こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。今年の夏は本当に暑かったですねぇ。台風の後急に涼しくなりましたが、皆様体調など崩しておられませんか? 今年は本当に新型コロナウイルスに翻弄されてしまいましたね。色々な意味で私達の生活を変えてしまいましたし、経済に対する影響も相当大きなものです。2020年は世界中の人が新型コロナウイルスというパンデミックに翻弄された年として、後世の歴史の教科書に記載される事になりそうです。勿論マイナス面が多大なコロナですが、あえて言えばこのおかげで世の中が良い方向に変化した一面もあります。それはオンラインでの行事が増え、リモートワークが推進された事ではないでしょうか? 私も先日、初めて学会にオンラインで参加しました。コロナ禍であらゆる学会が延期になりましたが、美容皮膚科学会がオンライン視聴併用で開催されたので、初のオンライン参加に挑戦です。私は医療関係の学会しか出席した事がないのですが、どうしても学会の主催者や主要な方々はお年を召した「重鎮」と呼ばれる方が多いので、オンライン学会のような新しい取り組みに消極的な気がします。参加する側は簡単なんですが、主催者側にとっては初めての試みでしょうし、今までとは勝手が違ってやりにくい事も多いんでしょうけど、ここは是非、若者を大胆に登用して学会もIT化を推進して欲しいものです。

…ってそんな偉そうな事を言ったものの、私もお世辞にもITに強い訳ではないので、ちゃんと見れるかな?とちょっと心配でした。学会から配信されるオンライン視聴の注意を見て「 推奨環境:Windows 8.1以降」「javascriptを有効に」「解像度 1920×1080」…う…ん。何これ? やっぱりオンライン学会となると、一般人には敷居が高くなってしまいますね。ただこの辺の分からない事はPCの保守会社の担当者に丸投げで確認。幸い私のPCはすべての条件をクリアしているみたい。…って事でいざ本番。始まってみると、意外といい感じやん! 広い学会会場だと、後ろの方の席ではスライドが見にくかったり、会場が狭いと席が足りなくて立ち見だったり…という事がよくありますが、目の前のPCでスライドがはっきり見えるし、会場の移動も必要なく、ボタン一つで会場が切り替えられるのでめちゃ便利です。面白そうだなと思っていた講演が面白くなかったら簡単に別の講演に切り替えられるし、「これええやん!」って感じ。始まる前の不安はどこへやら…で、もう学会なんて全部オンラインでええんちゃうの??…って思ってしまいました。不便な事と言えば、質問がしにくい事と、発表が終わってから演者を捕まえて根掘り葉掘り聞く(学会での私の得意技ですが)のが出来ない事、講演で出てきた薬剤や器械の事を知りたくなった時に、展示ブースに行ってメーカーや輸入業者を捕まえてこれまた根掘り葉掘り聞く…というのが出来ない事ぐらい。でも最後の件は資料を取り寄せたり、後で担当者に聞く事はできるので、オンラインのマイナス面は前の2件と、ご当地グルメができない事くらいでしょうか。(実はこのご当地グルメができないというのが最もマイナスポイントだったりするのだが…(^_^;)。)でも最近はご当地に行かなくても、大抵のご当地グルメ食材は取り寄せできるようになっているので、グルメ食材を取り寄せしてお家でそれを食べながら学会に参加するなんて裏技ができるから、実はプラスマイナスゼロ。それに学会ってなぜか非常に朝早くから始まるんですよね。前日にご当地グルメをしてるとついつい寝るのが遅くなって、翌朝は頭が半分ぼーっとしている状態で講演を聞かないといけない…って事もあるんですが、オンライン学会だと寝起き一番、髪もセットしないまま参加しても全然気にならない。うん。これもプラスポイント。後は学会終了後の懇親会で、直接人と会って話ができないって事はマイナスですが、Zoom飲み会の懇親会が普及すれば、それもある程度解決かな??

ところで「学会」と言えば、恐らく皆様は参加した事がないと思うので、難しい研究発表ばかりで普通の人は近寄りがたいもの…と思われているかもしれません。確かに難しい研究発表もあるのですが、その反面、普通の生活に根ざした「生活の中で役立つ小技集」みたいな講演もあって、そういうのもなかなか面白いのです。今回はそういう分かりやすい講演内容を少し紹介してみますね。今回は美容皮膚科学会なんですが、「アンチエイジングとスポーツ医学」なんていうのもありました。アンチエイジングには運動が大切だという、まぁ当たり前と言えば当たり前の話なんですが、色々と具体例を挙げて説明してくれています。若さのポイントは、肌・髪・スタイル・姿勢・ファッションなどの外見と共に、良質な睡眠と食生活、いろいろな事に興味を持つ事、時代の流れに乗る感度を保つ事だそうです。例えばPCができたり、オンラインのセミナーにすぐに対応できたりする事が若さの秘訣だそうな。(うんうん、私はなんとかまだ合格かな?)

「ボディのアンチエイジング」という講演ではその中でも体型と姿勢に焦点が絞られていました。筋肉の減少によって良い姿勢が保てなくなると老けて見えますが、50代以降は筋肉量が激減し、特に下半身の筋肉は高齢になると衰えやすくなります。筋肉を増やすには筋トレ以外には、高蛋白・低脂肪・低糖質の食事、睡眠前は3時間食べない事、1日4時間絶食タイムを作る事、成長ホルモンの分泌を促す睡眠・運動・食事(アミノ酸=バリン・ロイシン・イソロイシン:マグロの赤身、肉や卵に多く含まれる)が重要だそうです。運動は腹筋と大腿四頭筋・下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)を鍛える事。(森光子さんは90歳になってもスクワットをしていたとか。)加齢と共に歩幅が狭くなるので、筋肉を若く保つためには、今より歩幅を5㎝広くする事。「早足の人は病気にかかりにくい」らしく、早く歩くと大腿と臀部の筋肉が鍛えられ、脳も重くなって思考能力も高くなるそうです。肌のアンチエイジングの基本は紫外線・太陽光線のカット、洗顔でこすり過ぎない、禁煙、ストレスや便秘を防ぐ、保湿、抗酸化剤を用いるという事はかなり知られてきましたが、意外と知られていないのが「正しい姿勢は顔の若返りに有効」という事。姿勢を正すと血流が良くなって代謝がアップするので、痩せやすくなって皮膚の水分量が上がり、骨盤が正しい位置に戻って胃腸の働きが良くなるので便秘が改善し、歯の嚙み合わせが良くなるのでフェイスラインが引き締まる。…正しい姿勢って大切なんですね。そして最近注目されているのがビタミンⅮです。ビタミンⅮ不足は筋力や身体機能の低下につながり、ビタミンⅮの摂取はそれらのアップと免疫力アップにもつながるので、アンチエイジングと新型コロナ対策のためにもしっかり摂りたいものです。

また、「美しく年を重ねるためのスポーツ医学」という講演では実技編もあって、老化度のテストや効果的な運動方法も紹介されていました。40㎝の高さの椅子から片足で立ち上がれたら40代の筋力があるんだとか。これはやってみたらやばい!最近は割と筋トレやってたつもりなんですが、片足ではぐらついてすっと立ち上がれません。まだまだ筋トレ不足って事か…とガックリ。ちなみに50㎝の椅子から片足で立ち上がれたら50代、60㎝なら60代の筋力だとか。あと、親指と人差し指でふくらはぎを囲んで隙間ができたら筋肉不足だそうですが、私はこれも筋肉不足でした(^_^;)。前屈の柔軟性テストは床に手のひらがつけばOK、指先ならもう少し。これは指は全部ついたので、だいぶましでしたが…。若返りエクササイズは、背伸びをして後ろで手を組むだけでも若返る事ができ、ペットボトルをダンベル代わりにして、前かがみになって腕を後ろに引き上げる運動を3回してからペットボトルを飲むと腕が痩せて綺麗になるそうです。力を入れる時に息を吐くと効果が違うとの事。2020年現在、日本女性の約半分は50歳以上だとか。運動はいつから始めても若さを取り戻せるので、良い姿勢で膝を伸ばしてさっさと歩く事から始め、美しさを保ち続けるためにスキンケアに加えてスポーツを活用し、いつまでも元気で若々しくいましょう…という、我々の世代にはためになる講演でした。ジムに行けないのでコロナ太りが蔓延しているようですが、ラジオ体操やストレッチなど、自宅で簡単にできる事から始めるといいようですね。そう言えば、当院にバイトに来ていたジェンダーレスT君が最近筋トレを始めたそうで、その動機を聞くと「やっぱり筋力があって姿勢がいい方が綺麗に見えるんですよね」と、美を追求するためだそうです。ただ、鍛え過ぎないようにしてると言うので「なんで?」と聞くと、「胸板が厚くなり過ぎたら服が入らないんですよね~。僕、レディースの服もたくさん持ってるんで…」…さすがジェンダーレスT君です(^_^;)。p

最後に美容皮膚科らしい最新情報も一つご紹介。朝8時からのモーニングセミナーで、「皮膚におけるビタミンCの働き」。朝早い講演だったので以前だったらパスしてたかもしれないんですが、パジャマ姿でもすぐに聞けるのもオンラインのいいところ…(^_^)。ビタミンCが活性酸素を除去したり、コラーゲンの合成を助けたり、紫外線による皮膚障害を防いだりする効果がある事はすでに知られていますが、それを様々な実験で証明した講演で、培養表皮を用いた実験では、ビタミンCは濃度が高いほど表皮によく取り込まれ、紫外線を浴びる前にビタミンCを塗ると細胞障害がほとんど起こらないという事などが示されていました。ビタミンC入りの美容液は、紫外線によるお肌のダメージを防ぐためには、朝出かける前に塗るのが良いらしい。夜は活性酸素を除去する意味合いがあるので、朝晩塗るのが良いようです。さらにちょっと難しい話になりますが、ビタミンCは細胞の遺伝子の情報が正しく伝わるために必要で、正常な表皮を保つために大きな役割を果たしているそうです。ビタミンCの良さを再認識したので、当院で人気だったビタミンCの美容液「VC-IP原液」を復活させようかな…と思いました。そうやって順調に情報を仕入れていたのですが、一番聴きたかった再生医療のセッションの時に、急にライブ映像が繋がらなくなってしまいました。色素幹細胞と白髪についての講演や、脂肪幹細胞を用いた再生医療など、本学会の目玉とも言える講演の直前です。いくらログインし直しても、PCを再起動しても繋がらないではないか! どーゆーこっちゃ?! もう学会費払ろてしもたのに! これは学会の事務局に文句言わなあかん!! しかしそんな時に電話しても、電話が殺到してて繋がれへんやろな…と思いながら電話すると、一発で繋がりました。

柴田: 「さっきからもう20分ぐらいライブ映像に繋がれへんのですけど」
事務局の人:「も、申し訳ありません! 外部からサーバーが攻撃を受けておりまして…。オンデマンドの
配信(後日視聴できる配信。YouTubeみたいな方法ね)も考慮しておりますので」
柴田: 「教育講演Ⅵは一番聴きたかったのに! 絶対オンデマンドにしてくださいね!」
事務局の人:「か、かしこまりました!!」
柴田: 「でけへんかったら学会参加費返してもらわなあかんわ…こっちの問題やないしね」
事務局の人:「はぁ…か、か、かしこまりました!! 上の者に伝えます!」

ちょっと最後は大阪のおばちゃんモードが入って意地悪な事を言ってしまいましたが、よく考えると「なんで最初からオンデマンドにしないんだろう?」学会って大抵録音とか録画は禁止になってるんですが、今まではそれに慣れていたから不思議に感じなかったけど、なんかよく考えたらおかしな話のように思います。そもそも学会って広く多くの人に聞いてもらって、そこで興味を持った人が再実験したり、別の角度で研究していた人と意見交換をしたりと「オープン」である事に意義があるはず。アイドルのコンサートならともかく、なんで学会って講演を録画しちゃいけないのかな?と不思議に感じたので、IT関連の仕事をしている本クリニック通信に常連登場する友人Mに話をしたところ、これまたMの毒舌が始まる事に…。

「そりゃ理由は簡単だね。レベルの低い講演とか研究発表して、それを録画されて拡散された暁には自分のレベルの低さを広く世間に知らしめる事になるでしょ。それが嫌だから録画して欲しくないんだろうね。僕らITの世界でもオープンカンファレンスと言って、開発者が集まって発表したり討論するようなイベントはしょっちゅうあるけど、録画しちゃいけないなんてケチな事言うイベントはほとんど無いんじゃないかな…。自分の発表に自信があれば、録画してSNSで拡散してもらいたいって思っている人の方が多いはずでしょ? なんでその「なんちゃら学会」ってのはオンデマンドもしなければ録画も禁止なんて事言ってるかって、発表者からそうして欲しいと要請されているからだよね。拡散されたくないような発表だったらしなけりゃいいのに…。逆に最先端の企業秘密みたいな事はカンファレンスで発表なんか絶対にしないし、本当に企業秘密にしなければならない事はきちんと守っているはず。一方で大学とか公共機関で研究している事って税金使って研究してるんだから、きちんと発表して広く多くの人に成果を還元する義務があるでしょ。オンデマンド配信しないばかりか、発表の録画もするなとはもう一世紀遅れた世界観だな。そういう脳が老化した人達がアンチエイジングで若返りってテーマなんか発表するんだったらもうコントとしか思えないねぇ…」
と例によってケチョンケチョンです。まぁMの言う事はいつも極端なので100%同意する訳ではありませんが、やっぱり反論できないような真理もありますね。私自身は何でもIT化すればいい…と思っている訳ではないんですが、今回のオンライン学会に参加して強く感じた事は「もうこの流れが逆方向に進む事はないだろうな」と思う事と、「この流れができたら、従来とは違った感性を持った研究者がどんどん参加してくるんだろうな」という事です。

いきなりですが、みなさんはAmazonで買い物します? 私は必要なものはほとんどAmazonとか楽天で買うようになってしまったんですが、購入者のレビューは必ず見るようにしています。最近は「ヤラセ」のレビューアーも増えてるようなんですが、それでも誠意を持ってレビューを書いてる人の言葉って伝わりますし、多くの人の意見を見て最後は自分で判断すればいい訳で、実際に使ってみた人の意見を聞かない手はないですよね。でもよく考えると、ちょっと前まではそんな消費者レビューなんて本当になくて、テレビとか雑誌とかで「権威」のある人の情報を鵜呑みにする以外になかったんですよね。それが今ではすっかり様変わりしてしまいました。医療業界の研究っていうのも、まず医師免許みたいな資格を持った「先生」の参加が必要だし、被験者を集めるとか、安全性を確保するための措置、そして集まったデータの解析などにも膨大なお金がかかります。とにかく時間とお金がかかるので「専門家集団」の独占市場です。なので、「アマチュア天文家が新星を発見した!」というような事はまず医療の世界では起きません。しかしアンチエイジングや美容に関しては、この壁がインターネットという新しいツールで崩れるんじゃないかと期待しています。比較的安全な検証であれば、被験者はネットでボランティアを沢山募る事ができますし、被験者からの報告も写真や文章などでAmazonのレビューみたいな感じでスマホでアップしてもらう事も可能です。(しかも今のスマホは位置情報も取れますし、温度センサーっていうのも付けられるそうですね。)そしてその写真データの解析や考察にはAIの力を使って、何万という膨大なサンプルから結果を類推してモデルを作る事ができそうです。そうなると研究者も従来のような「権威ある重鎮」から「データ解析とモデリングができるコンピュータオタク」みたいな人に一部は移っていくのかもしれませんね。あぁ…こうやって世の中って変わっていくんだと思った事が、実は今回の学会参加の一番大きな発見だったかもしれません。私も世の中の流れについていけるようにまだまだ頑張らねばならないな…と思います。その思いを持ち続ける事が「最も効果的なアンチエイジングの方法」だという事を今回の学会でも勉強しましたし…(^_^)。これからも新しい研究をして治療に役立てて行きたいと思いますので、また皆様のご支援をよろしくお願い致します!