
こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。相変わらず寒い日が続いていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 2月のイベントと言えば、なんと言ってもバレンタインデー。街ではホットなバレンタイン商戦が繰り広げられていましたよね。チョコレート専門店だけでなく、お菓子屋さんはすべてバレンタイン商品を売り出して競っていましたねぇ。私もこの時期はチョコレート業界に乗せられてるなあと思いつつも、お世話になった人に贈ったり、この時期しか出回らない季節限定チョコを取り寄せて味見したりしてしまいます。
しかし、バレンタインを「意中の人に女性がチョコを贈って愛を告白していい日」なんて、誰が考え出したんでしょうねえ。世界広しと言えどもこの習慣は日本くらいなもんで、海外の人に日本のバレンタインデーの事を話すと一様に驚かれます。(海外では普通の恋人たちの日という感じで、男女共にプレゼントを贈ったり、デートをしたりする日のようです。)しかしながら、日本でのチョコレート組合(?)の戦略は大成功だった訳で、考え付いた人は業界で表彰されてるんじゃないでしょうか。確か、こういう企画は私が高校の頃に流行りだしたという記憶があります。それまではそういう風習はなかったように思いますし、父親が職場でもらってくるチョコを楽しみにしていた・・・という記憶もあまりありません。(単に父親がもてなかっただけなのか? しかし父は母と違っておとなしくて職場では好かれていたはずだし、昔は男前だった上に無類の甘いもの好きなので、こういう風習があれば絶対チョコをもらっているはずなのだが・・・。職場に女性が少なかったのか? いや、それまではそんな戦略がチョコレート業界になかったに違いない・・・。)しかしここ何十年かで、バレンタインデーはチョコを贈る日、というのはすっかり定着した感がありますね。

ところで・・・当院のスタッフYちゃんは、いい年頃なのに2月14日がバレンタインデーという事を忘れていたみたいです。「なんぼ興味ない言うても、世情にはもうちょっと敏感にならなあかんよ・・・」と言っていたのですが。彼女は見かけは女らしいのですが、中身は私より(?)男っぽいようなんです。バレンタインを初めとして、料理や買い物など女の子が好きそうな事には全く興味がないんですねぇ。高校の時に部活(豪傑剣道部だったそうです・・・)で女子部員がバレンタインに手作りのものを持って来て男子部員にあげようという事になったそうなんですが、それが苦痛で苦痛で仕方なかったYちゃん。仕方なくお母さんに相談したら、「私にまかしとき!」と力強い返事が。お母さんが手作りのお菓子でも作ってくれたのかと思いきや、近所でおにぎりを50個買って来たそうな。バレンタインデーにおにぎりという、なんともポップでシュールな取り合わせですが、Yちゃんは何もためらわずにそれを持って行ったそうです。他の子はみんな手作りのチョコやクッキーを持って来てたのだけど、部活の後だったんでお腹をすかせた男子部員にはおにぎりの方が人気だったとか。男子も「花より団子」って事なのかもしれないですが、バレンタインにおにぎり買って来るお母さんもお母さんやけど、それを気にせず持って行く娘も娘やなぁ・・・と感心してしまいました。草食系男子に肉食系女子という構図は今に始まった事でなく、昔からあった訳ですね。

ま・・・愛の告白に限らず、贈り物と言えばやはり食べ物が一番喜ばれるようですね。昔は北海道に行った知り合いが熊の木彫り人形を買って来たり、沖縄に行った友人がシーサーの置物を買って来た事もあったけど、正直言ってあれはちょっとねぇ・・・。置き場所に困るので、押入れに入れておく事になりますが、せっかくの貰い物だから捨てる訳にも行かず・・・。結局、引越しの多かった私の人生の中で、ダンボールの中に入れたまま開けられていない数々のお土産が今でもそのままそこに眠っています。その点、食べ物は大抵の場合喜ばれるし、何より食べ物を貰うとなんだか贈ってくれた人がとってもいい人に思えてくるのが不思議ですよね。当院でも患者様や薬屋さんが時々お菓子を持って来てくださるのですが、甘いもの好きのスタッフの間では、お菓子を持って来てくださった方々の評判はすこぶる良くなっています。(あ・・・と言っても、暗に催促している訳ではございませんので・・・^^; )

過去のクリニック通信にも書いたのですが、以前私が勤務医であった頃に仲良しだった婦長さんが引退し、今では愛媛の田舎で家庭農業を営まれています。毎年、そこで採れたお米を贈ってくださるのですが、2011年ものは本当に素晴らしい出来でした。それまでも美味しかったのですが、2011年ものは「メチャメチャ美味しい!」って感じの、大当たりのビンテージだったのです。お米も農産物なんで年によって出来不出来があるのでしょうが、ワインのように同じ畑からできてもこんなに違うのか・・・っていう感じで、感心してしまいました。(なるほどいい年のワインが買い占められるってのはこういう事なんだ・・・って思いました。保存が利くんだったら2011年ものの婦長さん米を買い占めたいくらいです。)もう、2011年ものがあまりにも美味しいので、すぐに食べてしまって、横柄にも婦長さんに「残っているお米ありませんか? あったら買いたいんですけど・・・」と追加の催促までしてしまいました。婦長さんは「お金なんかいいですよ。お米の美味しさを解ってくれて嬉しいわ。どうぞ召し上がってください」と快く追加のお米を贈ってくださったので、今まで以上に婦長さんがいい人に思えてしまったのは言うまでもありません。それからはベストの状態でご飯を食べようと炊飯器も新しいものに買い換えて、久々のご飯ブーム到来です・・・(^^)。

私はこのご飯ブーム到来まではどちらかというと洋食派でした。洋食と言ってもサラダとかキッシュとかラタトゥユのような野菜を中心とした洋食で、それをアテにワインやシャンパンを飲むのが「もう至福の時」って思っていたのですが、ご飯ブームが到来してからは、外食する時もついついご飯を一緒に食べる和食を選ぶようになっています。すると、今まで外食の時にはめったにご飯を食べなかったので気付かなかったのですが、最近は外食でもご飯はとっても美味しくなっているんですねぇ。あ・・・最近は・・・っていう言い方は語弊があるかもしれません。私のご飯の記憶というのはもう20年以上前の話でして、学生時代の近所の定食屋さんとかのご飯の事を言っています。その頃に比べると、最近は格安牛丼チェーンのお店ですら、比較にならないくらいご飯が美味しいように思うのです。勿論、私が年を取って好みが変わったという事はあると思いますが、それでもやっぱり本質的に何かが違うとしか思えないのです。これはやはりお米そのものが昔とは違うのではないでしょうか? そう言えば、ササニシキとかコシヒカリというようなブランド米って昔は無かったですよね。私が学生だった頃は確か、お米の流通は自由化されておらず、すべて政府が買い上げて指定された販売店でお米を買うというのが当たり前だったと記憶しています。だからササニシキとかは自主流通米と呼ばれて、なんだか法律の網をくぐり抜けている怪しげなお米というイメージがありました。(法的な問題はあっても美味しいものは美味しいので、自主流通したのでしょうけど。禁酒法時代の闇酒みたいなもんでしょうか・・・。)いつの頃からかそのような制度はなくなり、今では自由にお米が流通していますので、我々は好きなお米を好きなところから買うことができます。これが最近お米が美味しくなった理由じゃないかな・・・って思うんです。

「悪貨は良貨を駆逐する」ということわざがありますが、まさにこれが過去には起こっていたんだろうな・・・って想像します。(このことわざの意味は、政府が金の含有率が低い悪貨を製造すると、一般の人は昔の金の含有率が高かった頃のお金を使わずに貯めこんでしまい、悪貨ばかりを支払いに回す事から、市場には悪貨ばかりが流通する事になる・・・という意味です。)お米は重さ単位で政府が一律で買い上げてくれるので、自分達が食べたり親戚に配るお米は良いものをストックしておいて、質の悪いお米から買い上げ対象にした方が良いって誰でも考えますもんね。その結果、市場に出回るお米は美味しくないものからどんどん先に出されたんじゃないでしょうか。今はそのような制度が廃止されて自由化されたので、農家の皆さんも美味しいお米を売った方が市場原理で高く売れるし収入が増えるので、努力して美味しいお米を作って美味しいお米からどんどん市場に流通させようという、昔とは全く逆のモチベーションが働いた結果、最近のお米は美味しくなったのではないかな・・・って思うのです。

やはりどんな業界でも、「競争なきところにサービスの向上なし」・・・って思います。(サービスを提供する側は大変なんだけど・・・^^;)
当院でもかなり昔ですが、ホクロの切除を保険診療でやっていた頃がありました。純粋な美容目的の治療は健康保険の対象でない事は皆様もよくご存知だと思いますが、ホクロの切除はメラノーマのような悪性腫瘍のケースもあり、疑わしきは切除するという事で保険診療が適用できるケースが多くあります。それで美容外科でも「ホクロは健康保険適用可能です」とうたっている所がたくさんある訳です。私共も開業当初は、できる限り患者様の支出負担を少なくしたいと思い保険適用を行なっていましたが、もう6年ほど前からそれもやめてしまいました。保険適用を行えば治療費の本人負担は2割から3割程度ですので、非常に安く治療ができます。その為、保険適用を行なっていた頃には当院でホクロの切除を希望される患者様の数はとても多かったのですが、保険適用外とした時からその数は急激に減り、ほとんどなくなってしまいました。

勿論、クリニックの経営という観点からすると、患者様が減ってしまう訳ですから良い事ではないのですが、やはり求められるサービスを提供するという観点からするとこの決断は正しかったと思いますし、今後も変えるつもりはありません。なぜなら、保険診療には非常に厳しい規制があり、使える薬が限られていたり、治療後の混合診療(自費治療と混ぜた診療)がしにくかったりするからです。殆どの患者様はホクロが取れればいい・・・って訳ではなく、「綺麗に取って欲しい」訳です。綺麗に取る為には、取った後も傷が綺麗に治るための治療をしたり、傷の色素沈着を防いだりする必要があるのですが、そこで自費治療と混合させると法律違反になってしまう事があります。とにかく保険診療は規制が厳しく、「綺麗になりたい」という望みを叶えるにはどうしても無理があると思ったので、敢えて当院では自費治療のみとしました。保険診療をしていると患者様は安く治療ができるので、こちらがそれ程努力しなくてもクリニックに来ていただける事が多いですし、治療費の7割は国から入りますから経営的には安定します。逆に自費治療となると100%患者様の負担になりますから、それだけの支払に見合った結果が出なければ満足されないでしょうし、当然患者様の見る目は厳しくなります。その分こちらとしては自費でも満足していただけるような治療を提供するためにあれこれ努力しますから、結果としては「本当に綺麗になりたい」と思われている患者様にはそれなりに満足していただけるようになったのではないかと思います。行う方は大変になるのですが、やはり自由競争にさらされなければサービスは向上しないと思うので、自由競争の中で切磋琢磨していくという道を私たちは進んで行かねばならないな・・・って改めて思った次第です。

今年もバレンタイン商戦に完全に載せられて、いくつも美味しそうなチョコレートを自分へのプレゼントとして買ってしまいました・・・(^^)。ただ・・・残念なのは、とっても高価で包装や見た目はもう「素敵!」としか言いようのないものでも、食べると大半が「??・・・うーん・・・。美味しいと言えば美味しいが・・・」って感じる事なんですよねぇ。皆様はそんな経験ありませんか? 私はバレンタインデーに出回る高級チョコより、普段気軽に買えるロッテの「ラミー」の方が1/5位の値段でずっと美味しいような気がしています。チョコレート業界もバレンタインの波に乗るだけでなく、見掛けや雰囲気よりも本当に美味しいものを追求して、中身が充実したチョコをリーズナブルに提供して欲しいものだ・・・と思うのは私だけでしょうか? 美味しさと価格を考えると、ラミーの右に出るチョコとは今までほとんど出会ったことがないので、バレンタイン以外はもっぱらラミー派の私です。ま・・・何を買うかは消費者の自由なので、この自由を謳歌できる国に生まれた幸せをかみしめながら、今日もチョコを一口・・・(^^)。(来月はダイエットしなきゃ。)