第162回 (2016年9月)「縁の下の力持ち」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。今年の夏は本当に暑かったですねぇ。この暑い夏にリオでのオリンピックは選手も大変だなぁ・・・と思いましたが、よく考えるとリオは南半球だから冬でしたね。映像を見ると冬の感じはしませんでしたが、日中の気温は22℃くらいだそうです。リオ・オリンピックでは日本選手の活躍は目覚ましく、様々な種目でメダル獲得がありましたね。中でも個人的に嬉しかったのは卓球でのメダル獲得です。水谷選手は本当に凄い! 過去15試合で一度も勝った事のない許昕選手にオリンピックという大舞台でフルセットの7-10と追い込まれたところから大逆転して勝つなんて、なんという精神力の持ち主でしょう!! 惜しくも男子団体は銀、女子団体は銅でしたが、メダルが取れて良かったですね~。ハイライトを何回も見てしまいましたが、水谷選手と許昕選手の、レシーブを構えた時のおでこのシワが気になってしょうがなかったのは職業病でしょうか・・・^^;)。兎にも角にも感激!です。



さてこの暑い中ですが、美容皮膚科学会が東京で開催されたので参加してきました。東京もやっぱり半端なく暑かったです・・・。今回は新宿の京王プラザホテルで学会があり、宿泊もそこにしたので前日の夕方に品川に着いてそこから山手線に乗り換えたのが大失敗。いつもはもっと東京駅に近いところである学会が多いので、キャリーバッグも持ってるし駅からホテルへはタクシーで移動するんですが、新宿は品川から少し遠いしホテルが駅のそばだったので、電車でいいかと思ったのですが・・・。山手線のラッシュは半端ない事を考えてませんでした。まさしくギュウギュウ詰めで、これ以上乗れる訳ないやん!という状態でもまだ人が乗って来るのです。「イテテテテ!!」バッグは宙に浮いて止まっている状態。もう死ぬかと思いました。ヘトヘトになった上、駅からホテルが思ったより遠くて疲れ果ててしまいました。その日は東京に住んでる高校の同級生が集まってプチ同窓会を開いてくれたんですが、この状況を説明すると「お疲れさんやったね~」とねぎらってくれました。みんな大阪出身なんで、やっぱり初めて東京に来た時はラッシュの凄さに驚いたそうです。たまに帰省して電車に乗ると、大阪のラッシュは肩は触れないしバッグも宙には浮かないので、ガラガラだと思うんだとか。やっぱり関西に住んでて良かった。今はラッシュとは縁遠い生活である事に感謝・・・。



さて学会の方ですが、ニキビの話題が半分以上でシミ・シワ・たるみの話題が若干少なかったのが少し物足りなかったんですが、今回面白かった話題をいくつかご紹介。一つは角層バイオマーカー解析の話です。バイオマーカーっていうのは人の身体の状態を客観的に測定し評価するための指標となる物質の事です。皮膚の角層(皮膚の最外層)にはバイオマーカーとなるいろいろなタンパク質が含まれているのでそれを利用し、テープで角層を剥がして角層に含まれるバイオマーカーの量を測定する事で、皮膚の状態を評価する方法が角層バイオマーカー解析というものです。例えば、DJ-1というタンパク質は酸化ストレスから肌を保護してシミやシワを防ぐもので、角層にDJ-1が多い人は高年齢でもシワが少ないそうです。またMIFというタンパク質が多いとメラノサイトが活性化されてシミのリスクが増えますし、NGALという皮膚の弾力を保つタンパク質は年齢と共に減少し、NGALが少ないとシワのリスクが増えるそうです。それらの角層バイオマーカーを測定し、肌状態を解析してそれに応じたテーラーメイド型美容液を作成する方法が考えられているとの事で、これは当院のオリジナルコスメに応用できるのではないかと思いました。



もう一つはサンスクリーン(日焼け止め)の話題。紫外線による光老化というものは近年かなり知られるようになってきて、シミ・シワの予防には日焼け止めは必須という考えも広まりつつありますが、どれくらいのものをどれくらいの量塗ればいいかという指標ははっきりしていなかったので、それについての討論がありました。結局SPF(何も塗らない時に比べ、日焼けに何倍時間がかかるかを表した数値。日本人が何もつけないで日焼けし始める時間は約20分と言われているので、SPF40の場合、日焼けするのに20分×40倍=800分=約13時間かかる計算)は15~20で十分だが、塗布量が問題で、2mg/cm2=顔・首では1g(1円玉大)、腕で3gは必要だとの事。塗布量が半分になるとSPFも半分に落ちるそうで、お偉い先生方が盛んに塗布量を多くと言われていましたが、通常の日焼け止めは推奨量を塗るとかなりベタベタになってしまいます。そんなん誰が塗るん? それならSPFの高いものを半量塗ればいいのでは? と思ってしまうのは私だけでしょうか・・・。



このように学会っていうのは研究者の研究発表の場であるので、「科学的な成果」を求められます。観測される事実の考察を積み重ねた上でそこから導き出される結果は論理的な整合性が取れているか・・・が最も重要です。そもそも「見れば分かるじゃん!」っていうような事は研究対象とならない訳で、まだ誰も見た事がない事を「論理を持って推測し仮設を立てる、そしてそれを証明する」という事が求められます。なので上記のように「そんな事したらベタベタで気持ち悪いやん!」っていうような話は企業の製品企画の時に考える事であって、学会発表するような研究者は気にもしません。事実と論理と再現性のみが要なんですね。しかし残念な事に論理的思考能力がこれほど有効であり必要とされるようになったのは、人間の進化の歴史から考えてもごく最近であって、日常の生活は論理だけではどうしようもないし、夢とか感動なんて人の心を擽る事って多くの場合は非論理的な事が多いですね。




最初に書いた卓球のオリンピックですが、もう一つの見どころは見事銅メダルに輝いた女子団体戦でしょう。これがテレビでも注目される最大の理由はなんと言っても福原愛ちゃんが出ているからだと思います。ただ、この福原愛ちゃん・・・って本当に強いの? と言われると結構微妙なんですよね。 小さい頃からテレビに出て、卓球天才少女と呼ばれてはや20数年になります。勿論20年以上も注目され続ける事は万人に一人なので天才と呼んでもおかしくないのですが、私が思うに彼女が注目される最大の理由は「かなりいい線まで行くのにここ一番という時に負けてしまって、泣きべそを見せる」からではないでしょうか? (勿論、その泣きべそに非常に愛嬌があるから人気があるんでしょうね。愛ちゃんの泣きべそを見ると小さな子どもの時から何も変わってない事に妙な安心感を覚え、見ていて優しい気持ちになれるから不思議です。)彼女には非常に申し訳ないんですけど、福原愛が優勝して当たり前の無敵の天才・・・だったらここまで愛されないのではないでしょうか? 必ず、最後一番の大勝負で負けてしまって、あの泣きべそを見せてくれるという事を、みんなどこか期待しているんですよねぇ・・・え? 私だけですか? (今回も団体戦ではしっかり彼女は負けてしまいましたね・・・^^;)銅メダルを取った時の記者会見では「ごめんなさい・・・。足を引っ張ってばかりで。みんなに感謝しています・・・」とまた泣いてました^^;)。



そうなんです。明らかに福原愛ちゃんより他の選手の方が強いと思う事が多いし、今回愛ちゃんがダブルスを組んだ伊藤美誠なんて弱冠15歳であの活躍です。大体15歳とかで世界が注目する晴れ舞台で活躍するなんて、どうなってるんでしょうねぇ。こちとら結婚式のスピーチでも緊張してしまって何喋ったかも思い出せないのに、すごい少女がいるもんです。それに対して福原愛ちゃんは、あれが愛ちゃんでなければ本当に「あんた足引っ張ってたねぇ・・・」って嫌味を言われそうです。でも今回の団体戦ダブルスの試合を見て、私は男子の水谷選手と同じ位感動しちゃいました。だって福原愛ちゃんが見せた、伊藤美誠の力を100%発揮させるリーダーシップはやはりベテランの貫録で、場数を踏んできた包容力の賜物だ!!と思うのです。ずっと伊藤のペースが落ちないように、そしてプレッシャーでやられてしまわないように心のケアをしてあげている姿を見ると、かつての泣きべそ少女が立派な大人の監督になったかのように嬉しくなってしまいました。ダブルスはチームプレーなので、必ずしも自分がファインプレーをしなくても、チームメイトが力を発揮できるようにサポートするという事の方が本当は難しく、それができる人は得難い人材なんだと思うのです。



私も大学時代の卓球部ではダブルスが大好きでした。大会で賞状を取ったのは、シングルスは準優勝と3位の1回ずつしかないんですが、ダブルスは優勝と準優勝が1回ずつと3位が3回あります。もちろんペアの力が大きかった時もありますが、それぞれがシングルスで戦うよりもダブルスを組んだ方が強かった事も多く、大学のチームも個人戦より団体戦の方が強かった記憶があります。チームワークが良かったって事ですかね。チームプレーの方が責任を果たすという役割が大きいですし、みんなで力を合わせて勝つと喜びも倍増するので私は好きでした。私の大学時代は女子の先輩がほぼいなくてダブルスは後輩とばかり組んでいたので、私がほとんど作戦を立て、サーブやレシーブでチャンスボールを作って後輩にスマッシュを決めさせる・・・というようなプレーを中心にしていました。コンビネーションが決まって得点を挙げた時の醍醐味は忘れられません。そんな訳でよけい愛ちゃんのダブルスの縁の下での活躍がよく分かって、嬉しかったんですねぇ。もちろん愛ちゃんと私とでは天と地ほどのレベル差はありますが・・・^^;)。日本人って外国人に比べると自己主張が強くなく、自分より人を立てる人が多いので、団体戦やダブルスに向いてるんじゃないでしょうか。個人戦より団体戦の方が力を発揮できる人が多いような気がします。今回の卓球女子もシングルスではメダルを取れませんでしたが、団体ではメダルを取れましたし、男子も団体の方が成績良かったですよね。



福原愛ちゃんは勝率とかサーブやスマッシュの成功率とか、統計だけ取れば必ずしも名選手と言われないかもしれませんが、チームメイトの力を発揮させるという、どんな理論で証明すればいいか分からない力は、間違いなく彼女はトップクラスなんだな・・・と思いました。しかも普通はスター選手だけが注目されて、リードしたりアシストする選手ってそんなに注目されないじゃないですか。愛ちゃんの場合はアシストしていてもスター選手と同じくらい注目されるので、やっぱり見ていてもこちらも嬉しくなってきます。なんだかありふれた表現しかできませんが、4年に一度の祭典に、「感動をありがとう!」って思った次第です。

私もどう考えても自分がスター選手ではなかったと思いますし、卓球以外でも今までの人生でそんな事は一度もなかったのですが、「人をサポートしてその人が力を発揮できるようにする」事についてはまだこれからも可能性があるように思っています。逆に福原愛ちゃんの試合で「それだって十分に素晴らしい事だよね!」って思えただけでも幸せです。これからもクリニックを通じて皆様のサポートをさせていただき、少しでも皆様の幸せに寄与できたら嬉しく思います。今後共よろしくお願い致します。