
こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。梅雨に入り、暑くなって来ましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか。朝夕は涼しい日もありますので、体調など崩されないよう気をつけてくださいね。私も先月は気温の差についていけず、1ヶ月近く酷い風邪をひいてしまいました。そんな中、「全日本医師卓球大会」という催しが今年は神戸であったため、大学の卓球部の先輩から人数が足りないという事で試合に駆り出され、十数年ぶりに医師卓球大会に出る事になってしまいました。以前にも何回か書いていますが私は大学時代卓球ばかりしていて、今でも母校の卓球部の試合を応援に行く事もよくあり、卒業生の追い出しコンパには毎年参加しています。今回の試合は風邪をこじらせている最中で、体調は最悪。楽しみにしていた前夜のレセプションも欠席してしまいました。(私が飲み会を欠席するという事は、よっぽど体調が悪かったんだな/と、クリニック通信を読み込んでおられる方はお分かりかと思いますが・・・。)

プラセンタ点滴をカンフル剤のように打って試合に望みましたが、練習も全然できなかったしラケットを変えた事もあり、昔のようにはいかなくて(当たり前ですが)試合結果は散々。まあ医師卓球大会の参加者と言えば学生時代に医学部の大会で連続優勝していたつわもの達がほとんどで、70代、80代まで卓球を続けてたり、50歳を過ぎても毎週のように卓球している人ばかりなので、にわか参加でまともな試合ができるはずもありません。先輩達も「楽しむ事が肝心」とは言ってくれていましたが、思うような卓球ができなかったのが、めちゃ悔しい!!(この妙なこだわりは体育会系の人には解ってもらえますよね?)これでも学生時代は大会で優勝した事も何回かあったし、十数年前までは男子に混じって医師卓球大会に出ても、そこそこまともな試合ができたんだから!!「楽しむ事」が肝心だって?・・・な訳ない! 勝負は勝たねば意味ないのだ! って、久しぶりに自分の中で眠っていた燃える闘魂が蘇ってきました・・・(^^)。そんな訳で一念発起して真剣に練習する事に。今まではいつも練習する時は京都の大学まで行っていたのですが(練習後に後輩達と飲みに行くのも目的ではあるが・・・^^;)、それではたまにしか練習できないので、卓球教室に通っている先輩に聞いて神戸で卓球教室探しです。そして「体験レッスン」というのを見つけて申し込み、わずかながらトレーニングも始めました。数年前に買ったものの、自宅でホコリをかぶっていたエルゴメーターを再開。腹筋・背筋・腕立て伏せも少しだけ。そうしているうちに風邪も治り、今までは1回練習すると1週間は疲れと筋肉痛で大変だったのに、練習後の疲れがましになってきました。この年になっても体力ってつくもんなんですねえ。

そんな自分にちょっと嬉しくなってきた頃に、「抗加齢医学会」という学会がありました。この学会はいろいろな科のドクターに加えて企業の研究者や栄養士など多分野の人が集まるので、私がよく参加する学会の中では一番大きな学会です。参加人数は5000人以上、講演の数も半端なく多いので会場も広く、あちこちの講演を聞くため会場を歩き回るだけでいつもヘトヘトになっていましたが、これは自分の体力を試すいい機会♪とばかりに、今年はルンルンと参加。今年の抗加齢医学会のテーマは「アンチエイジング医学のルネサンス-サイエンス、教育・臨床、そして社会との対話-」う・・・ん。なんかカッコイイのかありがちなのか・・・ちょっと派手でいきがってる感じもするのは私だけでしょうか?(言ってる事が大きい奴に限って中身が伴わないって事ありません? なんだ・・・結局のところ一般論だけでオリジナリティはないのね・・・みたいな・・・^^;)まぁそれはともかく、この学会の名誉理事長は私の大学の学長であるY先生なんですが、まだ誰も「抗酸化物質」なんて知らなかった私の学生時代から盛んに抗酸化の話をされていて、話はすごく面白い先生なんですが、当時大学ではちょっと胡散臭いと言われていた人です。これ又、世の中の常ですが「すごくいい人」って全然面白くない人である事が多く、「すごく面白い人」は大抵「悪い人」なんだなぁ。「悪い人」なんだけど「話だけはめちゃ面白い」って人いるじゃないですか。あれって何なんでしょうね? そんないわゆる「悪い人」って、そういう人に限ってまた先見の明があったりするようです。

それはさておき、学会というのは最先端の知識を持った各分野の人達の講演が濃縮されているので、講演を選んで真面目に聴けば勉強になる事は確かです。私が選んだセッションは、「皮膚の科学からアンチエイジングを考える」「なぜ、若く見せたいのか?」「皮膚・皮下組織の老化メカニズムと対策」「プラセンタはアンチエイジングにも再生医療にも有効」「日本におけるアンチエイジング診療の最先端」「10歳若返るホルモン力」・・・。そして、今までは美容関連の講演ばかり聴いていたのですが、今年は運動にもちょっと興味が出てきたので、「運動にアンチエイジング効果はある?」「あの人は、どうしてあんなに元気なのか!?」という運動関連のセッションも聴いてみました。どうです? もうお腹いっぱい! ってくらい盛り沢山でしょ・・・(^^)。とても一回では紹介しきれないので、いつもは美容関連の話ですが、今回は趣向を変えて現在のマイブームである運動関連のセッションから少しご紹介。

まずは、「あの人は、どうしてあんなに元気なのか!?」というセッションの中から、「三浦雄一郎氏の70歳から80歳までの体力推移」という講演。三浦雄一郎氏と言えば皆様もよくご存知だと思いますが、70歳、75歳、80歳と、3回にわたり世界最高峰のエベレストに登頂し(どんな爺さんなのよ・・・って感じ。近所にいたら間違いなく怖くて近づけないな・・・)最高齢登頂記録を塗り替えてきた登山家で、プロスキーヤーとしても有名ですよね。その三浦雄一郎氏の69歳時から80歳時までほぼ毎年、筋力・持久力などの体力を測定してきた先生の講演でした。三浦氏の脚筋力は、70歳から80歳時までほぼ40歳なみの値を維持し続け、背筋力は80歳時に148kgと過去最高の値を発揮したそうです。(それってすごくないですか??)また腹筋力は、スキー中の骨盤骨折事故(76歳時)により一時期は1回もできなくなっていたが、80歳時には9回できるまでに回復したらしい。この事から、筋力は70歳を超えても維持でき、一旦低下しても回復できることが窺える・・・と言われていましたが、それって三浦氏だからでは? 子供の頃から行ってきたスキーに加え、70歳を過ぎてからヘビーウォーキング(足首に重りをつけ、背中には重りの入ったザックを背負ってのウォーキング)を始め、夏場はスキーができなくて運動不足になると言って200km以上自転車にも乗っていたそうです。そんな話が色々と・・・。うーん・・・ 皆様何かお役に立ちました? ・・・ですよねぇ。自分に当てはめて考える事ができるレベルのものがないようです。そんなスーパーマンみたいなお爺さんがいます・・・って事で、とりあえずこれは失礼しました。

次の講演は「100歳を超えて人生を走れる身体づくり 実践編 肥満外来2000例と89才トップアスリート2選手の経験から」。整形外科の先生が行われている肥満外来の報告で、10年間で2000例が糖質制限食と10種類の油圧式マシン等の運動療法で体脂肪率を下げ筋肉率を上げる「健康的な減量」で10-20kgの大幅な健康的減量に成功。膝や腰の痛みが治り、生活習慣病の薬が要らなくなった人も多いそうです。中でも80歳を過ぎてから減量して陸上競技の試合に出ているスーパー爺ちゃんが2人いるとか。プロでなく一般の人なので三浦雄一郎氏よりは身近ですが、80歳過ぎてそんな事ができるのは1000人に一人って事ですよね。もうちょっと自分でもできそうな事はないかな?と探していると・・・ 「運動にアンチエイジング効果はある?」というセッションの「インターバル速歩のアンチエイジング効果」という講演で、インターバル速歩(個人の最大体力の70%以上に相当する速歩と40%以下のゆっくり歩行をそれぞれ3分間ずつ、30分/日以上、4日/週以上、5ヶ月間行うトレーニング方法)で、筋力など体力が10%増加し、それに伴って生活習慣病指標が20%減少し、うつ指標が50%改善し、医療費が20% 削減されたという報告がありました。運動後牛乳を飲むと血中アルブミンが血管に水分を取り込んで循環血液量が増えるので、熱中症の予防にもなるそうです。これは頑張ればできそうだけど、30分/日以上、4日/週以上、5ヶ月間というのはちょっとしんどいな・・・と思っていると、次の講演「加圧トレーニングの効果」では、四肢の基部をバンドで加圧して運動すると、もっと軽い運動でもアンチエイジング効果があるという事が、動物実験と臨床試験両方で示されているではないですか!

加圧トレーニングの臨床試験は、高齢者(平均年齢71歳)を加圧群と対照群に分け、レッグエクステンション(最大体力の20%)とレッグプレス(最大体力の30%)を週2回、3ヶ月間実施すると、加圧群では有意な筋肥大、筋力増強が認められたというものです。動物実験では、ラットで加圧下では刺激後3時間に筋タンパク合成系の活性化を認め、3週間トレーニングすると加圧下で非加圧下に比較して有意な筋肥大が認められたという報告でした。・・・これはいいかも! 皆様も加圧トレーニングというのはご存知ですよね。私は今までは医学的に加圧トレーニングの効果を実証した報告などを見た事がなかったので、本当に効果あるのかなーと思ってたんですが、この報告を聴くと効果がありそうです。(普通のトレーニングより楽できそうだし、こちらはちょっとお役立ち情報かも・・・(^^)。) 本当はまだ色々な話があるのですが、学会に出ると素晴らしい新発見が今の人類が抱えている悩みを解決するのは時間の問題だ・・・というような報告も結構あります。でも、実際には私が子供の頃から「ガンは治る! 完治させる方法が動物実験で確認されたので実用化を待つばかり」みたいな話を何回も聞いてきましたが、結局未だにその手の事は実用化されていません。学会発表で確認された実験結果が、なかなか世の中に浸透しないのはなぜなんだろう・・・って私なりに考えたのですが、詰まるところ普通の人は「良いと解っていてもそれを継続できない・・・」、つまり三日坊主だって事じゃないかと思うのです。

研究者が行う実験って、動物をオリに入れて強制的に毎日薬剤を投与したり、電気ショックを与え続けたり、被験者はお金をもらって指示された事を行うのが仕事であったりと、「継続する」事が当たり前の環境の下で起きた変化を観測しています。でも実際には普通の人って、一発奮起してダイエットしようとしても続かない・・・「運動をするぞ!」・・・と決意しても続かない・・・って事が多いじゃないですか。それでは実験と同じ効果は出ない訳です。それに精密な測定装置を使って5%の変化が見られた・・・と言っても、普通の人が脂肪が5%くらい減ったって、筋肉量が5%くらい増えたって、たいした効果が出たとは思えないから、結局挫折しちゃうんですよね。(ホントはその5%の積み重ねが大切で、それを何年も続ける事ができれば目に見える効果になるんでしょうけど。)そう考えれば普通の人でも10歳から始めて80歳になるまで継続して毎日トレーニングを続ければ、三浦雄一郎氏のようなスーパー爺さんができあがるのかもしれませんが、そんな脅威の持続力を持った人は100万人に一人もいないんでしょう。

学会に行って治療の「原理や理論」を仕入れる事は非常に重要なので私も定期的に参加しているのですが、実際の臨床の場ではそれ以上に患者さんに「いかに継続してもらうか」という事を努力しなければ結果が出ない事も多いです。ボトックスのように一回の注射で大抵の人に効果が出るというものもありますが、半年位かけて継続しなければ「期待していた綺麗な仕上がりにならない」という治療も多くあります。特に運動によるアンチエイジングとか健康管理なんて、もう「継続こそが命」と言ってもいいのではないでしょうか。本来は「継続を維持できる事が可能な治療」というのを開発しなければならないのかもしれません。かく言う私も「食べる事」の継続性は不必要な位にあるのですが、「運動」になると人生で何度挫折した事やら・・・。特に単純なトレーニングって継続が難しいですよね。実はトレーナーについて運動指導をしてもらうというのは、効果的な運動方法を指導してもらうと言うよりは、トレーナーに運動する事を「継続させてもらう」という効果の方が大きいんだと思います。挫折しそうになっても良いトレーナーは心のケアも考えて励ましてくれ、一緒に悩んで一緒に努力してくれる事で挫折の縁から救い出してくれるんだと思います。私自身も今回は挫折しないよう、卓球も「習い事」として続けてみたいと思っています。又、クリニックでは皆様が治療を継続できる為の良きトレーナーになれるような努力が必要だな・・・と改めて考えた次第です。 さあ、今日も筋トレしなきゃ! あ・・・そうそう。今回は挫折しないように通信のタイトルに入れて宣言しちゃいます。皆様も私が挫折しそうになったら励まして(お叱りかも・・・)くださいね。よろしくお願い致します・・・m(__)m。