こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。今年は秋なのに暑いなぁ…とか思ってたら、急に寒くなりましたね。皆様は体調など崩しておられないでしょうか? 季節の変わり目は何かと体に影響を与える事が多いので、ご注意くださいね。最近Yahoo!ニュースを見ていると、やたらと「イカゲーム」の話題が出てますね…。最初この言葉を聞いた時には「イカゲーム?? 何?? イカがゲームするの?」というような違和感を覚えましたが、これだけ何回も聞くようになると、なんだか違和感がなくなってしまうのが不思議です。ご存知のない方の為に記載すると、「イカゲーム」とは韓国の超人気ドラマでして、Netflixが独占配信しているのですが、韓国内のみならず世界20カ国以上で人気ナンバーワンとなった、大ブレーク中のドラマだそうです。「イカゲーム」の「イカ」は文字通り海を泳いでいる烏賊の事だそうで、韓国では1980年代に子供の間で流行った遊びで、○△□の陣地を造って敵と味方に分かれて陣地を取り合うようなゲームなんだとか。その○△□を描いた状態がイカに似ている事から「イカゲーム」って呼ばれるそうです。子供の頃の遊びってどの国も同じなんですね。日本人的に言えば「警察ドロボー鬼ごっこ」(略してケイドロ)なんかに通じる遊びなのかな。実際は日本の子供の間でよくやっていた「ケンケンパ」という遊びが韓国に渡ってアレンジされ、イカゲームになったと書いている人もいました。真偽のほどはわかりませんが、いずれにせよ子供の頃の遊びと言えば、古今東西似たような単純なものだと思います。(それが完全にひっくり返っるきっかけになったのがファミコンの登場でしょうね…)実は私はNetflixは契約していないので「イカゲーム」は全く見た事ないんですが、これだけ話題になっているとやっぱり「内容」が気になってしまいます。

ネタバレ覚悟でネットの解説を読むと、子供のほのぼのとした遊びを題材にしたドラマとは全く違って、驚くべき戦慄的な内容なんですね…(^_^;)。簡単に言うと、ある大金持ちの人が娯楽でお金に困っている人達を集めてゲームを主催する。このゲームの内容は「イカゲーム」よろしく単純なゲームばかりなんだけど、負けた人は容赦なくその場で射殺されてしまう。勝ち残った人は40億円以上の賞金が手に入る約束になっているのだが、その賞金を目当てに壮絶なゲームを続けていく…というストーリーらしい。なんじゃそれ! お…恐ろしすぎるじゃないか! もちろん、世界的ヒットになる作品なので単純なスプラッター・ホラー映画ではなく、その中に人間関係や韓国の社会問題などを反映させたヒューマンドラマに仕上がっているのがミソらしい。まぁそりゃそうでしょうね。そんな単純殺戮ホラードラマだったら世界中で大ヒットする訳ないしなぁ。よく考えると私の大好きな「鬼滅の刃」だって一部の評論では「あまりにも残酷すぎるシーンが多いので子供に見せるべきではない」という批判もありますしね。確かに、ちょっと前までだったら子供向け映画ではありえない残酷なシーンが沢山あって「時代が変わったんだな…」と思います。「鬼滅の刃」は根底に流れるテーマは「愛・友情・助け合い・成長」という少年ジャンプ王道中の王道なんだけど、映像表現の方法は一昔前とは大きく変わったんだなと思います。

ところで、私も先日「イカゲーム??」を思わせる戦慄の恐怖を体験してしまいました…。
人手不足の折、このところ患者様からの電話やメールには自分で対応するようにしているのですが…先日見知らぬ人から電話がありました。「anonymous」…電話の表示には「非通知」です。この「非通知着信」に出た事が、その後の恐怖の始まりだったのです…。
Anony:「ちょっと聞きたいんですけど。(いきなり横柄な感じ…。)オバジニューダームってあります?」
柴田: 「いえ、うちでは扱ってないんです…申し訳ありません」
Anony:「そうなん。そしたらそれ扱ってる病院教えてくれへん?」
柴田: 「(えぇっ??)それは…分かりかねます(ほんまに知らんし。)」
Anony:「え~。オバジニューダームで検索したらおたくが出てきたんよ。他は通販ばっかりで。
私の検索の仕方が下手なんかもしれへんけど、通販とちごて病院で扱かってるほんまもんのが
欲しいんよ。どこの病院にあるか探してくれへん?」
柴田: 「(ええっ??) 周りに検索得意な方おられないんですか?」
Anony:「そんなん、おたくの方がよう分かるでしょ?」
柴田: 「(ええっ??)なんで私が探さなあかんのですか?(思わず言うてしもた…)」
Anony:「それは人としてね。人助けはせなあかんでしょ!」
柴田: 「え?? 人助けですか? ええっ…はぁ…あの…はい」
あまりにも普段ない戦慄の展開に面食らい、勢いに押されて電話をしながらPCで検索してしまいました…。
「オバジニューダームシステム」というのはご存じの方もおられると思いますが、Dr.Obagiが開発した化粧品のシリーズで、レチノイン酸やハイドロキノンを化粧品に混ぜて使い、肌が赤くなってボロボロ剝けるがその後はシミやくすみが取れてハリが出る…というものです。

当院のレチノイン酸療法だと、うまく調節すればそんなに剝けずに同様の効果が得られるのですが…。
柴田: 「あの…当院に来られた事はおありですか?」
Anony:「ないよ。検索したら出て来てんもん」
柴田: 「当院にも同じ成分を使った治療はあるんですが…」
Anony:「私はオバジニューダームがええねん! 早よ探してくれへん?」
柴田: 「あ…はい…ちょ、ちょっと待ってください」
でもなんか、オバジニューダームってえらい古い響きやん。確か最近は名前が変わっているはず…そう思いながら検索すると、やはりリニューアルされて「ゼオスキンヘルス」というシリーズに変わっています。
柴田: 「最近は『ゼオスキンヘルス』っていう名前に変わってるみたいですよ」
Anony:「ああそうなん! それで検索しても出てけえへんかったんかな。助かりましたわ!」ガチャン!

会話が終わり、一方的に切られた電話を持つ手はびっしょり汗で濡れていました。あれは一体何だったのか? この人は一体誰だったのか? さっきの会話は本当にあったのか? それとも私の幻覚なのか…。自分の中でたった今起きた現象について脳が理解できず、パニックを起こしているのが自分でもよく分かります…。
しばらくボーッとした状態で時間が経過して、ようやく落ち着いてきました。そして次に自分を襲ってくる感情は…
「な、なんやねん! あのオバハンは! 失礼とか身勝手を超越してるやん!【上弦の鬼】でも、もっと礼儀わきまえてるんちゃう? こう言う人はイカゲームに参加してもズルして、他の人が身代わりに射殺されても平気な顔してるヤツに違いない…(イカゲーム見た事ないくせにもうイメージは自分の中で出来上がっています…(^_^;)」
世の中には色々な人はいるもんですねぇ。普通に電話で「あんた検索して探してくれへん?」と言われればムッとして断るだけなんでしょうけど、「それは人としてね。人助けはせなあかんでしょ!」というような反応が返ってくる事は完全に自分の中では想定外だったので脳がパニックになり、その指示に従ってしまった自分がいるのです。よく考えると「あぁ…これが最近の映像効果なの?」って思いました。想定外のシーンに出くわすと人間の脳って一瞬パニックを起こすので、そのパニックのスキをついてメッセージを入れると論理的におかしなメッセージでも脳が吸収して取り込んでしまうんですよね。「そうか、最近の映画やドラマで戦慄的なシーンを多様するのはこの効果を狙っているのか…」と妙に納得してしまったのでした…(^_^)。

まぁそんな話はともかく、話題を変えて今回は美容に関する情報を久しぶりに書いてみようと思います。「オバジニューダーム」で思い起こしたのでテーマは「レチノイン酸」です。少しレチノイン酸についておさらいを…。レチノイン酸とはビタミンAの化合物で、角質を剥離して表皮基底細胞の分裂を促進し、表皮にたまったメラニン色素を皮膚表面に押し出してシミを改善したり、真皮のコラーゲンを増やしてお肌にハリを出す効果があります。しかし刺激が強く、赤くなったり皮が剝けたりするので市販の化粧品には配合できず、医療機関でのみ取り扱える成分です。Anonyさんが言ってた「病院で扱かってるほんまもん」というのは、レチノイン酸が入っているものという意味なんですね。レチノイン酸入りのクリームは最近は個人輸入でも手に入るようですが、効果が高い分リスクも高いので、医師の適切な指導の下に使用しないと、とんでもない事になる可能性があります。最近は特にアレルギー持ちの方が増えたので、注意が必要ですね。
当院でレチノイン酸を採用したのは約20年前、異人館通りで開業した翌年の2003年でした。当時流行っていたピーリングではくすみは取れても濃いシミはなかなか薄くならなかったので、当時東大の形成外科におられた吉村浩太郎先生が行われていたレチノイン酸療法を勉強して当院でも行ったところ、濃いシミがみるみるうちに薄くなったので感激したのを覚えています。当時はリスクを避けるため毎週通院していただいていたのですが、毎週の通院ができないという方が多かったので、その後2週間に1回の通院にしました。しかし時代の流れと共にアレルギー持ちの方が多くなり、塗り方をこまめに指導していても湿疹が出たり腫れたりする方が出てきたので、刺激の少ないCDトレチノインを採用し、点滴や内服薬を組み合わせる事で刺激を減らして効果を上げる方法を採ってきました。それでも効果を聞きつけてレチノイン酸療法がしたいという方が増えるにつれ、塗り方の指導を守らずにお肌が荒れる方が多くなり、アレルギーがあるので無理ですと言っても「どうしてもレチノイン酸療法がしたい!」とごねる方も増えてきたので疲れてきて、移転と共に一旦レチノイン酸療法は治療メニューから外しました。しかし塗り方の指示が守れる方が注意深く使用すれば、シミ・くすみにはやはり圧倒的に効果がありますし、最近はごねるような方も少なくなってきたので、昨年レチノイン酸療法を復活した次第です。
クリニックによってはレチノイン酸クリームを処方するのみで診察もしないところもあるようですが、それではリスクも高く、効果が上手く出ない事もあります。またオバジニューダームシリーズのように化粧品にレチノイン酸を混ぜて使う方法は、レチノイン酸クリームの濃度は一定で、レチノイン酸を使う頻度によって調節するので化粧品を作る方は楽ですが、混ぜる化粧品の量によって濃度がまちまちになるので正確な指導ができません。やはり手間はかかっても当院では一人ひとりに合わせて濃度や使い方を調節し、最小限のリスクで効果が出る方法を採りたいと思っています。



さて当院ではレチノイン酸療法だけでなく、リジュランカクテルやボトックスなど、どの治療においても一人ひとりに細かく薬剤の量や施術の仕方をきめ細かく調節する方法を採っていますが、今回それに合わせるために価格を改定したのがスレッドリフトです。今までは1本いくらという価格設定だったので、本数が多くなると値段が高くなってしまったのですが、スレッドリフトはたるみを糸で物理的に引き上げる方法ですので、たるみが多い場合に1本の糸で無理に引き上げようとすると、どうしても引きつれる事が多くなります。逆に糸の本数が多くなれば引き上げる力は強くなり、1本の糸にかかる負担が減るので引きつれる事も少なくなる訳です。しかし、どう見ても左右2本ずつは要るなぁと思われるたるみの方でも、「お値段の事があるので左右1本ずつでお願いします」と言われる事も少なくありません。しかも「引きつれないように、でもしっかり引き上げて欲しい」と…。1本で引きつれないようにしようと思えば強くは引き上げられないので、それは至難の業です。まぁいつの時代も患者様は「ダウンタイムがなく効果のある治療」を求められ、美容医療に関わる医師は「そんなん無理やん!」と思いながらも患者様の矛盾の多い希望に応えるべく四苦八苦する訳で、近年学会でもそれについては大きなテーマになっていますから、そういう要望は仕方ないのかもしれません。しかし予算の事があると本数を増やさないと無理です、とも言いにくい…。そこで「強く引き上げれば引きつれる可能性は高くなりますよ」と説明し、糸を入れてからベッドを起こして引き上げ具合を見ていただき、満足していただけて引きつらない限界まで引き上げる…という手間のかかる方法を採っていました。



しかし最近思い付いたのが、「1本いくらという価格設定を変えればいいのでは?」という事です。本数による価格の幅を少なくすれば、1本では無理なたるみを1本で引き上げなければならない状況が回避しやすくなり、患者様の満足度も上がってこちらの葛藤も減り、美しい仕上がりを追求できるのではないか…と考えました。他のクリニックでもスレッドリフトは1本いくらというところが多いのですが、スレッドリフトで定評があり、リフトアップの魔術師と言われる鈴木芳郎先生もやはり糸は本数を多くして面で持ち上げるようにした方が綺麗に引きあがると言われていて、鈴木先生のクリニックではスレッドリフトのお値段は糸の本数にはよらず、範囲によって40万~80万円です。私は魔術師という程ではないので(^^;)お値段はもう少しかわいくしようと思っていますが…。また、たるみが少なく糸の本数も少なくて済む方と、多くの本数が要る方が同じ価格では流石に不公平だと思うので、価格にも多少の幅は設けるつもりです。当院の患者様は「糸は怖くて…」「まだ糸までは…」と言われる方が多いのですが、今は麻酔の注射をすれば糸を入れる時はほとんど痛くありませんし、当院のバイトで美を追求しているジェンダーレスT君なんかは「効果絶大! 肌が張っている感じが凄くするし、毛穴が目立たなくなって、法令線やフェイスラインだけでなく目尻もリフトアップした気がします!」と絶賛していて定期的に受けてくれていますので、たるみが気になる方は思い切って試してみられてはいかがでしょうか?

ところで、冒頭に「脳がパニックを起こす」という話をしましたが、典型的な例がライザップのCMだと思います。とにかくすごいBefore/Afterの映像を見せられて、普通に考えると「あり得ない…」と思うのですが、あまりにも想定外の変化があると、脳が「自分にもそんな奇跡が起きるかもしれない…」と素直にメッセージを受け入れてしまうんですよね。美容系クリニックでは未だにそんな手法で宣伝しているところもありますが、私は正直に申し上げて、自分がやっている治療でライザップのCMのようなミラクルが起きるとは言えません。もちろんあのCMは映像を偽造している訳でなないでしょうけど、専属に契約した所謂モデルのプロの人たちがお金をもらって、仕事としてBefore/Afterに取り組んだ結果ではないか…と思うのです。私の今までの経験から申し上げると、リスクの低い治療をすればライザップのような劇的変化ではなくても、確実な形で効果が現れます。そしてある程度の年数それを継続すると、「同年代や周りの人と比べて明らかに若い」とか、「数年前の初診時よりも今の方が若々しい」という状態を維持している方を、何人も見てきました。今後も私はそのような美容治療を主体に取り組んでいきたいと思っていますので、これからもよろしくお願い致します。
