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第175回「『陽』と『陰』のバランスが大切なのよね 」

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。今年は残暑が長かったですが、台風の襲来と共に急に涼しくなりましたね。皆様、体調など崩されていませんか? 疲れたなと思ったら、早めにプラセンタ点滴で体調を整えてくださいね。 大体この時期に学校では運動会がありますよね。皆様の学生時代にはどんな思い出がありますか? 昔、森田公一とトップギャランというバンドの「青春時代」っていう歌があったの覚えてます?(なんかこの通信ではお決まりになった古いネタですいません…)ほろ苦いメロディと歌詞で昭和の時代に一世を風靡した曲ですが、「青春時代が夢なんて後からほのぼの思うもの…青春時代の真ん中は道に迷っているばかり…♪」っていう歌詞を何十年たった今でも覚えいます。 学校を卒業すればそれぞれが自分の思う道を歩む事ができますが、学生時代(特に高校生くらいまで)は自分の意思に関係なく「他に選択肢がない」状態で学校という社会に強制的に入れられてしまいます。まぁ…今思えばその強制的に入れられるという理不尽な体験を皆で共有する事で、その後何十年も続く友情が芽生えるのかもしれませんね。そのような学生時代の友人に会える同窓会って皆様の中でも楽しみにされている方もいらっしゃると思います。



かく言う私も最近同窓会に行ったのですが、今回は思わぬ事態に…。高校の同窓会は毎年残暑の時期にあるのですが、普段は少人数で居酒屋程度の店に行く飲み会です。 しかし今年は高校時代に付き合っていたカップルが幹事に立候補し、いつもとは違った大々的な企画を催しました。まず会場は阪急電鉄の創始者小林一三の邸宅を改装したフレンチレストラン。(実は小林一三の曾孫「Kばやん」と私は幼稚園から高校まで一緒の同級生なんです。)そして昼食会の後は「母校訪問」なる企画が。 いつもは20人前後の集まりなんですが、その日は恩師も2人招待し、50人以上集まる大きな会となりました。幹事のお二人の末永き愛の力ですかね?(「私たちの甘酸っぱい思い出に付き合ってくださってありがとうございます」という幹事の挨拶がありました…(^_^)。青春時代の思い出ですねぇ…。)一次会の前にはレストランの二階にある「小林一三記念館」の見学もできました。邸宅は「阪急電鉄創始者ってこんなにすごいのか~」って唸るほどの豪邸で、記念館には「小林一族」の家系図までありました。(家系図なんか見るのは高校生の時歴史の教科書にあった「徳川家家系図」以来かもしれません。)それを見るとなんとKばやんは松岡修造の従弟だったんですね!(しかし松岡修造とKばやんは全然似てへんけど…(^_^;) 一次会は2人の恩師の他、高校卒業以来という人も数名参加していて大いに盛り上がり、その後母校見学へ。 しかし母校見学は暑くて死にそうになりました。現教頭先生が特別に教室で今の高校の現状などを説明してくださって(今は教室にはエアコンがあり、授業でもPCやスマホを使う事もあるそうです。時代は変わりましたよね~)、教室はクーラーが効いたのでましでしたが、校門から校舎への坂道とかグラウンドとかは灼熱で、よく昔は毎日通ってたなぁと思いました。やっぱり若かったって事でしょうかね。



私の母校は教育大附属で小学校から高校まで一緒だった人もいたので、そのうちの一人S君が、高校の同窓会が終わった後小学校の恩師を招いて、その先生のクラスで高校まで一緒だった数名で集まろうという企画を立てました。私も6年生の時S君と同じクラスだったので呼ばれ、高校の同窓会の二次会もあったんですがS君の会の方が先に決まっていたのでそちらに参加しました。 先生と当初参加予定だった4人に加え、S君のお母さんと母親同士が仲良しだったO君が当日急遽参加する事に。なんでもS君がお母さんにその会の事を話して、S君のお母さんがO君のお母さんにその話をしたところ、O君のお母さんがO君に参加するよう命じたとか。O君は静岡県の三島に住んでるのにお母さんの命令で飛んで帰って来たと言うのですから、いまだにすごい影響力のお母さんなんですね。O君は小学校卒業後、かの有名な灘中に進学し、灘高→東大という典型的な秀才コースを歩んだ為か卒後誰も会っていないようです。最初は「Oさん(O君のあだ名)来るんか! 懐かしいなぁ~」とみんな楽しみにしていました。 O君は小学生の頃からちょっと変わっていて(今思えばかなり変わっていて)理屈っぽく、お母さんがデザイナーだったせいか小学校に踵の高いロングブーツを履いてきたり、前髪を伸ばしていて「前髪太郎」と呼ばれたりしていました。久々に登場したO君はちょっと禿げて前髪はなくなっていましたが、その変人ぶりには磨きがかかっていて、彼の登場で会は大変な事になってしまったんです。



S君主催の会は恩師のための「K森先生を囲む会」で、最初は久々の再会を懐かしんでみんながK森先生のお話に耳を傾ける和やかな会だったんですが…O君は登場して間もなく先生の話にケチをつけ始めました。しかもみんなが恩師の事を「K森先生」と呼んでるのに(普通そう呼びますよね??)、O君だけは「K森さん」!「あんたの話は昔から面白くなかったんだよ」「一生懸命ってのは分かったけどさ。一生懸命なだけってのが問題だったんだよね」えーっ!!? 久しぶりに会った恩師になんて失礼な発言!! その後もO君が先生に失礼発言を繰り返すので私は腹が立ってきて、酔っぱらった勢いもあって「K森さんとちゃう!! K森先生、やろ!!」と禿げたO君の頭をバシバシしばいてしまいました。 すると同席していたKばやんが「そう言えば小学生の時も、Oさんがなんか理屈こねたら柴田が怒って、今みたいにしばいてOさん泣かした事あったなぁ!」って懐かしそうに言うんです。え?そう? そんな事忘れたわ。しかしなんぼなんでも失礼やろ。しかしO君は怯みません。今度はみんなが先生の話を「うんうん」と素直に聞いていた事を非難し始めました。「そのオビーディエンス(従順さ)がさぁ、問題なんだよなぁ!」O君はやたらと聞き慣れない横文字を連発し、サラリーマンの他3人は「何のこっちゃ??」という表情。そう言えばO君は東大工学部卒業後、阪大の医学部に学士入学(専門課程からの中途入学)し、首席で卒業したらしい。確かに頭はいいんですよね。 しかし灘中でも変人扱いされていたと言うので、その変人ぶりは半端ないようです。そして医学部でも普通の教室の教授にはなれず、遺伝子工学の研究所の教授として三島の田舎に飛ばされた…というのは本人弁なので、さすがに自分でも変人だという自覚はあるのかも。私はO君の禿げ頭をしばきすぎて手に青タンができてしまったんですが、それでもO君は「二次会行こうや!」と嬉しそう。(もしかして奴は真性のMか??)普段は誰も相手にしてくれないのかな? Wikiペディアを見ると、彼はその分野では日本でもトップクラスの研究者という事で彼のページがあるくらいなので、その世界では多分有名で、まさか禿げ頭をあれだけしばき倒す人はいないんでしょうね。よっぽどしばかれて嬉しかったのかなぁ…(^_^;)。 二次会は飲み過ぎてうろ覚えでしたが、その後は三次会も行こうというO君を誘った(?)S君に押し付けて、他のメンバーだけで飲み直しました。(こんなんやったら高校の二次会に行ったらよかった~。)



小学校の時しか会ったことがない人に何十年も経って再会して、その人の近況を知るってこの年になって初めてできる事で、若い時にはタイムマシンがない限り不可能ですよね。そういう意味では非常に面白くて意外な発見があるものの、ある意味「あぁ…やっぱりそうか…」って思う事もあります。 意外な発見の方は「へぇ…この人がこんなに綺麗になったの?」とか「彼は学生時代はハンサムでモテモテだったのに、こんなオッサンになっちゃたのかぁ…」というような外見の変化です。外見は誰でも年と共に変化するものですが、誰がどのように変化するかは全く予想できません。 何十年か経って初めて分かる事なので、これは意外な事が多いです。私は職業柄どうしても顔とか皮膚の状態を観察してしまうのですが、若さを維持している人はやっぱり努力している人が多いですね。外見だけはその人の持っている卒業後の人生そのものが大きく影響するので、久しぶりに会う人はどうなっているか予想がつきません。その意味では「意外性」があって面白いです。



一方で「あぁ…やっぱりそうか…」の方は0君を典型的な例とした「性格」とか「内面」についてです。人の性格ってもう小学生の頃に大半が決まっており、高校生くらいになるとほぼ確定しちゃってるんですよね。その確定した内面はその後何十年経っても変わる事はなく、逆に年を取れば取るほど磨きがかかる(常識人はより常識的な人に…変人はより変人に…)ように思うのです。 人間ってやっぱり生まれた時に持っているDNAの呪縛って本当に強いんだなぁって思います。研究者によってはその人の健康状態とか太る太らない…そして寿命までも大半はDNAによって決まっているという人もいますので、恐るべきDNAです。現在の科学の力ではDNAそのものを変更する事はできません。(できないというよりは倫理的に許されてない…って言う方が正確ですね。)ただ、DNAは変わらなくても現代の生活では科学の力で大きく自分の人生を変える事ができます。 過去においては女性が美しくなりたいと思ってもお化粧くらいしかできなかったのですが、現在はご存知の通り美容医療技術のおかげで、かなり根本的に変える事ができます。(これが良いか悪いかは個人の人生観の問題ですが。)また、性格そのものは直りませんが「キレやすい人」とか「鬱になりやすい人」というのは体質的にある種のホルモンの分泌が悪いという事が分かってきており、それらを補給する事で改善できます。(つまり薬で治療できるという事から「鬱」がかつての「単なる根性無しの烙印」から「一般の病気」と認定されるようになった訳です。)このように時代によって価値観は変わってしまいます。



話は変わるのですが、当院の患者様の中には夜のお店の方もおられますし、かつては「かなり怪しげなお店」の方もおられました。いわゆるSMクラブのS女王様という方です。その方のお話をお聞きするとお客様は当然すべてMの方なんですが、ほとんどのお客様は医師や弁護士というような社会的地位が高い人であったり、中には裁判官とか高級官僚の人もおられるんだとか…。 まぁ、勿論安くはない料金を払って行く訳ですから、それなりの社会性がない人では無理なのは分かります。ただ、その方曰く「Mを希望されるほとんどのお客様は例外なく頭が良くて知性的、天才肌の方も多いです」というのが印象的でした。うん?…その理論に基づけば(サンプル数が少なくてまともな理論になってないけど、経験則で言っても当たっているように思う)O君を私がバシバシしばいて彼がどうも嬉しそうにしていたのは正しい反応だったのか? 私は西洋医学を学んだ人間ですが、日本が西洋医学一辺倒になるまでは医者と言えば東洋医学の医者でした。東洋医学の根本的な考え方は人間の持っている自然治癒力を高める(正常値に戻す)という事にあります。そしてその自然治癒力が発揮できない原因が「陽」と「陰」のバランスが崩れた時と言われています。この「陽」と「陰」という相反する二面性をどのようなものでも持っているという考え方は東洋医学の基本的な考え方で、東洋における哲学の基本にもなっています。「陽」と「陰」のバランスが崩れた時に病気になるので、このバランスを取り戻す事が「自然治癒力」を高めるという事になります。東洋医学で言う鍼灸とか漢方とかの施術はすべてこの「陽」と「陰」のバランスを調整するという事に他ならないのです。



その事をベースに考えると実はSとMも立派な「陽」と「陰」なんですよね。例えば裁判官という職業を考えると人をさばくという仕事は「陽=S」です。普段ずっとこの仕事をしていると「陽」の気が多くなってしまいます。そこで一定のバランスを保つ為には「陰=M」の気を補う事で体の中の気を整え「陽と陰のバランス」を整えようとしているのではないでしょうか?(東洋医学の論理を使ってSMプレイを読み解こうとしているのは半分は冗談と思ってくださいね…。 そうしないと真面目に東洋医学をされている人から怒られるかもしれませんので…(^_^;)まぁでも当たらずと言えども遠からずではないかな…って思うんです。かつて「鬱」が病気ではなく「根性なし」と呼ばれた時代もありましたが、最近は体の中で分泌されるべきホルモンが何かのきかっけでバランスを崩して分泌されない、もしくは著しく量が減ったという事が分かってきたので、西洋医学的な治療のアプローチができるようになりました。 つまり、またバランスを取り戻してホルモン分泌が活性化されれば「鬱」は治る可能性があります。(勿論、活性化され過ぎると別の病気になりますのであくまでもバランスが大切ですが…。)人間は病気を未然に防ぐ為にも常に「陽」と「陰」のバランスを取ろうとしていますし、そうする事で自然治癒力を高めて健康な体を維持できます。その意味では私がO君をしばき上げたのは医者として良い事をしたのだ! きっと…。そう考える事で今度は私の同窓会での鬱憤晴らしを正当化し、今度は私の精神バランスを整えていかないと、こちらが病気になっちゃいますので…(^_^)。



この通信をもしO君が読んだら「俺の事勝手にMにするな!」って怒るかもしれないので、彼の名誉の為に最後に一つ追記します。その同窓会の後日S君が、小学校卒業時にお別れのメッセージを書きあった「サイン帳」のコピーを送ってくれました。(小学校のサイン帳を今でも持ってるなんてS君も物持ちいいよねぇ。)そこにあったO君のメッセージにはゴルゴ13のイラストと共にこんな事が書かれていました。 「おわかれだなんつってもいつでもあえるもんな! がんばれよっつってもしょうがないもんな! なんつってもしょうがないもんな! ただひとこと、………。いうことなし!」 なんか凄くないですか? 大人も顔負けで詩人のようです。小学校の時のサイン帳と言えば「卒業しても仲良くしてね!」とか「さようなら…!」とかお決まりの一文と一緒に下手糞な絵が添えてあるっていうのが定番です。彼のページだけは本当に際立っていて、大げさな言い方だけどちょっと感動的でもありました。やっぱり変人と言えどもO君は小学生の時から天才だったようです。遺伝子工学を通じて世のため人のために偉業を残してね。私は凡人なんでちょっと付き合いきれませんが…(^_^)。…また禿げ頭しばくぐらいだったら協力するね!



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