第173回「イーサン・ハントも失業の危機?」

  

 

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。梅雨も明け、本格的な夏がやって来ましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

私はと言えば…この1年煩わされていた厄介な事件がやっと片付き、久しぶりに東京へ潜入調査に行ってきました。東京に行くのですから今回はポルトガルから無事帰国されたであろうK氏とグルメも…と思って電話をかけると、「実はポルトガルへは行かなかったんですよ…」 「え?? どうしてですか?」 話を聞くと、可愛がっていた2匹の猫が次々と病に臥せってしまい(実際はかなりの年で老衰であったようですが)、看病のためにポルトガル行きを諦められたそうな。主治医に 「もう無理です」 と匙を投げられてから、ダメ元でプラセンタ点滴をしてみると、なんと1ヶ月以上も寿命が延びてしまい、ずっと看病を続けた結果ついにポルトガルに行けなかったのだとか。

まぁ…瀕死の状態の猫に大量のプラセンタを点滴するというのは獣医の世界ではあり得ない話なので、主治医の獣医さんもビックリ仰天していたそうです。「本当にあり得ないです。こんなの初めてです。ここまで末期の猫の寿命が延びた例は私は初めて見ました。一体これは何が入ってるんですか??」 とプラセンタの威力に目を白黒させていたそうです。だからと言って末期症状の猫の寿命を延ばすという論理的解明がされた訳ではなく、ましてや末期症状の人間に大量投与できる訳ではありませんが、もしかしたら科学技術が進み、このような事象も論理的な解明がされる日が来るかもしれませんね。

 

 

さて、潜入調査の方ですが…。今回はどこに行こうかな?と雑誌を検索。すると、面白そうなクリニックが見つかりました。「〇参道 be spokeサロン」。『ビィスポーク』とは、be spoke(話し合う)というイギリス英語で、洋服や靴をオーダーメイドで仕立てる時に用いられる言葉だそうです。ひとつひとつ確認しながら、できる事できない事を話し合ってお客さんの希望をできるだけかなえる注文の仕方を『ビィスポークオーダー』と言い、「be spokeサロン」というのはいわゆるカウンセリングを行う場でもあり、美容医療に関する様々な質問にお答えする場でもあるそうです。

早速予約を入れようとしたら、6・7月の予約はすでにいっぱいだとか。えーっ、超人気サロン??と思いきや、院長が九州のクリニックから月2回しか東京に来ないそうで、すぐに予約が詰まってしまうらしい。こらあかん…。ここはまた次の機会にするとして、急遽一昨年潜入調査に行ってなかなか良かったSクリニックに変更しました。

今話題の「サイトカイン療法」という新しい治療をしていたので話を聞きたかったのと、最近ストレスからか寝てる間に食い縛ってるようで、朝起きたらえら辺りが痛いので、えらボトックスでもしてもらってお手並みを拝見しようと思った次第です。Sクリニックは一昨年は分院と2軒だったのが、銀座にも分院を出して拡張したらしい。院長先生は銀座の新しいクリニックに移られたと言うので、新しいクリニックも見たかったのでそちらを予約。直前に電話したんですが、すぐに予約が取れました。

 

 

せっかく東京に行くので、ポルトガルに行きそびれたK氏は傷心しているに違いないと思い、慰める会という口実でグルメも計画。(実際にはK氏はすこぶる元気でしたが…。)しかしK氏は3週間のポルトガル旅行の帰国予定後に宴会を詰め込んでいたため夜は空きがなく、ランチしか無理だったので、K氏とのランチ後にSクリニックの潜入調査をする事になりました。しかしさすがにワイン好きのK氏、ランチでもシャンパーニュをボトルで空け、その後もグラスでワインを何種類も。

つられてお昼から飲み過ぎ、少し酔っぱらいモードで潜入調査に行く事に。(これが本当のスパイだったらこの時点で命はないな…(^_^;)Sクリニックの院長先生のカウンセリング中に眠くなってきたのですが、必死にこらえながら聞いたサイトカイン療法とは…お臍や膝の裏・太腿の付け根など、目立たない部位を数ミリ切開して自分の脂肪を米粒大採取し、そこから分離した脂肪幹細胞を細胞培養処理施設で1カ月ほどかけて培養し、サイトカインエキスを精製して4~5回に分けて同じ部位に繰り返し注入するというもので、小ジワやクマなど肌のハリを出したい部位の治療や、薄毛治療にも使えるようです。サイトカインというのは細胞が分泌する成長因子などの蛋白質の総称です。

サイトカイン療法は、元々は再生医療新法という法律ができて、PRPを行うためには国への申請が必要になり、その申請方法が煩雑で手間がかかるのでPRPを行うクリニックが激減したため、申請をせずに細胞を活性化する治療として始められたものらしい。PRPは細胞を使うから申請が要るけど、サイトカインは細胞ではないので申請が要らないという事でした。

 

 

Sクリニックのサイトカイン療法は細胞採取から数回の注入までトータルで40万円だそうです。サイトカイン療法の話を聞いた後、えらボトックスの話を聞くと、えらボトックスをすると頬のたるみが気になるかもしれないという事で、超音波による引き締め効果を謳ったウルトラフォーマという施術をめちゃめちゃ勧められました。

しかしそれは、1回20万円以上するそうな。サイトカイン療法といい、ウルトラフォーマといい、良心的価格を売りにしているSクリニックらしからぬお値段。やっぱり銀座に進出すると出費もかさむからかな? …ちょっとお試しにしてもらおうと言うには気が引ける価格です。何とかカウンセリングを終えて、えらボトックスを打ってもらう事に。

ウルトラフォーマは結構痛いとの事で断念したので、たるみを出にくくするために少なめにしましょうか?と、ボトックスは10単位にしてくれました。S先生は、えらボトックスは針を刺すのが痛いから、刺すのは1箇所にして何方向かに針先の方向を変えて薬を注入するのだと言われましたが、実際にしてもらうと薬を注入する時が痛いので、刺すのを1箇所にするメリットはなかったな。

そう言えば、銀座のクリニックは広さも部屋数も以前のクリニックの数倍ある感じで、私が行った時はガラガラでした。店舗を増やしたり、移転・改装して箱が大きくなった途端に美味しくなくなって暇になるレストランは多いんですが、Sクリニックにはそうなって欲しくないですね。

 

 

潜入調査に行く時はもちろん医師である事は隠して偽名を使って行くんですが、ここでイーサン・ハント絶対絶命の危機が訪れます…。ランチで結構酔いが回ってしまい、ポイントカードの利用規約のサインを求められた時につい本名をサインしてしまいました。慌てて消して「あれ? 離婚する前の名前を書いてしまったな…ふにゃふにゃ…」とごまかしたんですが、危ない、危ない。名スパイともなれば大きな危機もアドリブでかわしてしまうもんです。

しかし、神戸に帰ってから、サイトカイン療法やウルトラフォーマなど、Sクリニックでもらった説明書を読もうと思って出してみると…ありゃ!! えらボトックスの同意書に本名をサインしてしまっているではないか!! …これは大失敗!! K氏にこの件を話すと大笑いされました。

「いやいや…それは申し訳ない事をしましたねぇ。名前を検索すると、先生だってすぐに出てきますよ」 実際に検索してみると、ほんとだ。やばい!! もうSクリニックには行けないなぁ。残念。良心的なクリニックだし、院長先生のブログには患者さんを綺麗にするんだ!という熱い思いが語られていて、2年前に行った分院のH先生も勉強熱心で丁寧な先生だったので、東京ではお気に入りのクリニックだったんですが…。S先生、ごめんなさい。…Mission failed。

しかし生化学の専門家であるK氏とサイトカイン療法の話をしていると、サイトカインというのは成長因子などの蛋白質、つまり物質であり遺伝子がないので、自己と非自己の区別がないため、自己の細胞から抽出する必要はないとの事。

考えてみるとそれはそうですよね。自己の脂肪幹細胞を培養して得るサイトカイン…というのはPRPに代わるものとして、自己のものであれば安全であるというイメージを持たせる、マーケティングの意味合いが大きいように思います。それに、脂肪幹細胞を培養しただけで得られるサイトカインが、PRPで血小板を高濃度にして活性化させた時に放出するサイトカインの量よりも多いのかは疑問です。それを比較した実験の文献もないので、もう少し検討が必要でしょうね。これも時代が変われば様々な研究によって明らかにされていくと思います。

 

 

さて潜入調査失敗の落ち込みから、気を取り直して診療に励んだのも束の間、今度は中国からせっかく呼び寄せたKさんが当院を辞める事になりました。理由は、憧れの東京で働いてみたいとの事。若者の夢を止める訳にもいかないので、仕方なく募集を出す事に。

前回はとらばーゆに出して一人も応募がなかったので今回はリクナビに戻したのですが、全然応募が来ません。以前のようにパソコンができる人などの条件を外して敷居を低くしたのにも拘わらず、です。去年は給与を上げたのにも拘わらず、応募は年々少なくなってる気がします。

仕方がないので久しぶりにハローワークに出す事にしました。5年ほど前に一度出したのですが、あまり反響がなかったのでしばらく放置していたら、システムが変わっててえらい事に。以前は担当のおじさんがクリニックまで来て原稿を作ってくれたりしたのに今はいちいち行かないといけないし、この時代にネットやメールでのやり取りができないなんて。

おまけに年間休日を計算する時に、半休2日で1日と数えてはいけないとか言われました。なんで?半休でも休みは休みやん!?と思いましたが、今の若い人は半休でも出勤したら休みという気にならないとの事。そして年間休日が120日以上でないと人気がガクッと落ちるというのです。えーっ?? 年間休日120日以上なんて、3日に1回休みやん?? そんなに休んでどうすんの??って思ってしまうんですが…私はやっぱり昭和世代なんですねぇ。

 

 

経営者仲間や他の会社の人事担当の人達と話をしてみると…「きょうび月8日休みなんかじゃ全然応募来ませんよ!月10日でやっとですねぇ…」「年間120日以上? 今はそれが普通ですよ。仕事の内容とか給料よりも、休みが多いか少ないかで会社決める若者が多くなってるみたいですからねぇ。

休みが多くないと、いい人も取れないみたいですよ。時代は変わりましたよねぇ…」うむ…。そうなのか…。考えてみると当院の休みは水曜日は1日ですが、土曜と祝日は午前は診療してるので、休みは半日です。私が学会に行く時は休診になるのでトータルの休みは多いのですが固定の休みが少なく、半休が多いので今の若い人には受けないのかも。

シフトで完全週休2日制にするのがいいんでしょうけど、今は人手不足でその余裕もありません。今いるスタッフは昭和な子と留学生なので「もっと休みが欲しい」などとは言わないのですが、応募が来なくては業務が回せず皆様にご迷惑をおかけする事になってしまいます。そこで思い切って、休診日を増やす事にしました。今まで半休だった祝日を全休に。土曜は午後休診、火曜は午前診療で午後研究日でしたが、火曜の午後研究日を土曜の午後に移動し、火曜は隔週休診に。そうして必ず行く学会の他に毎年1週間の海外出張を入れれば、年間休日120日以上を達成できます。

ドヤ顔でハローワークに連絡すると、火曜休みでない日に土曜の午後研究日にすると、週44時間勤務を超えてしまうので労働基準法に違反するとクレームをつけられました。仕方なくその週は土曜午後を休みにする事でなんとかクリア。

 

 

しかし本当に時代は変わるもんですねぇ。私が働き出した1年目なんかは1日も休みなかったのに。週に2日は徹夜して、平均睡眠時間は2-3時間、恐る恐る時給を計算したら176円だった…。しかしまぁ職種も違うし、30年前の話ですからねぇ。

30年前と言えば、友人がアメリカに留学していた時に、ニューヨークのすし店のすし職人が「こっちは週休2日だからいいよぉ」って言ってたそうです。当時日本ではすし職人でなくても職人さんは修行と称して休みなどはほぼなかった時代ですから、近年日本もやっと先進国の仲間入りをしたって事でしょうかね。…という訳で、当院も8月から水曜定休日の他に祝日休診、火曜隔週(第2・第4火曜、9月のみ学会の関係で第1・第3火曜)休診とする事にしました。

その代わり、診療終了時間を昨年30分早めたのを元に戻し、平日19:30までだったのを20:00までに、日曜19:00までだったのを19:30までに変更する事にしました。平日はやはりお仕事が終わってから受診したいという方が多いため、休診日が増えてご迷惑をおかけする代わりに診療時間は延長し、皆様にお越しいただきやすくするように考えました。

 

 

時代の流れに取り残されないように、私も脳が退化しないようにプラセンタ打たなきゃなぁ…。そう言えばスパイ映画も昔は情報を得る最大の手段は電話や隣の部屋の会話を盗聴したり、書類の保管庫に忍び込んでマイクロフィルムの写真を取ってくる…という事だったので、危険を顧みない体を張った頑張りが成果を上げていました。

しかし今ではすっかり手法が代わり、コンピュータネットワークに侵入して情報を盗み出したり、遠隔操作をするって事になったので映画を見ていても実際に何が行われているかが良くわからないんですよね…(^_^;)。薄暗い部屋で大型画面見ながらキーボードをカチャカチャ…っていうのが現代のスパイのようです。その内、「体を張って頑張るイーサン・ハントタイプ」のスパイはお払い箱になるかもしれませんね。その前にスパイだって年間休日120日以上じゃないと誰もなりたくないって言うかもしれないしなぁ。

各種保険に残業代、危険手当とか年金の積み増しとか色々要求されそうです。「君の頑張りは国家の危機を救うのだよ!」なんて言われても「じゃ…別の方へ依頼して下さい…」で終わりかもなぁ…。体張って頑張るタイプのイーサン・ハントも失業の危機だな。しみじみ時代も変わりますね。私も必死に時代の変化について行き、なんとかより良い治療をお届けできるように頑張りますので、今後とも宜しくお願い致します~。