第172回「長生きのコツは?」

  

 

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。梅雨に入り、いまいちなお天気が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

6月と言えば、毎年開催される抗加齢医学会、そして私の誕生月です。また一つ年をとってしまうので、まさしく加齢に抗わなければなりません。今年の抗加齢医学会は、グルメだけが楽しみの私が大好きな東京で開催されました。会場は東京国際フォーラム。広くて造りが複雑で、迷子になりそうな建物です。抗加齢医学会の話題はこのクリニック通信でも何度か取り上げたと思いますが、いろいろな科のスペシャリストが講演するのでなかなか面白い学会です。

抗加齢医学会はいつも10以上もの会場で同時に講演があり、とても全部は聴ききれないので、美容やサプリメントを中心にその年のホットな話題の講演を聴く事が多くなります。毎年体に良いというサプリメント原料の研究結果がたくさん発表され、今年もブラックカラント・ビルベリー・サンタベリー・葡萄種子ポリフェノール・オリーブの葉と赤葡萄・ヤングココナツ・マンゴスチン・シイクワシャー・玄米・緑茶・黒ショウガなどの抽出エキス、エクオール(大豆イソフラボンの一つであるダイゼインの代謝物)など多くの原料の抗酸化作用や抗炎症作用、いろいろな症状の改善作用などが発表されていました。各国で昔から「体に良い」とされていた物の効果や作用機序が科学的に解明されてきたという事も多いようです。

企業展示のブースもたくさん出展していて、いろいろな測定器を展示している企業も多いので、体内の酸化度や糖化度を測定したり、サプリメントのサンプルをもらって試したりするのも楽しみの一つです。

 

 

そして最近は見た目に関する講演も多くなってきました。「見た目が若いと長生きする」という事も、この学会では常識のように話されています。同じ年齢でも若く見える人とそうでない人がいますが、同じような遺伝子背景を持っている双子でも、その後の生活や環境の変化によって見た目年齢に違いが出るそうです。

デンマークの双子の研究では、70歳以上のデンマーク人の双子1826人を対象とし、2001年に全対象者の顔写真を撮影して年齢を推定し、その後7年間の追跡調査を行ったところ、7年間に死亡した人の多くは実年齢よりも老けて見えた人で、双子の見た目年齢の差が大きいほど、老けて見えた方が早死にする傾向が強かったそうです。この結果からも、見た目が寿命に関わっている事が分かりますね。見た目が若く見える要因としては皮膚・髪・体型・姿勢や歩き方・ファッションなどがあり、最近は見た目を若くする生活指導などもされているようです。

 

 

今年面白いなと思ったのは、「笑いの抗加齢効果」という講演です。笑う事が体に良い影響を与えるという事は経験的に知られてきましたが、その科学的根拠が近年報告されるようになってきました。

これまでにも関節リウマチの痛みの改善やアレルギー反応の改善効果が報告されていましたが、笑う事によって生活習慣病や認知症を予防できる可能性もあるようです。そして笑いの頻度と高齢者の認知機能・身体機能の関連を検討する研究で、笑いの頻度が少ない人ほど認知機能低下症状を有する人が多く、外出の頻度が少なくなって身体機能も低下している人が多い事が分かったそうです。

「笑い」は家族や友人と話している時に最も多くなり、人と人との繋がりが多いほど増える事も分かったようで、人とのコミュニケーションを増やす事で笑いを増やす事ができるそうな。マウスを使った実験でも、「笑い声」を聴かせたマウスは健康状態が良くなり、「ごきげん」マウスはストレス耐性が高まる事が分かったらしい。人もマウスも「ごきげん」である事が健康を促進するんですね。

 

 

…って事は、見た目が若くてよく笑う人が一番長生きするって事になりますが、そうなると「明石家さんま」は間違いなく長生きするって事になりますよね? だってあの方は62歳でしょ? とてもそんな年には見えないし、テレビで見る限りいつも笑っているので相当長生きするかもしれないな、と思いますよね。ただ、ここで気をつけなければならないのは「よく笑う」と「よく笑わせる」とは全く違う概念ですし、ましてや「よく笑われる」とも全然違うという事です…^^;)。

「良く笑わせる」に所属するお笑い界のスターの皆さんはどうも長生きの方ばかりだとは思えません。一つには「芸のためなら女房も泣かす…♫」というような大酒飲みのハチャメチャな生活をしている人が多いからかもしれませんが、それ以上に「毎回必ず笑わせないといけない…しかもリアルタイムで…」というプレッシャーは常人には理解できない強烈なストレスを体に与えているのではないかと思うのです。

私は平成の爆笑王と言われていた「桂枝雀」さんの大ファンだったんですが、残念ながら最盛期と思われている時期に自殺未遂を図り、入院してそのまま帰らぬ人となりました。(歌といい登場人物といい、毎回古い話で恐縮です)…どうもスイマセン(一応、初代林家三平のつもり)。

枝雀さんなんかは実力派で、人気も絶頂だったと思いますし、仕事のオファーも途切れる事がない売れっ子だったのに、自殺を図るなんて普通の人には理解できないと思います。確かに一回限りの舞台で「お客様の期待を裏切らないように絶対に笑わせねばならない」というのは相当なストレスだったのかもしれませんね。

 

 

よって私見ですが、長生きの順番は「良く笑われる」>「良く笑う」>「良く笑わせる」なのではないかと思います。ここで難しいのはなぜ「良く笑われる」>「良く笑う」…なのかです。はい。すいません。ここには何の論理的根拠もありません。

ただ、私の拙い人生の中で見聞きした経験則だけです。私はずっと医者の世界で生きてきたので世間知らずなところがあり、患者様を除けば付き合いのある人も多くは大学の先輩後輩や医者仲間になります。それらの交友関係の中だけの話で言えば「将来を期待されているような人に限って短命」という気がしてならないのです。

勿論、将来を期待されているような人が若くして亡くなると印象に残りやすいという事は否定しませんが、それを差し置いても事実としてその傾向が非常に強いのでは…と思います。特に若い時に業績を残すような人にその傾向が強いのではないでしょうか? それに引き換え「よく笑う」というのは、良くも悪くも一般的な人がこの枠に入るのではと思います。そして強者は「よく笑われる人」だと思います。

これは言い方を変えれば「天然ボケキャラ」の人です。このキャラの人で今まで周りで若くして亡くなったという人を聞いた事がありません。おそらくこのキャラの人の大半は天寿を全うしているのではないでしょうか…^^;)。

人の事は言えませんが、このキャラの人は羨ましいくらいマイペースですし、ストレスが多いようにも思えません。(人を笑わせている事すら気づいてない人の方が多い…。)という事で、私が勝手に決める長生きランキングでは「見た目が若い天然ボケキャラ」が堂々の一位獲得です!

 

 

まぁ…そんな話はさておき、学会の後はグルメです。今回は東京のグルメリアK氏は毎年恒例の3週間休暇(例年はプロヴァンス旅行だが、今年はポルトガルらしい。あぁ、羨ましい…)で不在なので、K氏にお勧めのお店を教えてもらって、東京在住の後輩と出かけました。今回教えてもらったお店は、リーズナブルで美味しい南仏料理を食べさせてくれるところ。

私たちが自腹で行けるくらいのお値段なのに、お料理もワインも美味しい事! K氏の紹介と言って予約したら、シェフが挨拶に来てくれて、シャンパンまでサービスしてくれました。「K様にはいつもお世話になっておりますので…」と、K氏はここでも有名人。さすがK氏。そのお店のワイン会などにもしょっちゅう行かれているそうです。

今年はいろいろあってモナコの国際学会には行けず、南仏料理にもありつけなかったので、南仏仕込みのブイヤーベースが味わえて感激しました! 思わず笑みがこぼれます。これこれ、健康のためには「笑い」がやっぱり必要ですよ! やっぱり「ごきげん」である事が必要なのだ! とグルメのいい訳をしつつ、夜は更けていくのでした…。(でも飲み過ぎ・食べ過ぎは逆効果ですけどね。)

 

 

学会から帰ると、実験にもいつもより身が入ります。今回は、引き締め効果の強い新輪郭注射とシワ・たるみ用新輪郭注射の体への応用を考えてみました。新輪郭注射は輪郭注射の引き締め効果を強めたもので、お試しいただいた方にはかなりのご好評をいただいています。

シワ・たるみ用新輪郭注射は引き締め効果によって脂肪の少ない部分のシワやたるみを改善する注射で、お試し企画では同様の目的のペリカン注射よりも効果があるとの評価と統計結果が出ましたし、メニュー化後も人気の治療です。それらを体にも応用できると考え、脂肪の多い部分には新輪郭注射、脂肪が少なくシワやたるみの多い部分にはシワ・たるみ用新輪郭注射と打ち分けて実験中。また結果をご報告しますね。

 

 

さて、私の好きな映像で桂枝雀さんの「夏の医者」があります。YouTubeにも挙がっていますので、もしよければ皆様もご覧ください。(ただYouTubeってすぐ削除されるから、皆様が見られる時にまだあるかどうかは分かりませんけど。)話の内容は、超田舎の村で畑仕事をしていた親子がいて、お父さんが熱中症で倒れてしまったところから始まります。息子は医者を呼びに行くのですが、いわゆる無医村なので山を三つ越えて行かなければなりません。

勿論、落語に出てくる人物なので、医者を呼びに行く息子は超天然ボケキャラだし、呼ばれた方の医者も輪をかけた天然ボケキャラです。二人は道中で一服する為に松の木に腰かけるのですが、これが実は松の木ではなく大蛇で、二人共大蛇に飲み込まれてしまいます。

ここまでは二人共大ボケキャラ全開だったのですが、二人が大蛇の腹の中に飲み込まれた後は一変します。息子は大蛇の腹の中でオロオロするばかりなんですが、医者の方はでんと腰を据えてまずは煙草を一服。そして持っていた薬箱の中から下剤となる薬をお腹の中で撒いて大蛇の腹を下す事で二人共助かるというストーリーです。ただ、こうやってテキストでストーリーだけを書くと何にも面白くないのですが、そこはもう桂枝雀さんにかかると大爆笑のオンパレード。終始笑いをこらえる事ができない面白さなんです。本当に天才なんだなぁ…と感心する事ひとしお。

 

 

映像を見ている間は終始大爆笑なんですが、そんな中でもこの「やぶ医者」のキャラにはある意味感動するところがあります。道中は二人共大ボケかましでどっちもどっちだったのですが、大蛇に飲み込まれた後は「あ…腐っても医者。やっぱりプロとはどんな状況に陥っても冷静さを失わず、自分のスキルを信じて最後まで望みを捨てずに事態を打開しなきゃいけないんだ」って妙な使命感を自分に与えてくれるのです。

以前私は、整形外科医として手術も沢山していたので、手術中の患者さんの急激な容態変化などで手術室に緊張感が走り、スタッフ全員が凍りつくようなシーンが何度もありました。その凍りついた状態では全員が主治医の指示待ちになります。ここでどう判断するかでその患者さんの生命までもが決まる緊張の一瞬です。この時は自分を信じてベストと思う処置を一瞬でも早く行えるようにスタッフに指示するしかありません。

美容医療に転身してからはそのような命に関わる大きな決断をする事は殆どなくなりましたが、それでも患者様の大切な顔に施術をするので、失敗すると大きなダメージになる事には変わりありません。そのような緊張感の中で仕事をしているので、もしかしたら私も寿命が短いかもしれないから、せめてお笑い映像でも見て「よく笑う人」の仲間入りをしなきゃ…という話を友人にしたところ、「大丈夫よ…貴方は間違いなく『よく笑われる』側の人だから…一番長生きするんじゃない?」という最高の褒め言葉?? をいただきました。

まぁ…いずれにせよ長生きできるんだったらいい事ですね。あとは見た目の若さを保てば良さそうです。グルメで増えてしまった脂肪は新輪郭注射で減らし、みんなで見た目を若く保って、楽しく長生きしましょう!