第93回 (2010年12月) 「魔法か科学か」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。急に寒くなりましたね。街はすっかりクリスマスの装いですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 気が付いたらもうすぐ今年も終わりですね。1年があっと言う間に過ぎてしまうのは、年を取った証拠でしょうか? 小さい頃は、1日はとても長く、1年なんて途方もなく遠い未来のように思えたのに・・・と、月日の経つ早さを実感してしまう今日この頃です。

小さい頃と言えば・・・突然ですが、皆さんは小さい頃に魔法使いに憧れた事はありませんか? 私が小さい頃に大好きだったお話は「オズの魔法使い」。アメリカ・カンザス州に暮らす少女ドロシーが竜巻に家ごと巻き込まれて、飼い犬のトトと共に不思議な「オズの国」へと飛ばされ、脳の無いカカシ・心の無いブリキの木こり・臆病なライオンと出会い、それぞれの 願いを叶えてもらうため大魔法使いの「オズ」に会いに行く・・・というおなじみのお話ですが、最近でも映画やミュージカルになるなど時代を超えて人々を魅了する名作です。

 

プラセンタ点滴・注射

もう少し大きくなって、テレビでよく見たのがアメリカのコメディ、「奥様は魔女」。広告代理店に勤めるダーリン・スティーブンスが結婚した相手、サマンサは魔女だった。サマンサの家族や親戚の魔法使い達が現れて、スティーブンス家に次々と珍騒動が巻き起こる・・・というお話です。(ま・・・こちらはかなり古いドラマなんで、知っている人は年がばれてしまうのでしょうけど。)「奥様の名前はサマンサ。そして、だんな様の名前はダーリン。ごく普通の二人は、ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。でも、ただひとつ違っていたのは・・・奥様は魔女だったのです!」というオープニングは今でもソラで言えるほどで、忘れられません。皆さんもサマンサが魔法をかける時に鼻をピクピクってやるシーンは一度はマネした事があるのではないでしょうか?

 

 

その後のテレビでは「魔法使いサリー」や「秘密のアッコちゃん」「コメットさん」などの「魔法少女もの」が大人気になりました。
「魔法使いサリー」も好きで、よく見たなあ。「♪マハリクマハリタヤンバラヤンヤンヤン~♪ 魔法の国からやってきた~ちょっとチャームな女の子♪ サリー、サリー・・・」っていう曲なんか、すぐに浮かんでくるから不思議です。サリーちゃんの同級生で三つ編みのよし子ちゃんや、よし子ちゃんの三つ子の弟なんか、懐かしいですよね。

しかし「魔法少女もの」がそれだけ流行ったのは、誰しもが少女時代は魔法使いに憧れたからではないでしょうか。少女のハートをがっちりつかむ魔法使いのキャラクターっていうのは今も昔も「普段は普通の女の子なんだけど特別に必要な時がくれば魔法を使えるというもので、普段は周りの友達に自分が魔法使いということを知られてはいけないので、それを隠す事に苦労しているかわいい女の子」って事が多いですね。何か悪い人を退治するというようなミッションを与えられていて、その為に魔法を使うという特別な能力が与えられているのですが、普段の生活の中で友達には決してそれを悟られてはいけない、という立場なんですよねぇ。「自分は魔法が使えるから何でもできるのよ・・・だからみんなは私の言う事を聞きなさい!」っていう高ビーな女の子では物語にならないんですね。

 

 

やっぱりそれってテレビを見ている自分達は「ごく普通の女の子」であって、その普通の女の子がある時に魔法使いという「特別な立場に選ばれる」って憧れがあるのだと思います。 これは魔法使いシリーズだけでなくても女の子の憧れるストーリーってのは、ある時に王子様が現れて自分に求婚し、自分は王女様になるという「棚ぼた式ラッキーにより人とは違った特別な立場になれる」という事に強い憧れをいだくからなんでしょうね。ただ、魔法使いシリーズは「棚ぼた式ラッキー」ではあるけど、それを友達に悟られてはいけないという葛藤の中にあって「悲劇のヒロイン」の立場も併せ持つという、一粒で二度おいしい・・・物語構成なんです。

あらら・・・なんか全く夢の無い話になっちゃいましたが、私だって少女時代は人並みにそんな魔法使いに憧れていたんだから・・・。でも成長するにつれて「自分だけが特別な立場にある」というあり得ない空想よりも、現実に問題を解決できそうな「科学」の方により興味を持つようになりました。(その頃から「おまえは男っぽい」と言われるようになってきたのかもしれない・・・)当時は母親の病気の事などがあり、科学の力で病気を治すという医学の道を志すようになったのです。魔法より科学の方が現実的な問題の解決方法だな・・・って気づく訳ですが、そんな風に思うようになったのは、中学から高校の頃でしょうか。医者になってもしばらくは、キャンディーズじゃないけど「普通の女の子に戻りたい」という気持ちもありました。しかしそれは到底無理であるということに途中で気づくことになります・・・。

 

勤務医時代は整形外科だったので、手足の機能を手術で回復するという、非常に現実的な世界。開業して美容医療に転向しても、実験や研究を重ねて治療効果を追求する・・・という論理的な道を選んでしまいました。美容医療というのは結局のところ、人を綺麗にして喜んでもらえればいい訳ですから、魔法を使うように簡単に綺麗にできればいいんですけど、実際にはそういう訳にはいきません。科学的根拠がないと治療は成り立たないので、PRPでも濃度にこだわって 実験をして統計を取り、さらに研究を重ねる・・・という、あくまで理論を追求するスタンスで、治療効果を上げて喜んでもらう事を常に考えてきました。つまり魔法とは全く逆の道を進んで来た訳です。しかし実際にクリニックを8年もやってくると・・・実はこの年になって、魔法や科学よりも問題を解決するのに重要な事があるんじゃないかな、という事に気づいてきました。

 

突然また話を魔法使いの番組に戻しちゃいますが(自分の仕事を論理的だと言いながら話があちこちに飛ぶクセはなかなか治らない・・・)、皆さん「5年3組魔法組」って覚えてます? これまたかなり古い事は確かだが・・・。私も毎週見ていた訳ではなく、何かの拍子に1回だけ見たんですが、その回が非常に印象が強くて今でも時々思い出すのです。物語は小学校5年3組の仲良し5人組が、ある日魔女の子犬を助けた事から魔法の七つ道具が入ったバッグをもらい、その七つ道具によって様々な珍騒動を巻き起こし、あるいは解決していく・・・というありがちなお話です。私が見たのは確か「魔法か科学か焼き鳥作り大競争」というようなタイトルの回でした。簡単にストーリーを紹介すると、5人組の一人ショースケが、風邪をひいて寝込んでいるお父さんのためにおいしいご飯を作ろうとします。しかしお父さんは、昔よく行った鳥幸という店のおじいさんの焼き鳥が食べたいと言うので、ショースケ達はお店を訪ねましたが、おじいさんは田舎に帰ってしまってお店は変わっていたのです・・・。しかし病気で寝込んでいるお父さんの為に、お父さんがあんなに美味しかったと言う焼き鳥を食べさせてあげたいので、その美味しい焼き鳥のタレを何とかして作ろうという事になります。その話を仲間が聞いて「よしオレがその秘伝のタレを作ってやろうじゃないか・・・」という事で競争することになりました。

 

1つのチームは魔法を使い、マジッカーという飛行円盤に乗っておじいさんのいる田舎を訪ね、秘伝の焼き鳥のタレをもらってきます。(細かい話は省略しますが、彼らが使える魔法はただ使える訳ではなく、その魔法を使うとバツゲームみたいなものを受けなくてはいけなくて、相当苦労してようやくタレを手に入れるのです。)もう一つのチームはタレのレシピを手に入れ、科学的に成分を分析してそのタレと全く同じ成分を持つものを作ります。(このチームも相当苦労して味を再現します。)そしてショースケのお母さんはその焼き鳥のタレがどんなものか食べた事もないのですが、そんな競争に関係なく手作りのタレを作ります。魔法を使って本物のタレをもらって来たチームも、レシピどおり科学的にタレを作ったチームも「お父さんが美味しいって言うのはうちのチームの焼き鳥に決まってる!」と自信満々。ところがお父さんがそれらの3つの焼き鳥を食べ比べて「間違いない! 鳥幸の焼き鳥はコレだ! 昔の味がそのままだ! 懐かしい・・・」と言って指したのはお母さんの手作りのタレで作った焼き鳥でした。

 

「どうして?? お父さんが大好きだった鳥幸のタレを使ったのに・・・。おかしいよ。なんでお父さんはお母さんのタレが鳥幸のものだって言ったのだろう。お母さんはどうやって作ったの?」とショースケたちが驚いて聞くと、お母さんは答えます。「お父さんは今風邪をひいているから、味が解りにくいでしょ。舌がまずくなっているのよ。だからタレの味をほんのちょっと濃くしたのよ」・・・って事で、苦労して魔法を使ってタレを手に入れたチームも、苦労して科学的にそのタレを再現したチームも「え・・・そんな事なの??」とへなへな・・・とその場に座り込んで「チャンチャン」。その回のお話はこれで終わりです。

う・・・む。基本的に子供番組なんで当時はそんなに深い思慮を持って見た訳ではないのですが、やはりこの回の話は今だに忘れる事ができません。その時、その人の状況を考え、それに合ったものを作る心配り・・・それこそ、人に喜ばれるための真髄なんですね。「相手の事を相手の立場になって考える」という事は、魔法や科学にも勝ってしまうんですよね。子供向け番組と侮るなかれ・・・かなり奥が深い!!

 

 

美容医療もまた然り、です。 その人に合った治療法で、またその人のその時の状況も考えて心を配りながら、人から見て綺麗にするのがプロの仕事だと思うのです。 「同窓会に間に合わせて!」と言われればそれまでにできる最大限の治療を考えなくてはいけませんし、会合の多い12月にはそれなりに即効性のある治療が必要だと思います。(そこで12月は、即効性のあるエセリスカクテルのキャンペーンを行う事にしました。)そして PRPなどの腫れる注射は年末にしたいと言う方が多いので、年末の1週間は30日まで休みなしで頑張る事にしたのです。幸い先月導入したメソマシンは「痛みや針跡は少なくてお肌は以前のメソリフトよりも綺麗になる」とご好評をいただいていますので、メソリフトと エセリスカクテルを組み合わせる事も可能です。そしてPRPをメソマシンで導入してお肌を綺麗にするPRPリフト、PRPとエセリスを組み合わせてPRPに即効性を持たせたPRPカクテルなど、来年も研究を重ねてさらに良い治療法の開発に取り組もうと思っています。そんな事を考えていると楽しくなってきました。そして科学的な技術にその人・その時に対する心配りを加えて、皆様を魔法にかけたように綺麗にする方法を考えながら、今年を締めくくろうと思います。
来年もどうぞ宜しくお願い致します!!