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第216回「色々なワクチン」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。先日また東北で地震がありましたね。東日本大震災から10年目の年にまた被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

そしてコロナは遂にワクチンの接種が始まりましたね。ワクチンがコロナの収束に功を奏してくれる事を祈るばかりです。そんな中、私も一応医者の端くれなので「先生、コロナのワクチンって接種すべきですか? 時間のない中で慌てて認可されてるし、十分な安全性の確認もされてない中で接種が始まったみたいなんで、接種すべきかどうか悩んでるんですが」…という質問をされる事があります。最近はインターネットなどを通じて非常に早く情報が入って来ますし、誰でもその情報にアクセスできますよね。なので以前だったら医者しか知らないという事が多かったのですが、ネットの情報を見ていれば「普通の医者より詳しい」という人も沢山おられるようです。一方で誰でもネットで発言ができる事から「賛否両論入り乱れていてどれが本当に信頼できる情報なのか分からない…」という問題も一方ではありますよね。インフルエンザのように古くからあるウイルスのワクチンですら、賛成派と反対派がいて真逆の主張をしている状況ですから、コロナウイルスのようにこの1年くらいの間に猛威を奮っているウイルスの事については「分かっている事の方が少ない」というのが事実でしょうね。当然ながら賛成派と反対派が入り乱れてのバトルロイヤルになってしまいます。しかもエビデンス(証拠)が少ないだけに、どちらが主張してもエビデンスを持っての証明ができないという実態です。



ただ、どちらの主張を聞いても結局は「重要と思っているポイントが違うから噛み合わない」というのが大きいように思います。賛成派は「安全性と有効性を確率論で考える」のですが、反対派は「副作用がある場合にそれがどれほど重大か」で考えています。よく言われるのは薬の副作用などでも同じですが、「治験者10万人に対して○人がアレルギー反応を起こし、○人がショック状態などの重大な副作用が発生し、内○人が死亡した」みたいなデータをどう読むか?という事につきています。通常は賛成派も反対派も同じデータを見ています。賛成派は「10万人に○人の副作用であれば十分許容範囲であるし、それによって得られる社会全体のメリットを考えれば接種しないのはあり得ない。むしろ政府が積極的に接種を励行すべき」という事になりますし、反対派は「10万人に○人の副作用は決して少ないとは言えず、深刻な危険性として警戒すべき。しかも効果があったという症例も自然治癒との違いを証明できる十分な証拠がない。そもそも予防として接種しているにも関わらず、○人が死亡するなど本末転倒である」という事になります。そして普通の人の最も大きな関心は「この副作用○人の中に自分が入るかどうか?」という事ですね。不謹慎な言い方に聞こえるかもしれませんが、多くの人は「副作用が治験者の中で○人だった事ではなく、自分がその○人に入る確率を知りたい」のではないでしょうか? であれば絶対的な確率は誰も分からないのですが、大きな傾向はすぐに分かります。それは「副作用は健康な人に出る確率は低く、基礎疾患があったり過去に予防接種でアレルギーなど問題が起きた人に出る確率はずっと高い」です。「なんだ、そんなの当たり前じゃない!」って言われると思いますが、非常にシンプルで矛盾がない事の中にしか真実は存在しないのですよねぇ…。だから「当たり前」なんですが…(^_^)。



ちょっと視点を変えてみたいのですが、皆様はお友達が家に遊びに来て夜まで楽しい時間を過ごした後に「あぁ…もうこんなに遅い時間になってしまいましたね。くれぐれもお気をつけてお帰りください。特に暗い夜道は危険が多いので、気をつけてくださいね」と言ってお友達を送り出しませんか? 「そんなの当たり前じゃない!」って言われるかもしれませんが、「安全性を確率論で考える」人達からすれば「当たり前」ではないんですよね。なぜかと言うと、聞くところによれば「殺人事件の7割以上は室内で発生しており、しかもそのその大半は顔見知りの犯行」なんだそうです。という事は、暗い夜道を歩いていて見ず知らずの人に襲われ、殺人事件の犠牲者になる確率は、家の中にいて親兄弟もしくは配偶者によって殺される確率よりずっとずっと低いという事になります。(まぁ…通り魔殺人事件などは一度でも発生すればマスコミでセンセーショナルに毎日報道されるけど、夫婦や親子喧嘩が高じて相手を殺してしまったというような事件はしょっちゅう起きているので、特に大きなニュースにもならない…って事になりますね。)…って事は、お友達が夜帰る時にかけるべき言葉は「夜道はお気をつけてお帰りください」ではなく「家に帰ったら旦那さんや同居の家族に十分にお気をつけください。帰ったらなるべく家の中にいる時間は少なくしてくださいね」…と言ってあげるべきですね。ただ、本当にそうすれば間違いなく友達がなくなるので、そのような声がけする必要すらなくなるでしょうけど…(^_^)。



まぁ予防接種の安全性報道についても同じような事が言えて、「社会全体を考慮にしたメリットとデメリット」という視点で言えば、副作用比率とそれによって得ることのできるメリットを比較して「圧倒的にメリットが多い」と思える人達は賛成派になります。一方で「自分がその副作用で一生治らないハンディキャップを背負ったとか、お子様が犠牲になった」というような方々からすれば「社会全体のメリットなどは実際にそうなった事のない人達の言い分に過ぎない」って事になるかもしれません。なのでコロナワクチンも、賛成派も反対派もどちらの理屈も一理あります。「じゃ…一体あんたはどうなの? コロナのワクチン打つの?打たないの?」と聞かれると思いますが、私は「勿論、打ちます」って事になります。理由は簡単でして「自分の健康状態を考慮に入れれば、リスクよりメリットの方が多いと思うから」です。ただし、基礎疾患などがある人は無理して打たずに収束するのを自宅で待っている方が良いように思います。コロナは感染症なので、健康な人がワクチンを打ってかからないようになれば、そもそも社会全体の感染者が減ります。そうなるとワクチンを打ってない人にとっても感染リスクがぐんと下がる訳ですから、「体が健康な人は打ちましょう」って事ですね。同じように、夫婦関係が良好(健康?)な人に「家に帰ったら旦那さんに気をつけてくださいね」って声がけする必要はないという事でしょう。やっぱり引き続き「夜道はお気をつけてお帰りください」で良さそうな気がします…(^_^)。



…って事で本題に入りますが(…今のは本題じゃなかったの?って言われるでしょうけど…)、2月にはいつものようにバレンタインデーがやって来ましたね。私はチョコレート会社の陰謀だなどと言いつつ、ちょっとしたお礼や贈り物には便利なので、毎年お世話になった方たちにチョコやお酒を送っているのですが、例年バタバタしていて気付いたらバレンタイン直前で、間に合わない事もしばしば。デパートなどのチョコレート売り場は死ぬほど混むのでここ数年はほぼネットのお世話になっていましたが、「遅れてごめんね」シリーズは常連です。間に合っても見栄えが良くて手頃な値段のものはすぐに売り切れてしまうので、例年チョコレート探しには結構苦労していました。(…と言っても、ネットの方が実際に買いに行くよりはずっと労力は少ないという事が分かったんですが…。)

今年のバレンタインは例年より早めにチョコを探し出したにも拘らず、ネットでは人気のあるチョコはほとんど売り切れ! 全然いいものが手に入らないので久しぶりにデパートのチョコレート売り場に行ったら、凄い人ごみでえらい事になってたので逃げ帰りました。比較的すいている売り場を探したり、好みのチョコをゲットするのが大変でいろいろ苦労しましたが、嬉しい事もありました。



整形外科時代の後輩で10年ちょっと下の学年のN君が、同期のO君と一緒に一昨年父のお通夜に来てくれたので、例年お世話になった人に贈っている梨かメロンを送ろうと思ったんですが、N君の住所を知らなかったのでメールで聞いたところ、遠慮深いN君は

「先生から贈り物をいただくのは恐縮の極みです。研修医時代、神戸時代含めてずっとお世話になりましたので。先生には大変感謝しております。お気持ちのみありがたく頂戴いたします。また是非会食ご一緒させて下さい。お会いできるのを楽しみにしております」

と教えてくれません。

「コロナで会食もいつできるか分かれへんし、そんな固い事言わんと」と返信しても

「先生には本当に感謝しております。お気持ちのみありがたく頂戴いたします。またお会いできることを楽しみにしております。どうかよろしくお願い申し上げます」

とかたくなに教えてくれないので、そのままになっていました。

その後同門会名簿を送ってもらって住所が分かったので「バレンタインだし、チョコぐらいなら贈ってもいいだろう」と思い(こういう時にバレンタインって丁度いいんですよね~)、あんまりたいそうなチョコを贈っても遠慮するだろうと思ってちょっと可愛いチョコを贈りました。



しかし送ってしまってから考えてみると、私にとっては研修医時代のN君が脳裏にあるので若い子に贈るようなチョコを送ってしまったけど、よう考えたらええ年やし、大学の結構偉い先生になってるんやった…。毎年チョコやお酒を送ってるお世話になってる先生達とそう変われへん年やのに、しょぼいの送ってしもたな~と心配してたんですが…。バレンタイン当日、N君からすごく嬉しそうな声で電話があったんです!

「先生~! チョコありがとうございました!!」

「いやいや、えらい若い子に贈るみたいなしょぼいチョコ贈ってしもて…」と言うと、

「いえいえ!ありがとうございます! 僕、今年チョコもらえたの先生だけですからね!」

と喜んでくれている様子です。「ほんまに?」と聞くと

「はい! うちの嫁さんが『とうとうもらえたね。良かったね』って言ってくれましたけど。ありがとうございます、先生! ほんとすいません!!」と本当に嬉しそうなんです。

それからひとしきり昔話に花が咲きました。大学病院も私が大学にいた頃と変わってないとか、

「病院の近くのお鮨屋さんに先生に連れて行っていただきましたよね!」

とか、N君は昔の事めちゃくちゃ覚えてくれていて、懐かしいひと時でした。最後にN君は

「ほんとに先生、バレンタインありがとうございました! 感謝しております。またこれからも宜しくお願い致します! 何かございましたら、いつでも連絡していただければと思いますので。また宜しくお願い致します、先生!」と何度もお礼を言ってくれました。

こんなに喜んでくれたらチョコも贈り甲斐がありますよね~。



今年のバレンタインはリモートで義理チョコが消滅するんじゃないかという噂も聞いたんですが、こんなに売り切れ続出だったのは、製菓会社が生産量を控えたのか、コロナ禍でみんながチョコに癒しを求めたのか? いずれにせよ、人間は「希少性のあるものをありがたいと思う」習性があるようなので、若い人はともかく昭和世代の男達は「かつては沢山もらえたのに、今は貰えなくなった」と心の中では迫りくる年の波と共に時代の変化を嘆いている人達が多いように思います。そうであれば、昭和の女達は「バレンタインはやっぱりチョコレートを贈る」事で人間関係を良い状態にできるのなら、安い投資(??)ではないでしょうか。それにチョコは腐るものでもないし、食べない人は他の人にあげることもできるので副作用もほとんどありません。暗い夜道より家の中を安全にする為にも、バレンタインには旦那様にチョコを贈るのが案外効果的かもしれませんね…(^_^)。考えてみればチョコに限らず、人って何かの折に食べ物などの贈り物をしますが、これって人間関係が脆くて崩れやすく、一旦崩れてしまうと時には修復不可能になる厄介なものだと知っているからこそ、日頃からそうならないように予防してるって事なんでしょうね。まぁ、これからのバレンタインにおけるチョコの役割は「愛の告白」の為ではなく、大きな問題が起きないように予防するワクチンみたないものに役割が変わっていくかもしれませんね。(特に昭和の男には、効果が高いような気がします…(^_^)。)



実生活でもワクチンが功を奏して、早くコロナが収束する事を祈るばかりです。私はと言えば、気が早いと言われるかもしれませんが、コロナが収束した後に向けて準備をしています。今回のコロナでも、「健康」である事の重要性を改めて認識された方は多いのではないでしょうか? 「年をとってもいかに健康な状態でいられるか?」はアンチエイジングの要であるのですが、最近のベストセラー書籍である「LIFESPAN(ライフスパン):老いなき世界」(デビッド・A.シンクレア著)では、「老化は自然現象ではなく、一種の病気である。老化という病気を治療すれば、ほとんどの成人病に関連する根本の問題を治療する事になる」とかなり進んだ理論を展開していました。皆様の中でも読まれた方はおられるかもしれませんね。ちょっと難しいところが多いので万人向けではないのですが、まだ読まれていない方は一読をお勧めします。私も「根本的なアンチエイジング」への取り組みに向けて、色々と準備をしている最中です。来月にはそれらの取り組みや具体的なメニューなどもお知らせできると思いますので、ご期待くださいね! 今後ともどうぞ宜しくお願い致します。



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