明けましておめでとうございます。柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞ宜しくお願い致します。新型コロナが流行り出してからほぼ2年が経とうとしていますが、今年は明るい方向に向いていくといいですね。最新型の変異株「オミクロン株」は感染力は強いが重症化率は低い、つまり毒性は弱いのではないか…と言われています。これはコロナもインフルエンザ程度のウィルスに変わっていく前兆なのではないかと考えているのは私だけではないようです。ウイルス学の一般論では、ウイルスの感染力と毒性は反比例するとされています。また、増殖の速いウイルスは自然と衰えていく事は1970年代から分かっており、ドイツの生物物理学者でノーベル化学賞を受賞したマンフレート・アイゲンが提唱した「エラー・カタストロフ(ミスによる破局)」、つまり「ウイルスは変異しすぎると自滅する」という理論に基づく考えです。コロナウイルスは人の細胞に入り、自らの遺伝情報を複写して増殖します。本来なら複写ミスを防ぐ「校正機能」が働きますが、ミスをチェックする機能が変異して壊れると複製ミスが起こって変異株が生まれ、増殖のスピードが速くなります。増殖が速ければそれだけ多くの複製ミスが起こり、その結果ある限界を超えると、今度はそのウイルスの生存に必要な遺伝子までも壊してしまい、ウイルスが自壊するという考えですね。日本での急激な第5波の終息はもしかしたらウィルスの変異による変化なのかもしれないという人もいます。どちらにしてもこのままコロナが収束してくれる事を願うばかりです。

さて少しコロナが落ち着いて来たとは言え、コロナ以前に比べるとまだまだ出歩く事は少なく、運動不足の方も多いと思います。そして年末年始は、クリスマス・お正月とおうちでもイベントが続いて、どうしても食べ過ぎてしまいますよね。今回は、その対策にもなるメトホルミン療法で減量に成功した方の代表例をご紹介したいと思います。お一人は40代の男性で、遠隔地治療でメトホルミン療法を行ったI様です。遠隔地治療はご自宅近くの病院で血液検査をしていただき、WEB診察をしてお薬を送るので、当院に通っていただく必要はありません。メトホルミン療法では副作用の症状がないかの記録表は必ずつけていただくのですが、同時に食事や運動の生活習慣表をつけていただいて、生活習慣を改善した方が効果があります。I様はITコンサルティング会社の社長さんだったので、zoom診察や記録はお手のもの。記録表や生活習慣表はグーグルスプレッドシートで作成してくださいましたし、ご自分で糖質計算もして記入し、食事の写真もリンクを張ってくださったので生活習慣指導はとてもスムーズでした。グーグルスプレッドシートだと、コメントを書き込むとリアルタイムで相手も見る事ができるのでとても便利です。そしてラーメンやおにぎり・甘い物を控えたり、お昼をサンドイッチからサラダとヨーグルトやゆで卵に変えたり、コーヒーやヨーグルトを無糖にしたりというアドバイスもすぐに実践して下さったので成果も順調に出て、2か月で10kgの減量に成功。腹囲はなんと16㎝も減りました!少し悪かった肝機能も正常になって万々歳です。



もう一人は70代のK様。メトホルミンモニター募集の頃から希望されていたんですが、高血圧や肝機能障害などのリスクがあり、WEB診察や生活習慣表の記録なども難しそうだったのでお断りしていました。しかしメニュー化後どうしてもしたいと言われたので、値段は高いけれどメトホルミンより副作用の少ないSGLT2阻害薬を使って行う事に。メトホルミン療法は通院の方でも最初の1ヶ月は安全のため、通院の合間にWEB診察を行って週に1回は診察するようにしているのですが、やはりこのWEB診察が難関でした。iPhoneは持っておられたので、来院時にまずzoomをダウンロードしようとしたら「Apple storeのパスワードが分かりません…」まぁ登録したパスワードが分からなくなるのはIT弱い系の「あるある」ですね…私も人の事言えませんが…(^_^;)。幸いお嬢様も当院の患者様だったので、お嬢様に電話をしてパスワードを聞き、なんとかダウンロード。次にzoomの招待メールをその場で送って「来週〇日の13時にこのメールを送りますから、ここをタップしてくださいね」とWEB診察の予行演習もしたんですが…。「ハイ、ハイ」と言っておられて実際にzoomも繋がったので、なんとかできるかな…と淡い期待を抱いていたんですが…。当日診察時間になって、招待メールを送っても反応がありません。メールは普段使わないけどFAXならできるという事で、生活習慣表はWEB診察の前にFAXしていただく事にしてたんですが、それも届いていなかったので電話すると…
柴田:「今日WEB診察ですが、その前に生活習慣表をFAXしていただく事になってましたけど、
届いてないんですが…」
K様:「はぁ、そうでしたか…。今出先なので、帰ったらすぐに送ります」…ん?
柴田:「何時頃帰られますか?」
K様:「5時ぐらいかな…」
柴田:「え? 1時からWEB診察なんですけど…(もう過ぎてるけど。)」
K様:「はぁ、そうでしたか…」
…やはり…1回目は撃沈です。

翌日に予約を取り直し、お嬢様にもメールをして手伝っていただく事に。翌日、お嬢様の助けを借りてやっとzoomが繋がりました。その前の週の生活習慣表の食事は手書きでつけてくださったんですが、ネットは使わないので糖質計算ができないとの事だったのでこちらで計算し、注意点も詳しく書いてメールとFAXでも送って、こちらは準備万端です。
柴田:「先週の生活習慣表の糖質計算をして、注意点もお送りしたんですが見ていただけました?」
K様:「いえ、まだ見てないんですけど…」
柴田:「メールは見られてないといけないと思って、念のためにFAXもお送りしたんですが…」
K様:「FAX? あ、すいません! 紙入れてませんでした」…ガックリ。
2回目のWEB診察時も、招待メールを送っても反応がありません。電話をかけると…
柴田:「さっきWEB診察用のメールをお送りしたんですが…」
K様:「あぁ、そうでしたか。電話が鳴るんかと思ってました」
2回目も見事に撃沈…WEB診察は諦め、毎週ご来院いただく事にしました…(^_^;)。

食事の注意も私がたくさん言いすぎるためか、毎週1つか2つは改善してくださるのですが、なかなかそれ以上は進みません。そこで毎週注意点をメールとFAXで送り、お嬢様にも協力をお願いしました。糖質計算も手書きの表に手動で計算して記入するのは大変なので、グーグルスプレッドシートに入力し直す事に。そうすると計算はすぐにできますが、入力や糖質を調べるのは結構時間がかかるので、なるべくセバスチャンS君のいる日に生活習慣表をFAXしていただくようにお願いしてたんですが、よく忘れられるので結局私がする羽目に…😢。しかしせっかく糖質計算しても、糖質が多くて避けて欲しいものが少しずつしか減らないので、そういうものを赤字にしたり×をつけたり…。また食事の量をあまり書かれていないため、診察時に聞いたり電話をしたりしないと計算ができず指導が遅れてしまうので、食事の前に写真を撮って送っていただく事にしたんですが、同じ写真が2回来たり抜けていたりとかで、メールで連絡しても返信がないのでしょっちゅう電話をする事に。2か月間はほとんどK様にかかりきりの状態でしたが、K様はとてもいい方で「いつも迷惑かけてすみません💦」と言ってくださるし、手厚いサービスを目指すためには仕方あるまい。しかし、その甲斐あって食事も徐々に改善され、2か月で5kg減量されて、腹囲は10㎝も減ったんです! 前述のI様は10kgの減量でしたが身長が166㎝なのに対し、K様は身長143㎝で年齢も違うので、この減量とサイズダウンは快挙です。私の叱咤激励にも耐えてよく頑張ってくださいました。K様は顎のシワにリジュランカクテルや、二重顎に新輪郭注射プレミアムも受けられたんですが、痩せられた事もあってとても綺麗になられて「体が軽くなったし、全然違います。こんなに痩せた事ないので満足です。娘にも顔小さくなって綺麗になったって言われます♪」と喜んでくださいました。ほんとに苦労した甲斐がありました…。良かった、良かった。



さてこのメトホルミン療法を進化させるべく、去年の夏に試してみた自動血糖測定器を再度検討する事にしました。前回試した時は食後血糖値がかなり高く出て、私も「隠れ糖尿病」か??と慌てたので、今回はセンサーの読み取りと同時に実際の血液でも血糖値測定ができるリーダーを取り寄せました。センサーは前回のスマホで測定ができるものと同じものを上腕に装着。スマホと新しいリーダーの両方で血糖値を測定してみると、スマホの方が10~20mg/dL高く出るではありませんか。前回食後高血糖で慌てた時に糖尿病内科を専門にしている卓球部の後輩に相談したところ、「自動血糖測定器は20~30mg/dLの誤差は出るんで、絶対値は気にせず傾向を見た方がいいですよ」と言われたんですが、「でも普通は低く出る事が多いんですけどね」と言われたのが引っかかっていて、これは同時に血液で実際の血糖値を測定するしかないと思ったんですが、もしかしたらスマホの方が高く出るのかも…と、ちょっと嬉しくなってきました。でも新しいリーダーの方は空腹時血糖がえらい低いので、リーダーが低めに出てるだけなのかな…。取りあえず食後血糖値を血液で測ってみよう!としたんですが…。血液で血糖値を測る時は、指先を細い針で刺して血液を少量出し、リーダーに付けた測定用の電極の先端に血液を吸わせて測定します。通常はボタンなどを押すと一定の深さに針が刺さる穿刺器具で針を刺すのですが、取り寄せたリーダーや血糖測定電極のセットには穿刺器具が入っていなかったので、クリニックで使う注射用の細い針で指先を刺す事にしました。しかし実際に刺そうとすると…えらい痛いやん!! こらあかん。よく考えると、顔の注射は自分で何回も試していますが、指先に針を刺すのは初めてです。指先は痛いとは聞きますが、こんなに痛いもんやったとは…。糖尿病の人ってこんな痛い事毎日してるん?? やっぱり糖尿病なんかなるもんちゃうなぁ…。まぁ糖尿病になると末梢神経障害が起こって痛みを感じにくくなるとは言いますが…。

あんまり痛いので一番細い針でも自分で刺す事ができず、指先に麻酔を貼る事にしました。しかし最初は説明の動画にあるように人差し指を刺そうとしたんですが、血も出ない深さしか刺してないのに、刺した跡がえらい痛いやん。日常生活やパソコン打ったりの仕事にも支障が出るほどです。こら人差し指はあかんわ。そこで普段あまり使わない薬指で穿刺しようと、薬指に麻酔を貼りました。しかし…麻酔貼っても痛いやん!! ようやく血が少し出るくらい刺せましたが、少量過ぎて血糖値が測定できません。こら指先は無理やな…。仕方ないのでいつも点滴をしている肘の内側の血管を刺して、かろうじて血液を確保。麻酔は貼ってなかったけど、麻酔を貼った指先より痛みは全然ましでした。苦労して測った甲斐あって(?)食後30分の血液での血糖値は118mg/dL! すぐにスマホとリーダーでセンサーでの血糖値を測ってみると、リーダーは138 mg/dL、スマホは158mg/dLと、なんと20と40も高く出たんです! 良かった~! 夏に高くて慌てた食後血糖値は、スマホの血糖値が高く出たからなんや! 1回の測定で断言はできませんが、その可能性は大やんね。こんなに痩せたのに隠れ糖尿病のはずないよね~!と、急にご機嫌になってしまいました。ちょっと安心して食べ過ぎてしまいそうです。でも最近は42kg台だからちょっとくらい食べ過ぎてもいいか。逆にしっかり食べないといけないかも。(そう言えば最近飲みやすいEAAを見つけました。ちょっと甘いけど飲むのに苦労はしないし、疲れが取れるのが早い気がします。)

以前のクリニック通信で何度か書きましたが、どうして人間ってこんなに健康を維持する為に苦労するの?って思いませんか? そもそも、糖分や炭水化物を取りすぎたら不必要な分を体の外に捨てれば良いのに、病気になるまで溜め込むって生物として欠陥あるんじゃない? …実は、人間はあらゆる動物の進化の頂点にいるように思われていますが、進化の上で欠陥だらけである事もよく知られています。一番有名なのは、ビタミンCを体の中で作れない事ですね。皆様ご存知の通りビタミンCは体を維持する為には必須の物質で、ビタミンCが足りなければ壊血病という恐ろしい病気になります。そんな必須物質なので、大抵の動物は自分の体の中でビタミンCを生成できます。(考えてみれば当たり前ですよね。無いと死ぬような重要な物質なので、体の中で作れるのが普通でしょう…。)ところが、人間は進化の過程である時にビタミンCを生成する能力を失ってしまいます。これは単純に突然変異によるDNAのコピーエラーが原因だろうと言われていますが、普通だったらこのような致命的なエラーが発生してしまえば、その子孫は絶滅しているはずです。ところが人間にとってラッキーだったのは、その頃はおそらく森に住んでいたと思われますが、日常に食べる植物に多くのビタミンCが含まれていた為、自分で生成しなくても食物から取り込む事で代替が利いたので生き延びてしまった…と言われています。脳のように非常に高度で複雑な機能を取得するという進化に恵まれながらも、めっちゃ重要なところで単純なエラーを起こして危うく絶滅しかけた…というのもなにか不思議な話ですよね。そんな事もあって、人間のように複雑な生き物はDNAコピーでエラーを防ぐ機能が充実しており、そう簡単にエラーが起きないようになっています。一説によるとこの1万年くらいは人間のDNAは大きな変化をしていないので、人間の体は1万年前の原始時代の体のままなのだそう…。当然その頃は美味しいご飯もパスタも、ましてやケーキなんかない訳ですから、糖質が過剰になるなんて想定外だったんですね。貴重物質である糖質は一旦取り込んだら絶対に体の外に出すなんてせずに蓄積するというのは、当時の人間にとって生き延びるための必須条件だったんでしょうけど、時代が代わり現代ではそれが完全に仇となってしまったのは皮肉な事です。

一方でこの2年間私達を苦しませ続けた(まだ終わってませんが…)コロナウイルスは、2年間という短期間に何度変異した事やら…。変異する種が見つかるとギリシャ文字が順番についていきますが、まぁアルファやベータは知っているとして私もデルタくらいまでは分かりましたが、その後どんどん出てきて、この原稿を書いている現在の最新版では「オミクロン」です。なんだ?オミクロンってのは? そんなギリシャ文字があったのを初めて知った人も多いのではないでしょうか?(逆にパイやシグマ、そしてオメガなんかの方が馴染みがありますが、もちろん誰もそんところまで行く事は期待しません…(^_^;)。)人間にとってウイルスって目に見えなくて怖い存在ですが、ウイルス側もこのような速度をもって進化しないと絶滅してしまう訳ですから、生き残りの為の危機感は人間以上なのかもしれませんね。私達の体はDNAレベルではほとんど変化しないからこそ(逆に細胞レベルでDNAが変化したのが癌なので、変化しない方がずっと安全ですが…)現在の生活と1万年前の体のギャップを、自分が注意して強い意思をもって埋めていくしかないようです。人生100年時代と言われるようになった今日この頃、この事をしっかり受け止めて2022年も健康で若々しく生きていきたいと願うばかりです。アンチエイジング治療を通じてこの願いを皆様と共有し、今年も一緒に邁進したいと思います。2022年もよろしくお願い致します…m(_ _)m。
