるからと言って料金がその分上がる訳ではありませんので、その点はご心配なく…(^_^;)。)そんな訳で今後は利益を追求するのではなく、「美しく老いる」にはどうすれば良いのかという事を私自身の事として考え、そして患者の皆様と個別にこの課題に向き合っていくようなクリニックにしたいと思っております。神戸には美容系のクリニックは星の数ほどある訳だから、そんなクリニックがあってもいいんじゃない?って思いますし、選択する権利は患者様にあります。色々な方針のクリニックがある中で、そのような考えや方針が「合うな…」と思ってくださる皆様と末永くお付き合いできれば、これに勝る喜びはありません。そんな訳で、これからも新しくなる当院のご愛顧を宜しくお願い致します。


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