
こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。今年の夏は、異常に暑かったですねえ。この数日はちょっと気温も下がって朝晩は涼しくなりましたが・・・。毎年母が「お盆済んだらちょっと暑いのましになるねんで」と言っていたのを思い出します。本当にその通りですね。でも、おそらくまたぶり返しもあると思いますので、皆様も体調を崩されたりしないように、ぜひプラセンタやビタミン点滴で熱中症を予防してくださいね。
私はと言えば・・・8月初めに母の初盆で実家に帰ったのですが、あまりの暑さで倒れそうになりました。先月号でお話したように、実家の片付けは姉に任せる事にして放置したので3週間ぶりに帰ったんですが、その間片付けの苦手な姉が結構頑張ったようで、仏間と玄関だけはだいぶ片付いていました。(クリニック通信を読んだからかな? しかし根本的な片付けと言うよりは、ここにある物を他の部屋に移動した・・・というのが実態なので、移動された部屋は物で溢れていましたが・・・^^;)

しかし、実家は1階に部屋が5つもあるのに、クーラーの付いている部屋は2つしかありません。襖を開け放して扇風機でクーラーの冷気を隣の部屋に送るしかない。その上お坊さんが約束の時間より1時間半も遅れて来て、待っているだけでぐったり。しかも上記した通り他の部屋は物が溢れているので、それを隠すべくお坊さんが来たら襖を閉めないといけなくて、暑くてたまりません。母は暑がりだったので、「暑い、暑い」と言いながらこのお経を聞いているんだろうなぁ・・・と思いつつ、私もそのお経をBGMに母が生きていた頃の事を色々と思い出していました。その後、家族で食事会という事で「がんこお屋敷店」に行ったんですが、外に出ると灼熱地獄! そんな中で父が「鍵がない」と探し出すし、父が鍵を探している間に、いっぺんに日焼けしてしまいました。(思わず翌日、新しいUV対策ローションの調合を考えてしまいました・・・。)

ところで皆様は「がんこお屋敷店」って知ってます? 最近は知る人ぞ知るという感じですが、がんこの創業者がその人脈を駆使して古い邸宅(中には国の指定する重要文化財もあるようです)を借りてちょっと高級な雰囲気の和食店にしているのです。古い邸宅と言えば、私のような庶民には縁がありませんが、維持費は想像以上にかかるようです。おまけに設備が近代的でなく使いにくい・・・かと言って先代から受け継いでいる遺産を簡単に処分する事もなかなかできない・・・という事で扱いに困っているオーナーは結構多いとの事です。そこに目をつけた(さすが!)がんこの創業者がオーナーに話をつけて安く借り受けし、「お屋敷型和食店」に改装して営業しているという事です。そんな訳でそこには古きよき時代の大邸宅の雰囲気が満載で、料理以外にも、タイムスリップして昭和初期(場合によってはもっと古い時代)のお金持ちの生活も体験できる・・・って事で、最近は結構人気があるようです。お屋敷店は宝塚や三田、大阪、京都、和歌山にもあり、新宿にも美容家の草分けである「山野愛子邸」などがあるみたいです。
・・・って、なんだか「がんこお屋敷店」の宣伝みたいになったのですが(がんこの関係者の方がこの通信を読んでたら、ぜひ招待券を送ってください!! そしたら来月号も宣伝しますよ・・・(^^))、私もこの事を知ったのはホントに偶然でした。母の四十九日の法要で実家近くのお寺に行った際、お寺の人の手違いで法要後の食事が予約できてなかったんです。それで仕方なく急遽探したお店が「がんこお屋敷店」でした。母が豊中のがんこが好きで、父や姉家族とよく行っていたので「石橋にもがんこできたよね」と探すと、そこが「お屋敷店」だった訳です。

お店の情報を見ていると、「Nエンジニアリングの創始者N氏の邸宅を改装し・・・」という記述に目が止まりました。「?? Nエンジニアリング? どこかで聞いた事あるな・・・。もしかすると・・・」なんと、高校の同級生N君のお爺さんの邸宅だったんです! しかも、広い庭付きのめちゃ豪邸。ええ! N君ってこんなお金持ちの家系やったん?? とびっくり。(庶民の私だって、同級生に一人くらいセレブがいるもんなのだ! 私は全く部外者にも拘わらず、急に「華麗なる一族」の登場人物になったような錯覚に陥りました・・・^^;)久しぶりにN君に連絡を取ってみると、「そうなんです。そのお店は祖父母の家になります。祖母がずっと住んでいたのですが、7年前に100歳で他界し、そのまま誰も住まない状態でした。住宅としては現代的ではなく、空調すら 2部屋にしかなく誰も住みたいと思う家ではなかったんですよね。管理会社に管理だけお願いして、維持費だけがかかる状態で困ってました。とは言え、祖父が自分の仕事の威信をかけて作った家なので、皆残したいと思いつつも、このままではそのうち解体もやむなし・・・との思いもありましたが、縁あってがんこさんに借りていただける事になったんです」

へぇ・・・って事は一応オーナーな訳だ。そこでつい、「へぇ・・・じゃ、N君に頼めばなんか特典とかあるの??」と、いかにも庶民的かつ大阪のおばちゃんのような発言をしてしまったのですが・・・。「はは・・・^^;)基本和風ファミレスなんで、なかなか特典は期待できませんが、店長に言うだけ言ってみてください。(「そうですか」ぐらいは言ってくれると思います。)まぁ、あの家を片付けるのに、3か月位休みの空いている時間をほとんど使いました。本当に大変でしたよ・・・それはそれは・・・」と特典はさらりとかわされ、おぼっちゃまの苦労談をお聞きする事に。(電話を切った後は、やっぱり私は「華麗なる一族」って柄じゃないよねぇ・・・と自嘲気味になるのでした・・・。)それはともかく、大邸宅でも空調が2部屋しかないと、なかなか大変ですよね。(この部分だけは私の実家と同じだな・・・^^;)でも改装して「がんこお屋敷店」になった後はもちろん全館空調は効いてますし、庭やお部屋はとても綺麗で、特に応接間だった部屋は超豪華です。特典はさらりとかわされたものの、やはりN君の口利きでこの一番いい部屋を取ってもらって、綺麗な庭園を眺めながら食事する事ができました。ラッキー!

ところで話は全く変わるのですが・・・この暑い中、大阪で開催された美容皮膚科学会に参加してきました。大阪は神戸より数段暑かった! まぁ京都よりは若干ましかもしれませんが。今回は企業のスポンサーの付いた宣伝臭い講演が特に多かったんですが、ビタミンA入り化粧品にトラネキサム酸を混ぜると炎症が減ったという報告から、トレチノインにトラネキサム酸を混ぜたらいいのでは? というヒントとか、リノール酸がアトピー性色素沈着に効いたという報告から、肌の弱い人の美白にいいかもとか、トレチノインの新しい使用方法や脇ボトックスの工夫など、それなりに応用できそうな情報は得る事ができました。しかし、一番印象に残った講演は、女優の紺野美沙子さんの特別講演。「人として美しくあるために心がけている事」・・・早寝早起き、食事は旬の野菜に凝って、4階までは階段で上がり、「老いは背中から来る」と言われた事があるので、特に姿勢に気をつけている。いつも機嫌良く、頑張りすぎず、いい意味でのいいかげんさを持つ。若さを保つためには、気持ちを若く持ち、いかに心ときめく時間を重ねていくかが大切で、自分らしく明るく前向きな人、心に余裕がある人が美しいと思う。そんな人を目指しているのだそうです。確かに、「気持ちから老いが来る」ってのは本当ですよね。当院に来ていただける患者様も「気持ちが若い」方はやはり外見も若い方が圧倒的に多いように思います。勿論、外見が若いから気持ちも若くなる・・・って事でもあるので因果関係はともかく、この2つに相関関係があるのは明らかだと思います。

そして更に不思議なのが、「気持ちが若い」のは「外見の若さ」と関係はあるのですが、「ストレスを抱えている人」が必ずしも「外見が老けている」とは限らない、という事です。「ストレスは万病の元」と言われる事がありますし、「ストレスが原因で老けこむ」って例も多数あります。しかし、「外見が若々しい人」を見ていると、ストレスは殆どありません・・・って言う人は見た事がありません。もう少し正確に言うと「ストレスは非常に多い生活をしているが、それを内側に溜め込まず自分を奮い立たせるエネルギーとして利用できている」って事ですね。聞いたところによると、長嶋茂雄さんって野球界のスーパースターがおられますが(まぁ・・・古い話ですよねぇ・・・今の方は名前は知ってても現役時代の事はまず知らないでしょうけど・・・)、なんでも現役時代に残した成績(ホームランの数とか打率とか)であれば長嶋さんを超える選手は他にも多くいたのですが、スター性は彼が圧倒的だったそうです。その理由は大チャンスの時に強い・・・って事のようです。有名どころでは天皇陛下がご覧になったという天覧試合ですが、あまりにもすごい話なので、ちょっと長いのですがWikiPediaの記載を引用させてもらいます。

「昭和34年(1959年)6月25日(なんと私の生まれ月!)、後楽園球場で読売ジャイアンツ(巨人)対大阪タイガース(阪神)第11回戦、いわゆる「伝統の一戦」が天覧試合として催された。昭和天皇並びに香淳皇后が後楽園球場のバックネット裏貴賓席に来場し、19時より試合は開始された。また、当日の後楽園球場では鳴り物応援が禁止されており、球場の雰囲気も普段に比べとても静かであった。先発投手は巨人が藤田元司、阪神が小山正明とエース同士の対決であった。試合前には両チームの監督・コーチ・選手全員が内野付近に一列で整列し、貴賓席に現れた天皇・皇后に一礼をしてから試合が始まった。試合は点の取り合いとなり、3回表・阪神が小山自らの適時打で先制点を挙げる。その後5回裏・巨人が長嶋茂雄と坂崎一彦の連続本塁打で逆転すると、6回表・阪神が三宅秀史の適時打と藤本勝巳の本塁打で4-2と逆転する。7回裏・巨人は王貞治の本塁打で同点(4-4)に追いつき、阪神は新人・村山実をマウンドに送る。同点のまま9回に入った時には21時を過ぎていたが、天皇・皇后が野球観戦できる時刻は21時15分までであったため、延長戦に突入した場合は天皇は試合結果を見届けられず、途中退席になる可能性があった。しかし、21時12分、9回裏、先頭バッターの長嶋がレフトポールぎりぎりにサヨナラ本塁打を放ち、5-4で接戦に終止符を打った。天皇・皇后は試合結果を見届けた上で、球場を後にした。」

な・・・なんですかこの展開は!! 最近の映画やドラマでもこんなラストシーンはないでしょう。もしあったら「出来すぎ!」ってそっぽ向かれるでしょうけど、事実は小説より奇なりって本当なんですね。この究極のストレス状態でホームラン打つ人って、そりゃスーパースター以外の何者でもないですよね。小説と言えば「華麗なる一族」の作者である山崎豊子さんは、この通信でも何度か登場した、医者の世界を描いた「白い巨塔」の作者としても有名です。どちらの小説も「ドロドロとした人間関係と陰謀と策略」を描くと天下一品の名作です。その小説の中でも魅力的な主人公は常にストレスにさらされていて、ここぞ・・・というところでそのストレスをエネルギーに変えて活躍します。考えてみれば美容の世界の治療も多くは「体の一部に刺激を与えたり、壊す事でその反応として組織再生を促す」というもので、ストレスの利用以外の何ものでもありません。「若々しく生きる」というのはストレスを完全になくすのではなく、ストレスをどうコントロールして良いエネルギーに変えて行くか・・・がテーマなのだと思うんです。そう言えば母も一発勝負に強く、ストレスをエネルギーに変えるのが上手かったので、たくさん病気を持っていても長生きできたのかもしれません。「80過ぎてもシワないやろ!」といつも得意げに言ってました・・・。私も一発勝負に強いのは母譲りと言われているので、ストレスをエネルギーに変えて若さを保っていきたいと思っています。今後もストレスをどうコントロールするかを含めて治療にどう取り入れていくのか・・・という事も、私の研究テーマになると思います。乞うご期待! 皆様も是非ストレスをコントロールして、若々しい生活を送ってくださいね。