第85回 (2010年04月) 「真実の追求」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。もうすぐ春だというのに暖かくなったり寒くなったりですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 春と言えば、卒業・入学・入社など、出逢いと別れの季節ですね。クリニックオープン以来入れ替わりの多かったスタッフも、留学生を採り出してから珍しく全員1年近く続いていたのですが、ついに別れの時が来ました。まず、韓流B君が受験勉強の末、見事神戸大学に合格! 完全な別れではないのですが、大学に行けばアルバイトの時間は減ってしまうでしょう。また、漢流Nさんが結婚退職予定となり、昭和のNさんもうちで勉強会などをしているうちに、マッサージのプロを目指したいと思い始めて辞めることになり、急に身辺が慌しくなって来ました。診療や研究の合間にスタッフとの面談、求人原稿の作成、求人広告会社との打ち合わせ・・・と、バタバタと日が過ぎていきます。  
以前のクリニック通信にも書きましたが、留学生を採用し始めるまでは、いつも募集をかければ応募は何十人も来るのですが、履歴書を送ってくるのは半分、面接に至るのはさらに半分、採用できるのはその半分もなく、ハードルを下げてやっと採用しても、必死で勉強しないといけないと解った途端に採用辞退か連絡が取れなくなるのが半分、残った一人か二人は入ってもなかなか続かない・・・という状態でした。求人広告を頼んでいるK社の担当者S君といつも頭を抱えていたのですが、クリニックでうちのように研究員を募集するところはまずないので、求人サイトの職種コードが難しく、検索にかかり難いのだとか。研究員という職種のイメージも難しいらしくて、勘違い野郎が来る事もしばしば。面接の途中で帰った失礼なやつもいました。「研究員」と言うと、医療も研究も全く未経験なのに、受付や診療補助はせずに1日中研究ばかりができると思って来た人もいました。大企業の研究所じゃあるまいし、従業員数5人くらいのクリニックでそんな訳ないやん。それやったら「未経験者歓迎」な訳ないでしょ。何にも知らんのに、最初から何研究すんの? ・・・と思ったものですが、相手の事ばかり悪く言わずに、自分に非がないかを考える事も大切です。募集の原稿で、うちがどんな人材を求めているかが解りにくいのではないか?と考え、今年の募集ではそれを明確にしよう、と思いました。

 

うちが欲しい人材は、どんなに大変でもプロ=専門家を目指すという心構えのある人です。どんな道でも、プロを目指す事は並大抵の努力では不可能なので、それなりの心構えが必要なのです。当院の事業理念は、シミ・シワ・たるみ・クマに対して安全で確実な治療法を開発して提供し、多くの人を幸せにする事ですから、その事業を一緒にしていくためにはスタッフ自らも専門家となり、人を幸せにでき、必要とされる人になる事が重要だと考えています。基本的な事ですが、自由主義社会では、どれだけ人の役に立ち、どれだけ人に必要とされるかが人間の存在意義だと思うからです。プロになるためには甘い考えは捨てなくてはいけないし、仕事や勉強より優先するものがある人はプロを目指すべきではありません。ここに来る人には、本物の専門家になれば人から仕事を頼まれて感謝される・・・そういう素晴らしい世界があることを知り、本物の専門家を目指して頑張って欲しいと思っています。本気で頑張れば、専門家になって良かったと思える日が必ず訪れますが、その道のりは大変だという事を覚悟できる人だけに来て欲しいのです。そうでなければ絶対に続かないからです。今年はそういう事をはっきりと解りやすく書こう、と思って原稿を書くと、S君に意見されてしまいました。

 

S君:「先生、これって厳しすぎませんかー? あんまり厳しいと間
      口が狭まってしまうと思うんですけど・・・」
柴田:「ええねん。それぐらい覚悟できてるやつしか絶対続けへん
      から」
S君:「でもねー・・・一人も来えへんかも知れませんよ・・・」
柴田:「ええって。しょーもないやつ来てもしゃーないもん」
S君:「そうですかー・・・。先生がそこまで言われるんやったらしょう
      がないですねー・・・」

しぶしぶ受けてもらいましたが、これは成功でした。「息つく暇もないくらい働いてみたい」と言う、最近の若いもんにしては珍しく体育会系のNさんが来たのです。(「N」さんばっかりですけど・・・。)高校のバトミントン部がかなり厳しかったらしく鍛えられており、「自分はまだまだだ」という「無知の知」も解っていて、かなり骨のある子です。(今は骨も身もある感じですが、「やるときゃやります!」とダイエットに励んでいます。)見かけはかわいいのですが声は私より低く、「おっさん度」満点。私もよく「男らしい」とか「おっさんみたい」と言われるので、類は友を呼ぶのでしょうか。今後の期待大ですが、まだ人は足りないので現在も募集中です。応募は今までより骨がありそうな人が多く、面接がちょっと楽しみです。

 

 

 

さて、プロと言えば最近ちょっと面白いDVDにはまっています。題名は「ボーンズ=BONES(骨)」。全米で人気の海外TVシリーズですが、すでにシーズン3が出ているので「え?何を今頃?」って感じなのは世情に疎い私のいつもの事で、人よりかなり遅れてマイブームがやってきます。物語は、ずば抜けた能力で人骨を鑑定する法人類学者のヒロインが、仲間の協力のもと、科学捜査に不信を抱くFBI捜査官とぶつかり合いながらもタッグを組み、事件の真相に迫って被害者の骨から謎を解明するというものです。科学者肌で愛想なしのヒロイン「ボーンズ」ことブレナン博士は高い技術を持つ優秀な法人類学者。法人類学とは事件や事故、災害などで犠牲になった被害者の身元確認を目的にした学問分野です。ブレナン博士は被害者の骨に残された証拠を読み取る超人的な能力の持ち主で、遺体が燃やされたり腐乱してたりで通常の検死ができない殺人事件が起きると警察から協力を要請されます。ブレナンがたびたびチームを組むFBI捜査官のブースは、刑事のカンや聞き込みを重視する現場主義者。物質的証拠にこだわるブレナンとは水と油で、二人は仕事でもプライベートでも衝突ばかり。ブレナンが働く法医学研究所の仲間もみな個性派ぞろいで、ユーモアと人間味あふれる科学者たちが、警察も手をこまねく超難事件の真相に迫っていく・・・というもので、これが結構面白くてはまってしまいます。私は元整形外科医なので、事件の真相解明に登場する骨の名前がやたら懐かしいのですが、専門家が見てもなるほどと思わせる脚本には素晴らしいものがあります。そしてブレナン博士は解析不能の骨から人物を特定する、いわば骨のプロ。常に冷静な頭脳派タイプで愛想がなく、研究一筋で週末も仕事に没頭する、少々浮世離れしたキャラですが、真実を最も大切にする純粋さに惹かれてしまいます。そしてこのDVDを見る度に、「ああ、もっと研究しなくっちゃ!」と思ってしまうのです。

 

もちろんTVドラマなんで、見てて「コレ、絶対おかしいよ!」ってところも沢山あります。
いくつか挙げてみると・・・なんでFBIの刑事がいつも一人で行動するの?(二人一組が基本でしょ・・・)なんで電話をすれば済む事を一々出向いて話するの?(しかもアポなし。そしていつも忙しい人がなぜかその時は在席しているのよねぇ・・・)なんで容疑者への聞き込み調査に毎回ブレナンを連れて行くの?(彼女は法人類学者で警察の人じゃないし・・・大体彼女を連れていけば何か現場で問題起こすに決まってるじゃん。)なんで悪い人ってそんな判りやすい悪人の顔してるの?(人の第一印象ってとっても大切ですよね。悪役の役者さんって普段の私生活に支障ないのかな?)と突っ込みどころ満載なんですが、それを感じさせないほどテンポよく場面が切り替わって話がどんどん進行していく面白さはさすがアメリカのTVです。私は以前の通信にも書きましたが「24」の大ファンで、「24」が出るとすぐに全部見てしまいます。一気に全部見てしまってなんだか寂しい・・・と思っていたところ、「24」の横の棚にあったビデオが偶々「BONES」だったというのが最初の出会いです。「24」を見る時にはあまりも手に汗握るシーンの連続なので、一話見終わる度にペリエを一瓶消費します。(興奮して喉が渇く為。又、見始めた状態で終わるまで微動だにしないので一話終了すると体の節々が痛くなり、背伸びで体をケアしてから次の話を見なければならない。)しかし今回の「BONES」はその点、喉が渇いてしまう程の緊張感はなく、リラックスして見る事ができるので体には優しいエコな娯楽番組のようで、皆様にもお勧めです・・・(^.^)

さて「BONES」を見てて、一つ勉強になった事があります。骨のプロことブレナン博士の、スタッフの教育方法です。ブレナン博士は、スタッフに何を教える訳でも、お尻を叩く訳でもなく、黙々と自分の研究と仕事を続けるのみなのです。周りの人達は、そんなブレナン博士の研究に対するひたむきな姿に打たれ、自然と彼女について行ってる感じがします。仲間たちは皆変わり者ですが、ブレナン博士を尊敬し、慕っているのです。私は今まで、スタッフのお尻を叩き、無理やり勉強させようとしてきました。しかしそれは、無駄だった気がしてきたのです。それよりも、自分がもっと切磋琢磨し、研究や仕事に没頭する姿を見せる方が、スタッフの心に訴えられるのではないかと思うようになってきました。スタッフが勉強しないという事は、自分がそのお手本を見せる事ができていないからだという事に気付いたのです。半年前から、スタッフに勉強させようと、ミーティングを開催し、毎回訓話というものを話してきました。若い人が知らなくて、私が知っている事を少しでも伝えて、若い人のこれからの人生に役立つようにと思ったからです。しかしそれは、私の専門分野ではありません。私は孔子でもなく、お釈迦様でもないので、訓話をたれる事ができるほどのプロではありません。それを考えると、苦手な説法に多くの時間を費やすよりも、私の専門分野を極めてそれをスタッフに教える方が、いえそれよりも私が研究に没頭している姿を見せる方がスタッフの勉強になるのではと思い始めました。なので今後は、よりいっそう自己練磨し、私が研究に没頭する事で、同士がついてきてくれるようになればと思っています。幸い今回の新人は骨のある子が多いようなので、「BONES」のように一緒に真実を追求し、骨も身もある研究を一緒にできればと願っています。

 

最後に話は変わりますが・・・皆様のご協力のお陰で4月から新メニューを開始する事になりましたので、ご報告です。研究と言えば、うちの最近の研究は、やはりまつ毛が伸びる新薬・ルミガンのモニター試験です。思った以上の効果があり、4月から発売することになったのですが、これにはいろいろな苦労が・・・。ルミガンは昨年日本でも発売された緑内障の治療薬ですが、米国では同じ成分のラティースという薬がまつ毛貧毛治療薬としてFDA(米国食品医薬品局=厚生労働省に相当する機関)の認可を取っています。ラティースは米国の臨床試験ではまつ毛が伸びる効果と安全性は確認されており、ルミガンはラティースと全く同じ成分ですから、まつ毛に対する効果も同様と考えられますが、日本では「まつ毛貧毛症治療薬」としての臨床試験データがないので、念のためにモニター試験を行いました。まずはスタッフ全員で試し、2週間で何人かが伸びたので「これは効きそう!」とモニター募集をすると、興味津々の患者様が集まりました。ところが、経過報告をしようとして1月にデータを取ると、データがまとまらないのです。モニターの患者様は順調にまつ毛が伸び、思った以上の効果が出ているのに、スタッフはいまいちでしかもデータがバラバラ。特に留学生の伸びが悪い。外国人には効かないのか??「うーーん、なんでやろー??」とずっと悩んでいたのですが・・・。

 

よく聞くと、スタッフは最初綿棒でルミガンを塗っていて、綿棒だと薬剤がほとんど吸収されてしまうので1ヵ月後から専用ブラシに変えたのですが、留学生の2人は2-3日塗って塗りにくいので勝手に綿棒に戻したと言うのです。「なんでやねん!! 勝手に変えたらあかんやろー!! それに、そんな大事な事なんで黙ってんねん!! ずっとおかしい、おかしいて言うてんのに!!」 とめちゃ怒ってしまいました。どうやら言葉の壁もあり、私がデータがおかしいと言って悩んでいたのが解らなかったようです。しかしその失敗から解った事は、ラティースの臨床試験ではたくさん塗っても効果は同じと言われていましたが、やはりまつ毛の伸び方は塗布量に左右されるのではないかという事です。3月にデータを取った時も、患者様の伸び方はすごいのに、綿棒に戻さなかったスタッフでも伸びが悪い。原因を調べたところ、スタッフは薬剤をマニュアル通りまつ毛の根元にしか塗っていませんでしたが、患者様は伸ばしたい一心からか、まつ毛の先まで塗っていたためと思われました。薬剤の減り方も患者様の方が圧倒的に早い。これはやはり、まつ毛の伸び方は塗布量に左右されると考えざるを得ません。しかしたくさん塗ると人によっては副作用も出やすいようなので、どうしたものか・・・と考えていたところ、そうだ、点滴やトラネキサム酸クリームを組み合わせればいいんだ! と思いつきました。実際私はアレルギーもあるので一番副作用が強く、痒みや赤味が出たり色素沈着を起こしたりしたのですが、ちょうどその頃風邪をひいてトラネキサム酸入りのプラセンタ点滴をガンガンしていたら、ルミガンの副作用も気にならなくなったので・・・。

そうして4月から「まつ毛再生プログラム」開始だ! と意気込んでいたところに、今度はメーカーから電話が・・・。適応外使用(保険で認められたもの以外の目的で薬剤を使用する事)の広告規制について厚生労働省から通達があったので、ホームページから「ルミガン」という名前を消してくれないか、とのこと。えーっ、何でこの時期に?? 困ったな。話を聞くと、メーカーに直接通達があった訳ではなく、県に対して未承認薬や指定薬物の広告の監視をしなさいという通達があったので、メーカーの人がびびっているようでした。未承認薬というのは日本の厚生労働省には認可されていない薬の事で、指定薬物というのは麻薬のことですから、議論が飛躍しすぎている気もしますが…「保険適応外でも、先生が自費治療で使われる分には何の問題もないんですが、ネット上で薬品名や効果・効能を謳われると注意を受けるかもしれませんので、あくまでお願いなんですが・・・」とのこと。プラセンタなんかも美容に使うのは保険適応外ですが、どこでもネット上で広告してるので自費治療なら問題はないはずなんですが、ルミガンは新薬なので適応外使用の監視を厳しく言われているようです。メーカーの人も気の毒なので、苦肉の策でホームページではクリニック通信以外は「ルミガン」を「Rガン」にすることにしました。(なんでホームページでは急にルミガンがRガンになったのかな? と思われた方も多いと思いますが・・・。) いろいろと苦労はありましたが、先日久しぶりに来られた患者様に、「先生、目元整形されました? なんかすごくパッチリして、綺麗になられましたね」と言われて嬉しくなり、「ルミガンのせいじゃないですか? これって意外と効くんですよー。右だけ塗ってるんですけど・・・」と言うと、「ほんと、左右全然違いますねー!」と感心されてしまいました。
そんなこんなで、4月から「まつ毛再生プログラム」が誕生します!! まつ毛を再生してパッチリとした目元を手に入れたい方は是非お問い合わせください。