第176回「ケジメのつけ方」

  

 

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。秋も深まってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 秋と言えば食欲の秋ですね。この食欲の秋に一つ寂しい出来事が…。

ご存知の方も多いと思いますが、御影の名店「高杉」が閉店してしまいましたよね。「高杉」と言えば美味しいケーキでずっと人気だったお店。私は甘いものはそれほど好きではないんですが、それでもスタッフや友人の誕生日などには高杉のケーキを買っていました。あのショートケーキのファンも多いですし、ムースも美味しかったですよねぇ。

本店でしか食べられない、ナイフとフォークでいただくミルフィーユは十年以上前にいただきましたが、その味は忘れられません。高杉の御影本店は1996年、阪急御影駅前にオープン。どこから食べても味にばらつきがない四角いイチゴのショートケーキで人気を博しました。

そんな人気店がなぜ閉店してしまったのか? 噂によると高杉のオーナーシェフはかなりの頑固親父だった模様。ケーキをきちんと作れる若手を育成するため、シュークリームやプリンはあえて扱わなかったと言うのです。2014年には東京進出を果たすなど最大で6店舗を運営したが、人手不足などで東京からは1年ほどで撤退したとの事です。

オーナーシェフの後継者探しにも難航し、今回閉店を決めたという事ですが、普通はここまでの人気店がその人気に陰りが出ない状態で閉店はしないですよねぇ。(人気絶頂の状態で自主的に廃業するっていうのは元祖神戸フレンチのジャン・ムーラン以来か??)やはり気に入った後継者がいないと閉店してしまうというシェフのこだわりが強かったのではないでしょうか。

 

 

普通に考えてカリスマ創業者が起こしたお店を継ぐっていう場合、品質や味で前オーナーと同じようなこだわりと技術を兼ね備えて、しかも既存のスタッフをグイグイひっぱるリーダーシップをすべて持っている人が現れる事は絶対にないですよね。

普通のケースでは味や技術へのこだわりを薄くする代わりに初代オーナーよりも、より組織運営とかマーケティング・ブランディングに長けた会社経営者に譲渡されるという事になると思うのですが、それすら恐らく拒否したのではないでしょうか?(ありゃ、勿体無い!!…ってあくまでも私の勝手な推測に過ぎませんが…(^_^;)もしそうだとすれば、潔いというのか、どこまでも偏固というのか…やはりカリスマたる所以なんでしょうね。

「高杉閉店」のニュースを知ってから、私も閉店までには一度ケーキを買おうと思ってそごうの高杉には何度か足を運んだのですがいつも売り切れだったので、閉店が迫って最後のチャンスの日に朝一番に行ったんですが長蛇の列。

あきらめてクリニックに行くと、甘いもの好きのNさんが並んでくれるという事になったのでみんなの分を頼んだら、1時間以上並んで無事ケーキをゲットしてくれました。列に並んでいたおばさんとお友達になるくらいの待ち時間だったらしい。ご苦労様でした。おかげで高杉の最後のケーキを味わう事ができましたが、こんな名店がなくなるなんて残念ですねぇ。でもここまでいくと高杉さんの頑固一徹な姿勢にはある意味感心してしまいます。

 

 

さてこの秋は、グルメを兼ねてイタリアと札幌の学会に行ってきました。(学会とグルメを兼ねるのは秋には限らないんですが…。)イタリアの学会には、今年は事件があって春にモナコの学会に行けなかったし、年に1回は1週間程度の学会出張を入れないとスタッフの年間休日120日以上を達成できないので…といろいろ言い訳しながら行きました。

イタリアと言えばイタリアから機械を輸入していて年に数回イタリアへ行くというイタリア通の同級生Gさんと、年に1か月はヨーロッパに行く東京のK氏という2人の強い味方がいます。私自身は過去4回しかイタリアへは行った事がなく、そのうち3回は約20年前と30年前ですからその頃の記憶は全くあてになりません。

5年前にベニスのリド島であった学会に行った時もこの2人の助けを借りましたが、今回も助けを借りまくりました。今回の学会はローマであったんですが、K氏にその話をすると「ローマならナポリまで電車で1時間ですし、ナポリの近くのカプリ島から、船でポジターノへ行くのがいいですよ! あそこは一生に一度は絶対行った方がいいと思いますよ!」という強いお勧めが。

私としては20年前と30年前に行ったフィレンツェのミケランジェロの丘からの眺めが忘れられず、ローマからフィレンツェを訪れる計画を立てようと思ってK氏にフィレンツェでお勧めのホテルを聞いてみたんですが…。

 

 

「フィレンツェのホテルなら、ANTICA TORRE DI VIA TORNABUONIが屋上テラスからの眺めもとても素晴らしくていいですよ。でもやっぱりイタリアは北より南ですよ! 海は青いし魚は美味いし。カプリのレモンの木の下で食べるビュッフェは今まで食ったビュッフェの中で一番美味かったなぁ! それにポジターノはね、街がかわいいんですよ! ピンクやレモン色の壁の建物がたくさん崖に建ってて、細い道の両側にかわいいお土産物屋さんがいっぱい並んでて。

世界一美味しいバーバ(サバランのようなお菓子)が食えるカフェもありますよ!」K氏はまるで乙女のようです。なんでそんなに詳しいの?? でも、「一生に一度は絶対行った方がいい!」なんて言われると、ポジターノにも行ってみたくなりました。片やイタリアに100回は行っているというGさんはフィレンツェに定宿があり、フィレンツェのあそこの角を曲がったらかわいいお店があって…というフィレンツェ通。Gさんの話を聞くとフィレンツェも捨て難く、この先イタリアで学会なんかいつあるか分からないし…と、体力のなさを心配しつつも学会の前にカプリとポジターノ、学会後にフィレンツェという強行軍を組んでしまいました。

 

 

船や電車の時刻表はGさんにメールで送ってもらい、ちゃんと乗れるかな…と心配していましたが、今回韓流B君の代わりに荷物持ちに連れて行った後輩はてっちゃん(大阪近辺では鉄道マニアの事をこう呼びますが、皆様もご存知ですよね?)だったので、電車や船の時間や乗り継ぎ、値段などしっかり調べてくれて意外と役に立ちました。飛行機はローマ発着だったんですが、てっちゃんのおかげでローマ→ナポリ→カプリ→ポジターノと無事に乗り継ぐ事ができたんです。

5年前のベニスでの学会では電車に乗らなかったので、イタリアで電車に乗るのはなんと20年ぶりです。昔乗った電車はお世辞にも綺麗とは言えず、3時間遅れはざらでしたが、今回乗ったITALOという特急列車はすごく綺麗で各席に電源もあり、飛行機のように飲み物の無料サービスまであるんです! そして何回か乗ったうち、遅れたのは1回だけで、しかもわずか10分。

イタリアも時代と共に変わったんですねぇ。Gさんは3年前にITALOが70分遅れた経験をしたそうですが、最近は特急はあまり遅れない事になっているそうです。ポジターノの風景はK氏の言う通り素晴らしく、K氏お勧めの世界的に有名だというホテルSirenuseでランチしたんですが、そのレストランからの眺めは絶景でした。

この景色って何百年も変わってないんでしょうね…。まぁ料理は一番美味しかったのがルッコラのサラダで、価格は風景料といった感じでしたが。私はK氏ほど買い物には興味がないのでかわいいお店には無関心だったんですが、ランチのシャンパンで酔っぱらって、普段買わないアクセサリーなどを買ってしまいました。しかしその後大雨に遭い、K氏お勧めのレモンの木の下でのビュッフェには行けず残念でしたが…。

 

 

もう一つの学会は札幌での美容外科学会です。札幌でのグルメは整形外科時代の知り合いの先生と、いつもお取り寄せをしている二条市場のお店「K屋」のオーナーにお世話になり、整形の先生には行きつけのお鮨屋さんに連れて行ってもらって「K屋」のオーナーにはこれまた行きつけの小料理屋さんに連れて行ってもらいました。

「K屋」からは、十年以上前から毎年夏に生ハムメロンを取り寄せているんですが、実はこのお店との付き合いは母の代からで30年以上になります。まだ今のオーナーのお父さんがお店をしていた頃、母が務めていた日銀(日本銀行)の研修で札幌に行き、二条市場で買い物をした時に浪花のおばちゃんのノリでオーナーのお母さんと仲良くなって一緒に写真を撮り、それからカニやとうもろこし、エンドウ豆や梅などいろいろなものをお取り寄せするようになりました。

母の影響でいつ頃からか私もそのお店からお取り寄せをするようになり、今は毎年夏になると生ハムメロンやスイカやサクランボ、塩水ウニやホワイトアスパラ、たまにとうもろこしなども頼んでいます。ここのオーナーもこだわりの人で、メロンも「夕張は香りが違うからなぁ」とか、生ハムも手に入りにくい肉屋のものなんですが「他のも探したんだけど、やっぱり香りが違うんだよねぇ」と北海道なまりの説明付きで、いつも美味しいものを探して送ってくれます。

 

 

そんなK屋ですが、本当にアナログで昔ながらの商売しかしてないのが玉に瑕。ネットやメールでの注文はないのは勿論、すべては電話対応なのでとにかく間違いが多い。(特に親父が夜は酔っ払っている事が多く、携帯電話で「はいはい! 分かったよぉ!」って言っても全然分かってない事も多いんです。

この前もホワイトアスパラをホワイトコーンと間違えて、とうもろこしばっかり10本来た事がありました…トホホ。)そして注文時にざっくりの値段は教えてくれるんですが納品時には伝票が入っていません。いつも季節の最後にまとめて伝票が来るのであとで確認する事になるんですが、今年はちょっと高いなと思って確認してみると、美味しくていっぱい頼んだホワイトアスパラが一束600円だったのが、途中から2000円になっているではないか! ぼったくりちゃうの? と思って聞いたら「2000円のはいいもので太いんだよ。キロでいってるからさぁ」との事。

鮨屋の時価みたいですね。まぁサクランボが傷んでたとかウニが美味しくなかったとか文句つけたのは全部引いてくれてたし、間違えて多かったとうもろこしも引いてくれてたのでよしとするか。古き良き昭和時代のお店だけど、こだわりで美味いもの好きの「K屋」との付き合いはまだまだ続きそうです。

 

 

あ…なんだか学会に行ったと言いながら、その情報はなくてグルメの話ばかりですいません。一体何しに行ってるの? と思われるのもなんなんで、実際に学会で仕入れた情報の一部を紹介します。

札幌での美容外科学会は今回はビデオライブが満載で、普段あまり見る事ができない手術や解剖・注射の手技などを実際にビデオで見る事ができ、かなり勉強になりました。学会の発表形式も時代と共に進んでますね。昔はブルースライドと言って、ショボいスライドを写真屋さんに作ってもらってましたが、今は全然違います。そこで仕入れた情報を元に、帰って早速新しい治療の実験を始めました。

まずは美肌再生のリジュラン。鮭から抽出したポリヌクレオチド(核酸)が主成分の注射です。ポリヌクレオチドは表皮の基底膜や真皮の線維芽細胞に作用していろいろな成長因子の産生を促し、皮膚のキメやハリを回復するだけではなく、傷んだ基底膜を修復して炎症や赤み・シミ・毛穴も改善するらしい。輸入業者からすごく痛い注射と聞いて痛がりのNちゃんはびびりまくっていたので、まずは痛みに強いUさんと私が麻酔なしで試してみましたが、薬剤を注入する時は痛くありませんでした。

しかし付属の針がすぐに切れが悪くなり、痛みに強いUさんでも5ポイント打っただけでかなり痛そうだったので、いつも使っている細い針に変えたところ大丈夫に。私も3ポイント打ったところで痛くなって針を交換したら大丈夫でした。なんだ。リジュランの痛さは針のせいだったのか。しかし、皮内に浅く打つ方が効果があると聞いていたので浅く打ったら、ボコボコになってしまいました。膨疹は普通は1日で引くと聞いていたのに、3日目も腫れていてかえってシワが目立つ状態。

こらあかん。内出血もあったので、内出血を早く引かせるというメロンから作ったサプリを2人で飲みました。Uさんは腫れは3日で引きましたが、私は5日かかったので、今度はK君に若干深めに打ってみました。K君は顔の注射は初めてだったので「緊張ニナル」とビビっていましたが、貼る麻酔をすると「全然痛クナイ!」K君は肌が弱いので直後は膨疹と腫れでちょっとボコボコになりましたが、翌日には腫れは引き、3日後にはニキビはましになってお肌はツルツルに! 私も腫れが引いたら小ジワが少し良くなり、Uさんもクマと小ジワがちょっと良くなりました。3回くらい打つとかなり良くなるとの事なので楽しみです。シミや毛穴にも打ってみようと思うので、また経過をご報告しますね。

 

 

人気絶頂の中で惜しまれながら閉めてしまうお店があるかと思うと、昭和の時代から何も変わらず同じスタイルで(恐らく親父が死ぬまで)続けているお店もあり、そして何百年も前から同じ風景の中で何代にも渡って続いているお店もあります。

また、ほとんどのお店はそれが存在した事実すら忘れられてしまい、誰の記憶にも残ってないのかもしれません。それぞれのオーナーの人生観や生き方なんでどれが一番いいというような事は言えませんが、私だったらどうかな? やっぱりジリ貧の状態で忘れられてしまうより、ある程度人気もある状態できちんとケジメをつける…って事がいいのかな?って思います。

でもその為には「人気店になる」っていうのが先ですよね。ケジメのつけ方を考えるよりは、まだまだ頑張らねばならない事が残っていますので、それに邁進した方が良さそうです。皆様の応援、よろしくお願い致します!!