第177回「ジェンダーレス時代」

  

 

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。急に寒くなりましたが、皆様風邪などひかれていませんか? あっという間にもう冬、そして今年も終わりですね。時の経つのは本当に早いなぁ。年始の抱負を語ったのはつい先日のようで、あっという間に1年経ってしまった感じです。「今年は何ができたかな?」と1年を振り返ってみると、バタバタしてばかりでたいした事できなかったなぁと反省しきりなんですが、いつものような学会での情報収集や潜入調査、新メニューの企画以外に今年は一つ新しい事に挑戦しました。それは「出張治療」です。

きっかけは東京のK氏に紹介してもらったイタリアンレストラン(またまたグルメがらみですみません)。3年ほど前にK氏に東京のお勧めイタリアンを聞いた時に、「僕からは、ここ2年間で最大の発見だった、西麻布の隠れ家イタリアンをお薦めします。ご夫婦でやっている小さなイタリアンですが、お料理の美味しさと居心地の良さ、癒し度は、ここ数年で最大の発見です。食べログの評価は高くありませんし、ガツンとしたインパクトはないかもしれませんが、今イタリアンでは最も好きなお店です。「Kさん」で、奥様には通じるかと思います」と教えてもらったレストランです。(さすがK氏…グルメの事になると本業の事よりもぐっと饒舌になります…(^_^)。)

 

 

早速東京にいる後輩を誘ってお邪魔してみると、さすがK氏お勧め!って感じの癒し系レストランで、お店はこじんまりしていい雰囲気だし、シェフは控えめで優しい感じだけどお料理は抜群! そして奥様の接客がまた感じいいんです。

フレンチやイタリアンでよくある「マダムがネック」のお店とは大違い。私もいっぺんにファンになり、東京に行く度に後輩や同級生を誘って何回かお邪魔してたら、シェフは私の大好きな赤ピーマンのムースなんかも作ってくれるようになり、とってもお気に入りのレストランになってしまいました。

何回か行くうちに奥様にシミやクマの相談をされて、当院で行っている遠隔地治療(遠くにお住まいで通院が難しい方のために、メールや電話のやり取りで診察を行い、サプリメントや化粧品を送ったりする治療)を紹介してたんですが、今年の9月頃に突然電話が。「急なんですけど明日神戸に行く事になったので、診察していただけませんか?」美味しいと有名な明石のお鮨屋さんと元町の炭火焼きのお店を訪問するために神戸に来られるのだとか。(さすが、美味しいお店のシェフはジャンムーランの三木シェフが言われてたように、食べ歩きをして研究されてるんですね。)

 

 

奥様の診察ではシミと色素沈着によるクマには新レチノイン酸療法をお勧めしましたが、クマと瞼のへこみも気になるとの事。これにはやっぱり皆様おなじみのカクテル注射(ビタミンやヒアルロン酸、線維芽細胞増殖因子=FGFなど皮膚のコラーゲンを増やす薬剤を混ぜたオリジナル注射)がお勧めなのですが、奥様は東京在住だし、カクテル注射は血液検査の結果が出てからの治療になるので初診当日は注射できません。

「今日は血液検査だけしておいて、次回神戸に来られる時に注射されますか?」「そうですね…」という事で血液検査は受けられたんですが、その後「やっぱり神戸に来ることはめったにないし…。先生! 出張注射してくださいよ~!!」と頼まれてしまいました。「え??! 出張注射??」そんなんした事ないし…。どうしようかな?「ちょっと考えさせてください」そう言って考えましたが、カクテル注射の出張治療は結構大変そうです。

普段なら洗顔していただいて写真を撮ってから、気になる部位を聞いて薬剤の組成と量を決め、注射部位に印をつけて再度写真撮影。注射部位に麻酔を貼って注射を作製し、治療部位への配分と各ポイントに何ccずつ注入するかを計算します。麻酔を30分以上貼り、計算が終わったら消毒と注入、そして術後の写真撮影。助手がいても注射の本数によっては1時間半から2時間くらいかかる事もあります。機材や場所も限定され助手もいない状態で、できるかなぁ…。

 

 

K氏にもこんな相談があったんですよ…って言うと、「うーん、ちょっと大変そうですけど、これを機会にHさん(シェフの奥様)に東京のマネージャーになってもらって、何人か集めてもらって東京出張治療の計画を立ててはいかがですか? 東京の旨いものも定期的に食って帰れるし…」ふむ。「東京に行って美味しいものを定期的に食べれる…か…」なぜかこの言葉だけが頭の中でリフレイン。まったくもって不純な動機ですが、急にやる気が出てきました!!

幸いHさんの場合、診察に来られた時に瞼のへこみとクマに対するカクテル注射の薬剤の組成と量は次に注射に来られる時のために決めていましたし、写真も撮っていたので、写真に印をつけて1ポイント当りの注入量を前もって決め、注射も作製して消毒や器具・麻酔も持って行けばなんとかなりそうです。お店で注射して欲しいと言われていましたが、キャスター付きの椅子がないと自由に移動できず注射がしにくいのでさすがにお店では難しいと思い、ホテルでキャスター付きの椅子を借りる手配をしました。その計画をHさんに伝えると、出張治療の第1号になると言ってくださったんです。

 

 

さて当日。注射と消毒、滅菌した器具とカメラをゴロゴロキャスターバッグに詰めていざ東京へ。ホテルの部屋までHさんに来ていただき、写真撮影。印をつけて麻酔を貼ったところまではよかったんですが、一つ誤算が。ホテルの部屋の写真をネットで見て、テーブルをベッドの横に動かしたら、キャスター付きの椅子さえあれば注射ができると思ったんですが、なんと動くと思っていたテーブルが床に固定されていたんです。どうしよう? 困っているとHさんがテーブルの上に寝ても大丈夫と言ってくださったのでなんとか解決。

しかし次は日が暮れてきて、ホテルの照明が暗いという事に気付いて慌てました。暗くては注射が非常に打ちにくい。これはテーブルの上のライトを移動して顔の方に持って来ることでなんとかなりました。いつもは麻酔を貼ったり消毒したりはスタッフがしてくれるので、スタッフのありがたみが身に沁みましたが、なんとか無事に注射を終え、Hさんの希望の終了時間にも間に合いました。

やれやれ。しかし疲れた~! あんまり疲れたのでHさんが帰られてからお風呂に入ろうとバスタブにお湯を張ると、私のではない長い髪の毛が浮いてるではないか。出張治療のために結構いいホテル取ったのに、掃除もできてないなんてどーゆー事?? フロントに伝えるとマネージャー氏が慌てて部屋をスイートルームに変えてくれました。一瞬喜びましたがスイートって豪華だけど、広すぎてどう使っていいのか分からない…。仕方がないので無意味にキングサイズのベットで端から端まで寝返り打ってみたり、ペットボトルのお茶を飲むためにリビングまで移動してソファに座ったり…。無理に使いこなそうとしても使い切れない。う…ん。結局はスイートって一人で泊まる人用には設計されてないって事ね…(^_^)。何はともあれ初の出張治療を終え、美味しいものも食べる事ができて満足して東京から帰ってきました。

 

 

しばらくして術後の様子を電話で聞くと、「術後しばらくは腫れてたのか調子良かったけど、最近はやっぱり瞼のへこみが気になって、あんまり変わってないように思う」との事。あれ? カクテル注射に配合するFGF(線維芽細胞増殖因子=コラーゲンやヒアルロン酸を増やす薬)は多すぎると膨らみ過ぎるリスクがあるため、初回は平均的な量より少なめにします。Hさんはレストランで接客されるので膨らみ過ぎては困ると言われ、FGFの量を控えめにしたので少なすぎたかな? 心配になったので「次回私が東京に行く時にきちんと写真を撮って比較しましょう」という事にしました。しかしHさんはシミとクマの色素沈着に対する新レチノイン酸療法の遠隔地治療もされていたので、毎週写真を送っていただいています。

3週間後に送っていただいた写真を見ると瞼のへこみがかなり改善していたので、術前の写真を送って比較していただくと、「瞼のくぼみは分かりにくかったのですが、送っていただいた写真で見比べると術前はかなりくぼんでいたことが分かりました!」という返事が。良かった。なんとか第1回出張治療は成功したようです。クリニックまで行くのは遠かったり都合が悪かったりで、出張治療を希望する人は絶対いるはずだという声も多かったので、今後も発展できればと考えています。

 

 

さて話は変わりますが、Hさんを紹介してくださったK氏の会社では、毎年ボジョレーヌーヴォーの解禁日に「ヌーヴォーとスッポン鍋の会」というパーティーが開かれます。もうかれこれ何十年にも渡って行われる伝統行事?ですが、今年は出張治療を兼ねて久々にお邪魔する事に。

以前にも書きましたがK氏の会社は会社とは思えない内装で、ドアは水色、壁は漆喰でピンク色。水玉模様の可愛いランプが並び、スペインの洞窟をおしゃれに改装したカフェ…って感じなんです(そんな事務所で仕事に集中できるのかな?と心配してしまう程…)。そして中央にキッチンがあり、パーティーの時はそこでスッポン鍋が作られます。出張板前も呼んでお鮨もその場で握ってもらえ、ヌーヴォーも何種類も取り寄せられてたくさんの人で賑わうK氏らしいパーティーです。

今年もチェリストの肩書を持ったドクターがチェロを弾いたり、デザイナーやいろんな職種の人もいてめちゃ盛り上がりました。K氏の顔の広さが分かります。スッポン鍋は長らくK氏のお母様が作られていたんですが、お母様が引退されてからは割烹の板前さんを呼んで作ってもらってるとか。10年程前にパーティーにお邪魔した時はK氏のお母様がまだスッポン鍋を仕切っておられ、当時80歳位だったはずなのにどう見ても60歳位にしか見えませんでした。K氏の会社はプラセンタの会社なので、お母様もプラセンタ注射を打ちまくっておられたそうです。プラセンタの威力を見せつけられた気がしました…。

 

 

そんなK氏の会社ですが、最近担当者が交代し、上司を連れて挨拶に来られました。その上司が私が開業した時の担当者だったので昔話に花が咲いたんですが、その時教えてもらったのがK氏の会社のホームページに散りばめられている建物や部屋の写真はK氏が房総半島の最南端に建てた自宅の写真だとか。まるでイタリアかスペインの避暑地のブティックホテルのような素敵なたたずまいです。「こんなとこ住んでるんやったらヨーロッパなんか行かんでええやんねぇ!」って盛り上がってしまいました。(K氏は毎年1ヶ月位バカンスでヨーロッパに行かれるんです…羨ましい!)ただですね…

K氏のお家って(事務所もそうですが)なんでこんなに乙女チックなんでしょう?? もう女子力満開です。私にはそこが一番気になる所です(他の人からは「見るポイントそこじゃないでしょ!」って突っ込まれそうですが)。だってK氏はこの通信で何度も登場したので知性溢れる素敵なおじさま…って事はご理解いただいてると思いますが、ぱっと見た感じは…(^_^;)学生時代にラグビーで鳴らしたガッチリ体格は今でも健在ですし、ヨーロッパの海で日焼けした顔はさながらヨットマンのようです。

男性ホルモンがバンバン出てる感じで、この様子からはとてもこんな乙女の感覚が出てくるなんて想像できないんですよねぇ…。もしかしてプラセンタ打ちすぎて女性化してしまったのかな? 私の友人の目撃談によると、青山の一押しフレンチレストランにも一人で来てたそうだし、マッチョな男の一人飯が青山のおしゃれな本格フレンチってのもどうなんでしょう? それに「ボジョレー」と「すっぽん」の組み合わせって何なの? ミスマッチ過ぎて普通はあり得ないでしょ? うん…この辺も調査しなければ…(^^)。

 

 

ただ最近は当院のジェンダーレスT君をはじめとして男性だからこう、女性だからこうっていう垣根がなくなってきたような気がします。逆にそんな垣根がない人に限ってクリエイティブだったりするので、時代と共に価値観も変化してるんでしょうね。

ちょうどこの通信を書いている時に「マツコ・デラックスが緊急入院」ってニュースをやっていて、彼女(彼?)が抜けた穴を埋められるMCがいないので各局とも大慌てなんだとか。おかまタレントが日本で一番人気のMCなんて一昔前だったら考えられないですよね…。このジェンダーを超えるという人がクリエイティブな原因の一つは「既存概念にとらわれない」からなんじゃないかと思うんです。

小さい頃に男の子が「ままごと」遊びをしてたら仲間からからかわれる事があったと思いますが、それを意に介せず続けられるとすれば相当強い意志があるし、何よりも群れなくても生きていく心の強さがあり、既存の常識に自分を合わせなければという固定概念もない…って事で、考えてみればクリエイティブな人に必要な要素をすべて備えているような気がします。私も昔から「お前は男っぽい!」って言われてたから(^_^;) 、クリエイティブな感性があるかは疑問ですけど、既存概念にとらわれない事については結構負けていないように思います。

今回チャレンジしてみた出張治療もその一つです。これからも色々な事にチャレンジしていきますので、是非応援してくださいね! 来年もよろしくお願い致します!