第98回 (2011年5月) 「春はやっぱり外に出よう!」

  

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。
ようやく気候も暖かくなり、先週は桜も満開でお花見もピークでしたねぇ。私も芦屋の方にお花見に出かけました。やっぱり桜を愛する気持ちって日本人のDNAに刻み込まれているんじゃないかと思います。本当に綺麗・・・。(実は夙川に先に行ったのですが、もう大変な人ごみと花見客の大宴会に辟易して芦屋方面に戻り、あまり人の行かないところでヒッソリと桜を堪能してきました。そこは静かで桜は綺麗だし、本当に良かった。毎年ここでお花見しよう!と決めたのですが、穴場スポットという事で詳細の場所はヒミツ。)
東日本大震災の残した爪跡は大きく、石原東京都知事は「花見をする気分じゃないだろう!」という事で花見の自粛を求めていたようですが、前回のクリニック通信で書いたように、私は「自粛が大きくなり過ぎて全体の経済が停滞するのはもっと日本を悪くしてしまう」という意見に賛同する人間なので、もう元気になるべき時なんじゃないかな・・・って思っています。

 

そんな感じで社会活動も再開し、久しぶりに学会(第54回 日本形成外科学会)に出席してきました。学会の開催地は徳島です。大きな学会って大抵は都会で開催されるものなんですが、なぜか今回は徳島。徳島出身の方には非常に申し訳ないのですが、言葉を選んで喋ったとしても徳島はお世辞にも東京や大阪のような都会とは言いがたい・・・。その為、ホテルもすぐいっぱいになって取るのも大変ですし、大人数を収容できる会場がないって事から会場を2つに分けてその会場の間をシャトルバスでつなぐという異例の開催方法です。なんかメッチャ不便だし、私の学会での楽しみであるご当地グルメもままならない感じだったので、久しぶりの社会活動再開にしては幸先の悪いスタートです。おまけにせっかく元気な日本を取り戻そう・・・って思っていた矢先に、学会では今年は自粛という事で懇親会は取りやめになってしまいました。

 

 

「懇親会って単なる飲み会でしょ・・・。そんな酒飲んでウダウダ言うような事に時間とお金を使うのは無駄だから真っ先に自粛すべき!」って思われる方もいるのかもしれません。もしそうだとしたらこの主催者こそが学会の意義って分かってないんじゃないかな・・・って思うんですよね。勿論、各分野の先生方が日頃に研究してきた事を演題にまとめて発表したりパネルディスカッションしたりする事で研究結果をお互いに有益な情報として交換しましょうというのが学会の趣旨です。しかし、実際には大きな会場で舞台に立っている発表者にその場で自分だけが時間を取って、色々と質問したり議論を吹っかけたりできないじゃないですか。その為、自分の興味をもった発表を聞いた時はその場では質問や自分の考えなどをまとめて、懇親会の時に見かけたら声を掛けてディスカッションし、名刺交換をしてその後にまた意見交換をして情報の価値を深めていく・・・って使い方をするんです。だから懇親会って学会の中で極めて重要な意味を持っているんですが、自粛っていう名の元に懇親会を中止するなんて本当に訳が解りません。どうせ飲むだけの為に集まった先生達はその後で二次会とかに行って飲み倒すんだから、懇親会を中止しても飲み助は勝手に市内に繰り出していくだけなんですけどねぇ。・・・ってなんかいきなり愚痴っぽくなっちゃいました。

 

 

今回の学会では他にも震災の影響はかなりありました。私が整形外科医であった頃に超カッコ良くてみんなの憧れだったT先生という人がいます。この先生は病院を転勤すると赴任先ではファン倶楽部ができるし、診察の度に花束を持って来る患者様が必ず現れるというような整形外科のアイドルだったのです。(まぁ・・・皆さんもお気づきだとは思いますが、テレビドラマとかで見るのと違って医者の世界ってあんまりカッコいい男性っていないんですよねぇ。こんなにハゲオヤジやエロオヤジの密度が高い業界も少ないんじゃないんでしょうか。・・・にも関わらず、男性の医者はモテるんです。圧倒的にモテる・・・。昔はいつも愛人をはべらしている人なんてザラにいたんですよ。私たち女医がいてもお構いなしに武勇伝をべらべらしゃべっているんですが、お顔を拝見すると「え?! この人が・・・?!」って事が何度あった事か。一方で女医は明らかにモテません・・・怖いとか近づきにくいとかなんだかんだ言って・・・。この不公平は一体なんなんだ! 世の中の男性はどこ見てんだ! あ・・・また、愚痴になっちゃった。)

 

おっと、気をとりなおして・・・そんな中でT先生っていうのは珍しく超イケメンだった訳ですが、私はT先生の1年後輩だったので結構仲が良かったんです。T先生は私の事を弟(残念ながら妹ではなく・・・)のように思ってくれてたらしいんですが、みんなの憧れの先生が気軽に話しかけてくれるのがちょっと誇らしかった記憶があります。そんな先輩の弟さんが韓国のソウル大学の准教授であり形成外科医なんですけど、その弟先生が海外からの招待者としてこの学会で発表する事になっているのを見つけました。その弟先生の発表内容に特別興味を持った訳じゃないんですけど(弟先生ゴメンナサイ)、これって昔は仲良しだったけど最近は年賀状のやり取りだけというT先生に電話する口実になりますよね。お陰で弟先生の話題もあって久しぶりになんだかんだと昔話に花が咲きました・・・(^-^) そんな事で口実に使わせてもらっただけじゃ悪いので、その弟先生の講演を聞く為に朝一番に眠い目をこすりながら会場に到着しました。そこではなんと「講演中止」の張り紙が・・・。せっかく挨拶しようと張り切って行ったのに。よくよく聞きますと今回の学会では海外からの来客者の殆どは来日を中止したみたいなんです。なんで?って聞くと「原子力発電所の問題があって放射能などの危険があるから」って返事が。え!! 唖然。ここは徳島でしょう。事故のあった原子力発電所から少なくとも何百キロも離れているし、交通機関の影響もなければ電力不足もない状態なのに、「日本は危ないから来日中止」ですかぁ?

日本に住んでいると分からないのですが、海外ではもう「日本全域が危険な状態」って感じで報道されているみたいなんですよね。そう言えば、当クリニックで働いてくれている韓国の留学生B君も、先日里帰りしていて新学期が始まるので日本に戻ろうとした際に皆から「今は日本に戻らない方がいいよ」って引き止められたそうです。さすがに彼は「神戸は全然大丈夫なんだよ・・・」と言って戻って来てくれましたが、知らない人の間では日本はまるでリビアのような情勢不安定地域のように認識されているんでしょうか? ま・・・私達もエジプトでデモ隊と治安部隊が衝突して死者が出たというようなニュースが報じられれば、エジプト全体がもう戦争状態であるかのように認識してしまう事ありますもんねぇ。広い広い国土なんで田舎の方に行けば恐らく何にも変わらないのんびりした生活をしている人が大多数なんでしょうけど、そんな実態なんて分からないですもんね。しかしこういう機会がないと風評被害とかの恐ろしさは実感できないですよね。今は日本の水産物とか農作物が海外で輸入禁止になったり全く売れなくなったりしているって話を聞きます。以前クリニック通信に登場していただいた「おせち」を作っている会社の社長さんも、中国でも食品関係の事業を展開しておられるのですが、日本の食材は全く受け入れられないらしく、「本当にエライ事になってしまった」と嘆いておられました。逆に日本でも一時「毒入り餃子」の事件があった時は中国産の食べ物は野菜を含めてすべて危険・・・というような風評が広がり、レストランなんかに行くと「国産の野菜100%使用!」とか書いてましたよね。今回は全く逆になっちゃったようです。

 

 

 

当クリニックでも風評の被害って過去においても少なからずありました。例えば大人気メニューのプラセンタ。一時狂牛病騒ぎが蔓延した時に「人由来の製剤を使っているとクロイツフェルト・ヤコブ病(人間版の狂牛病)になる可能性がある・・・」って話が蔓延して大変でした。プラセンタ治療をする場合には毎回その病気のリスクがある事を説明して患者様から同意書をもらうようにという指導が入ったのもこの頃です。そう言えばアメリカ産の牛肉が輸入禁止になって吉野家から牛丼が消えたのも同じ頃ですが、今でも特に何かが変わった訳じゃないんだけど「騒ぎ」の方はすっかり忘れ去られてしまったようです。また、中国毒餃子事件の頃は何でも中国製の物を体に入れる事はリスクがあると言われて敬遠されていましたが、今はすっかり忘れられている訳ですからそういう根拠はなかったという事です。やっぱり風評って怖いですねぇ。

ところで、私も医者の端くれである為でしょうけど、「先生、今の日本に住んでいて放射能って大丈夫なんでしょうか?」って聞かれることが結構あります。私は残念ながら放射線医療に携わるものでも被爆者の治療に当たるような者でもないので、本当のところは「よくわからない・・・」です。自分の専門外の事でも普通だったら色々な文献とかネット上での情報などを総合して自分なりな判断をお伝えするのですが、この放射能の問題については本当に分からないですね。勿論、急性の放射能障害については原子力発電所の事故だけでなく、原子力潜水艦の事故や医療で放射線を扱う人達の事故など放射能を大量に至近距離から浴びた人達が悲惨な状態になるという事については発表されている研究も多く、一定のコンセンサスが成り立っていると思います。そりゃ至近距離から大量の放射能を浴びるって人間を電子レンジにいれて「チン」したみたいな状態になるのでその恐ろしさは想像がつくのですが、少量の放射能を比較的長い時間浴びた際の健康問題ってまだまだ研究者の間でもコンセンサスを得ていない事が多いように思います。ある人はとんでもない被害が生じており、人々がその恐ろしさに気づいてないだけだと言っていますし、ある人は実験室などで自分は毎日何ミリシーベルトの放射線を浴びているが全く問題はない・・・と言っています。これだけ「事実はこうだ!」と自信を持って言い切る人が多いにも関わらず本当のところは「どうなんだろうねぇ?」っていうような分野は珍しいですね。核物質は軍事的な機密でもあるので本当に一部の人しか実態を知る事ができないだけに、マコトシヤカな「都市伝説」も多いので分からない事に拍車をかけているようです。

 

 

ただ非常に無責任かつ根拠に乏しい意見である事を前提に申し上げますと・・・当クリニックの多くの患者様についてはほぼ何の心配も要らない・・・と言えるでしょう。半減期の長い放射性物質を体の中に取り込んだとしても発癌するまでに何十年もかかるはずですから、「そこまで生きている人がどれくらいいるんだろう」って事です。ま・・・失礼を承知で申し上げますと、人生をすでに折り返して後半戦に突入している皆様は(当然私も含まれていますが・・・)何の心配も要らないでしょう。問題が顕著になる前に寿命が解決してくれるはずです。  

そんな訳でやっぱり細かい心配はせずに「頑張れ日本!」という事で元気を取り戻そうじゃないですか! 福島から風に乗って放射性物質が流れてくるなんて心配して屋内にいると足腰が弱るばかりか心身性ストレスで免疫力が低下して感染症で死ぬ確率の方がずっと高いと思いますよ。こんな春うららかな日は、日焼け止めをしっかり塗って外に出て歩きましょう。ようやく暖かくなったので、私もリーボックのイージートーンっていうウォーキングシューズを買っちゃいました。(なかなかお気に入り。ダイエットにもいいですよ。これ。)これを履いて外を歩くと本当に「人間ってやっぱり春になると外に出かけたくなる生き物なんだな」って思います。春の陽気の中を元気一杯で外を歩く!って事から日本を元気にしませんか?
あ・・・重ねて言いますが、日焼け止めと帽子はくれぐれもお忘れなく!