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第28回 (2005年07月)「良くも悪くも日本人です。」



こんにちは。 異人館通クリニックの柴田です。

すっかり暑くなりましたね。 今年の梅雨は湿気は多い割に 雨が降らないようで、なんだかムシムシしますよね。 これから本格的な夏を迎えるのですが、冷房によるお体の 冷やしすぎには十分にご注意ください。


暑くなってくるとどうしても食事は冷たいものが欲しくなりますし、 そうめんなど簡単なものが良くなりますよね。

私も毎年、夏は柄にもなく食欲が落ちて(普段がありすぎるので、通常 に戻るだけなんですけど)自然とダイエットになっていました。 ところが、最近は寄る年波にかなわないのか・・・夏になると食事の量は明らかに減っているにも関わらず、余分な脂肪は落ちないという事に気づいてきました。 本当はもっと前から気づいていたのですが、おそらく認めたくないという意識が邪魔をして、忘れさせていただけなのでしょうけれど・・・(^_^;)



以前に「美人の顔」を研究した人がいて、なぜ人間が美人をいいと思うかと いう事を科学的に実証しようとした人の論文が掲載されていました。

その人の論理では世界中の色々な民族の顔写真をコンピュータグラフィックで合成していくと、どんどんと美人顔に近づいていくということです。つまり、世の中の人間が美人を求めるのは、種の保存の為にいろいろな民族や種族との配合を望む結果だ・・と言うのです。狭い世界での近親配合は劣勢遺伝をもたらす事が多く、同じような種ばかりになってしまい、ちょっとした環境の変化でヘタをすると種が絶滅してしまうリスクがあるから、本能的に他の種との混合種を作り次の世代に種を保存しようとする働きがあるとの事です。早い話が日本人の女性が外人映画スターにあこがれるのは、種の保存のためという事になります。

う・・・む。  なんとなく納得できるようなできないような・・。

確かに外人映画スターはカッコイイ!って思うけど、別に配合とか種の保存の方は遠慮しておきたいって思う事が多いけどなぁ。



・・・って話が外れてしまいそうなんで元に戻しますけど、理由はよく分からないが、世の中には多くの人が認める「美形」が存在するのは事実のようです。

当クリニックもある意味「美形」を求める皆様に支えられておりますし、私も多少はその美形にあこがれを持つ人間の一人です。 ただ、美形には二つの種類があるように思います。 一つ目は映画スターのように非常に多くの人が共通の認識で 「美しい」と思うもの。 これは分かりやすいですね。 もう一つはおよそその人にしか理解できない美しさなんですが、とにかくその 人にとってはなくてはならない美しさです。 他の人から見ると「なんでそれがいいの? あんたおかしいんじゃない?」って言うような事って結構ありますよね。なんとかフェチ・・って言うのかもしれませんが。

当クリニックにも時々、変なところにピアスをつけて欲しい・・と言うような人が来るのですが、私には全く理解を超えています。 おそらく外人にとって納豆の味もそうなのかもしれませんが、人間の美意識の奥深さには参ってしまいますね。



ところで今回なんで「美意識」について書きたいと思ったかというと、ある患者さんが持ってきてくださった一冊の絵本のためなのです。 その絵本は「仮名手本・忠臣蔵」と言うものです。絵本と言っても十分に大人が楽しめる現代語訳の非常に美しい絵の描かれている秀作です。

おそらく忠臣蔵は日本ではもっとも有名なお話の一つですし、毎年年末になると忠臣蔵のドラマはどこかのテレビ局で放映されているので、皆様もご存知の方は沢山いらっしゃると思います。

赤穂城の城主・浅野内匠頭が江戸城で吉良上野介に侮辱されて怒りのあまり城内で刀を抜いてきり付けたが失敗。 そのまま取り押さえられて即日切腹させられてしまいました。 その為、赤穂藩は取り潰し。 家臣の大石内蔵介を始め46藩士が結束し、主君の敵打ちのために、吉良亭に討ち入りをすると言うストーリーです。余りにも美しい絵本にしばし読み終わった後も余韻を楽しんでいたのですが、どうも私の知っているストーリーと登場人物の名前も時代背景も違います。気になってYahooで調べたところ下記のサイトが見つかりました。



これまた非常に綺麗なホームページで感激してしまいましたので、許可をもらっていませんが勝手に紹介させてもらいました。皆様も一度、アクセスしてみてください。 すごくよくできています。 (誰が何のためにこんな綺麗なホームページ作ったのかしら??)

不勉強で恥ずかしいのですが、ここではじめて「仮名手本・忠臣蔵」って江戸時代の史実・忠臣蔵をモチーフにした人形浄瑠璃の為の脚色された脚本だったんだぁ・・と知りました。 それはともかく、このホームページも非常に美しい当時の人物画がちりばめられているのですが、よくみると何か変ですよね。いくら昔の人とは言え、こんな日本人本当にいたのかなぁ・・と思うのです。まぁ、ちょんまげファッションは仕方がないとしても、カッと目を見開いて歌舞伎の見栄を切るような表情のお侍さんなんて、普段そんな人がいたら笑っちゃいますよね。 当時の美意識は馬のような長い顔を美しいとしてのかもしれないですが、それにしても写実的に描かれてものではなく、どう考えてもデフォルメ(美術において対象を変形させて表現すること・・三省堂「デイリー 新語」)されています。わざわざ不細工になるような加工をすることはないと思うので、

やはり当時の日本人の美意識をくすぐる方向にデフォルメされている訳ですよね。



最近のパリコレなどにでてくるファッションモデルの人と比べると当時の日本人の美意識は今のものと比べるべくもないのですが、今回、改めて当時のショービジネス(歌舞伎)のオールスターキャストの絵画を眺めていると自分の心のどこかが、「う・・・ん。美しい!」

って思うのが不思議なんです。 やっぱり日本人の血が流れているん だなぁ・・なんて勝手に感心しちゃいました。

おお・・そうだ。 先に紹介した「美しい顔」を好むのは種の保存の為と言う説は間違いで、「外界から閉ざされた文化の中では、種の特徴をより強調するものを美しいと感じ、外界と交流が盛んな文化の中にあると色々なものを混ぜあわせて出来上がった混合物に美しいと感じるようになるのではないか」・・・と思ったのです。であれば、鎖国政策を取った江戸時代から文明開化の明治にかけて美意識が急激に変わったことの説明がつくように思うのです。我ながら・・・・すばらしい! と悦に入ることしばし・・・。

(後で冷静になって考えればそんな事、とっくの昔に誰かが言っているんでしょうけど、誰かが先に言ったとしても、自分の中で湧き上がってきた思いというのは大切ですよね。)


おやおや。今回はいつもになく、お堅い話になってしまったようで・・・・(-_-;)(グルメの話じゃないのは珍しい・・・?)



どうしても職業柄、人の顔を見ると「あ、、このシワを無くせばすごく綺麗になるのに・・」とか「あの目の下のたるみが取れればこの人はすごく生き生きとした表情になるなぁ」とか街行く人を観察してしまいます。

素肌を綺麗にするには、ピーリングとかレチノイン酸療法などがありますし、シワなどを盛り上げるにはヒアルロン酸を注入するなどの手法があるため比較的簡単なのですが、出っ張っているのを引っ込めるのは非常に難しいのです。 出っ張りが骨に起因していれば骨を削らねばならないし、脂肪であれば、それを吸引か手術で取り出すしか方法がないためです。



それでも(前回の通信で一部紹介しましたが)薬剤を注射で注入し、脂肪を溶解さて吸収させる方法を、今最も力を入れて研究しています。 これが安全かつ効果的に行えれば、部分痩せというダイエットだけではなく、美顔作りにも非常に役に立つからです。 ただし、やはりこのメソセラピーは一筋縄ではいかなさそうです。

効果の出る場所と出ない場所があったり、個人差も大きく、もう少し研究をしなければ正式なクリニックのメニューにはできないのですが、もし正式にメニューに入れる時は、出っ張りを引っ込める数少ないテクニックの一つになりますので、乞う期待! です。 もしテクニックが完成しても、後の私の美意識の問題は残りますが・・。

少なくとも治療の際は江戸時代の美意識ではなく、現代の美意識を持って取り組みますので、その点はご安心ください。


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