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第166回 (2017年1月) 「2017年は『ネット以上の何か』を・・・」



明けましておめでとうございます。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。昨年も皆様には大変お世話になりました。本年も皆様のお役に立てるよう切磋琢磨致しますので、どうぞよろしくお願い致します。・・・とは言っても、この通信を書いている現在はまだ2016年でして(実はクリスマスもまだ・・・)、ようやくもう少ししたらテレビなどで「映像で振り返る2016年・・・」みたいな番組が放送されだすかな・・・ってところです。皆様は2016年はどんな年でした? 私の2016年は、なんと言っても「あっ!という間に過ぎてしまった」と言うに尽きてしまいます。「あっ」という間に年を取ったという事ですし、この積み重ねで世の中もどんどん変わって行くんですね。そして2017年の年末も同じ事を言ってるような気がして怖い・・・(^_^;)。こんなんじゃダメなんで2017年の目標を決めようと思うのですが、その為には順序としてやはり2016年の反省をしないといけませんよね。2016年のニュースと言えば世間ではスマップの解散やポケモンGOの流行、アメリカの大統領選、リオ・オリンピックなどがありますが、私的には最後のオリンピック、そしてやっぱり日本卓球の活躍が嬉しかったです。



この通信でも何回も卓球の事は書いていますが、私は大学時代卓球に没頭していて、今も大学の卓球部のOB戦や追い出しコンパには毎年参加しています。OB戦では後輩とダブルスを組んで去年までは現役生に負けた事はなかったんですが、今年は忙しすぎて体調を崩す事が多く、筋トレも続かずついに現役生に負けてしまい、そろそろ引退かなぁ・・・なんて思ってしまいました。でもここ数年は試合の応援にもちょくちょく行って後輩を飲みに連れて行ったり、夏の合宿にはメロンなど差し入れを送ったり、秋には梨を送ったり、追い出しコンパでは卒業生にプレゼントを贈ったりして卓球部の後輩達は結構可愛がっているつもりです。体育会系なんで後輩達は皆礼儀正しくて可愛いんですが、やはり時代の流れと共に変わっていく事もあるんですよね~。一つは、メールとかLINEが発達したせいか、何かしてもらった時のお礼を次に会った時に対面で言えない子が多い事。LINEだったらスタンプ一つ送るって感じなんでしょうけど・・・。そして2016年は一つ事件が起きました。今年の春の近畿医科学生卓球大会では、うちの後輩たちは個人戦で結構いい成績だったので、ベスト8に入った子達を神戸に呼んで夏頃に祝勝会を開きました。みんな、学生では普段食べられない美味しい料理やお酒にありつき、夜景も見れて大喜び。帰りにはお礼のメールをくれたんですが、秋の試合の応援に行って会った時は誰もお礼を言いません。私は大学に入った時母に「先輩にご馳走してもろたりお世話になったら、その時だけと違て、次会うた時もお礼言うねんで」・・・それが社会の常識だと、その方がお世話をしてくれた人に誠意が伝わって喜んでもらえるからと教えられ、先輩とご飯に行った翌日は必ず「今日もお礼言うた?」と聞かれました。まぁだいぶ昔の事ですが、その後もそれが社会の常識ではあったし、今でもきちんとした人は次に会った時もお礼を言われるので、それを後輩達にも事ある毎に教えていたのですが・・・。「これも世の中が変わったって言う事かな」と寂しい思いをしながらも「最近の若いもんは礼儀も知らん!・・・ブツブツ・・・」という事だけは言いたくないという思いもあり黙っていました。(自分が年取った事を認めたくないというだけに過ぎないんですが・・・(^_^;)



そして秋の近畿大会では応援の甲斐あって男女Aチームは3位、男子Bチームは優勝という快挙! みんな大喜びで、キャプテンが「また祝勝会宜しくお願いします!」(・・・こらこら。要求するもんちゃうやろ)と苦笑しながらも、やっぱりめでたいので頑張ったメンバーを呼んで祝勝会をしようという話をしていましたが、いろいろと忙しくて延び延びになっていたので追い出しコンパのすぐ後にしようかという話になりました。追い出しコンパでは通常学生達がOBにビールを注いで挨拶に回ります。昔の卓球部は根暗なイメージもあり部員が増えずに困っていたものでしたが、今は愛ちゃん人気のせいか60人以上の部員がいる大所帯になっているので昔と雰囲気は違って当たり前なんですが、「やっぱりなんか変やな・・・」。祝勝会をしようと言っていたメンバー14人の中で挨拶に来たのが1回生2人と2回生・3回生1人ずつの4人だけだったという事に1次会が終わってから気付きました。1次会の間は現役部員と若手のOBも次々挨拶に来て食事をする暇もないくらいなので気付かなかったのですが、卒業する6回生と5回生の一部、1回生や2回生のほとんどが挨拶に来たのに、肝心の幹部や次期キャプテンが来てないではないか! 最近の若いもんはこんなもんなんか? どうしても違和感があったので、卒後3年目と5年目のかつて名主務と呼ばれた後輩達に「最近ってこんなもんなんかなぁ?」と相談してみると「も、、申し訳ありません!! そんな事はあり得ませんね。教育し直します!!」・・・という反応が・・・。そして6回生一同からメールが来ました。逆にそのメールの内容があまりにも素晴らしかったので、ちょっと長いのですが引用させて頂きます。



「 昨日は大変お忙しい中、私達の追い出しコンパに参加していただきありがとうございました。また、11名という大人数にも関わらず、一人一人にすてきなプレゼントをいただき、お心遣いに感謝いたします。大切に使わせていただきます。また、この度はご多忙の中卒業のお祝いに来て下さったにも関わらず、数々の失礼を働いてしまい、本当に申し訳ありませんでした。後輩達が至らなかったのは、先輩である私達がきちんと指導しなかった事にも責任があります(先生方からもそうご指摘を受けました)。確かに部活の雰囲気はどんどん変わりつつありますが、目上の方に対する態度は「最近はこう」というように簡単に変えるべきものではありません。思い返せば私達も下級生の頃は度々先輩方、先生方に態度を注意されてきました。挨拶をきちんとする事はもちろん、何かしていただいた時はその時お礼を言うだけでなく、次に会った時にも感謝の意を伝える事など、社会人になった時に私達が困らないようにと先生方がご指導くださった事には大変感謝しております。私達もその教えを後輩に積極的に指導すべきだったのに、不十分であったのだと痛感しました。私達の指導不足がこのような失礼を招く事になってしまい、卒業生一同責任を感じております。祝勝会を予定していただいているのにも拘らずご挨拶に伺わなかった後輩には、今個別で話をして注意をしております。また、部全体にも改めて6回生から周知させるつもりでいます。年の瀬で慌ただしい中、部活に足を運んで頂いたのに失礼な対応をして申し訳ありませんでした。今回の件で懲りる事なく、今後もどうか卓球部をよろしくお願いいたします。 京都府立医科大学卓球部 卒業生一同」



うん!うん! さすが我が後輩。そして6回生ともなるとしっかりしてるがな! 今までの教育の甲斐あったかな。それからキャプテンから謝罪のメールと電話があり、他の幹部や前幹部・次期キャプテンなどから次々謝罪のメールが来ました。中には電話で直接お詫びとお礼を言いたいので、都合の良い時間を聞いてきた子も。やっぱり体育会系はこうでなくっちゃね。いくら時代が変わったからってそんな良い事を変える必要ないよね・・・と少し嬉しくなりました。ところが・・・この話を今時の若者を100名以上雇用しているIT会社社長の友人Mに言うと「ほぉ・・・。さすがに医学部に行くような連中はレベルが高いねぇ・・・。文章も完璧ね」って驚いたものの、「だからと言って彼らが本当に感謝してると思うのも良くないよ・・・」と釘を刺されました。え? どういう事?

M:「最近の若いもんは挨拶とかなってないし、敬語もろくに喋れない・・・と思ってない?」

え!? う・・・ん。まさにそう思ってたんだけど・・・。

M:「ヤンキーまがいの若者だって暴走族の先輩達にはちゃんと挨拶して敬語喋ってるでしょ。 ヤクザだって同じ。同じ世界の兄貴や親分にはちゃんと礼儀を尽くすし、敬語だって使ってるでしょ」

まぁ、そう言われればそうかも知れない。電車の中でやたら態度悪いヤンキーの兄ちゃんも先輩と思しき人には確かに敬語で喋ってたな・・・。

M:「でしょ。今の若い人は感謝の心を忘れたとか敬語が喋れないって訳ではなくて、感謝する 対象ではないとか、尊敬の対象ではないという人に対して悪びれる事なくそれを表現するようになったってだけの事なのよ」



柴田:「それってどういう意味?」

M:  「例えば何か贈り物もらうでしょ。本当に自分にとって嬉しい物だったら『ありがとうございます!』って若い人でもきちんと言うよ。でもたいして嬉しい物じゃなかったり、逆にありがた迷惑だった時に昔の人はそれでもお礼言ってたけど、今の人は普通に『いりません』って言うのよ。昔のように近所の人付き合いが大切だった時はありがた迷惑でもお礼は言う事をある意味強制されていた訳だけど、今はそんなのもらう位だったら自分で好きな物買った方がいいので、くれるんだったら現金にして欲しい・・・って事を平気で言える時代になったって事ね」そんなもんなのかなぁ・・・。

M:  「例えば、先輩が後輩を指導するという時に飲みに誘って自分の時間とお金を使って経験談を話す訳で、先輩は無意識に『感謝されるはずだ』と思ってるでしょ。でも実際に後輩は『そんな昔の英雄談はうんざり・・・早く解放して欲しい』と思ってるかもしれないよ。それも昔だったら後輩は『今日はご指導ありがとうございました!』って言わされてた訳だけど、今の人は『つまらない・・・』と思えば素直にその反応をする訳ね。だから人間の本質が変わった訳ではない。ありがたい事をしてもらった時に感謝をする気持ちを持つという事は今も昔も何も変わってないよ。ただ、何にありがたいと思うかが変わっただけなのよね」



う・・・む。そう言われればそうかも知れませんね。私も過去を振り返ってみると「ありがた迷惑なんだよねぇ」って思った事はあるけど、結局相手の気持ちを考えるとお礼を言う事はあっても、「もう要らないからほっといて下さい」なんて言えなかったな。

柴田:「でもそれって寂しくない? 私は多少ありがた迷惑でもお礼は言った方がいいと思うけど」 M:「うん。たいしてありがたくなくてもお礼位は若い人もするよ。LINEのスタンプ送ったりね^_^;)。ただ、ありがたくないという事表明しても、それが悪いという価値観がなくなっただけだよ。 本音では『今時の若いもんは・・・』って思ってるでしょ。それはね。自分が年を取ってやってもらうよりやってあげる事が多い立場になったからよ。だから無意識に感謝されて当然と思 ってしまう機会が多くなっただけね。若い時に先輩の先生から指導という名目で、酔っぱらった上のウダウダに付き合わされた時にうんざりしなかった? その時翌日に『ありがとうございました』ってお礼には行っただろうけど、本当に感謝の気持ちなんてあった?ないよね。ただ社会の過ごし方として狭い世界に生きてたからそうせざるを得なかっただけなのよ」

柴田:「・・・そう言えばそんな事もあったかなぁ・・・」

M:「でしょ。昔は先輩や親分に楯突くって出世に影響したり明らかに経済的に不利になるから 我慢してたのよ。でも逆に今の若い人はある意味でイサギいいのかもよ。彼らはそんな事までしてお金欲しいと思わない。嫌な事を我慢して多少稼ぐ位だったら収入は少なくても自分らしく生きたいと思っている人も多いのよね。だから会社に就職する時も収入は重要な要素ではあるけど、それ以上に自分のやりたい事がやれるかの方を重視している人の方が多いように思うな。さすがに子供が生まれて家族養うお金が必要になった人達はお金 の重要度が変わるけど、独身の若い人なんてほとんどそうじゃないかな。休みが多い事を重視する人が多いのは働きたくない訳ではなく、休みの日を使って自分の人生を自分らしく生きる事に時間を使いたいという事なのよ。若い人にとってお金の為に我慢するってかっこいい生き方じゃないみたいね。バブル世代の我々とは真逆の価値観だね・・・(^_^;)。悔しいけどある意味羨ましいと思う事もあるなぁ・・・」



勿論賛否両論あるとは思いますが、確かにそれも一理あるなと思いました。昔は情報が少なく、先生や先輩から教えてもらえる情報は貴重で価値があったので、多少理不尽な事があっても先輩に時間を取って色々と話をしてもらえる事は総合的にメリットが大きかったのが、最近は大抵の情報はインターネットで入手できるので、それ以上の価値のある情報をもたらしてくれる人なんてごく少数しか存在しないのが悲しい現実になってしまったようです。今の時代は情報化が急速に進んだ事で過去の価値観が大きく変動してしまい、感受性の高い若者から変化が起きるので古い世代との間にギャップができて、永遠に「今時の若いもんは・・・」という話になってしまうのかもしれません。まぁ医者の世界はそうは言ってもIT業界よりはまだ古いので後輩達も気を使ってくれたんでしょうけど、時代の変化について行かないと、彼らのためと思ってもうるさい先輩と思われてしまうかもしれません。こらあかん! やっぱり早くいろいろな問題を片づけて、もっと卓球も頑張って「この先輩となら飲みたい」と思われるようにならなくちゃ!



しかしそう考えると、私のクリニックでも「インターネットで得られる以上の情報を提供できるか?」という事がテーマになるなと思いました。そうですね。ライバルはネットなんだ。今までの古い情報が一部の人で独占されていた時代は、その情報を「知っている」だけで価値があったのが、今は「知ってて当たり前」で、それ以上の価値がそこに行く事によって得られるのか・・・という事に変わってるんですよね。そんな事を考えて私の2017年の目標は「ネット以上の何か」を提供できるようになる事、と決めました。治療という手技は勿論ネット上ではできないのですが、情報という意味でもネットでは得る事のできないものを提供できなければ、わざわざクリニックに来て頂く価値もないと思います。具体的にそれがどんな事なのかはこれから私だけでなくスタッフの皆と一緒に考えて提供してきたいと思っています。当院の患者様は比較的古い世代の方が多く、礼儀正しく「ありがとう! 良かったです!」とお声をかけてくださる皆様ばかりなのですが、儀礼のありがとうに頼る事なく、本当の意味で感謝のある「ありがとう」がもらえるように、「ネット以上の何か」を提供していきたいと思います。2017年も引き続きご支援とご愛顧をよろしくお願い致します。


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