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第165回 (2016年12月) 「次なるブームは仮面舞踏会?」



こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。急に寒くなって、街はもうクリスマス仕様になりましたね。11月になるとあちこちでツリーやリースが飾られ、ポインセチアが店先に並んで、クリスマス一色になりますよね。ただ最近は、クリスマスよりハロウィンの方が盛り上がるようになりましたよねぇ。私が小さい頃なんてハロウィンとかそもそもなかったのに・・・。これはあくまでも私見ですが、クリスマスは恋人と一緒にロマンティックな聖夜を過ごす日とされるようになり、恋人がいないと面白くない日になってしまったのに対し、ハロウィンは恋人がいなくてもみんなで仮装してはしゃげる日だからではないでしょうか。私が若い頃でも、もうクリスマスは恋人と過ごす日になっていて、クリスマスが近づくとみんな焦って恋人を探していました。最近はジェンダーレスな人も多くなって、色々な調査でも恋人がいない人の比率は年々上がり、今年も最高を更新したのだとか。恋人がいない人が多くなればハロウィンの方が盛り上がるって事でしょうかね。それにしても最近のハロウィンの仮装ってすごいですよね。夜の三宮なんかに行くと「え? ホントにここ日本なの?」って思ってしまうほど仮装した人達で溢れています。東京の友達曰く「渋谷のハロウィンなんてもう火星みたいよ・・・」とさらに訳の分からない事を言っていました。何でもブームが起きると関連消費が出るので、企業が煽ってさらにブームが加速するのでしょう。そう言えば、最近は11月11日をポッキーデーと言うらしく、ポッキーをプレゼントする日らしいのですが、これはバレンタインデーと同じく製菓業界の陰謀に他ならず、ポッキーデーなんてグリコの陰謀そのものじゃないですか。(ただ、波風をたてない為にも企業努力という言い方にしておきましょう。)



そんな世間の賑わいとはほぼ無縁の私は、忙しさの合間を縫って先日京都であった美容外科学会に行ってきました。学会の日はちょうど天皇陛下がうちの大学の眼科に再生医療の見学に来られているとかで道がめちゃ混んでました。私はちょうど別の仕事の書類作成が忙しく、学会にパソコンを持って行って聴きたい講演の合間に仲のいい業者さんの展示ブースで電源を借りて書類作成に励まねばならず、かなり忙しい学会でした。そんな中でもちょっと面白いと思ったのは、メロングリソディンというメロンから作ったサプリメント。フランスのプロヴァンスにあるアヴィニヨン地方で品種改良された、収穫後2週間経っても腐らないメロンがあり、どうしてそんなに腐らないか調べると、そのメロンは抗酸化物質をたっぷり含んでいたらしいのです。しかしそのメロンはあまり美味しくなかったので、何かに活用できないかという話になって、サプリメントにする事になったんだとか。メロンから抽出した抗酸化物質を小麦から抽出したグリアジンというタンパク質でコーティングし、胃酸で分解されないようにしたものがメロングリソディンという事です。メロングリソディンの売りは、体内酵素を誘導して高める唯一の素材である事。人間の細胞内にある抗酸化酵素に働きかけて「人間本来が持つ抗酸化能力」を高めるので、健康を保つために必要な適度な活性酸素のバランスを崩さない事が良い点だそうです。



販売会社の回し者ではありませんが、抗酸化酵素の誘導以外にも、DNAやミトコンドリアの保護効果、紫外線防御効果、シミ・シワ・たるみの改善効果、動脈硬化・糖尿病の予防効果、脳機能・肝機能・眼の機能・免疫力を高める効果、アレルギーを抑制する効果などで良いデータが出ていました。私が一番魅かれたのは、海外の医療機関で使われていて、いくつものクリニックで手術後のダウンタイムが軽減すると報告されていた点。肌の弾力や色素沈着・クマの改善効果もあったという報告もあったので、当院のカクテル注射と組み合わせれば、注射後のダウンタイムも減って一石二鳥やん!と思った訳です。サンプルをもらって飲んでみたら、酷かった唇の荒れが一気に良くなりました。(実は唇の荒れは、以前試したラシャスリップスで悪化してたんですよね。使い始めた当初は良かったんですが、続けると荒れが酷くなってダメでした・・・。私がアレルギー持ちだからかなと思ってたんですが、アレルギーのないNちゃんも「ラシャスはちょっと使わないと荒れますよね」と言っていたので、やっぱり麻薬みたいなものが入ってるんじゃないか・・・というのが疑い深い私の感想です。成分について質問してもメーカーからのきちんとした回答もないし。そんなとこはやっぱりあかんやろ。)



もう一つ学会であった収穫は、試してみようと思って取り寄せたフィロルガBRM(クリニック通信161回=8月号で取り上げた、幼羊の胎児から抽出・精製した若返りの注射)を実際に自分でも使っている東京のI先生に会えた事。当院では安全性を確認するために海外から保証書などを取り寄せてもらったり、いろいろ調べていたので試すのが遅くなってしまったんですが、I先生はイケイケドンドンな感じなんで、もうすでに打ちまくっていたようです。

柴田 :「I先生、フィロルガBRMって使ってはります?」

I先生:「うん。自分でも打ってるよ!」

柴田 :「ほんとですか? どうです? 効きますか?」

I先生:「スッゴイ効くよ!」

柴田 :「何に効くんですか?」

I先生:「何でも効く! 元気出るし、肌良くなるし、眼も良くなるし!」

・・・I先生は自分でいろいろな注射やレーザー・プラズマなどの器機もどんどん試されているので、肌に関しては何が効いているのか分からないような気もしますし、かなり派手めでノリのいい先生なんで(ほんまかいな?)と思いつつも、そこまで絶賛されるとちょっと楽しみになってきました。安全性は確認したので、また試した効果をご報告しますね!



こんな訳で学会に行くとそれなりに面白い情報も仕入れる事ができますし、業界の動向も分かるようになります。インターネットがこれだけ発達した現代で「わざわざ行かないと得ることのできない情報なの?」と言われる事もありますが、そうでもないような気もします。やはり「わざわざ行って人に会って話をする」という事に大きな価値が依然としてある事は間違いないように思うのです。私は日頃は診療もありますし研究もあるのでなかなか外にでる機会がなく、まとまった時間を使って人と会う機会も少ないです。一言で言えば「超忙しい」訳ですが、言い方を変えれば「いつまで経っても仕事のやり方が改善してなくて、忙しいを言い訳にしてるダメな人」って事になります・・・(^_^;)。 どちらにしても忙しいので、営業マンの人がアポイントなしで突然来訪されたり、やたらと長い電話を何度もかけてくる人なんか「一体どういうつもりなん??」って思ってしまいます。仕事関係の人でメールを使わずにすぐに電話をかけてきたり、酷いケースでは「では来社して下さい。面談の際に詳しく聞きます」とか言うような人とは「あ・・・この人(会社)とは付き合えないな」と思ってしまいます。日頃はそう思っているにも関わらず、かなりの時間を使ってわざわざ学会に行ったりする訳ですから、何か矛盾しているような気もしますよね。この違いは何なのか? と考えると、「わざわざ会う」というのは「本音を知りたい時」ではないかと思いました。学会に行くのも「本当のところはどうなのよ?」って事を聞き出したいからかな、と思うんです。



よく考えると日常生活って「絶対に本音を知らねばならない」事ってそんなに多くはないんですよね。たとえば、服を買いに行って店員さんに「とってもお似合いですよ」って言ってもらえたからと言って、それが本音かどうかは特に問題ではありません。営業マンが「これは絶対に貴殿にとって価値のあるものです」と勧めてきても、ビジネスの上でメリットがある提案であれば、営業マン個人が本音を言ってるかどうかってあんまり関係ないですよね。

いわゆるロジックで済む話は「個人の本音」がどうかは関係なくて「論理が一貫して矛盾がない」事が重要ですので、それは会わなくても判断できる訳です。でも日常生活の中では、ロジックは関係なくて本音が重要ってシーンもありますよね。例えば恋人が「君の事がとても大切だよ」という話をする際にはロジックに矛盾がないかどうかなんてどうでも良くて、「本音はどうなの?」って事が一番重要です。



以前にテレビで見たのですが、人間の表情を感じ取る能力というのは本当に凄くて、本当に微妙な瞼の動きとか顔色とかを認識できる事が実験で証明されていました。また、これは証明するのは難しいのですが、好きな人やウマの合う人には「ある種の波動」を感じる事ができるようで、対面している人の気持ちとか感情の動きに「同調」するという能力が人間にはあるそうです。逆に言うとある人の「本音」を知りたい時は対面で会って話をしない限り絶対分からないとも言えますね。例えば争い事があった場合には最終的には裁判所で決着をつけるしかないのですが、法律の解釈という論理の世界において、本来であればそれぞれの主張をメールで送って司法が判断するという事で判決が出るはずなんですが、実際には裁判所にそれぞれが出頭しなければなりません。これは法解釈という論理をベースにするものの、最後は「本当の話をしているのはどっち?」という事を裁判官が感じ取る必要があるからかな・・・なんて思います。ただ、ここでも一つ問題があるんです。人間の表情ってやっぱりごまかしが効くんですよねぇ。これは映画やテレビでプロの俳優が行う演技を見れば明らかですね。そして、人間の微妙な表情はごまかせないから本音かどうかが分かる・・・という思い込みを逆に利用したのが詐欺師です。微妙な表情を訓練によって操る事ができるような人達にとって、素直な人を騙すのは簡単なのかもしれません。



んじゃ・・・何を信じればいいの? って事になりますが、ある心理学者の話によると前述の「一緒にいる時に感じる波動」なんだそうで、これはなかなか訓練でコントロールできるものではないそうです。それも緊張から開放された時に感じる波動が一番的確だそうで、「飲みニケーション」っていうのが最も効果的だという事です。ただし、飲んでる最中でも表情は嘘をつけるので、表情は見ずに目をつぶって「感じる事」に集中した方がいいんだとか。・・・え? それって実は仮装パーティそのものじゃないの?? 仮装して超厚化粧したら表情って分からないですよね。その上、パーティと称して町中繰り出して大騒ぎすれば一緒にいる友達から感じるのは「波動」しかないかも。最近の若者(そういう言い方をする事に自分の年を感じてしまうが・・・)の日常のコミュニケーションはメールとチャット(LINE)が大半だそうです。そしてインスタグラムで写真をアップしたりツイッターでつぶやいたりと、つながりも非常に緩やか・・・。一体どれが本音なのか分からないし、分かる必要もない、いや分かりたくないという人間関係の中で心地よく生きているようです。それでもやはり「本音」を知りたい時があって、それが仮装パーティで一緒に大騒ぎ・・・という形で現れているのかもしれません。もしそうだとしたら最近のハロウィンブームは決して企業が販売促進の為に仕掛けたものではなくて、ITが普及してきた社会の中から生まれた必然なのかもしれませんね。



欧米の映画などで見る仮面舞踏会(・・・あれって本当にやってるのかな?? 未だかつて知り合いで本当に仮面舞踏会なるものに行ったことある人がいないもんで・・・)なんかも、もしかすると男と女が本音を知るために敢えて設定された場なのかも・・・。そう考えると日本でも仮面舞踏会なる風習が流行るかもしれませんよね。東急ハンズとかロフトとかが思い切り煽って、お菓子メーカーとかも便乗して仮面ライダースナックの復刻版とか出してくるかも・・・。まだ私のプアな想像力を駆使してもブームはとても起こせそうにありませんが、お菓子メーカーとかお酒のメーカーだったらきっと何か考えてくれるでしょう。日本にもそういう風習生まれないかなぁ・・・。そうなれば、美容業界だって全力で応援するはずです。なぜって? だって仮面をつければ顔の露出は減るけど、余計に仮面の下から覗く皮膚の若さを少しでも強調しようとするご婦人方が、こぞってカクテル注射に来てくれるじゃないですか・・・(^_^)。皆様も数年後にはご自慢の仮面を持参してパーティに出かける日が来るかもしれませんから、今のうちに柴田美容皮膚科クリニックで素肌の若返りのご準備を!! さぁ・・・急いで急いで!!

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