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第254回「ミュータント達を支えていかねば…」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。新緑が綺麗になってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はと言えば…先月のクリニック通信に書いた「神の手」こと整形外科の後輩H君に、腰を診察してもらった御礼としてクマの治療をする事になりました。まずは問診票と最近の血液検査の結果を送ってもらい、それからzoomでカウンセリングをしようという事になってメールのやり取りをしていましたが、H君は全国どころか海外も飛び回っているようで、なかなか日程が決まりません。そんな忙しい中なんとか問診票と健診の結果を送ってくれて、やっとカウンセリングの日も決まりました。H君はそんなに忙しいのに、「お忙しいところ申し訳ございません!」とめちゃ低姿勢です。クマにお勧めのリジュランカクテルはFGF(線維芽細胞増殖因子:コラーゲンやヒアルロン酸を増やして凹みを浅くするお薬)の計算に結構時間がかかると伝えても、「待ち時間は問題ありません。いつもPC持ち歩いてて、しなければいけない仕事はいくらでもありますので、待つのは大丈夫です!」と…さすが手術だけでなくて仕事の仕方も「神の手」のようです。ただ、問診票と健診の結果を見てみると…メールに「最近老化とメタボがやばい↓↓↓」って書いてたけど、診察してもらった時はそんなに太っているようには見えなかったんですが…去年の健診で、167㎝71kg、BMI=25.7。やばい。完全に肥満やん!! そして問診票の「好きな食べ物は?」の問いの答えは「ジャンクフード」。普通問診票にこんな正直に書けへんよねぇ。仮にも医者やのに…(^-^;)。よっぽど好きなんやなぁ、って笑ってしまいました。



さて、カウンセリング当日。20時からと遅めの開始でしたが、まだ仕事中みたいで病院からの様子。

H君:「先生、すいません!! お忙しいのに…」…いやいや、忙しいのはH君でしょ…(^^)。

柴田:「いえいえ。…えーっと、いつからクマ気になってきたんでしたっけ?」

H君:「(コロナで)zoomで講演しだしてからですかねぇ…」

柴田:「年間どれくらい講演あるんですか?」

H君:「多い時は週5回とかしましたけどね…」

柴田:「えぇ!? 週5回?? そんなん毎日やん!!」

H君:「ええ…だから普通みんな終わったらゆっくりしてんのに、終わった瞬間から次のスライド作ってる、みたいな…」


…と、話を聞いてると週2回くらい、つまり年間100回は、講演があったりどこかで手術に呼ばれるか、誰かが手術の見学に来るか…などのイベントがあるらしい。うちにクマの治療に来る日も、その2日前は新しいインプラントの開発に東京に来て欲しいと言われて、自分の病院での手術が終わったらすぐ東京に飛んでミーティングし、翌日の朝一便で九州に飛んで夜まで手術して、翌朝帰ってきて伊丹空港から直行で当院に来るんだとか。忙しすぎやん!! そらクマもできるよねぇ。その忙しさを表しているかのように、H君のクマは結構重症です。


H君:「このクマ、もうお爺ちゃんみたいやな~ってめっちゃ気になるんですよ…💦。結構ですよねぇ…」

柴田:「そうですねぇ…1回じゃ難しそうやなぁ…」

H君:「ええ、そうやと思うんで、先生そこは無理しないでください。もしあれやったらまたお願いしに僕今度はちゃんと患者として行きますんで。そら手術でも何でもそうですけど、一発で全部とか無理な人っているんで…」

やっぱりちゃんと分かってくれる人は楽やなぁ…。(時々めっちゃ重症やのに、1回でなんとかして!とか言う人もいて、困るんですよねぇ…。)




そしてH君はシミも気になるらしく、シミの治療についても聞かれたのでレチノイン酸の話を少しすると、食いつく食いつく。でも当院ではシミ治療はやめてしまったので…と話をメインのクマに戻して、

柴田:「じゃぁ取りあえず、クマにリジュランカクテルでいいですか? 法令線よりクマの方が気になるんですよね?」

H君:「そうですねぇ…そんなん言い出したらもう全部ですけど…シミのクリームも使いたいし…クリーム探そう…」

レチノイン酸クリーム、よっぽど気になるんやなぁ…。まぁシミ治療はやめたとはいえ、レチノイン酸クリームの原料はまだ残っているので

柴田:「クリーム…(^^)、まぁうちでも作れますけど…」と言うと

H君:「えっ、ほんまですか??!」

と、またシミの話に…(^-^;。話し過ぎてzoomが切れかけたので、(zoomの無料アカウントは40分で切れてしまいます…)やっと話をクマに戻しました。




H君のクマは膨らみの下が凹んでいるタイプなので、凹んでいるところには凹みを浅くするリジュランカクテル、脂肪が下がってきて膨らんでいるところには脂肪を減らす新輪郭注射をした方が効果があるんですが、リジュランカクテルは最初どれくらいの量のFGFでどれくらい改善したかを見て次の時のFGFの量を決めるので、最初はリジュランカクテルだけにして、凹みが改善しても膨らみが気になる場合は新輪郭注射を追加する事にしました。クマの話が済むと、H君は腰痛の相談にもちゃんと乗ってくれました。

そして最後に

柴田:「じゃあ他にクマの事で聞きたい事ありますか?」と聞くと、

H君:「いえ、大丈夫です。…ちょっと話変わあって、クリームの話ですけど…」

と、またシミの話に…(^-^;。

もう興味深々みたいで、話が長くなり過ぎて今度は本当にzoomが切れてしまいました…(^_^;)。そんなオペでバリバリ活躍してる人でも(そういう人だからか)、アンチエイジングには本当に興味あるんですねぇ…。でも時間なくなって話せなかったけど、クマ以外の問題はシミよりメタボちゃう??と思ったので、その後のメールで「問診票拝見したら、シミよりメタボの方がやばくないですか??」って書いてしまいました。でもクリニック通信に登場する事もOKしてくれたので、「お礼に(メタボを指摘しておきながら矛盾してますが)術後に珈琲と『C』のケーキでもどうですか?」と追加すると、「そうなんです。メタボ、ヤバい…。過去一最悪な状態なので、本気でダイエットしなければ、と思っているところです。でも、ケーキ、いいですね🤣 先生のお時間が許すなら是非。」という返事が…。これはダイエット指導もした方がいいかも…。でも、そうなったら全部やん! ええい、もうこうなったら、モニターになってもらってH君改造計画でも立てるか!という気になってきました。




そして治療当日。H君は「先生、ほんとにすいません!! お忙しいのに…」と、やはりめちゃ低姿勢です。ほんとに「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ですねぇ…。そしてzoomで話せなかったいろいろな話も聞く事に。まずクマとシミ以外にも、法令線や頬のたるみ、特に輪郭が気になるそうです。

H君:「太ったんもあると思うんですよね…。子供にも『パパ昔の写真と全然違う~💦!!』とか言われるし、患者さんでも、年に1回の診察っていう人いっぱいいるんで、『先生、太った~?』とか言われるし…。病院のホームページの写真って10年ぐらい前の写真やから、『写真と全然違う』って言われたり…😢」なるほど、昔は「シュッと」してたんやね。

「10年ぐらい前までは、めっちゃ運動してたんですよ。それを子供が高校・大学行くようになって、怪我でけへんな~って思ってやめてから太ってきて…」

H君は運動神経もすごくいいらしく、いろいろな運動をしていたようです。大学時代はテニス部のキャプテンで、全医体(全日本医科学生体育大会)の団体戦で優勝した事もあるんだとか。

柴田:「全医体で優勝?! すごいやん!」

H君:「先生も卓球強かったんでしょ? どれくらいまでいきはったんですか?」

柴田:「近畿大会は3冠王(団体・ダブルス・シングルス優勝)狙ってて2冠しか取られへんかったけど、全医歯薬(全日本医歯薬科学生体育大会)は団体優勝と個人戦ダブルス・シングルス3位♪」

H君:「ええっ!! すごいですね~!!」

…と、テニス部と卓球部話で盛り上がる事しばし。




その他H君はスキーも検定1級を持っていて、毎週信州に行ってた時期もあったり、ウエイクボードもプロと一緒にやってたりしたそうで、それらの運動をやめてから10kg太ったんだとか。

柴田:「ジャンクフードって、何が好きなん?」

H君:「ラーメンも好きやしマクドも好きやし、お菓子とかポテチとか大好きなんですよ~。ポテチって美味しいじゃないですか。OPの合間とか、疲れると食べてしまうんですよね~。食べ出すと止まらなくなって…」

う~ん、これはやばい。このままではメタボまっしぐらやん! なんとかせねば。「神の手」がメタボから病気になったら、困る人いっぱい出てくるもんね。そこで…

柴田:「ホームページの写真とか動画に出てくれるんやったら、モニターになってもらって若返らせたげるけど…」と言ってみると、

H君:「えーっ!! いいんですか?? 僕、本気でダイエットします!! ほんとにいいんですか??!」

…とアゲアゲの返事が。こうしてH君改造計画を開始する事になったのでした。




クマのリジュランカクテルをする前に1時間ぐらい話してしまい、施術もその日はスタッフが休みで私一人だった事もあり結構時間がかかったんですが、術後はまた珈琲とケーキで話が弾んでしまいました。中でも盛り上がったのは整形の前教授K先生の話。私が開業した時の事を聞かれたので、丁度K先生が教授になる時医局員が30人辞めて、私もその時医局を辞めて開業した話をし、「私K先生大嫌いやったからね…(^-^;)」とポロッと言うと…

H君:「僕もK先生大嫌いですよ!! K先生は男気がないわ~!」

柴田:「へ~。気が合いそうやん!」と言うと

H君:「K先生嫌いじゃない人なんかいるんですか?? 親派で可愛がられてた人だけちゃいます??」

なんでもH君は、H君の下で働きたいと3年も希望を出し続けてやっとH君の病院に来る事ができた後輩を、K先生に1年で移動させられたんだとか。

H君:「やっとOPもちょっとできるようになって、これからって時にですよ。それもその移動命令を自分で言わんと、僕から言えって言うんですよ! 断ったらそれから嫌がらせが始まって…。とにかくK先生は出る杭は打つ、若い芽は摘む、やから。そんなトップのおる医局にはおられへんから『辞めたる!!』て言うたら、院長や理事長に『Kはもうすぐ停年やねんから、Kのためになんか辞めるな』て引き止められて…」

H君もK先生には苦労したんやねぇ。そういう人の話はいっぱい聞くけど…。




ひとしきりK先生話が終わると、H君は「でも先生が開業しはった頃って、まだ美容なんてほとんどない時代でしょう? そんな時に美容で開業するってすごいなぁ、と思って。みんなに止められたのに…。先見の明があると言うか。なかなか行動できませんからねぇ、日本人は特に…」

そして「先生、やっぱりお若いですね~!」って言ってくれました!(*´▽`*)

H君は食事も付けて本気でダイエットすると言うので、食事を付ける表も送る事にしました。

帰る前にH君は「先生、本当にありがとうございます!! 僕にできる事あったら、何でも言ってください!!」と言ってくれて、取りあえず5月末の講演会で骨粗鬆症のマニアみたいな教授と一緒に座長をするから…と、骨密度のデータを送ったら一番いい治療法を聞いてくれるという事になりました。この他にもいろいろと面白い話をしたんですが多過ぎて書ききれないので、また少しずつこの通信で紹介していきますね。




ここまでの話で「どうしてそんな優秀な人が自分の健康に無頓着なの?」とか「昔から医者の不養生とはよく言ったもんだ」と思った方も多いかもしれませんね。正直に言いますと私の先輩・後輩を含めて優秀な医者で働きすぎで自分の健康を害してしまった人は少なからずいます。もっと言えば、その割合はやっぱり普通の人より多いと思いますので、「医者の不養生」というのは結構当たっているなぁ…と変な意味で感心したりします。これは単純な話で「何かに集中をしてやりだすと寝食を忘れるくらい突っ走る」タイプの人が多いって事ですね。決して自分の健康に気を使ってないとか無頓着なんではなくて、単純に「忘れてしまってる」というのが正しいと思います。(まぁ…他人から見れば無頓着も忘れてしまってるも結果は同じなんだけど、本人からすれば大違いですね。)昔から言われている事に他にも「憎まれっ子世に憚る」というのもあって、残念ながら優秀な人が早死にしているケースも結構ありますよね…ここだけの話。本来人間が進化する上で進化の最先端にいるような人が、どうして早死にしてしまうのか…とふと考えたんですが、実は進化の不都合な真実から言えば、道理にかなっているのかもしれません。よく言われるように人間の進化は石器時代の生活くらいに最適化されており、現代の生活は文明の進化が早すぎて人間の進化が追い付いていない…だから脳は石器時代のままなのに文明はこんなに早い速度で進化した結果、不都合な事が沢山発生していると聞いたことはありませんか? その代表例が人間が過剰に糖質を愛してやまない事ですね。石器時代は糖質は非常に貴重な資源だったので、ちょっとでも存在すれば全部取り込んでしまうというのが進化の中で取った最適戦略だったのですが、現代文明は想像を超える速度で進化したので、まさか現代のように糖質がこんなに安価で大量に存在する時代になるとは想定外で、人間が過剰に糖質を取ってしまった結果、成人病が蔓延する事になったと言う話です。それが真実だとすれば、いわゆる「天才肌」とか「頭の非常に良い人」とかは石器時代にあっては進化の最適化から外れたアウトローにしかすぎず、やもすれば「遺伝子コピーの際にエラーが発生したミュータント…」なのかもしれません。そうなれば、DNAのコピーエラーが発生した人が生き残る方が不自然であり早死にしてしまうのは進化の戦略の上では正常…となんとも恐ろしい結論になるのかもしれません。 そうだとすればなんだか悲しい現実なんだけど、一方で朗報もあります。 かのDNAエラーで発生したミュータント達によって文明が進化した結果、医療の進化でその進化の不都合な側面を克服できる日が刻一刻と近づいているように思うのです。 昔は老化は年を取ればだれでも訪れる仕方がない事と思われてきたのですが、今では「老化は病気の一種であり治療が可能」と言う考え方に変化しています。これもかのミュータント達の功績ですよね…(^_^) 私はそのようなミュータントとは全然かけ離れた一般の世界に生きていますが、自分にできる事といえばミュータント達が気持ちよく生活できるように美容などで生活に潤いをもってもらう事くらいでしょうか…。 さて、H君をどうすれば過去のイケメンに戻せるかもっと知恵を絞らねば…(^_^) 





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