第95回 (2011年2月) 「宇宙戦艦ヤマト 今昔」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。最近は本当に寒いですねえ。皆様、風邪などひかれてませんか? さて、皆様はお正月はどのように過ごされたのでしょうか。私はと言えば・・・ 普段は映画館で映画を見るなんて事はまずないのですが、今年は昔大好きだった「宇宙戦艦ヤマト」の実写版映画、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を見てきました。世の中には「ヤマト世代」(原作のアニメ版「宇宙戦艦ヤマト」を知っている世代)とそうでない世代があるというくらい、昔は「宇宙戦艦ヤマト」って流行りましたよねえ。私も当時はヤマトの大ファンだったので、今回もテレビ局の陰謀と判っていながら当時のヤマト魂がメラメラと湧き上がってきてしまい(主演がキムタクだという事も実は大きいのですが・・・)もうこれは映画館で見るしかない!と思いました。「ワープ」という言葉が世の中に浸透したのもヤマトの影響ですよね。私は昔から星や宇宙は大好きだったので、高校時代に「宇宙戦艦ヤマト」を見て、「宇宙物理学科か宇宙工学科に行きたい!!」と真剣に思ったものです。(結局は母親の病気を治すために医学部に進んだので夢はかなわず、でしたが・・・。)

 


 

皆様もご存知のとおり、この映画はアニメの「宇宙戦艦ヤマト」を元にした実写版です。実写版もなかなか良くできていて、登場人物それぞれのキャラや人間模様はうまく描かれてたし、CG(コンピューターグラフィックス)や特殊撮影を駆使した宇宙空間の映像なども結構うまくできていて、違和感なく楽しむ事ができました。「さらば~地球よ~ターンタタン・・・」というヤマトの曲や、波動砲発射時のセリフ、「波動砲エネルギー充填120%!」「ターゲットスコープオープン!」「対閃光・対ショック防御!」「波動砲、発射!!」などはアニメと同じで、超懐かしかったな~。やっぱりヤマトと言えば波動砲ですよ、波動砲。発射直前の緊張感が最高! 血圧がグンと上がってアドレナリンが体中に駆け巡ります。疲労回復点滴だってビタミンCを3本追加したくらいじゃ波動砲にはかないませんね。しばし昔に戻って友人達とはしゃぐ事ができ、私たちの間では右腕を肘を曲げて胸まで上げるヤマト式敬礼が、その後密かなブームになりました。

 

 

皆さんの中にはヤマトが好きだった人もそうでない人もいらっしゃると思いますが、今回のクリニック通信は趣向を変えて「ヤマトの分析・・・今と昔」って事でお届けしたいと思います。(完全に私の趣味の世界なんですが、お許しを!) ・・・なんでこんな事を思いついたかというと、実写版ヤマトはかなり多くの部分でアニメ版のヤマトとストーリーが変わっていたからです。昔のアニメのストーリーを期待して見に行った私としては最初はかなりの違和感と一種の失望を持って見ていたのですが、その内になぜ現代のヤマトがこのようなストーリーになったか・・・という事を考えていくと、「現代」という時代が見えて来たからなんです。(ちょっと大げさなかもしれないですが・・・) 

ただしこの先、!!!要注意!!(映画のネタバレの可能性あり!)
今回は勝手ながらストリーの一部のお話をしますので、映画をこれから見に行く予定の方は読まないでください。ネタバレの危険性ありです。
必ず映画を見た後に読んでくださいね。

 

 

 

まず、知らない方のためにアニメ版「宇宙戦艦ヤマト」のストーリーを復習してみましょう。時は西暦2199年、地球は謎の異星人国家・ガミラス帝国の攻撃を受け、滅亡の危機に瀕していた。ガミラスの冥王星前線基地から発射される遊星爆弾の放射能汚染で地上の生物は死滅。人類は地下都市を建設し、地球防衛軍を結成して抵抗を続けていたが、科学力の差の前になす術もなく、人々が避難した地下都市まで放射能が汚染しはじめていた。最後の地球防衛艦隊が、冥王星空域でのガミラス宇宙艦隊との交戦で壊滅し、人類生存の希望は完全に潰えたかに見えた。しかし、この交戦の最中に外宇宙から飛来した一隻の宇宙船が火星に不時着、通信カプセルが回収される。その中にはイスカンダル星から、「放射能除去装置コスモクリーナーDを受け取りに来るように」との救援メッセージと、航海に必要な波動エンジンの設計図が納められていた。そこで極秘裏に宇宙移民船へと改造中だった、第2次世界大戦中にアメリカ軍の攻撃により沈没した戦艦「大和」に波動エンジンが搭載され、宇宙戦艦ヤマトとして復活する。人類に残された時間はあと1年。14万8千光年の彼方、大マゼラン星雲のイスカンダル星に向け、宇宙戦艦ヤマトは人類最後の希望を託されて、沖田艦長の下、古代進、森雪、島大介らを乗せ、往復29万6千光年の旅に発つ。その後ヤマトはワープ(超光速航法)や波動砲の発射を成功させながらガミラス艦隊と戦い、未知の宇宙空間における障害を乗り越えてイスカンダル星に到着し、コスモクリーナーを手に入れて地球へ生還する・・・というストーリーで、不可能なミッションに立ち向かっていく男のロマンと、主人公・古代進が戦いの中で艦長代理という重責を担い、仲間と共に助け合って戦いながら成長していく・・・というのが主要テーマです。  

 

 

 

大きな意味ではこのテーマは実写版でも同じなんですが、各所で随分と変更されているのです。まず、ヤマトの乗組員に女性が増えていた事。アニメ版では確か女性は森雪のみでしたが、通信・情報解析担当の相原と船医の佐渡先生が女性になっていました。これは時代の流れですねえ。働く女性が増え、女性の地位が向上した事がヤマトにも反映てるんだな~、と思いました。もう「男のロマン」とは言えない時代になってきているのかもしれません。

そして最も変わっていたのがヒロイン森雪の役職。アニメ版では生活班班長兼レーダー手兼看護士で、コーヒーを入れたり主人公古代進の怪我の手当をしたり、古代の恋人役という以外、役職としては完全な脇役でしたが、実写版では戦闘班のエースパイロット。これも女性の地位の向上を表しているんじゃないでしょうか。そしてアニメ版では従順な女性らしいキャラですが、実写版では強がりで素直になれず、古代が上官に任命された事を不服として何かと反発する・・・という設定。まさしく現代版森雪です。 

 

主人公古代進の設定も変わっていました。アニメ版では本来戦いを好まない少年だが、両親がガミラスの遊星爆弾の直撃を受け死亡した事がきっかけで宇宙戦士訓練学校に入校したという設定ですが、実写版ではかつての地球防衛軍のエースパイロットで、両親がガミラスの侵攻時に死亡したため失意で除隊していたが、兄・古代守の戦死の報を聞いて再び戦場への帰還を決意し、ヤマトへの乗艦を志願する。そして兄が沖田艦長の盾になって死亡した事で、最初はリーダーの仕事を理解できずに沖田に反抗していたが、沖田からリーダーの使命を学んで次第に成長していき、最後は自分がリーダーとしての使命を果たすのです。

また、全体のストーリーとして、アニメ版では主要メンバーはほとんど生還しますが、実写版では大半が死んでしまう。これは、昔のストーリーは単純なハッピーエンドだけど、今はそのストーリーでは飽き足らず、幸せには犠牲を伴うもので、犠牲を払うから得るものの重みを感じる事ができるんだという時代背景が読み取れます。

 

 

そして、主人公の最後と並んで最も大きな違いは、放射能除去装置の存在です。アニメ版では放射能除去装置は実在しており、無事地球に持って帰る事ができるという設定になっていますが、実写版では放射能除去装置の存在は沖田艦長の作り話だった、という事が最後に判るのです。結局はスターシャに放射能を除去する能力があって地球は救われるのですが、通信カプセルに入っていたのは波動エンジンの設計図だけで、放射能除去装置がイスカンダルにあるというのは、イスカンダルからの通信カプセルを受け取った際に古代進が致死量の放射能を浴びたはずなのに無事だった事から沖田が想像した事で、何の確信もなかったのです。それは沖田が地球の人々に希望を与えるための賭けだったんです。「沖田は賭けに勝ったんだな・・・」という、地球防衛軍司令長官の言葉が印象的でした。それを知っていたのは沖田と司令長官、そして後に艦長代理となった古代進が知らされたのみ。これは希望と方向性を示すのがリーダーの使命であるという事を物語っているのだと思います。最終的には人類は全員死ぬかもしれない。しかし、そうであったとしても残された日々を最後まで希望を持って過ごす方が良いし、人は希望があれば生きていける。ヤマトは人々の希望を託されて人類が生きる事を諦めない為に発進したのだ、という設定になっています。(この他にもガミラスが一人の個人ではなく、生命体という抽象概念になっていたり、最後に驚きのエンディングがあったりと他にも沢山あるのですが、全部はとても紹介しきれません。)

 

恐らく全体を通じてこのようにシナリオが変えられた理由は、今の世の中が、将来の希望を持たせてくれ、一定の犠牲を伴ったとしても大きな幸せの為に皆を導いてくれるリーダー像を望んでいるからだと思うのです。
最近の日本では子供が減ってしまい、若い人口が減ってきて少子化の問題に直面しています。国の財政や年金制度もこのままでは破綻する事が分かっていても、ずっと抜本的な解決を先延ばしにして来ました。誰かが強いリーダーシップを持って未来への希望を描き、一定の犠牲を伴ったとしても未来の子供たちの為にやり抜かねばならない・・・そんなリーダーの登場を待ち望んでいる・・・という時代を反映しているのではないでしょうか。アニメ版ヤマトの世代はもうすでに壮年期に入っており、子供さんが成人した方も多いはず。根強いファンだった親に誘われて子供と一緒に見た・・・という方も多いのではないでしょうか? そのような親子が見ても世代を超えて渇望されている共通のリーダー像として、古代進及びヤマトの乗組員が描かれている、と思いました。昔の人気アニメをそのまま実写版にするのではなく、今の時代に即したものに作り変えているのがやっぱりプロの仕事なんですよね。

 

 

結局、映画でも何でも、成功するものは時代が要求しているものだと思うのです。時代の流れを反映しているもの、人々が求めているものを提供するという事が大切だと思います。美容医療やアンチエイジングというものも、時代が求めているから生まれたものなんですよね。私もその事を忘れずに、皆様に求められるものを研究し、提供できるように頑張らねばと、ヤマトを見て思いを新たにしたのでした。

最後に・・・映画の最後の場面で、森雪が我子と一緒に遊んでいるシーンが写りますが、あれって古代の子・・・って事になるんでしょうけど、大事な戦いの最中に一体何やってのよ!って思ったのは私だけ? そんなストーリーが許されるのもやっぱり現代なんでしょうね。原作アニメの時代だと教育委員会からクレームがついたんじゃないか・・・って思いますが・・・(笑)。