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第252回「力を抜くって難しいですね」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。

急に暖かくなったり、また寒くなったりですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私はと言えば…先月号でお話した5年ぶりの卓球部OB戦復活の後卓球づいてしまい、後輩から4年ぶりに全日本医師卓球大会が大阪で開催されると聞いて、仲のいい他校の後輩も出場するとの事だったので応援に行こうと思い立ちました。最初は応援だけのつもりだったんですが、後輩たちに声をかけると参加する人が他にもいるなら団体戦に参加したいという子がいたので、結局取りまとめ役をする事になり、最終的には人数が足りなくて出場する羽目になってしまいました。慌ててまたコーチに練習をつけてもらいに…。前回はOB戦のダブルスの練習でしたが今回はシングルスでめちゃ強いおっちゃんに当たった時用の練習です。コーチ曰く、相手の力を利用して取りあえず返して、相手のミスを待つのが良いとの事。シングルス用のサーブ練習もして、コーチには結構いいサーブ出せてるって言われましたが、コーチって褒めるの商売やしねぇ…(^-^;。OB戦はいつもダブルスで、シングルスはもう15年以上してないので、こんな一夜漬けでいけるんかいな…と不安に思いつつ当日を迎えました。全日本医師卓球大会は昭和58年から続いている大会で、各大学のOBか、地域毎にチームを組んでの団体戦と個人戦があり、団体戦は各大学のOBチームが多いんですが、大阪には「大阪府医師会」という連合チームが昔からあり、私の年代で学生時代は近畿大会でいつも優勝していたN先生が中心になって、大阪府下の大学の強豪ばかりを集めてしょっちゅう優勝していました。大阪は医学部のある大学が結構多いので、各大学の各時代の強豪を集めたらそら強いわな。医師会に入ってなくても卓球が強ければチームには入れるそうで「医師会」とは名ばかりなので、ちょっとずっこいんちゃう?っていつも思ってましたけど…。



男子個人戦は年代毎のランクに分かれて対戦するんですが、39歳以下・40代・50代・60代前半・後半・70代前半・後半、そしてなんと80代のランクまであるんです! 女子個人戦と団体戦は年齢のランクが違うとその差に応じてハンディがつく事になっています。私は卒後4年目の時に8学年上のK先生に誘われて初めて参加したんですが、その頃はまだ衰えていなかったので女子の部で準優勝し、その後何年か参加して準優勝2回と3位1回の記録は大会プログラムの「栄光の記録」というページに載っています(残念ながら優勝の記録はありませんが(^-^; )。K先生は学生時代は6年間の春秋で12回あった近畿大会で8回優勝した強者で、一緒に大会に参加した時も40代のランクで優勝され、その決勝戦はカウンタースマッシュの応戦で、球が速すぎて目に止まらないほどだったのを覚えています。その頃は1セット21点先取のルールで、ハンディはランク毎に5点だったので、団体戦や女子個人戦は3ランク上の人と当たると15-0から試合が始まるんですが、さすがにそのハンディは若者には厳しかったなぁ。研修医には人権はないと言われていた時代でもあり、若者よりも熟年の先生の方がよく練習されていた事もあるんでしょうね。私も個人戦の決勝で当たった先生が3ランク上で、15-0から頑張ったんですが負けてしまい、「私はもう暇だから週に3回練習してるのよ~」と言われて驚いた事があります。近年は1セット11点先取のルールになった事もあり、さすがにハンディは減って1ランク1点、最高2点という事になって、自分が年いってからはハンディの恩恵にあずかれなくなりましたが…(^-^;。



まぁでもよく考えると卓球ってハンディをもらえるとは言え、年を取っても続けている人が多いスポーツなんだなぁと思います。皆様の周りでも年とっても卓球やってる人は意外にいるんじゃないでしょうか? 卓球場に行くと若者に交じって結構年配の人が練習しているのを見る事もよくあります。世の中には色々なスポーツがありますが、例えばサッカーの試合で若者とシニアが一緒に試合する事なんてありえませんよね。若者の体力とシニアの体力差は歴然としているので、同じフィールドでは試合できないどころか、もしシニアの皆さんが試合に出るとなれば救急車が待機していなければならないかもしれません(^_^;)。同じように多くの陸上競技では、若い時に活躍した選手がシニアになって指導者として競技に関わる事はあっても自らプレーをしているのは稀だと思います。一方でゴルフなどは若者とシニアが同じフィールドで試合ができる典型的なスポーツですね。ハンディがあれば若者とシニアが一緒にプレーできます。そういう意味では卓球もシニアプレーヤーが多いのでゴルフに近いものがあると言えるんじゃないかな。一体何が違うのかなと色々と考えてみると、格闘技を考えると結構分かりやすいのかなと思いました。例えばレスリングやボクシングで若者とシニアが一緒に戦う事はありえませんよね。でも空手や柔道だとシニアの方もかなり活躍されてますし、師範クラスのシニアであれば駆け出しの黒帯選手なんか瞬殺してしまいそうです。何が違うのかと言うと、レスリングやボクシングは圧倒的に体力、つまり持久力と筋力を要求するスポーツであって、若者とシニアでは圧倒的な差が出てしまいます。一方で、空手は筋力や持久力と言うよりは、一瞬のスキを捉えるタイミングがかなり重要だと思います。柔道も、もちろんオリンピックに出るような選手の試合であれば、持久力や筋力は重要な要素ですが、「柔よく剛を制す」という言葉があるように本来柔道が目指している世界観は相手の力を利用して小柄な選手が大男を一瞬で投げ飛ばしてしまうというところに醍醐味があるんだと思います。



まぁシニアが活躍できるスポーツってゴルフが最も典型的なんですけど「力を入れる」より「いかに力を抜くか」を会得する方が強くなるスポーツなんだと思うのです。若い時は体力に任せ力を入れて相手を制する事は得意なんですが、「力を抜く」というのは長い経験と訓練を経て、体がその感覚を覚えこまないといけないので、若いだけで有利であるという事はありません。

私は卓球以外のスポーツはそんなに詳しい訳ではないですが、卓球に関しては若い時の方が圧倒的に体力があるので、スピードがあります。そして猛烈に打ち込みをかけても持久力もあるので、途中でスタミナ切れを起こしにくいため「攻める卓球」については若者が圧倒的に優位です。しかしシニアの達人になると非常に辛抱強く丁寧に玉を返していき、相手のミスを誘うのが得意な人が多いです。そしてシニアの達人は全く疲れを見せません。それもそのはず、彼らは全然力んでないですし無駄な動きをしてないんですよね。ラリーになればシニア達人は遊んでいるかのようにどんな球でも返してしまい、相手のミスを誘って得点するのです。それって柔道で言うところの「相手の力を利用する」という事にちょっと似ているのかもしれません。よって若い時に訓練を積んで体で覚えているシニアにとっては多少のハンディをもらえれば充分に若者と一緒にプレーする事ができるんですね。(勿論オリンピックのような世界レベルの選手がガチで戦う舞台ではやはり体力は勝利への圧倒的に大きな要因なので、そんな舞台で一緒にプレーするなんてありえませんが、ハンディを付けてゲームとして楽しむというような舞台では、十分にシニアでも楽しむ事ができるという意味です。)



シニアで達人のプレーを見ていると例外なく「力が抜けている」と思います。全く力む事がなく体が自然に動いてますし、相手の打った打球に対してまるでどこに球が来るのかが分かっているかのように体が反応し、力を入れる事なく微妙なところに返球しています。あらゆる動きに無駄がないですし、本当に「力が抜けている」ように思います。実はこの「力を抜く」というのは、「力を入れる」よりずっと難しい事なんだな…と痛切に感じます。考えてみれば「力を入れる」って分かりやすいですよね。このタイミングで「力を入れてください」と言えばほとんどの人は言われた通りに力を入れる事ができると思います。ところが、ここで力を抜いてくださいと言われても全員ができるとは限りません。…というか逆にほとんどの人は簡単にできないと言っても過言ではないと思います。ゴルフでレッスンを受けた方であればおそらくほとんどの人が「肩の力を抜いて!」とか「力を入れて打とうしなくていいので自然にクラブが落ちてくるような感覚でスイングしてください」なんて言われた事があるのではないでしょうか? まぁ、私も若い時に、多少ゴルフは楽しんでいた方なんですが、レッスンを受けると必ずそのような指導をされていました。「自分では力を抜いているつもり」であっても指導者から見ると「全然抜けてない」のでしょうね…(^_^;)。それは打った球の軌跡を見れば明らかです…。結局私も最後までゴルフではこの「力を抜く」という感覚は掴みきれなかったように思います。



この「力を抜く」というのはスポーツだけでなく色々な分野で共通した難しさなんじゃないでしょうか? 例えば力を入れるというのは、絵画で言えば絵の具で色を付けるという事に似ていると思うのです。なぜならば「ここに色を塗ってください」と言えば誰でも塗る事ができると思うからです。一方で、「空白や余白をきちんと使って世界観を表現してください」と言われると、よほど絵心がある人でない限り戸惑うのではないでしょうか? 私の友人でジャズを演奏する人がいますが、その人が常々「自分の演奏を先生に指導を受けると『音数が多すぎる』といつも言われてしまうんです。もっと『音がない余韻で聞く人の心を捉えなきゃダメ…』と。確かに達人の演奏を聴くとその通りだと思うんだけど、いざ自分でやろうとすると、これがなかなかできないもんなんですよねぇ…」と言っていたのを思い出します。まぁ私も芸術に造詣がある訳ではないので、スポーツの力を抜くという感覚と芸術のそれらの話が同じであるのかには自信がありませんが、どうしても根っこは同じような事なんじゃないかという気がしてなりません。この「力を抜く」という感覚って、長年訓練したり経験したりしているとある時ふと「あ…こういう感覚なのかな…」と気づくようなものなのではないでしょうか?(勿論一部の天才的な才能を持った人はそこまで訓練しなくても気づくのでしょうが、それは天才たる所以ですね。私たちのような凡人はやはり一定以上の訓練と経験がないと、なかなかそのような気づきには至らないように思います。)

それでもって自分の人生で一番多くの経験をしている事は何かと言うと、それはやはり仕事の上での経験です。その中で自分なりに「力を抜く」べきところって何かと考えた場合に、やはり「治療を力まかせにやり過ぎない」って事じゃないかなと思います。「やり過ぎない」と言うとちょっと語弊があるかもしれませんので「最初にイメージをした自然な美しさに仕上がる事を目指すのであれば、力ずくでやるのではなく体の反応をうまく利用するべき」という事になります。



まぁ、これでは一体何を言っているのか分かりませんよね。もう少し説明すると、多くの患者様は自分の顔に何らかの不満ポイントがあり、それを改善したいと思って来られます。例えばそれは皺であったり、たるみであったり、クマであったり色々です。そして、それを治療する方法として皮膚にヒアルロン酸を入れて下から持ち上げるたり、ボトックスで筋肉の収縮を制限したり、糸を入れて引っ張る、脂肪を溶解する、成長因子を入れて皮膚を再生させる…などなど色々な方法があります。単純に凹んでいるところは盛り上げて、出っ張っているところは抑えて、たるんでいるところは引っ張って…という事で満足のいく仕上がりになればそれはそれで良いのですが、多くのケースはそんなに簡単な話ではありません。例えばどこかを盛り上げるとその部分はそれで良くてもその影響で他のバランスが崩れてしまう事があります。皺を消そうとして筋肉を収縮できないようにすれば、皺は確かに出なくなったけど表情が硬くなってしまうなど、必ず他に影響が出る訳です。なので、凹んでいるのが気になるのでそこを盛り上げるというのはある意味非常に分かりやすく誰でもできそうに思いますが、「綺麗に仕上げる」という事になると、全く別の話になります。このクリニック通信には何度も書いてきましたが、人の体は本当に一様ではなく百人百様です。どこに何をしたらどこにどんな影響が出るのかは、骨格から筋肉の構造、血管や皮膚の状態、またその人のアレルギー体質などを含めて本当に違うのです。なのでその部分だけに注目して、とにかくそこを盛り上げよう…というような感覚では綺麗な仕上がりにはなりません。



説明が非常に難しいのですが、「この人なら皮膚や筋肉の状態から、この辺にこの程度の変化を加えると全体がこんな感じに変わってくる…」という事を、頭の中でシュミレーションする訳です。そして、それを基に綺麗な仕上がりになるよう薬剤の量を計算したり調合を変えたりするのですが、効果の出方も百人百様なので、過去に同じ注射を受けた人なら術前後の写真を比較し、その人の効果の出方を見て薬剤の量や配合・注入箇所を微妙に調整します。なので綺麗な仕上がりを追求すればする程準備に時間がかかりますし、術前後の写真撮影は非常に重要になってきます。またそのシュミレーションのようになるかどうかは注射器で薬剤を注入する時の手の感覚からも分かりますので、その時の感覚によって打つ場所や注入角度・薬剤の注入量などを微妙に変えたりする訳です。反応を見ながらそれに合わせて治療をするというのは、卓球の例で言えば無理にスマッシュを打ち込んで点を取りに行こうと力むのではなく、来た球を上手に返して相手の反応を見るという戦い方に共通点があるように思います。人によっては「なんかすごくこじつけているな」と思われるかもしれませんが、この感覚は恐らく色々なスポーツで言うところの「力を抜く」という感覚と非常に似たもので、もしかすると芸術で言うところの空白を大事にするとか無音を大切にするという感覚にも似ているのではないかと思うんですよね。私のつたない説明でうまく伝わらなければ申し訳ありませんが、なんだかこの年になってそれなりに人生を経験してくると、「色々な分野はあるものの、結局人間の目指しているところは同じなのかな」と思ったりします。勿論まだまだ私では達人の域に達している訳でもなく、修行中の身ですので患者様にはその点は申し訳ない気持ちで一杯ですが、少なくとも達人の域に到達できるような努力はこれからも続けていくつもりです。



さてさて、卓球の試合当日。大阪開催だったので最初は近いと思って応援に行こうと思ったんですが、なんと開場7:45、開会式8:15! なんでこんなに早いん?? 神戸からでも1時間以上かかる場所だったのでなんと何十年ぶりかの5時起きです。予選リーグは2試合あったんですが、2試合目で当たったのは私達の年代でいつも西医体(西日本医科学生卓球大会)で優勝してた有名なK選手で、次期大会会長でした…。本気出されたら瞬殺間違いなしでしたが、手加減してくれたので昔の癖でスマッシュを打ちに行ってしまい、何回打っても返ってきて最後にこっちがミスする…という「相手の力を利用する」事とは全く逆の展開になってしまい、まだまだ「力が抜けてない」と痛感する事に。やっぱり「言うは易く行うは難し」なんですよね。達人への道は遠いって事か…残念。チーム自体も20代、30代、40代各年代の主将で挑んだんですが、西医体優勝者がゴロゴロいる強豪の壁は厚く、卒後5年目で西医体ダブルス3位だったU君と卒後4年目のS君が1勝ずつしたのみで、予選リーグ敗退となってしまいました…😢。でも久しぶりに後輩たちや昔の他校の卓球友達に会えて楽しかったです。仲のいい20代の後輩の彼氏で、近畿大会でよく優勝していた近大のW君も例の大阪府医師会チームで活躍していました。W君も勤務医で医師会なんか入ってないんですけどね。でも何十年ぶりかで会った大阪府医師会チームのエースM君が、昔卓球好きが集まる卓球場で何回か会っただけだったのに私の事覚えてくれてたのは嬉しかったなぁ。M君は個人戦も40代のランクで優勝し、大阪府医師会チームを率いるN先生も、60代後半のランクで優勝していました。でも、ちょっと気になったのはその年代になるとみんな卓球は超強いんですが、見た目がずいぶん老けてジジイ対決になってた事…(^-^;。学生時代をよく知ってるだけに余計そう思うのかもしれませんが、うちに来てアンチエイジング頑張って欲しいなぁって思ってしまいました(^-^;。これからもきちんと「力が抜けるように」卓球も本職の美容の仕事も頑張っていきます!! 皆様、よろしくご支援お願い致します。



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