第77回 (2009年08月) 「美の伝道師 」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。暑くなって夏本番かと思いきや、梅雨が戻ったように雨が続いたりと妙な気候ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば・・・7月でついに新クリニックオープン1周年を迎えることができました! これもひとえに皆様のお陰と感謝に堪えません。思い出せば新クリニックオープンの時は様々なトラブルがありました。それらを乗り越えてやっとのことでオープンにこぎつけましたが、最初はスタッフも全員新人でドタバタ。その後も山あり谷あり・・・で苦労が絶えませんでしたが、皆様の暖かいご支援に支えられ、やっと1周年を迎えることができて感無量であります。7月はその感謝の気持ちを込めてメソリフト謝恩キャンペーンを開催したのですが、月の前半は全然反響がなくてめちゃあせりました。後半になって駆け込みの予約が殺到し、予約が入らないまでに・・・。こりゃクリニック通信が遅いのが原因では・・・と反省し、今月は早く書こうとしたのですが、何でもぎりぎりにならないとできない性格はそう簡単に直るものではない・・・という事が判ってしまいました。

 

メソリフトの謝恩キャンペーンに先駆けて、かねてから行っていた麻酔の研究に追い込みをかけ、やっと今までにない良く効く麻酔を開発することができました。それまでにいろいろ情報を集め、何種類もの麻酔薬を取り寄せては実験しましたが、一番役立ったのは歯科用の麻酔です。その麻酔薬は医薬品業者からは手に入らなかったので、勤務医時代に仲の良かった歯科の先生に業者さんを紹介してもらって手に入れることができました。やっぱり持つべきものは友達です。その先生はとっても人はいいのですが自称「ええかげん」でちょっとヤブ。(業者さんを紹介してもらってこんな事書いたら怒られそうですが・・・。)金冠を直してもらった時めちゃ痛かったので次は違う先生を知り合いに紹介してもらって診てもらうと、「こら痛いはずですわ」と言われたり・・・。でもちょっとした用は頼みやすく、今回のようなお願いは気安く引き受けてくれるいい先生です。

 

そうやって取り寄せた新しい麻酔を何種類かブレンドして頬や口元、手にも塗って試してみました。すると、おお!これはめちゃ効く! 手は効きが遅かったのですが、顔はすぐにしびれて、針でチクチクしても全然痛くありません。あまりにも痛くないのでチクチクしすぎて出血し、スタッフが「先生、血だらけですよ!」と心配したほど。しかし痛みの感じ方は個人差が非常に大きく、私が効いても皆に効くとは言えないので、スタッフ全員で実験しました。(そこでも韓流B君が一生懸命チクチクしすぎて血だらけに・・・。)そして統計を取って一番多くの人に効きそうな配合を考え、知り合いのモニターを集めて顔の半々に違う配合の麻酔を塗って実際にメソリフトをしてみました。新人のNさんも前の麻酔と新しい麻酔を半々に塗って行いましたが、Nさんはちょっとメソリフトの痛みには弱いらしく、「新しいのと前のと全然違う~! 前の麻酔って痛すぎ~!! 皆よう耐えてはりますね~」と泣いてました。以前にもメソリフトをしたことのあるKさんには、新しい麻酔を2種類半々で塗ってもらいましたが「どっちもめちゃ効きますね! 前のと全然違いますよ!!」と絶賛され、ちょっと自信をつけました。・・・そういう経緯でメソリフト用新麻酔をメニュー化し、以前もメソリフトをした事のある方には大抵「うん、全然ましまし!」とご好評をいただいておりますが、ごく稀にめちゃ痛がりで新麻酔でも唸られる方や(でも唸り方は前よりずっとましでしたが・・・。この方はそれでも何回もメソリフトをされるので、その美に対する探究心には敬服してしまいます。)「前の麻酔でも全然痛くなかったので」と新麻酔を選ばれない方もおられ、本当に痛みの感じ方って個人差が大きいんだなあ、と改めて感心してしまいました。

 

月の後半には久しぶりの患者様にもたくさん来ていただき、改めて気付いたことがあります。以前メソリフトやメソカクテル・エセリスカクテル注射をされた方は、半年や1年経ってからの方が綺麗になられている方が多いのです。当院では大抵の治療で2週間後に診察に来ていただいて効果を確認するのですが、その時よりも明らかに、さらに綺麗になられている方もおられました。本人は「去年してから、結構もってるんですよ~」と言われるのですが、もってると言うよりは後から効果が出てきてるんじゃないかな、と思います。これはちょっと嬉しい新たな発見で、今後さらに研究を進めたい分野です。

 

研究と言えば、7月はレーザー治療学会が神戸で開催されたのを直前になって知り、急遽参加しました。(そのためにご迷惑をおかけした患者様、ごめんなさい・・・。)レーザーは使ってないのになぜ? と思われるかも知れませんが、当院の治療と比較するためにレーザーの勉強をすることも必要ですし、プログラムを見ると皮膚に関する基礎的な研究の講演も多かったので、勉強になると思ったからです。また、会長のI先生とは5月の抗加齢学会でお会いして、現在私が研究中のDMAEについてお話したので、また何かディスカッションできるかも・・・と思ったこともあります。この学会には例の東京のブレインK氏も、イブニングセミナーにソウル大学の皮膚科の教授を招くという大役で参加されていました。せっかくK氏が神戸に来られるなら、やはりグルメの会を…とまた悪い癖が。K氏の予定を聞いてみましたが、K氏は会長のI先生とも研究の関係で親しく、I先生の教室の方との食事会もあり、また学会の懇親会にも顔を出さないといけない・・・と大忙し。結局私も懇親会に参加し、その後K氏を含め数人で二次会をするという事になりました。

 

さて、学会当日。光と細胞機能の関係という最先端の研究や、可視光線と赤外線の講演などの合間にK氏とお会いして休憩所を歩きながら話していると、ふと目に付いたのがワインの試飲コーナー。
K氏:「あれ? こんなところでワインを売ってるんですねえ」
ワイン好きのK氏が見逃すはずはありません。話を聞くと神戸ワインで、地元産業の振興目的で学会と提携して試飲コーナーを設けているそうです。神戸ワインって、昔飲んだらめちゃくちゃまずかったなあ・・・と思いつつ、「地元のワインはやっぱり飲まなくっちゃね。この人は当たったらたくさん買ってくれると思いますよ」何て言うK氏の手前、試飲しないわけにもいかず、一口飲んでみました。すると、あれ? 結構いける・・・。神戸ワインって変わったの? 見るとラベルも昔とは変わっています。

 

柴田: 「神戸ワインって昔と変わりました? 昔飲んでめちゃまずかった
     記憶があるんだけど・・・」
    (思ったことを気遣わずに言ってしまうのが関西人です。K氏は横で
     ハラハラしている様子。)
試飲係:「ええ、そうなんです。少しランク上のものを作りまして・・・」
K氏: 「ほう、そうなんだ。赤もあるんですね。カベルネとメルローです
     か? 配合率はどのくらい?」
試飲係:「はあ・・・すみません、私はあまり詳しくなくて・・・。実は私、市役
     所の者でして」
柴田: 「え?? なんで市役所の人がワイン売ってるんですか??」
良く聞くと、試飲コーナーにいたのは神戸市産業振興局の医療産業グループの人で、神戸ワインをもっと広めようと会長のI先生にお願いして、学会会場に試飲コーナーを設置したり懇親会で神戸ワインを出したりという企画を立てられたそうです。
試飲係:「神戸ワインも頑張ってますので、やはり良い物を少しでもたくさんの方に知っていただこうと・・・」

<柴田: 「ふーん、そうなんだ・・・。面白い企画ですねえ」< p>

そう言えば、この学会は懇親会も凝っています。Pホテルの大広間で行われ、美人姉妹と母親のバイオリン・チェロ・ピアノの三重奏が催されるとか。ちょっと楽しみな企画です。
試飲係の人はうちが市役所のすぐ近くだと知って、「ワインを買っていただいたらすぐにお届けしますよ!」と一生懸命言ってくれるので、つい何本か買ってしまいました。(何しに学会に来てるんだか・・・。)

 

 

 

学会の最後にK氏が招待したソウル大学のC先生のイブニングセミナーが終わると、セミナールームの前のホールでは試飲用ワインの大盤振る舞いが始まりました。市役所の人が「どうぞ、たくさん飲んでください!」と並々と注いだワインを何杯も提供され、C先生やK氏といっぱい飲んでしまいました。

 

その後Pホテルでの懇親会へ。C先生やエスコート役のH先生達と、神戸ワインを飲みながらソウル話で盛り上がりました。私の勤務医時代の先輩の弟がソウル大学の形成外科の助教授をしているというと、C先生はソウルに帰ったら会いに行くと言ってくださいました。(その先輩はどこの病院に転勤しても、診察の度に花束を持って来る患者さんが現れるほどのイケメンです。今もめちゃカッコいいけど、そろそろお肌の衰えが気になると言ってうちのクリニックに来てくれる予定。皆様も、もしかしたら遭遇できるかも? ヨン様顔負けですよ~!)懇親会ではK氏のはからいで会長のI先生にもご挨拶ができ、DMAEに関する文献のお話やディスカッションもできました。K氏ともDMAEのディスカッションは結構できていろいろな事が解り、なかなか実り多い懇親会でした。

 

そうしているうちに、正面の舞台でバイオリンとチェロの美人姉妹の演奏が始まりました。う~ん、なかなか美しい音色。真紅のドレスが良く似合う、結構な美人姉妹です。その後、ピアノ奏者のお母さんが登場しました。それがなんと! その姉妹のお姉さんのように若くて美しい! 演奏も良かったのですが、演奏後に希望者は3人の奏者と記念撮影ができるとなって、我も我もとたくさんの先生方が舞台上へ・・・。どちらかというと美人姉妹よりお母さんの方が人気です。やっぱりいつまでも若くて綺麗な人は得ですね。ミーハーな私も美人好きのK氏と共に壇上に上って記念撮影をしてもらいました。そのお母さんはピアノも弾けるけど、フレンチレストランのオーナーでもあるそうです。そのレストランでは彼女らの演奏が聞けるそうな・・・。私の知り合いでも家族で楽器を演奏できる人たちなんていうのはめったにいません。唯一友人Mの同級生が結婚式で家族でバイオリン5重奏を披露したそうですが、彼らは財閥の御曹司で、ええとこのボンボンが集まったMの学校でも特別高貴なお方だったとか・・・。なので音楽家とレストランというのがどうもイメージ的にしっくりこず、「どうしてレストランを開かれたんですか? すごい高級レストランなんでしょうねえ?」とか聞いてみました。するとその方は、「いえいえ、庶民的なレストランですのよ。普通のレストランで、日常的に音楽を楽しんでいただきたくて。音楽って、人に感動や安らぎを感じていただいてこそ値打ちがあると思うんです。だから年に1回、かしこまったホールで一部の方にコンサートを聞いていただくよりも、毎日気軽に、よりたくさんの方に聞いていただけたら、と思いまして.・・・」

 

 

そうかあ・・・そう言えば、ある小さなビストロで、美味しいのにすごく安いところがあって、「どうしてこんなに安いの? 高級レストラン顔負けの味なのに」と聞いたことがあります。するとシェフが、「僕はたくさんの人に美味しい料理を食べていただきたいだけなんです。高級な雰囲気にして高くすると、一部の人しか来てくれないでしょう? それよりも気軽に安くして、たくさんの人に僕の料理を食べて欲しいんです。いくら美味しい物を一生懸命作っていても、多くの人に知ってもらわなくては良さが解ってもらえないんじゃないかと思うんですよね。だって、まず気軽に入って食べてもらえなければ、美味しいかどうかも解らないでしょう?」と話してくれました。やっぱりたくさんの人に知ってもらわなくては真価が問われないってことですかね。これにはちょっと考えさせられました。今のクリニックも、マニアックで、知る人ぞ知る・・・というのを目指すのもいいとは思うのですが、やはり研究成果は多くの人に知ってもらってこそ値打ちが出て、真価も問われるのではないか、と思ったのです。

 

懇親会の後は、K氏と二次会です。時間が遅いので、K氏の大好きな鮨屋のNや、最近見つけたモダンスパニッシュのKなど、まともなお店はみんな閉まっています。
K氏:「居酒屋でいいじゃないですか」
柴田:「えっ、Kさんでも居酒屋なんか行かれるんですか??」
K氏:「行きますよ! このご時世ですからねえ。いつもベージュって訳にもいきませんから」
(ベージュというのは以前のクリニック通信でも登場しましたが、銀座のシャネルビルの最上階にある超バブリーなフレンチレストランです。一度K氏に連れて行ってもらいましたが、そういう機会でもなければ私など一生行くことはなかったでしょう・・・)

 

 

しかし居酒屋にしてもダイニング・バーにしても、神戸は東京に比べると、ろくな所がありません。あてが美味しいとお酒が美味しくなく、お酒がちょっと美味しいとあてがダメ・・・という所がほとんどです。結局近くのスペインバールであてを持ち帰りし、我が家に皆でシャンパンやワインを持ち寄って夜景を楽しむ・・・という事になりました。近くにはスペインバールが3軒あるので、サーモンマリネや鱧のバジルソース、鴨のサラダにラタトウユ、パテなどのあてを頼み、持ち帰っておうちでパーティーです。ワインは皆で持ち寄ったので、居酒屋やバーよりは美味しいワインが集まりました。まずはシャンパンを開け、お次は白ワインです。
K氏:「まあ! シャブリのグラン・クリュじゃありませんか! いいんですか?
     こんなのいただいちゃって・・・」
友人:「どうぞどうぞ、こんな時しか飲む機会がありませんからね。それよりこんなカジュアルなあては
     Kさんのお口には合わないんじゃないですか?」
K氏:「いえいえ、十分に美味いですよ! 最近はカジュアルな店でもそこそこ美味い物を出すところが増え
    てるんじゃないですか? やっぱり時代の流れですかねえ。昔は安かろう悪かろう、でしたけど・・・」
そう言えば私も、昔はフレンチやイタリアンのレストランにしょっちゅう行ってましたが、最近は安くてそこそこのスペインバールやダイニングバーによく行くようになったし、ちょっと高いと損した気分になるのは時代のせいでしょうか。そんな話をしながら、この日はワインをたくさん飲んだのでめちゃくちゃ酔っ払ってしまいました。

 

 

さて学会の数日後、勤務医時代にお世話になった他大学の整形外科の女医さんが主催する研究会に誘われました。女医ばかり集まる研究会で、その名も「JOY CLUB」。毎年あるのですが、クリニック移転の前後はバタバタしていてしばらく欠席していたので、久しぶりに出席の返事をすると、「せっかく先生に来ていただけるのでしたら、美容医療の最近のトピックスを講演していただけませんか? 皆さん一番興味ある分野だと思いますし・・・」と頼まれました。しかし研究会まで1週間もありません。勤務医時代は毎年何回も学会発表をしていたのでスライド作りはお手の物・・・と言いたい所ですが、もう何年も作っていませんし、昔はスライドでしたけど今はパソコンを使っての発表です。できるかなあ、と思いながらもせっかくの機会だと思って引き受けてしまいました。

 

最近のトピックスであるPRP注入療法について講演する事にしたのですが、それからが大変です。毎日遅くまで写真やデータの整理と発表用ファイルや原稿作り。一夜漬けは得意ではありますが、久々に大学に戻った気分でした。しかし今回、勤務医時代と違った事は優秀な助手を得た事。韓流B君の活躍です。彼はパソコン操作が大得意でパワーポイントからイラストレータなど、あらゆるソフトを使いこなせるので、写真のトリミングやデータの表作りなどはお手の物。彼が仕事の後も遅くまで残って手伝ってくれたお陰で、なんとか講演の日に発表用のファイルと原稿が間に合いました。研究会は私より年上の女医さんが多数参加されていたこともあり、皆興味深々で質問の嵐。美容医療って、まだまだ知られていない世界なんだなあと改めて感じ、こんな治療法があることをできるだけ多くの人に知ってもらって、世の中に広める必要があるのではないかと思いました。レストランでの演奏で音楽を広めたり、ビストロで料理を広めたり、神戸ワインを広めるように・・・。まず知ってもらわないと、真価も解りませんものね。 

 

 

また先日、PRP注入療法を受けた患者様に「mixiに自分の治療前後の写真をアップして友達に自慢したいから、写真を送ってもらえますか? クリニックに初めて行った時の写真も・・・」と言われて治療前後の写真を送りました。この方は、2年前から当院に来てくださっていて、PRPの前にヒアルロン酸注入とエセリスカクテル注射も受けられた方ですが、以下の嬉しいお返事をくださったのです。

 

「2年前の写真みて、自分の顔ながらギョッとしました・・・。先生のとこ通ってよかったです!!PRP後ですが、以前は笑って(頬を上げても)クマのくぼみはあったのですがそれがすっかり無くなりました。もちろん色も改善されてるので両方の面からかなり良くなってます! 特に疲れた時に違いが出ますね。注射直後はかなりテンション下がるんですが(痛みと腫れで・・・)、やっぱやってよかったです~!!美容目的でクリニックに行くことが、エステのように一般的になる日が早く来るといいですね!」

 

確かに、美容クリニックも最近は増えましたが、エステに比べるとまだまだ敷居が高いのが現状かもしれません。当院は最も安全で確実な効果を出せる治療法を研究開発して提供することをコンセプトとし、治療効果には自信を持っていますが、効果の出方や感じ方にはやはり個人差がありますし、患者様にしてみれば本当にこの価格に見合う効果が出るの?という所が心配な点だと思います。何においてもCP(コストパフォーマンス)が重視される時代でもありますし・・・。そこで今月から、より多くの方にいろいろな治療法を試していただいてその効果を知っていただくために、すべての治療を初回半額にすることに決めました。思い切った企画ですが、まずは試していただかないとその良さも知っていただけませんものね。

 

・・・そんな事を考えていると、玄関のチャイムが鳴りました。誰かな?と思って出てみると、そこには汗だくで重いワインのビンを何本も抱えた市役所の人が・・・。
「毎度! ワインが届きましたんでお届けに上がりました!」なんと一軒一軒廻っておられるようです。
そして、カンペみながらいかにも一夜漬けで勉強したメルロ-とカベルネの配合を一生懸命説明してくれたのです。なんか微笑ましくって、ワインって高いだけがいいんじゃないんだなあって思いました。地元の安いワインと「一生懸命まじめに取り組む大切さ」も一緒に配達してくれたみたいです・・・。
私もそれを見習って、地道な努力を続けて美を伝道していこう・・・と心したのでした。