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第232回「名医は占い師??」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。梅雨なのに真夏のような日もありますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば…梅雨に入る少し前に、窓に念願のUVシールドを貼りました。去年の秋ぐらいから貼ろう貼ろうと思いつつ、いつものごとく予定がなかなかはかどらず…思いついてから半年以上経ってついに実現。紫外線は老化の大敵ですからね。クリニックを移転する前は10年以上窓のない部屋で1日の大半を過ごしていたので紫外線を浴びるのは出勤の時だけだったんですが、移転してからは窓が大きい部屋で1日の大半を過ごす事になったので、紫外線が気になっていました。(部屋の中でも日焼け止めは塗っているんですが、完璧ではないですもんね。)でもクリニックの内装を頼んだKさんに聞いてみると、内装屋さんにUVシールドを貼ってもらうとかなり高くつくという事で勧められなかったので、何でも博士の友人Mに相談すると「そんなん内装屋なんかに頼んだらめちゃ高いから、あかんあかん。ネットでフィルム買って貼ったら何分の一で済むねんから」と…。「そんなん自分で貼れるの?」と聞くと「お掃除君でも貼れると思うよ。でも便利屋に頼むのが一番かな」??「便利屋って?」



皆さん、便利屋って知ってました? 私はこの時初めて、世の中に便利屋という商売があると知りました…(^_^;)。早速ネットで調べてみると、結構あるんですよねぇ。文字通り、便利に何でもしてくれるところです。「何でもかんでも屋」とかいう名前の店もあり、掃除や引越しの手伝い・家具の移動・不用品の処分から草刈りや大工仕事にとどまらず、お花見の場所取りやチケットの並び代行、話し相手までしてくれると言うから驚きです。ほんとに何でもしてくれるんですね。M曰く、「サーバー(コンピューターの機械ですな…)なんかを運ぶ時は専門の業者に頼むとめちゃ高いし、リスクがあるから保険に入れとか、ああできないこうできないとかってうるさいんだけど、便利屋だったら安い上にこっちの指示通りに『ハイハ~イ!』って何でもしてくれるから、ほんと便利なのよ。でもUVシールドは貼れるかどうかまず聞かないとダメだよ。できないところもあるから」との事。そこで窓のサイズを測り、「このサイズの窓にネットで買ったこのサイズのUVシールドを貼って欲しいんだけど可能ですか?」と窓とフィルムのサイズを詳しく書いて、複数の便利屋にメールしてみました。見積と同時に作業時間、貼るための用具は用意してくれるのか、窓を拭いてから貼ってくれるのかなど、いくつか質問も付けて送ったのですが…返事が来たのがまず半分。そしてその半分は「貼れません」という返事。「貼れます」という返事の店も、ほとんどのところが5つほどつけた質問のうち1つしか返答がなく、何度もメールのやり取りをする羽目に…。



そんな中で1件だけ、「他とは違うな」という店がありました。ネットで売ってた99%紫外線カットのフィルムは、窓と同じ幅のがなかったので(と言うか…窓の幅が部屋によっても、また同じ部屋でも窓によって微妙にサイズが違うんです。一律にしたらいいのに、なんでちょっとずつ幅が違うんかなぁ?)フィルムより窓の方が幅が広いところは、幅が狭い窓の余りのフィルムを使おうと考えて(根が貧乏性なもんでつい…)細かく計算して足りる長さのフィルムを買ったんですが、その店は「その窓のサイズですと、フィルムが足りません」と指摘して来ました。窓のサイズちゃんと見てるやん。他のとこはそんなん見てへん感じやのに…と感心しつつ「フィルムより窓の方が幅が広いところは幅が狭い窓の余りのフィルムを使おうと思って計算したんですが」と返信すると「窓の幅がフィルムの幅より広い場合は、中央に継ぎ目がくるように調節して施工します。これは国家試験に採用されているフィルム貼付けの方法です。見栄えに関してはほぼ同じです。つぎはぎでもよければ対応しますが、フィルムの幅が狭いところは若干接着力が弱くなる可能性がある事はお伝えしておきます」と返って来ました。うむむ…こやつ、できるな…(^_^)。値段も他が1時間単位なのに対してそこは窓1枚いくらで時間がかかっても値段は上がらず、しかも一番安かったのでその便利屋に決定。東大阪の店なのに、出張費もそんなに高くありません。施工日も1カ月先まで空いてないという店もあったんですが、そこは比較的早い時期に設定できました。そして幅の広い窓は部屋の中でも目立つところなので、やはり国家試験の回答通り中央に継ぎ目がくるように貼ってもらって、目立たない位置の窓をつぎはぎにしてもらう事にしました。



さていよいよ明日という時、便利屋が熱を出したというメールが…。まぁ便利屋も人の子やから、熱出す事もあるよね。仕方なく2週間延期する事に。窓の内側は中性洗剤入りの水をスプレーして、ヘラで汚れを取ってから貼ってくれるという事だったんですが、念のためお掃除君に窓の内側を拭いてもらってからだいぶ経ってしまったので、直前にセバスチャンS君と一緒にもう一度拭いたら全身筋肉痛に…。(結局は拭かなくても良かったみたいでガックリ。)さて施工当日、「こんにちは~! 便利屋です~!」元気が良くてわりとシュッとしたお兄ちゃんが、たくさん荷物を持って現れました。「もう1回窓のサイズ測りますね」とサイズを測って、めっちゃ計算しています。床にフィルムを広げて切るという事だったので、テーブルを動かしたり窓際に置いてる鉢植を動かしたり結構大仕事。ピアノの後ろの窓にも貼る予定だったのでピアノを動かしたら、移転してから3年間動かしてなかったのでピアノの後ろは埃だらけ。こらあかん!と大掃除する羽目になり、またもや筋肉痛に。掃除って重労働ですよねぇ。(私の筋力低下が著しいだけか??) 施工時間は約4時間という事だったんですが、計算したりフィルムを切るのも結構時間がかかり、貼るのも貼ったり剥がしたりめちゃ丁寧にしてるみたいで、10枚の窓のうち2枚を貼り終わった所で4時間が経ってしまいました。(これが時間制の料金だとめちゃ焦るところです…タクシーのメータがどんどん上がっていくような感じで精神衛生上良くないですよね…。)15時から始めて20時前まで頑張ってくれたんですが、会議があるから20時で上がってくれと店から電話があって「すいません、残りは明日でもいいですか?」たまたま翌日も時間があったのでOKすると、翌日も東大阪から出向いてくれました。



そして翌日も貼ったり剥がしたりして時間をかけて貼ってくれています。あんまり時間がかかるので(こやつできるな、と思ったのに実はでけへん便利屋やったんか??)とちょっと疑ってしまいましたが、話しているといろいろな事が分かりました。彼は便利屋を起業する前は窓フィルムを施工する会社にいたそうです。(それで貼り方とかも詳しかったんですね。)窓とフィルムの膨張率が違うからフィルムは窓より5㎜小さく切るんだとか、マニアックな話もしてくれました。ところが、業者が使うフィルムとネットで売ってるフィルムは全然違うそうで、業務用のフィルムは薄くて貼ってからも動くので調整しやすいけど、ネットで売ってる一般のフィルムは粘着力が強すぎて動かないので、位置を微妙にずらすだけでも一度剥がさないといけないんだとか。あぁ、それで貼ったり剥がしたりしてたんですね。そら時間かかるよねぇ。それに業務用のフィルムにはカッターが付いていて、床にフィルムを置かなくても宙で切れるのでゴミや空気が入りにくいけど、一般のフィルムは床に置いて切るのでゴミや空気が入りやすいそうで、それを取るのにも苦労していたようです。職人気質の彼は綺麗に貼らないと気が済まないらしく…。「すいません。一般のフィルム貼るの初めてなもんで…」しかし、最初に貼った窓がつぎはぎにする予定の窓だったのに間違えて1枚のフィルムを貼ってしまったのでフィルムが足りなくなり、仕方なくピアノの後ろの窓をつぎはぎにしようという事に。まぁ便利屋も人の子やから、間違える事もあるよね。(あんまり一生懸命貼ってくれてるので、文句言う事もできず…。)そうしてその日も21時を過ぎてしまいました。おまけに終わったかと思いきや、奥の部屋の窓を貼り忘れていて「あ!! …忘れてました…。すいません!! 今から貼ります!」いや…今から貼ったらもう夜中になるでしょう。さすがに疲れて「今度にしませんか?」と言うと、翌日からは別の仕事が入ってるとの事で、翌週来てくれる事に。3回も来てくれるのに、出張費は1回分でいいとの事だったので、少し前に後輩に美味しい日本酒を教えて貰って買い過ぎ、ずっと飲まずに置いていた日本酒があったので1本あげたら「いいんですか?? 彼女がお酒好きなんですよね~」と彼は大喜び。



そして翌週またもや現れた彼は「お酒めっちゃ美味しかったです!! ありがとうございました! 彼女がめっちゃ喜んで『またもろて来て』って言ってました…」(はぁ…『またもろて来て』ってさすが大阪の子やなぁ…(^_^)。)そして「フィルム買ってきました! せっかく貼るのにつぎはぎも何かな、と思ったんで…」おまけにフィルム代はいいとの事。ええ子やん! ところがその親切が仇になり…。その日もめっちゃ時間かけて貼ってくれたんですが、買ってきてくれたフィルムが傷がつき易かったらしく、前回と同じ様に貼ったらしいんですがそのフィルムは傷だらけになってしまいました。網戸をそっちの窓に重ねておくと目立たないんですが、「これは職人として納得いけへんなぁ…。今度神戸に来る時に、貼り直していいですか?」 今時珍しい職人気質の彼でした。それに長時間貼ってくれてる間に面白い話も聞けたし…。「便利屋さんってほんとに場所取りとか話し相手までするんですか?」と聞くと、「しますよ!! こないだもアイドルと握手できるチケットの抽選に一緒に並んで欲しいって言われて並びました! 人数多い方が当たる率が高いからって」ほんまに何でもするんやなぁ。「話し相手ってお爺ちゃんお婆ちゃんの?」「いや、それがそうでもないんですよ。僕が便利屋始めて最初の仕事が話し相手だったんですけど、水商売の人が『商売と関係ない普通の話がしたい』って…」「へ~、それでどんな話するの?」「たわいもない話ですよ。どこの出身なん?とか、趣味何なん?とか…。電話ですけどね」そうなんや…。このご時世、孤独な人が多いんかなぁ。「でも電話やったら、料金支払ってくれへんかったらどうするん?」「泣き寝入りです!!」これは笑ってしまいました。確かに回収の仕様がないもんね。「でも大丈夫ですよ! 電話終わる頃には仲良くなってますから」…なるほど。


どんなところにも「お金を払ってでもしてもらいたい」というニーズがあれば、そのニーズを満たすべく商売をする人がいるって事ですね。便利屋にお金を払って話し相手になってもらいたい…と言う人がいるという現実を聞いて、正直言うと半分びっくりで半分興味がそそられる…って感じでした。この事を例のMに言うと「そんなん普通やん。世の中にはスナックみたいなお店が無数にあって、寂しい男はスナックのママさんにお金払って話し相手になってもらってるんだから、それの酒抜きバージョンって事でしょ? それは全く健全な考え方だね。大体、相談とかグチなんかを大事な友達にタダでしようって考えが本来は不健全なのよ。そんなん相手だってグチとか聞かされて楽しい訳ないし、相談って言ったって大抵の人は自分ですでに答えが出てるのに、その答えを肯定してもらいたいだけでグダグダ言って、相手の時間を無駄にしてるんだから。相手にお金払って聞いてもらう方が、ずっと礼儀正しい人の考え方だな」…と例によって、先進的なのか単に変わっているだけなのか分からない持論を展開してきます。



柴田:「そしたら、Mも相談事があったら便利屋を雇ったりしてるん?

    スナックのママさんにグチ聞いてもらうタイプやないしねぇ」

M: 「僕の一番好きな占い師はタロット使いの人なんだよね。まだ人相や手相とか

    生年月日使った占いだったらその人と直接結びついてるから、それが

    その人の運命を表してるって言われても『まぁ、そんなもんかなぁ』って

    思えるでしょ。でもタロットってカード並べるだけだから、基本は

    サイコロ転がして適当な事言ってるのと全く変わらない訳よ。これが

    悪魔のカードでこれが将来の運命を掲示しているカード…なんて言う奴は

    みんなインチキだね。2回目をすればカードなんて確実に別のものが出てくる訳だから…」 

柴田:「それやったら、そんなん占いに行く意味ないやん?」 

M: 「うん。だからタロットカードそのものには全く意味がないのよ。ただし、

    本当に洗練された占い師は結局お客さんが自分で知っているけど

    言葉にできない将来を言葉にしてあげるって事なのよ。

    だから手法は何でもいいわけ。水晶でもローソクの光でも何でも良くて、

    それを見つめてもらっていくつか質問してその人の反応を見て、その人が

    すでに答えを出している内面を『言語化』してあげるだけなのよ。

    それが一流の占い師。医者だって一流の人は同じ事してるでしょ」

柴田:「え? そうなん?」

M: 「医学が発達していない古の時代は、占い師が医者を兼ねてた事が多いよ。

    今では血液検査とかMRIとかして病気を数値を見ながら判断するけど、

    昔はそんな事はできないから、本人の無意識の領域では分かっているけど

    具体的に言葉や論理で言い表せない病気の原因を『言語化』するというのが

    医者の仕事だった訳よ。例えば腹痛と言ったって、それが食べ物が原因なのか、

    ストレスなのか、細菌によるものか、他の内蔵疾患の影響なのか…

    原因は一杯あるでしょ。本人は原因は正確には分かってないように見えて、

    体の防御機構レベルではきちんと分かってるし、回復に向けて体の中では

    すでに戦いが始まっているのよ。患者さんは本来自分の病気は何で、     どこに問題があるかという事は自分の体なんで本能では分かっているんだけど、

    平時人間は前頭葉で考えているから誰にでも分かる『言語化』ができない。

    その為、昔は占い師兼医者みたいな人がその人の本能が知ってる情報を

    引き出してあげていた訳ね。病気の原因が分かれば治療方針は     自ずと決まる訳だから」


なるほど、確かにそう言われればそうだな…って思いますね。名医と言われる人は古今東西に沢山いますし、私の先輩や後輩にも数名いるのですが、彼らは病気の診断の際に検査の数値はもちろんベースにしますが、最終的には「患者さんの反応と対話」を通じて病気の原因を正確に判断しているように思います。病気の原因判断が適切だから処置が適切になる訳であって、名医たるもの処置が優れていると言うよりは病気の原因をきちんと判断できる人であるというのは全くもって正論だなと思います。結局、人間ってみんな一人ひとり違うんですよね。誰一人として同じ体質で全く同じ反応を示す人はいないし、第一人の体ってそんなに単純なもんじゃないですしね。

そんなこんなで、今は窓が大きくテラスの見える部屋で仕事をしていますが、UVカットフィルムがきちんと貼られて紫外線対策はバッチりですので、これから夏になりますが、皆様も安心してご来院ください…(^_^)。また当院では美容だけでなく、アンチエイジングも取り入れた総合的な若返りやQOL向上を目指していますが、何よりも患者様との対話を大切にして一人ひとりに本当に合ったケアを行って参りたいと考えておりますので、どうぞ何でもご相談ください。できる限りその方の個性に合った治療をオーダーメイドで提供していきたいと思っております。



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