第276回 「標準化」と「ルール化」そして「科学」
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更新日:37 分前
こんにちは。柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。急に暑くなりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば…先日、岐阜まで全日本医師卓球大会に行ってきました。今年は団体戦は人数が集まって、うちの大学からは2チーム出場! そして8年ぶりに個人戦にも出場する事にしました。エントリーの時は体力的にも自信がなかったので迷っていたのですが、後輩に「あと3ヶ月ありますから、その間に体力作りしたら大丈夫ですよ!」とそそのかされて、ついその気になってしまいました。しかし若者と違って、3ヶ月で体力がつくかは微妙です…。それに医師卓球大会は、昔西医体(西日本医科学生卓球大会)や東医体(東日本医科学生卓球大会)で優勝していたような強豪ばかりが出るので、出場するからにはあんまり衰えてるとカッコ悪い…(^_^😉。そこで、頑張ってちょっとは練習しようと思い、せっかくクリニックに卓球台があるのでクリニックまで教えに来てくれる出張コーチをネットで探しました。するとちょうどいい人が見つかったんです。昔神戸市や兵庫県で優勝していた人で、戦型が私と同じペン表。(ペンというのはペンホルダーの略でラケットを持つグリップの形です。今はシェイク全盛ですが昔はペンの人が多かったんですよね。表というのはラバーの種類で、普通のツルツルのラバーは実は裏なんです。それをひっくり返した、粒々の面が表です。裏のラバーは回転がよくかかりますが、表は回転がかかりにくい分相手の回転にも左右されにくく、前陣速攻に向いています。)私も昔は前陣速攻でスマッシュしまくってたんですが体力的にそれはもう難しいので、守備中心の年寄り卓球に転向しようと思っていたところで、ちょうどその出張コーチが守備が上手い人だったので色々教えてもらえました。

クリニックに置いている卓球マシンは、以前は診察の時はカバーをかけてたんですが、よく使うようになるとカバーをかけるのが面倒くさくなり、外したまま診察するようになりました。するとそれが結構患者様にウケて、「先生の秘密兵器ですね!」とか言われるように。時には診察机代わりにしている卓球台にマシンをセットしたまま診察すると、「すごーい! あそこから球がどんどん出てくるんですか?」とか聞かれて、卓球談義で盛り上がるようになりました。(卓球の話をしだすと止まらなくなるので、つき合わされた方にはこの場を借りてお詫び致します。)
去年の大会で個人戦で強い人は大体分かっていたので、同年代の後輩から情報を集めて対策を立て、コーチにその戦型用の練習もしてもらいましたが、なんせ一夜漬けなんで通用するかどうか心配でしたが…(^-^;)。 大会に参加するメンバーの「京府医卓球熱狂Group」というグループラインの情報では、みんなも仕事の合間を縫って頑張って練習しているようでした。

そしていよいよ大会。前日はみんなで練習して、その後は楽しい飲み会です。やっぱり学生時代からよく知ってる後輩たちとの飲み会は楽しいですねぇ。メンバーには40代が多く、まだ昭和感を残していて「先生はレジェンドですから」とか言ってくれる律儀な子たちなので、最近の若い子みたいに気を使わなくてもいいし。実は私は卒業生の追い出しコンパは卒後皆勤なので、後輩は全員知ってるんです。そのせいか初めてこの大会に参加する20代や30代の子達も、すぐに打ち解けてみんなと仲良くなっていました。
医師卓球大会は団体戦と個人戦があり、男子の個人戦は40歳未満と40代、50代、60代、70代、80代!と年齢別に分かれて行います。東京にいるS君は40代の部で優勝を目指していたので、前日の飲み会を返上して東京で練習してから参加する事に。ところが練習で思うように調子が上がらず、試合も惜しいところで勝てそうな人に負けてしまいました。「こんなんやったら、前日の飲み会に参加しといたら良かった💦」と悔しがったS君は、試合後に「ビール1杯だけ飲んで帰りませんか?」と飲み会を定案。でもそんな時に1杯で済む訳ないやんねぇ。案の定、S君はみんなの分までジャンジャンビールを注文し、ベロベロに酔っ払って最後の方は何回も同じ事を言っていましたが、楽しい試合と飲み会でした。
私も少しは勝ち進み、あと1回勝つといつも優勝している「三度の飯より卓球が好き」という人に当たる予定だったので対策を立ててたんですが、その前に足がつって負けてしまい、体力の無さを痛感。来年はもっと早くから体力づくりをして試合に挑もう!と心に誓ったのでした。ちなみにその時の対戦相手は、70代で週3回練習している人でした。他の60代以上の人もすごく元気で、とてもそんな年には見えません。やっぱりアンチエイジングには好きな事を続けるのがいいのかもしれませんね。


ところで卓球って言うと、「中国」ってイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか? そういう私も正直に告白すると、ピンポンって中国語だと思ってました…(^_^;)。なんかありそうな発音じゃないですか?? オリンピックや卓球の世界大会では中国が圧倒的な強さと存在感を持っているので、卓球そのものが中国発祥のスポーツだと思っていたのですが、なんと発祥はイギリスなんだそうです。ピンポンという言葉も1901年にイギリスの会社が商標登録をしてしまった為、世界大会などではピンポンという呼び方を使えなくなり、Table Tennisというのが正式な英語の競技名になったようです。テニスがイギリス発祥である事は有名ですが、雨の日にテニスができないため、食卓の上で本をネット代わりに、シャンパンのコルクを球に、葉巻箱の蓋をラケットにして遊んでいた事から発展して卓球になったんだとか。まぁこの辺はどこまで本当か分かりませんが、よく考えるとイギリス発祥の世界的スポーツって本当に多いですよね。ちょっと確認しただけでもサッカー、ラグビー、テニス、卓球、バドミントン、ゴルフ、ボクシング などなど…数えきれないくらいあるようです。でもテニスの世界では知らない人はいないくらい有名なイギリスのウインブルドンの大会ですが、男子では1936年にFred Perryが優勝してから、2013年にAndy Murrayが優勝するまでなんと77年間もイギリス人のチャンピオンが出てなかったのです。スポーツ好きの人の間では有名ですが、イギリスで発祥したスポーツの多くは外国で発展し、本家のイギリス人は太刀打ちできなくなってしまう…というジンクスがあるそうです。

確かに乗馬とかはイギリスが強いのかな…ってイメージはありますが、その他のスポーツではまぁサッカーを除くとほぼイギリス人が活躍してるってイメージないなぁ…(そのサッカーですらチームで活躍する大半は外国人で、私が名前言えるのはベッカムくらい…まぁ私は卓球以外のスポーツはからっきしダメなんで、私が知らないだけかもしれませんが…)。大体、柔道とかでも発祥の国の選手って普通強いじゃないですか…。なんでイギリスは違うんだろう…って気になった時はやっぱりチャッピーに相談です…(^^♪。もうこの通信は最近あまりにもチャッピー頼りなので、いい加減にしたら…って言われそうなんだけど、やっぱりチャッピーの回答は納得させられる事が多いんですよねぇ。こちらについても凄く洞察の深い回答が… 曰く、「実はスポーツそのものは昔から世界中に存在していました。しかし、『ルールを決める』という発想はイギリスが非常に得意でした。『公式ルールを決めて競技化した』のがイギリスなのです」との事。うんうん、それは非常に納得感のある話です。日本だって羽子板とか伝統的な遊びがあるけど、多分羽子板で使う羽を統一したり、板の材質やサイズに制限を設けたり、シングルスとダブルスではルールを変える…などは日本人は考えた事もなかったでしょうね。もし羽子板でも、そのような競技に耐えるようなルールを定めて全国大会とかしてたら、羽子板も世界競技になってたのかもしれないと思うと、ちょっとワクワクします(^_^)。羽子板の世界大会ではユニフォームは着物だったかもしれませんよね。世界中の色々な人種の人達全員が着物着て整列しているシーンなんて、想像しただけで気分あがりませんか??

19世紀のイギリスと言えば7つの海を支配していたと言われるほど世界中に進出して、多くの国を植民地として支配して、世界中の富を搾取していたという悪いイメージが強いのですが、実際に海外で行われていた事は武力による略奪と言うよりは貿易を推進していたという側面の方が大きいようです。まぁ考えてみれば、いくらイギリスの軍隊が強かったと言っても船に乗って相手の国にでかける訳だから、人口で言えば圧倒的に相手の国の方が多いし、武器が近代化されていた事を差し引いてもそんな多くの人達を武力だけで長年にわたって制圧するのって難しいですよね。結局イギリスがやっていた植民地支配っていうのは、法律を定めてルール化し、相手の国の人達を使って官僚組織を作って、政府として統治する…という方法だったようです。このイギリス人が得意だった「標準化」や「ルール化」という武器で実際は世界を統治していた、というのが本筋なんだと思います。その流れの中でスポーツにも同じように「標準化」や「ルール化」が浸透する事で、現在世界中で行われている競技としてのスポーツはイギリス発祥というものが多く残っているのだと思います。いやぁ…これは視点を変えた見方であって、私の中ではすごく納得してしまいました。もう一つ付け加えると、植民地支配の原動力は「標準化」や「ルール化」に加えて「科学の力」があったと思います。それまでの「世界は神様が作った」というカトリック的な世界観からいち早く脱却して「科学こそが力」という概念を取り入れた事が、イギリスをますます力強くしたんだろうと思います。流石、「アイザック・ニュートンが生まれた国」だなぁ…って思います。

まぁ…そんなこんなで、私が青春をかけていた卓球は、イギリス人が雨の日の退屈しのぎに机の上でシャンパンのコルクを葉巻箱の蓋でシバイて遊んでいたものを、見事に「標準化」と「ルール化」で世界的スポーツまで高められた結果なんだぁ…と思うと、なんだか感無量です。温泉旅行に行ったらスリッパをラケットにその辺のテーブルでピンポン遊びをするって事は普通にあっても、そこからこんな世界中で愛されるスポーツに発展するなんて想像つかないもんなぁ。
私が学生の頃は正に卓球三昧で、毎日10時や11時まで練習して大会で優勝したりと楽しい学生生活だったんですが、卒業すると寝る暇もなくなり、特に研修医の頃は週に3回は徹夜して、平均睡眠時間は2~3時間、時給は171円という生活でした。そんな中でも合間に卓球部に顔を出すとかわいい後輩たちが笑顔で迎えてくれて疲れが吹き飛んだので、私が過労死しなかったのは卓球部のおかげだと思っています。

そんな訳で私は卓球と卓球部が大好きで、卒後もコンパは皆勤で後輩は全員知っているので、全員の事をかわいいと思っていて、できる限りの支援をしたいと思っています。ただここ10年ほどは時代の変化についていけず昭和なままで、学生が社会に出た時のためにと思って礼儀などを教えようとした事もあったので、学生にだいぶ怖がられていたようなんです。コロナが明けてクラブ活動が再開された3年前に卓球部に寄付をしようとし、当時の6回生に希望を聞くとコーチをつけて欲しいと言われたので、寄付でコーチをつけようとしたんですが流れた事があったので、昨年改めてコーチをつけてあげようとしたら3回生が「嫌だ」と言い出して驚いた事がありました。コーチ代出してもらって卓球教えてもらえるのに、なんで嫌なん?? と訳が分からなかったんですが、当時5回生だったコーチつけて欲しい派のK君によく聞いてみると、10年ほど前私がよく学生を卓球教室に誘ったり試合に勝ったら祝勝会としてご飯に連れて行ったりしていた頃に、それが負担だった子もいたようで「無理矢理練習やご飯に誘われる」という噂が流れて、その言い伝えに警戒している子もいたようなんです。こらあかん!! 可愛がってるつもりが逆やん!! 私は学生はタダで卓球を教えてもらったりご飯をおごってもらったりすると喜ぶと思っていたんですが、それは昭和の話らしく、友人Mに言わせると先輩におごってもらって喜ぶ時代はもう終わっているらしい。最近は、おごってもらっても上の先生なんかとご飯には行きたくないっていう子もいるんですよね。それに加えて私はすぐに一生懸命になってしまう性格なので、可愛がってるつもりがかえって学生に負担をかけてた事があったんだなぁと反省。そこで新歓コンパの挨拶でその反省点を伝え、その場を借りて負担をかけた人にはお詫びしました。私が仏になったらおそらく卓球部には怖い先輩は一人もいなくなると思うので、新入生ものびのびと卓球を楽しめる事でしょう。これも時代の流れですかね。 でもちょっと笑ったのは、若いOBがコンパの時に学生の不手際を指摘していた事です。古代エジプトのピラミッドにも「最近の若い者は」という言葉が刻まれていたという話ですから、みんな少し歳を取ると自分の若い頃は忘れて、若者の不手際が気になるもんなんでしょうね。

且つて世界を大きく変える事になった「標準化」や「ルール化」、そして「科学への全面的な信仰」という流れも、もしかしたら立ち止まって考えなおさねばならないのかもしれませんね。若い人は世の中の空気の変化や危ない兆しには敏感なので、私達のような古い世代の人間は世の中の移ろいを嘆くのではなく、そこは何かの警告として真剣にとらえなければならないのかもしれません。
そう言えば、今は私の大切な相棒であるチャッピーですが、最近AIがあまりにも発展している事から警告を発する人が多くなったようで、人類が滅亡するとすれば核戦争ではなくAIの間違った使い方の為だろうと警告する学者も多いそうです。長く生きていると色々な事があるんだなぁ…としみじみ思う今日この頃。皆様はいかがですか?
でも、世の中が色々変わっても私の卓球好きはそのままだと思うし、人間なんて根本のところではあんまり変わらないのかな…とも思います。やっぱり人間って、元気で美味しいもの食べて、若々しく美しくいられれば単純に嬉しいですもんね…(^^♪。そんな生活を支えるお手伝いができる限り、私は継続して頑張っていきたいと思います。クリニックへの変わらぬご愛顧を、よろしくお願い致します!

