こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。秋も深まり日毎に寒さが増していますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 秋と言えば収穫の季節。最近流行りのイベントはハロウィンですよね。私達昭和世代であれば共通の認識でしょうけど、子供の頃はハロウィンなんかなかったのにねぇ…と思いません? それがいつの間にか日本中が盛り上がる一大イベントに。やっぱり「仮装パーティー」っていうのが今の時代にマッチするようになったのかな。今年はなにやら渋谷では暴動さながらの騒ぎになってしまったようで、来年からイベントを規制するとかしないとか。渋谷区長さん激怒…なんてニュース出ていましたね。「仮装」という本来の自分を隠した状態で集団になると、普段はおとなしい人達でも暴れまわったりする事もあるそうで、人間の心理って難しいですねぇ。まぁ流石に私のような歳になると、仮装パーティーも集団で街の中を徘徊する事も無縁なので、もっぱらハロウィンはニュースだけの世界です。一方でハロウィンが終わって本格的な秋が始まると、次のイベントはボジョレーヌーボーの解禁日でしょう。私的にはこちらの方がよっぽど大切なイベントです…(^_^)。

私は白やロゼのワインやシャンパンは大好きですが赤ワインは基本的には苦手なので、ボジョレーヌーボーにはあまり興味はなかったんですが、東京のK氏の会社でボジョレーヌーボーの解禁日に毎年開催される「ボジョレーヌーボーとスッポン鍋パーティー」のお蔭で、11月と言えばボジョレーヌーボーの解禁だという風にすり込まれてしまいました。去年のクリニック通信にも書きましたが、K氏の会社は会社とは思えない内装で、ドアは水色、壁は漆喰でピンク色。水玉模様の可愛いランプが並び、スペインの洞窟をおしゃれに改装したカフェ…って感じです。そしてなんとオフィスの中央にキッチンがあり、パーティーの時はそこでスッポン鍋が作られるんです。そんな会社ってありませんよねぇ。スッポン鍋は長らくK氏のお母様が作られていたんですが、お母様が引退されてからは割烹の板前さんを呼んで作ってもらってるんだとか。そして出張板前まで呼んで、お鮨もその場で握ってもらえるんです。何種類ものボジョレーヌーボーが飲み放題で、時々シャンパーニュも開けてくれるという大盤振る舞い。K氏にとってボジョレーヌーボーの解禁日はお祭り騒ぎをしてワインを飲む「口実」だそうですが、K氏の知り合いの間ではヌーボーとスッポンパーティーはすっかり秋の風物詩になっています。

ただ、なんでもこのボジョレーヌーボーはハロウィンと違って盛り下がる一方なのだとか…。バブルの頃は時差の関係もあって世界で一番早くボジョレーヌーボーを開ける事ができるという事で、羽田空港に物好きとか成金の人達が集まって盛大にボジョレーパーティしていましたが、それも今は昔…。2004年のピークには104万ケースも輸入されていたのが今年はその半分にも満たない50万ケースなんだそうですね。これはもう右肩下がりで盛り下がっているとしか言いようがないですねぇ。ワイン好きの私としては寂しい限りです。(上記のK氏なんかはそんな世の中の情勢なんて全く気にする素振りもなく、右肩上がりで盛り上がっている珍しい人ですが…。)このボジョレーヌーボー問題は色々な人が評論なども書いているのですが、私も一端にその評論に参加させてもらいましょう。まず、なぜボジョレーヌーボーが盛り上がらなくなったのか? はい。これは端的に言って「それほど美味しくないから」。終わってしまった…(^_^;)。流石にこれは認めざるを得ないですよ。別にそんなに美味しいものではないですもんね。バブルの頃はまだ「ワインを飲む」という事そのものになにか贅沢でハレの日のイメージがありましたが今ではすっかり日常化していますし、ドン・キホーテに行くと600円位でボジョレーヌーボーのボトルが売ってあったりして、とても「特別な日の飲み物」って訳にはいきません。ただでさえあまり美味しくないのに、さらに1000円以下で買えるワインってどうなのよ…と言われれば、もう結果は明らかですね。聞くところによると、ワインって空輸すれば1本あたり送料が300円位と税金が100円位かかるそうで、600円位のワインって原価いくらなの??って思ってしまいます。考えただけで恐ろしい世界です。結局、一番大きな問題はボジョレー村の人達が安いボジョレーヌーボーを大量に輸出する事で、せっかくのブランドイメージを自滅に追いやったってところでしょうか。

あと、とっても個人的な見解なんですが、もう10年以上前にフランスに行く機会があって、パリのジョエルロブションに行ったのです。その時はちょうど季節的にボジョレーヌーボーがあったので珍しさもあり、パリに行ったという気分の盛り上がりもあってボジョレーヌーボーをグラスで注文しました。まぁその時のボジョレーヌーボーの美味しい事と言ったら、今でも忘れる事ができません。「えぇ?! ボジョレーヌーボーってこんなに美味しいものだったの?!」って事で、もうそれから毎年この季節になると日本でボジョレーヌーボーを飲むんですが、結局そのような経験が蘇ってくる事は残念ながら一度もありませんでした。これって絶対いいボジョレーヌーボーはフランス国内で消費されてしまって、どうしようもないフランス人が飲まない余ったものだけ日本とかに輸出してるんじゃないの?? って思ってしまいます。これは恐らく確信犯ですよね。ただ、ボジョレー村の人達を完全に責める事ができないのは、神戸でも酒造メーカーさんがたまに樽出しの日本酒を特別に出していたりして、お店の主人の知り合い筋を通じて手に入ったというものなんかを飲むと、今まで飲んでいたものとまるで別物で美味しい!って事ありますもんね。そんな日本酒は知り合いの中だけで消費されてしまうし、ましてや海外に何万ケースとかの単位で輸出される訳がありません。…って事は、私達があまりにも過度な期待をボジョレーヌーボーにしてしまってるって事ですかね。

このままブームが萎んでしまって人々の記憶から消えゆくのか、それともボジョレー村の人達が頑張って新たに盛り返していくのかは神のみぞ知る…ですが、美容業界にもブームっていうのは何度かありました。かつてはピーリングをやっているだけで「美容皮膚科」と言う事ができた時代がありますが、それも今は昔。今はピーリングをメインにしている美容皮膚科は恐らく日本中どこにもないでしょう。(最近ミルクピールやマッサージピールなどでピーリングが復活はしてきていますが、昔のように美容皮膚科のメインにはなり得ませんよね。)そしてこのクリニック通信にも凄い昔に書いた事がありますが、コエンザイムQ10ブーム。もうコエンザイムQ10がブームだった頃は、製品はもとより原材料すら手に入らず、本当に知り合いを通じて少量だけ材料を入手する事ができてそれを大事に使っていたのですが、コエンザイムQ10のクリームあります…と言っただけで問い合わせの電話がジャンジャン鳴る…という時代がありました。今思うと、あれも一体何だったんだろうなぁ? 今ではサプリメントで少し見る位で、ほとんど忘れられかけていると言ってもいいのではないかと思います。

あとはビタミンCのイオン導入ってのも凄い人気だったなぁ。ビタミンCは水溶性でして、水に溶かすとイオンとなって電気を帯びます。そこで体に電極を付けて、反対の電極が付いた金属を使って水に溶けたビタミンCを顔に塗ると、イオンが電気の力で体の中に吸い寄せられて入って行くと言うものです。「注射を使わないビタミン注射」というのがキャッチコピーで、これも一大ブームでした。巷では家庭で手軽にできるイオン導入機というものも飛ぶように売れていました。今はイオン導入機のメーカーさんはどうしちゃったんだろうなぁ。ただ不思議な事に、ブームの時だって全く効果がなければ一回すればすぐに飽きるとか「全然効果ないです!」って言われて一瞬で終わるはずなんですが、そうでもなくかなりリピーターの人達がいるんです。しかもその人達は実際に効果が出てるんです。イオン導入は当院でもかつてはかなりの人気メニューでしたし、実際にお肌が改善していた人もかなりいました。ほとんどの人はピーリングとセットで行っていたので、ピーリング後のつるつる肌にビタミンイオン導入で、外からも中からも改善で大満足…って言ってくださった患者さんも多かったのです。それがなぜか下火になっていき、今は逆にアレルギーの人が増えてきて、ピーリングとかイオン導入はかなりリスクの高い施術になってしまいました。下手に実施すると皮膚が赤くなったり、逆効果になるという人が増えてしまったのです。そしていつしか当院でも実施する事はなくなりました。

もう一つ、凄く人気があったのにすたれてしまったメニューに当院ではメソリフトがあります。他院ではダーマペンとかですね。細い針でお肌にチクチク穴をあけ、傷が治る力を利用して皮膚の再生を促し、ハリや艶を出す治療で、ピーリングに勝るブームになった時期もありました。「術後は赤くなったり針跡が少し残ったりポロポロ皮が剥けたりするけど、1週間ほどで治まるとツルピカの卵肌になる! しかもハリが出ていい感じ!!」と大人気の治療でした。しかしこれもアレルギーの人が増えるにつれ、術後に腫れたり湿疹が出たりする人が多くなってきてなかなか勧めにくくなり、そのうちブームも去ってほとんど施術しなくなってしまいました。ダーマペンなども一時は流行っていましたが、今では学会でもほとんど見る事はありません。
もしこれが感染症のようなものであれば、細菌が抗生物質に耐性を持った菌に生まれ変わってしまうので、ある時までは非常によく効いた薬が全く効かなくなってしまうって事は、医療の世界ではよくあります。最近はほとんどの菌がペニシリンに対して耐性を持っていますので、かつては歴史上の発明と言われた薬でも処方される事はほとんどありません。(ただ、ペニシリンもオリジナルのものではないという意味でペニシリン系として改良されたものが新薬として出てきていますので、ペニシリン系が駄目だという訳ではありませんが。)

しかし美容の世界においては、明らかにこのような速度で変化するものではないと思うのですが、ある時代に凄く効果があった…と言われた施術が、わずか数年で誰も効果があると言わなくなる事がままあるのです。これはちょっと不思議な現象でして、それがなぜかは私自身も明確な答えを持っていません。しかし言える事は、ある時代にはその時代に合う何かがあり、時代が変化するとまた時代に合うものに変わらねばならないという事です。もしかしたら気づいていないだけで、地球の磁気が時間と共に変化しているとか、太陽の黒点が変化しているとか、そういう自然の変化に人間が影響を受けているのかもしれませんし、単純に「ブーム」と言う雰囲気によって人間の内面まで変化しているのかもしれません。いずれにせよ変化への対応が必要という事だけは確かですね。

先のボジョレーヌーボーも黙って右肩下がりになるのを見ている訳ではなく、なんでも「クリュ・ボジョレー」のプロモーションを開始して「春ボジョレー」をヌーボーに続く柱に育てようとしているそうな。う…ん。今更、春にボジョレーヌーボーって言われてもなぁ。でももし春にボジョレーヌーボーがでたらK氏はお構いなしに飛びついて「花見ボジョレー」とか「団子とボジョレー」とか何にでもひっかけてボジョレーヌーボーのイベントが一つ増える事は間違いなさそう…(^_^)。そんなK氏の会社の主力商品は皆様ご存知のプラセンタでして、私が美容クリニックを開院してもう16年になりますが、その間一度も人気が低迷した事のない製品です。こんなに長期間に渡り一度もブレる事なく人気を維持しているものだってあるんですよねぇ。不思議としか言いようがありません。そんなK氏が好きなボジョレーヌーボーなんで、きっとまた人気が復活するかもしれませんね。ハロウィンだって今後どうなるか分かりませんよね。このまま人気を維持できるか…はたまた衰退するのか。私のクリニックも他人事ではありませんね。これまでは皆様に支えられてここまで来ましたが、やはり時代の変化の波は大きくなってきているように感じます。そこで近々新しいコンセプトで大きくリニューアルしたいと思っているのですが、それはまたの発表まで少しお待ちくださいませ。正式発表まで数ヶ月程度かかるかもしれませんが…乞うご期待!!
