こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。本格的な梅雨に入りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば…大学の卓球部の新歓コンパとOB戦、学生の試合の応援と祝勝会…と、最近ちょっと卓球づいています。毎年OB戦は幹部学年(4回生)以下が現役チーム、5・6回生とOBがOBチームとなって対戦するのですが、私はOBチームの中から1セットに1人ずつペアを選び、セット毎にペアを替えて次期男女キャプテンペアと対戦するのが恒例になっています。4月の医師卓球大会以来、年相応の戦型に変えようとラバー(ラケットの表面に貼っているゴムの事)を貼り替え、初めて使うラバーだったんですが無事勝利を収める事ができました! その後の新歓コンパでは、私の誕生日が近いという事でケーキで誕生日祝いもしてもらってゴキゲン。世は卓球ブームなのか今年も14人もの1回生が入部し、1回生の劇の出し物とかもあって大いに盛り上がりました。

試合の応援は三重まで遠征。今年の春の近畿大会では、応援の甲斐あって女子Aチームがついに優勝しました! 男子A・Bチーム3位、男子個人戦ダブルスも3位、男子シングルも大物ルーキー(1回生)がなんと3位入賞! 医学部でも男子は人数が多くレベルも高いので個人戦で入賞するのはかなり難しく、入部したての1回生が入賞するなんてすごく珍しいんですよ。今年は本当に応援のし甲斐がありました。試合後に頑張った子たちを連れて飲みに行くのも楽しみの一つ。結局飲みに行ってるんか…みたいな感じですが、勝ったら美味しいものが食べられるというのも学生たちのモチベーションになっているようです。女子のエースの子は海鮮が大好きで、三重でウニや伊勢海老が安くて美味しいお店を見つけたので「勝ったらそこに連れて行ってあげる」と言ったら「勝ったらウニ、勝ったらウニ」と唱えて本当に優勝してしまいました。勝ったチームの中には海鮮が食べられない子もいるので、海鮮派と肉派に分けて自宅で祝勝会も開き、海鮮派は手巻き寿司パーティーに。後輩たちも私に似て食いしん坊のようで、「美味しい!!」と大喜びで「次の試合も頑張ります!!」やっぱり食べ物の力は大きいですねぇ。

ところでスポーツを本格的にされていた方はお分かりになると思いますが、道具ってかなり成績に影響しますよね。ゴルフをされる方が道具に凝っているのは皆様ご承知だと思いますが、水泳みたいに道具を使わないスポーツでも、以前Speedo社の「レーザーレーサー水着」を着た選手が軒並みメダルを取ってしまうので、Speedo社の水着を禁止にすべきか…という議論が出た事もありました。短距離走のように全く道具は関係ない…と思われる競技でもシューズがもたらす影響は多大だそうで、オリンピッククラスの選手には必ずスポンサーがついて独自のシューズをオーダーメイドで作っているんだとか…。卓球と言うと一昔前は温泉宿で浴衣がユニフォームのお遊びが定番だったので、ラケットなんてスリッパでも十分と思っている人も多いと思いますが、そこは蛇の道は蛇。やっぱりプロ級の選手が使うラケットは、一般の人が使うものとはまるで別ものです。そして究極はラバー。あんなペラペラのラバーですが、されどラバー。ラバーが違うと打った後にまるで違った球になってしまいます。

私も久しぶりにラバーを買いに行ったりすると、昔と変わらないラケットや懐かしいラバーもあるのですが、やはり少しずつ昔と変わっているところもあるのに気付きます。私たちの学生の頃はペンホルダーのラケットが主流で、ラバーはフォア面にしか貼っていませんでしたが、いつの頃からかシェイクハンドのラケットが主流になり、ペンホルダーでもバック面にもラバーを貼ってバック面で打つ人も多くなってきました。ルールも21ポイント制から11ポイント制に変わり、ピン球も大きさが変わったり素材が変わったり…。まぁ興味ある人にしか分からない細かな変化ではあるのですが、どんな世界でもやはり常に変化と進化を繰り返しているんですね。私もこの歳になると激しい動きはできないので、変化球で勝負するスタイルへ変更しようと四苦八苦。その際にはやはり変化球を出すために開発されたラバーがあるので、今はそれを使って自分のスタイルを研究中です。なんでもやりだすと研究して極めていかねば気が済まない性格なので、最近は人のラケットみると必ず表面をなでてラバーのコンディションを確認してしまい「変な人」って思われているようですが…(^_^;)。

さて卓球の後は…東京で開催された美容外科学会に行ってきました。
学会はヒアルロン酸注入や副作用の対処方法、糸のリフトや再生医療、広告規制の話題など最新の情報が盛り沢山の内容でした。
ヒアルロン酸注入も新しい注入方法がいろいろ試みられていますが、やはりヒアルロン酸が血管に入ってしまうと血管が詰まって、皮膚が壊死して黒くなってしまう事や失明のリスクもあるので、細心の注意を払わねばならないようです。(そのため当院ではヒアルロン酸単体の注入は行わず、ヒアルロン酸を粘度の低い薬剤と混ぜてよく攪拌し、血管が詰まらないようにした上で、細胞を活性化するFGF=線維芽細胞増殖因子を配合したカクテル注射をシワやクマの治療に用いています。)
再生医療関連では、細胞移植にFGFの徐放システム(ゼラチンにFGFを結合させてゆっくり放出し、FGFの効果を高める方法)を組み合わせて効果を上げている発表がありました。FGFはPRPに混ぜたり量が多すぎたりすると注入部位が膨らみ過ぎて問題になる事がありますが、量を間違えずに慎重に使えばとても効果があり、加えてサイトカインの中で唯一癌の副作用報告がない、安全で優れた薬剤だという事です。FGFは悪い噂もありますが、それは使い方を間違えた場合なんですね。どんなに優れた道具でも、使い方を間違えると生きてこないものですから。

糸を使ったリフトアップ(スレッドリフト)の発表も多く、最近は糸も進化しているようです。以前溶けない糸が主流だった頃は、感染を起こしたり糸が出てきたり、引きつれたりなどいろいろ問題も多かったようですが、最近はほとんどが溶ける糸で感染などのリスクも減ったようです。先月号に登場したDJ、Y先生発案のO-メッシュに似たメッシュ状の糸の講演もありました。糸をメッシュ状にするとそこに血管が入り込んで組織が再生され、リフトアップするだけでなく肌状態も良くなって、感染もしにくいという事でした。
広告規制の講演では、法律が変わって6月から医療機関のホームページの規制が厳しくなるという話が。誇大広告を取り締まるため、治療内容・費用・リスク・副作用などの詳細な説明が求められ、症例写真にまで、かかった治療費の総額を記載する必要が出てくるそうです。えらいこっちゃ。こないだホームページを大幅に修正したところなのに、また修正か…とげんなり。どこかの大手美容外科が派手な誇大広告するから、規制が厳しくなるんですよねぇ。そういうところのとばっちりを受けているクリニックも多そうです。

学会で講演を聴いてる時、Y先生が隣の席に来て「どう?」
柴田:「痛みはだいぶ治まったけど、まだしこりがある~(:;)」
Y先生:「そんなん治まってくるって。あれ…ちょっとぉ! すごく可愛くなってるやん!」
ええ年したおばちゃん捕まえて「すごく可愛くなってるやん!」てどの口が言うてんねん?と思ったものの、悪い気はしないんですよねぇ、やっぱり…(^_^;)。なるほど。これがY先生の手口(?)だな。ちょっとイケメンのY先生に褒められると、患者さんは嬉しくなってあれこれ治療を受けてしまうんでしょうねぇ。私はお世辞はほぼ言えないので、それだけで売上が下がってるかも。まぁ、うちは正直が売りだから…と言い訳しつつ…。
学会後はY先生のクリニックで行われた○-メッシュのセミナーに参加し、治療の実際を見る事ができました。○-メッシュを顎や鼻・眉頭に入れて彫りを深くし、頬のたるみは同じPCL(ポリカプロラクトン)の糸で引き上げる施術です。それに加えて脂肪は注射で減らして、最後は毛穴を小さくするサイトカインを塗って仕上げ。確かにモニターさんは綺麗になっていましたが、あんなに顔中にPCL入れたら痛いだろうなぁ…。結構平気そうな顔してられましたけど、痛みは人によるのかな? 私もちょっと糸の研究をしてみようという気になってきました。

ところで東京に行く前に、クリニック常連のK様に紹介していただいた美容室Iにカラーに行った時、ちょっといい話を聞きました。カラーリストのAさんに、カラーは気に入ってるんだけどカットがちょっと合わない気がするんだけど…と相談すると、シャンプーを担当してくれているK様お気に入りのイケメンS君がもうすぐスタイリストデビューするので、一度切ってもらうという手もありますよ…と提案されました。今のカット担当はディレクターなので、デビューしたての新人がいきなり担当するのは緊張すると思うけど…と。
Aさん:「でも、ディレクターより上手くなってやるって思ってないと、絶対上手くなりませんからね。美容師はハートがないとできない仕事ですから。その人の心に合った形を作らなければならないので、心が伴わなければ何事もうまくいきません。お客様との信頼関係があって初めて認められる仕事ですから」
柴田:「さすが、ええ事言いはりますねぇ。でもAさんはなんでカラーリストになられ たんですか?」
Aさん:「僕がカラーリストを目指したのは、有名にならないといけないと思っていたからなん です。憧れていた美容師さんが若くして交通事故で亡くなって、お線香をあげに行った時奥さんに『あの人に負けない美容師になってね』と 言われたので…。そんな時『色出ずる国』というカラーのイベントのポスターを見て『なんだこれは』と思って見学に行ってみたんです。当時まだカラーリストは日本に10人位しかいなかったので、五万といるスタイリストの中で一番を目指すより、10人の中で一番を目指す方が早いと思ったんですよね」

それから20年…Aさんのカラーが素晴らしい理由が分かった気がしました。人を綺麗にするのには情熱がなければできませんよね。ただ、情熱だけでは結果は出ない…。やっぱり「道具」も同じくらい大事なんです。カラー剤もこの20年ですごく進化し、髪を傷めにくくて発色の良いカラー剤がどんどん出てきたそうです。Aさんのカラー剤に対する知見の深さと言ったら右に出る人はいないと思います。恐らくメーカーさんもこのように技術と情熱と知見を持った人と共同開発をしているんでしょうけど、素晴らしい情熱と良い道具(材料)があってこそ、素晴らしい成果を出せるのだと思います。
美容業界でも同じ事が言えます。素晴らしい成果を出そうと思うと施術を行う人の情熱が半分、そして半分は道具(機材)や材料によってもたらされます。勉強しようとする情熱だけであれば、インターネットなどで論文を読みあさるだけでも一定の到達はしますが、やっぱり道具や材料となると、どうしても学会などに出席して、出展している企業のブースに行って実際に手に取って見てみたり、試供品を入手して試すなど、積極的な行動をしなければ研究できません。そんな訳でこれからも学会出席は欠かせないので、学会出席中は休診となり皆様にはご迷惑をおかけしますが、ご理解をいただけますようお願い致します。(決して、学会にかこつけてグルメ三昧しいてる訳ではありませんので…(^_^)。)

私のラケットのラバーも、誰か共同開発してくれるところはないかなぁ? そうしたら、1年後にはミラクルスマッシュで卓球部の連中をあっと言わせられるのに。まぁ、私の場合はその前に筋トレの方が必要だという事は分かってるんですが、なかなか毎日はできないんですよねぇ…。私の知り合いでゴルフの道具にめちゃめちゃ凝っている人がいて、彼はなんとゴルフのボールまでオーダーメイドで作ってるんです。ただし一球が数千円するそうなので、もったいなくて使えないんだとか…。道具に凝りすぎて結果が出せない人も多いから、最後はやっぱりバランスですよね(^_^)。私も気をつけねば…。
申し訳ありませんがお世辞の方は無理なので、これからも情熱+道具(材料)、そしてコスパのバランスを考えて頑張っていこうと思います。今後共、応援よろしくお願い致します!
