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第236回「皆さんが選ぶ時代に…」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。10月は急に寒くなったりまた暑くなったりして、秋らしい気候の日が少なかったですね。皆様は体調など崩されていませんか? 私はと言えば…コロナの4回目のワクチンを打った翌日に頭痛と倦怠感が少し出かけて、その次の日には治まったのでもう大丈夫と思っていたら、そのまた次の日から頭痛と倦怠感が酷くなり、良くなったり悪くなったりが2週間以上続いて、仕事が全然はかどりませんでした。ちょうど急に寒くなった頃で「ちょっと寒いな…」と思いながら、その少し前の暖かい時期と同じようにテラスでスパークリングワインなんかを飲んでいたので、単に風邪をひいただけなのかもしれませんが…。呼吸器内科の先生に「ワクチンの後2週間もしんどい事ってあるんですかね?」と聞いてみたら、「中には1ヶ月くらいしんどかったって言う人もいますよ。まぁどこまでワクチンの影響かは分かりませんが…」との事。まあそうですね。どこまでワクチンの影響かなんて本当に分かりませんよねぇ。もしかしたらちょっと変わったクリニックでワクチンを打ったからかも??なんて思ってみたりしています。その変わったクリニックというのは…例の友人Mが3回目のワクチンの時にネットで予約して行ったOクリニックというところで、「いや…あんなクリニック初めて見た。あそこは絶対に1回行ってみた方がいいよ!」と散々言われ、怖いもの見たさもあって行ってみたところです。




Mが3回目のワクチンを打った後、「すごいクリニックでワクチン打ってきたで! どう見ても病院ちゃうよ、あそこ。バーの居抜き物件みたいに、カウンターがドーンとあるねん。ワクチン打ちに来たおっちゃんらが顔見合わせて、『ここほんまに病院か…??』『大丈夫なんかいな…』ってみんなキョロキョロしてたわ! 受付もナースも誰もおれへんし、先生1人で全部してるねん。ここは何屋なん?…って感じ満載やねんね。なんも知らんとワクチン予約してた人達が一緒に座って並んでるんやけど、もう全員ソワソワしてて一人のおっちゃんなんか『ここホンマに大丈夫なんか? なんか騙されとんとちゃうか??』…て心の声が我慢できずに思いっきり漏れ出してきてるしねぇ。そしてワクチン始まったら、待ってる人が一人ずつ診察室に呼ばれて入るのかと思いきや、その先生が注射器たくさんお盆に乗せて持って来て、待合に座っている人達に『はい次、はい次…』って感じで先生の方が動いて順番に打っていくねん。そらまぁそうしたらほんの数分で10人くらい一度に打てるから、効率はいいけどねぇ。…て感じで、帰りがけは一緒にワクチン打った人達でもう妙な連帯感が生まれてしもて、エレベータに一緒に乗った途端『ありゃ凄いねぇ…初めはどうなるんかと心配でしたよねぇ…』『せやせや…あれホンマに病院なんか? なんか普段はバーやっててワクチンの時だけ借りたんちゃうんか?』とか、堰を切ったように一斉に喋りだすねん。まぁ、1回行ってみて! 面白いから絶対行った方がいいよ!」と…。


(写真はイメージです。)
(写真はイメージです。)

その時は、ただでさえ多少はリスクのあるワクチンをバーみたいなクリニックで打つ気はしなかったんですが、3回大丈夫だったらまぁ4回目も大丈夫かなと思い、怖いもの見たさで行ってみる気になりました。ホームページを見てみるとよくある普通の内科クリニックという感じで、どこにもバーカウンターは写っていません。院長の髪型がちょっとモヒカンチックでしたが、その他は診察用の机やベッドなど、ごく普通の病院っぽい写真ばかりだったのですが…。予約をして、当日ビルのエレベーターを上がってクリニックの階で降りると、いきなりハワイアンなカフェバーが出現! ハイビスカスが飾られた入り口を見て立ちすくんでいると、モヒカンの院長が自ら登場!…って、院長アロハに短パンやし! ま…マジか??


院長:「予約ですか?」

柴田:「は、はい…。ワクチンの…」

院長:「あ、そう。そしたらそこで受付してね~」


(実際のクリニックの写真ではありません。)
(実際のクリニックの写真ではありません。)

受付の人は普通の感じだったのでちょっとほっとしたんですが、受付の後ろには例のバーカウンターが! それだけでなく、内装がすごいんです!東京の製薬会社K氏のオフィスは、漆喰のピンクの壁に青いドアでプロバンスかスペインか…という会社とは思えない内装でしたが、それを上回るビックリ仰天の内装は初めてです。天井や壁には海や空のタイルや壁画が一面に…。そして天井からはハイビスカスがあちこちにぶら下がっていて、窓際には緑のランプが一列に天井から吊るされています。院内にはハワイアンミュージックが流れ、待合らしきパイプ椅子のある広場の奥には、椰子の葉で葺いた屋根のある海の家のようなスペースが…。思わずキョロキョロしてしまう、っていうのが頷けます。受付の後「こちらへどうぞ」と奥に案内されましたが、本当にキョロキョロしてしまいました。カウンターの横に注射器が並んでいたのと、奥の方にカルテ庫らしき棚がありましたが、それがなければ病院とは絶対に思えないようなところでした。


受付の人は案内を済ませると奥に引っ込んでしまい、あとは院長の独り舞台。

「ファイザーのオミクロン対応ね~」とささっと注射をしてくれて、

「ハイ、15分待ってね~」とタイマーまでかけてくれました。

15分の待機中、もう院内の写真を撮りたくて撮りたくて…隠し撮りしようかと思ったくらいです。そこはぐっと我慢してたんですが、帰りに院長が入り口近くでお見送りしてくれたので、思わず「すごいですね…」と言ってしまいました。すると院長は嬉しそうに、「これ全部僕がやったんですわ~」…「ええっ?! 先生が??」と驚くと、またもや嬉しそうに「そうそう。コロナで暇やったからね~」…なんぼ暇やったからって、ごれは方向性がちゃうんちゃう??とは言えないよね…。それからしばらくの間は、薬のメーカーや卸の担当者と話す度に「Oクリニックって知ってる?? 面白いから1回行ってみて!」と言いまくっていたので、院長の祟りで体調が悪くなったのかも…??(^-^)☆ 皆さんも行ってみたいですか? 元町駅のすぐ近くなので、怖いもの見たい方がおられたら個別に教えますので、是非ハワイアンなクリニックでアロハなワクチン体験をしてみてください…(^-^)。


(実物はもっとハワイアンです。)
(実物はもっとハワイアンです。)

ところでそのワクチンですが、最近コロナのワクチン接種を引き受けている開業医の先生の奥様とお話する機会がありました。「コロナのワクチンも大変なんですよ~」奥様もクリニックを手伝っておられるので、問診とか予約に追われているそうです。

「それがね、聞いてくださいよ~。始まった頃はワクチンが足りなくて、1本で6人分なので1人キャンセルがあったらそれを埋めるために何人も電話かけたりして大変だったのに、今は余っててその日に1人しか予約がなくても1本開けてくださいって言われるんですよ。余ったワクチンは政府が捨てるんですって。あの苦労は何だったの~? それに使用期限だって、期限が切れてるのを延長して書き換えてくださいって政府から言われるんですよ。ほんとにいいの??って聞いても、『いいんです!』って言われるし…。そしてついに使用期限が書いてないラベルになったんですよ!」

ラベルというのは、ワクチンの接種済証に貼ってくれるラベルの事です。そう言われて自分の接種済証に貼られたラベルをよく見てみると、確かに1回目と2回目は最終有効年月日の期限内でしたが、3回目は期限が過ぎていて、4回目は期限の記載がありません。

「おまけにオミクロンのBA.1対応のワクチンが出た2週間後にBA.4-5対応のワクチンが出たんですよ!おかしくないですか? 政府はファイザーの言いなりなんじゃないかってみんな言ってますよ!」

…う~ん、なるほど。政府にもいろいろ事情があるんでしょうけどねぇ…。ワクチンが余って捨てるというのは税金の無駄遣いでもあり、もったいない話ですよね。そしてやはりコロナに関わる医療従事者は本当に大変で、身の危険を呈して頑張ってる訳ですから、そこのところは理解して欲しいですね。



皆様もご存じのようにオミクロン株には複数の系統があり、最初に世界で拡大したのはBA.1系統で、その後BA.2系統に置き換わり、海外ではBA.2.12.1系統の後BA.4、BA.5系統が急増し、現在日本でもBA.5系統が主流となっています。新型コロナウィルスは変異を重ねる毎に重症化率は下がっていると言うものの、高齢者と基礎疾患のある人は注意が必要であり、逆に感染力は高まっているので感染対策はまだまだ必要です。10月に入って新規感染者数は減少傾向にあり、水際対策の見直しや観光業界を支援するための全国旅行支援などが開始された事から感染対策に対して気が緩みがちですが、秋以降インフルエンザとの同時流行も懸念されており、現時点で分析されたオミクロン株による感染の致命率はインフルエンザの致命率よりも高い上、オミクロン株はデルタ株に比べて感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されていますので、感染対策はしっかりする必要があります。行動制限が緩和された事から街の人出は増え、屋外ではマスクを外す人も増えていますが、厚労省の通達では屋外でも2m以上の距離を保てて会話をしない場合以外はマスクの着用が推奨されていますので、オミクロンの感染力を考慮せずに行動制限が緩和されたという雰囲気だけで、マスクを外したままペチャクチャ喋りながら歩いている人が増えたのは考えものですね。いずれ自分の身に降りかかるだけではなく、他人にも迷惑をかける事を考えて欲しいものです。

当院でもこのオミクロン株の感染力の強さを考慮し、会話の際にはマスク着用を徹底していただく事をお願いする事にしました。新規感染者数が減少傾向にあるこの時期になぜ?と思われる方もおられるかもしれませんが、院内で2m以上の距離を保つことは難しく、当院はアンチエイジング治療を主に行っている事から一定以上の年齢の患者様が多い為、感染対策には念を入れないといけないと思うからです。口元の診察や写真撮影はマスクを外していただかないとできませんので、その際は会話の度にマスクを着用していただかねばならずご面倒をおかけしますが、皆様の健康を守るためですのでご協力をお願い致します。



ところで先にご紹介したハワイアンなクリニックですが、皆様は「医療機関って設置に対する厳しい基準があるんじゃないの?」って思っておられるかもしれませんが…。医院の開業は地域の保健所が管轄しており、確かに開業時に一定の基準を満たさねば許可が下りないようになっています。しかしその基準とは、恐らく皆様が想像するより遥かにハードルは低く、『診察室と待合室は別室』だとか『院内に手洗いができる水回り設備が必要』など、誰が考えても当たり前…というようなもので、よほどの事がない限り保健所がNGを出す事はないのが実態です。勿論内装をハワイアンにしてはいけないとか、待合室にバーカウンターを設置して患者さんにカクテルを振る舞ってはいけない…というような規制はありません…(^_^)。服装についても医者は大抵白衣着ていますが、これも特に規制がある訳ではなく、アロハと短パンにビーサンという正統派ハワイアン衣装で診察しても何も問題ない訳です…(まぁ患者さんがどんな印象を持つかという話は別として…(^_^))。なので、ダンスクラブのような内装にレゲエミュージックが大音量で流れていて、看護師達はそこで踊りまくっていて、患者さんが来たら『ボナセラ―! こちらへどうぞ! 1名様ご来院!(全員で)グラッチェ!』と接客するようなクリニックにでも、保健所が許可を出さない事はないと思います。(しつこいですが、患者さんがどんな印象を持つのか…というのは別の話です…(^_^;)。)つまり、私達のような開業医が保健所の医院設置基準によって自由な活動を妨げられる事はほとんどありません。もし自由な活動が妨げられる事があるとすれば、「広告規制」です。皆様もご存知かと思いますが、医療機関の広告はかなり厳しく規制されています。駅の看板などで医院の広告を見かけると思いますが、ほとんどの看板は医院名と診療科目、診察時間を記載しているだけで、具体的にどんな事をしてるかなど内容に触れる事はできません。一昔前は美容外科の広告は深夜のテレビでひたすら医院の名前を連呼したり、メロディに合わせて医院名を繰り返すだけの広告が多かったのですが、それはこの医療機関広告規制の為です。ただ、本による治療内容の実績紹介は広告ではなく「出版」とみなされ、「出版」には言論の自由があるのでむやみに規制されるべきではない…という事から、クリニックの院長が自費出版で本を出して、その本の広告をするという裏技で広告をしている事が結構あります。電車の釣り広告で「ワキガの治療では日本一の実績!」みたいな事が書かれているのですが、本来であれば広告規制違反です。ところがよく見るとクリニックの院長がその書籍を持って写真に写っています。この場合、クリニックの広告ではなくあくまでも出版物の「本」を販売する為の広告である…というトリックですね。



以前は医療機関は診療の具体的な内容などを広告する事はほぼできなかったのですが、WEBの登場により、WEB広告については近年かなり緩和されました。…と言うか、WEBでの広告は広告ではなく告知なので、言論の自由の範疇という解釈もあり、グレゾーンとして無法地帯でした。しかしこれでは駄目だという事で、正統な主張や発表は妨げないが、消費者を明らかに誘導する目的で誇大な表現を行う事は規制されるようになった訳です。具体的には、施術前と施術後のいわゆるビフォア&アフターの比較写真掲載は規制の対象で、写真を加工しない、治療にかかった料金や治療内容・リスクを明記するなどの厳しい条件が課せられました。その為、ちょっと前までは美容外科業界では当たり前のようにあったビフォア&アフターの大袈裟な比較写真は一斉にWEBから消えました。そのような中で今一番注目されている広告媒体は、Youtubeを始めとする動画コンテンツだと思います。私も研究や資料を確認する一貫として、YouTubeの動画が上がっている場合はよく見ますが、やっぱり研究した人が直接自分の言葉で内容を発表しているのを見ると、「信頼できるかどうか」というのは肌で感じる事ができますね。今はWEBはどこもプロのWEB制作会社が作っているので、どのクリニックのものを見ても違いが分からず、良い事しか書いていませんが、クリニックの院長が自ら投稿している動画コンテンツなんかは、どのような事に取り組んでいるのかや、その人の人柄を含めてどのレベルの人なのか…などが非常によく分かります。私は古いタイプの人間なので、クリニック通信は毎月十年以上に渡って書いてきましたが、動画を作って投稿するとなるとかなりハードルの高さを感じてしまいます。でもこれも時代の流れなんですよね…。やはり自分がやってきた事や取り組んでいる事を、誇大表現ではなく正確に伝えたいと思えば、このような新しい手法を取り込んでいくしかないのでしょうね。もう少し私も勉強して、動画コンテンツなども配信できるようになりたいと思います。




思えばちょっと前までは、医療機関はどこも同じ雰囲気で同じ治療しかせず(これは保険診療という別の問題の影響が大きいのですが)非常に画一的でした。私の年代の医者には、上記のようなハワイアンクリニックが登場するなんて隔世の感があります。ただ、そのような個性的なクリニックが登場するのは、患者さんの選択の幅が広がるという意味ではむしろ良い事ですよね。逆に医師の方もアロハと短パンでも、医師としての技量を持っていれば患者さんが判断してくれるので、余計な事は気にしない…という自信を持っている証拠かもしれません。(私はワクチンを注射してもらっただけなので、O先生の技量は全く分かっていませんが…(^_^;)いずれにせよ医療というものも時代が変わり、非画一的な医療の中から患者さんが選択するものという時代に変わってきていると思います。実際に私が保険診療を全く行っていないのも、画一的な治療の枠に囚われたくないという方針の一つでもあります。勿論、患者様がそれを見極めるためには、患者様の方もそれなりな判断ができるレベルを要求されます。でもこれだけ情報を簡単に検索できる時代になれば、自分の健康は医師に100%頼るのではなく、自分で見極めて医師や医療機関を自分で選ぶ…という事が必要なのではないでしょうか? 私もそのような中で「選ばれる」医療機関を目指して努力していきたいと思いますので、今後共よろしくお願い致します。





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