こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。早いもので、もう今年も終わりが近づいてきましたね。皆様はどんな1年でしたか? 素敵な出会いとかありました? この年になると、なかなか新しい出会いとかないですよねぇ。私はと言えば…今年1番話題になる新しい出会いは、やはりこの人! このクリニック通信にも出演しまくっている、「神の手」こと整形の後輩H君です。出会いのきっかけは、2月に私が卓球のし過ぎで坐骨神経痛が出て歩けなくなった時、大学の整形ではH君が脊椎の手術が一番上手いと聞いて診察してもらった事です。その時H君がクマが気になると言っていたので診察のお礼にクマの注射をする事にしたんですが、法令線も気になると言われてみたものの、それだけじゃなくてメタボもやばいじゃん!このままだとイケてないおっさんまっしぐら…という話になり、今ならまだ間に合う!という事で当院のモニターになってもらって、アンチエイジングとダイエットに取り組んでもらう事になった訳です。
「神の手」と呼ばれるだけあって、H君は海外からも手術に呼ばれたり学会や講演会にもひっぱりだこで超忙しいのですが、出会ってから夏まではその合間を縫って治療に来てくれ、74kgあった体重も66kgとなって、注射の効果も出て昔のシュッとしたイケメンに戻る事ができました。そして毎月クリニック通信にも登場していたH君ですが、9月は学会シーズンのため忙しさに拍車がかかり、1ヶ月でアメリカ2回・北海道・九州を含む出張5回で、発表・スライド・抄録等に毎日追われて人生で一番忙しい期間だったとの事でお休みに。そしてH君は東京の脊椎専門病院の院長としてヘッドハンティングされ、来年の4月から東京に行く事になったらしいのですが、この秋その異動が公開になった事でいろんなインプラント・薬・医療機器メーカーからの面談・会食・講演の依頼、手術の申し込み・見学依頼等が殺到し、研究会の代表幹事になった事もあって破壊的に多忙な日々となり、私の都合で診察を延期してもらった事もあったので先日久しぶりの来院となりました。H君はラスベガスで学会があった時のお土産に大きなカップを買って来てくれたんですが、うちに来る時は大抵どこかに手術に呼ばれた時などの出張帰りに空港から直行なので、出張の前に当直なんかだと何日も重いカップを持ち歩いてたんだとか。申し訳なかったけど、律儀なH君らしいですね(^^)。
今回アンチエイジング治療の方は事前にメールでスレッドリフトを提案すると、「めちゃくちゃ目立つようでなければ是非お願いしたいです。最近、東京に行くこともあってミーティングや講演依頼が凄まじく(今週は4件講演です)、来週も4回講演や座長・ミーティングがあるので、あんまり目立つと…です。でも、是非やってみたいです」との事。来院後聞いてみると次の講演は治療の4日後だったので、それなら針跡もそう目立たなくなってるだろうという事で、法令線にスレッドリフトをする事になりました。治療は順調に済み、治療後H君は鏡を見て「法令線、なくなってる…!! クマまでよくなってますね!」と大喜び。いつもすごく喜んでくれるので、治療のし甲斐があるんですよね~。 ダイエットの方は、H君は強固な意志で大好きなポテチやお菓子をずっと我慢してたので、65kgになったらケーキでお祝いしようと言ってたのですが、9・10月は忙しさと週4回以上の会食続きで達成できず…しかしそんな中でも会食以外をセーブして、先日ついに65kg台に! H君は「先生のお蔭です! 先生にお会いしてなかったら太り過ぎて死んでました🤣。ほんまに救世主ですわ~。ほんまに救世主。先生には本当に感謝しても感謝しきれません!」とこれまためちゃくちゃ喜んでくれて、約束通りケーキ(量は少なめにしましたが…)と珈琲でお祝いしながら話が弾みました。「わ~、美味しそう~❣(*´▽`*) ケーキなんかほんま久しぶりですわ~!」とH君は子供のように大はしゃぎ。とても手術や講演を依頼されまくっている偉い先生とは思えません。
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このH君は、脊椎における全ての分野で最先端を行こうと心がけて、常に新しいより良い治療を求めて勉強し、海外にも上手いというところがあれば何回も手術を見に行って、それを繰り返して全てできるようになってからみんなにベストを提案しようと思って「自分の親やったらこれを選ぶ」と自信を持って言いたいので、全部をやってきたそうです。全てにおいて最先端を行こうとするって凄いですよね。苦労もいっぱいあったけど、より良い治療を求めて新しい事にチャレンジしてきた…というストーリーがあるから、H君の講演は人気があって駆けつける人も多いんだと思います。そして講演のスライドを見せてもらうと…H君が取り組んでいる低侵襲(体に負担がかからない)脊椎手術の変遷の講演だったんですが、これは凄い!! 私は整形外科時代は手の外科班だったので脊椎は専門外ですが、それでもH君の手術の上手さがすごくよく分かりました。その上どんどん新しい手技を取り入れて、ただでさえ早いのに手術時間もどんどん短縮していき、出血量もどんどん減って、術後も早期離床・早期退院できるようになり…その進歩には目を見張りました。手術の範囲も、腰椎椎間板ヘルニアから腰椎変性すべり症・頚髄症・骨粗鬆症性椎体骨折・側弯症・脊椎変形に対する手術と多岐にわたり、その全てに最先端の治療を取り入れていくという並大抵の才能と努力ではできない内容で、しかも術後レントゲンを見るとすごく難しい症例がめちゃくちゃ綺麗に治っています。これは「神の手」と呼ばれるはずだ!と、想像以上のH君の実力と、より良い治療を追求して常に進歩に挑戦し続けるその姿勢に感動しました。本当は、医師は誰もがそういう姿勢であるべきなんですが、なかなかそういう人はいませんよね…。これは私も頑張らねばと、久しぶりに刺激を受けた次第です。
この通信の中でも以前に何回も医療業界の裏話を書いてきました。日本のドクターは一応国家資格を取って医者になった後に研修医を経て、経験を積んで一人前になるというコースをたどっているので最低限のレベルは誰でも超えています。しかし、私自身が病気になって外科手術をしなければならないとなった場合には、主治医は自分で探すと思います。本当に「言ってはいけない」事なのかもしれませんが、これが現実なんですよねぇ。最近でこそ皆さんは報道で医療事故が起きて院長以下が記者会見で謝罪している姿や、裁判で病院が負けて賠償金を払ったケースなどを見ていると思いますが、あれは本当に氷山の一角だと思います。誤解のないように申し上げると、医療ミスと認定されるような事故は明らかに病院の管理体制や担当医師に問題がある訳なんですが、実際には「問題があるとは言い切れないが、人間には生まれ持った能力の差があるとしか言いようがない…」という事が医療現場ではしょっちゅう発生しています。特に外科の分野ではそれが顕著です。 実際にH君が行っている手術のビデオをみると非常に手際が良く、手術時間がすごく短く患者さんへの負担がすごく軽いのがわかります。しかし、これと同じような手術を別の人が行うと何倍も時間がかかった上に術後に合併症が起きた…というようなケースは残念ながら結構発生しています。特に私は整形外科の出身なので、当時の同僚から「〇〇が手術したらいつも問題起こるから院長が〇〇を手術禁止にしよってん。そやから俺らの負担は重なる一方や…」と言った感じの愚痴を聞く事は日常茶飯事です。このような話は当然ながら絶対口外禁止ですから、一般の人は知る由もありません。逆にH君のような「神の手」の存在は私はかつての同僚から「手術させたら滅茶苦茶凄い奴がいるねん。あいつは尋常やないで」と紹介してもらったんですが、やはり一般の人がその存在を知る事は難しいと思います。
時代の先取りが得意な友人MにH君の話をすると、「そういう『神の手』こそ、ロボット手術を取り入れて彼の手技をソフトウエアとして一般化すべきなんだよ! 手術の技術が一部の神の手という属人化する事を避けて、誰でも同じクオリティで手術が受けられる世界にしないといけないんだ」と言うんです。実はMは先日、神戸中央市民病院で胃の摘出手術を受けたんですが、わざわざ担当の先生に「ロボットによる手術を希望する」と言って、ロボットの空日程を待って手術したという熱の入れようです。皆さんはロボットによる手術がすでにかなり普及しているのってご存じでした? ロボットと言ってもSF映画にでてくるような人間型ロボット(ヒューマノイドというらしい)が人間に変わって手術をする訳ではなく、人間がモニターを見ながら機械(ロボット)を操作する方法で手術をするんです。イメージ的には、建設現場でショベルカーを人間がレバーを使って操作して土を削ったり運んだりしますが、あれの精密機器バージョンだと思っていただけるといいと思います。そんなモニター見ながらレバー操作するくらいなら、人間が手を使って手術した方がずっといいじゃないか…と思う方もおられると思いますし、そのように主張するドクターも実際にいます。
しかしロボット手術の良い所は、モニターを見ながら椅子に座って行うので、立ちっぱなしで何時間も手術を行う事に比べてドクターの負担が少ないため、集中力のもち方が違います。(ドクターだって人間ですもん…。)また裸眼で見るのと違って、カメラで何十倍もズームアップするので、細かい部分を顕微鏡で見るような映像になります。またモニターを見ながら行うので、複数のドクターが相談しながら手術を進める事ができます。(飛行機のコックピットで機長と副機長がお互いに業務を補完しながら進めるようなイメージです。)そしてある程度決まったオペレーションはソフトウエアで自動化されます。(これも飛行機の自動操縦に近いイメージ。)そしてM曰くは、これからインターネットや通信回線を使って遠隔操作で手術ができるようになる事で、世界が変わるそうな…。(今は法律的な問題もあって、遠隔操作による手術は日本では通常は行われていません。)手術用のロボットはアメリカ製のダビンチというのが一番有名ですが、日本にもすでに数百台納入されれており、実際に色々な病院で稼働しています。もともとこのダビンチはアメリカ軍の要請で開発されたものらしく、戦争の前線に医者を派遣する事が出来ない場合でも、遠隔地で手術ができる事を想定されて作られており、遠隔操作による手術は法律の問題をクリアすれば問題なくできるそうです。
世界ではこのダビンチが既に数千台規模で稼働しているようですが、この市場に割って入ろうとしているのが日本製の手術ロボット「Hinotori-火の鳥」でして、神戸中央市民病院にもあるのですが、1台しかないので緊急手術が優先されているらしく、Mは火の鳥を第一希望にしていたのですが日程が合わず、泣く泣くダビンチにしたんだとか…。大体、主治医を希望する話は聞いた事はありますが、手術ロボットを指定してくる患者なんか聞いた事ないですし、担当の先生も笑っていたようです(^_^;)。Mに言わせると、これから日本の経済がどんどん縮小する中で、手術ロボットは日本が世界に誇る輸出品となる事は間違いないとか…。日本はモノづくりに対する知見とノウハウは今でも世界一で、高齢化が急速に進む事から医療業界のロボットは日本が唯一世界に向けて競争力を持てる分野であって、ここを逃すようであればもう日本の未来は終わる…と熱弁してくれました。私はITや世界経済の事などは良く分からないんですが、確かに言われてみれば一理あるなと思います。ただ、今は手術用のロボットは1台数億円と言われていて非常に高価なので、H君のような神の手の技術をソフトウエアとして移植するには開発のハードルは高いし、遠隔地手術は法律の問題もあってなかなか簡単にはクリアできそうにないとか…。ここでまたMは「だから日本は政治が変わらないといけないんだ! これは日本という国の将来の戦略の問題なんだ。医療行政が変わる為には、政治家が変わっていかないとダメだ」と熱弁を続けます…。「じゃあM、あんたが立候補したら??」と言うと、「いやぁ…僕はたたけば埃だらけなんで、スキャンダルまみれになって政治家は無理だな…。大体政治家の選挙って、ローマ法王を選ぶんじゃないんだから倫理感より業務推進能力を重要視すべきなのに、マスコミはすぐに政治家のスキャンダルに飛びつくでしょ…もうあれ、うんざりだな」との事。確かにそうかもしれませんね。
さてさて…H君が帰る間際に、「あ! 兵庫県の知事選、今日でしたよね! 友達が斎藤元知事の演説を配信してくれたんですけど、熱いなぁって思いました!」と言い出しました。私は政治には超疎いのでよく知らなかったんですが(それでも斎藤知事が叩かれてた事はYahoo!ニュースなどで見てましたけど)、聞くところによると斎藤知事にかけられたパワハラ疑惑は事実ではなく、あれは既得権益にメスを入れようとして既得権益を守ろうとした人達に叩かれたという主張が、ネットではかなり出回っていたそうです。しかしそのスキャンダルの裏側をYoutuber達が暴露し、選挙活動が始まると流れが完全に逆転して、今回の勝利は「既存のマスコミや既得権益者の敗北、ネットの勝利」と言われているそうな。ネットの情報が常に正しいとは限らないけど、新しい事をしようとすると古い考えの人達に反対されるなど困難が多いは事実なので、勇気を持って立ち向かい、常に進歩しようとする姿勢が大事なんですよね。それにしてもあれだけ叩かれて失職して、誰もがもう「彼は終わった」と思っていたのに、たった一人で駅前に立って演説をする事から選挙活動を開始したというあの姿に心を打たれた人は多いのではないでしょうか? 真実は何だったのかは誰にも分かりませんが、「あの鉄のメンタルは彼の信念から来ているはずだ」と思うに十分だと判断した人が多かった為、兵庫県民が彼を支持したのだと思います。彼は県知事なので国の医療行政を担う訳ではありませんが、今後国政選挙があれば、Mの言う日本の将来戦略という視点を持って、どのような人が当選するのかを見極めていきたいなと思います。色々な法的課題がクリアされ、H君の神の手の技術が日本製の手術ロボットのソフトウエアとして標準搭載される日が来るのが楽しみです。少しは私も政治に興味を持つきっかけになったかも…。私もH君や斎藤知事を少しでも見習って、日々進歩するように努めようと改めて思った次第です。来年もより良い治療を求めて頑張りますので、どうぞ宜しくお願い致します。