第61回 (2008年04月) 「発展的閉鎖」

  

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こんにちは、異人館通クリニックの柴田です。寒かった冬が過ぎ、急に暖かくなりましたね。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。春と言えば最近はもっぱら花粉の季節・・・とも言われていますが、やっぱり春は卒業式、入学式、入社式・・・と、別れと出会いの季節ではないでしょうか。

「別れ」と言えば離婚も別れの一つですが、先日、大場久美子が離婚していた・・・とネットのニュースに載っていました。「互いの仕事を尊重する発展的解消」ということで、ブログにも「クーミン(懐かしい!)はこれからも今を精一杯前向きに進みたい。バリバリ仕事していきます」とつづったそうです。
そう言えば数年前にも前向きに離婚して、「発展的離婚」という言葉を流行らせたタレントもいましたね。「別れ」も発展的だと意義のあるものではないかと思います。


 

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かくいう私もこの春、6年間皆様に支えていただいて運営してきた「異人館通クリニック」に別れを告げようとしています。先月号のクリニック通信でも少し触れましたが、私が医療の真髄と考える「治療効果の追求」とそのための「研究」を、もっと極めたいと思ったからです。

「異人館通クリニック」は2002年5月、神戸・北野の地にオープンし、当時他にはなかった「美容生活医療」という新しい分野の診療を始めました。「美容生活医療」というのは、重い病気ではないけれどちょっと体調が悪い人やお肌の悩みがある人の「もっと元気になりたい」「もっと綺麗になりたい」という願いをかなえ、「日常生活をより豊かにするための医療」です。当時普通の病院では重い病気やけがを治すことに重点が置かれ、体やお肌のちょっとした不調は相手にされませんでしたし、美容といえば「うさんくさい」と思われがちな美容外科がほとんどでした。世の中には、重い病気や怪我ではないけれどちょっとした不調で悩んでいる人や、手術まではしたくないけど綺麗になりたいという人はいっぱいいるのに、そういう人たちを救う医療機関はほとんどなかったのです。しかし、病気は重くなる前に治療する方が良いに決まってますし、美容に関しても、リスクの高い手術をしなくてはいけなくなるまで放っておかずに、その前に綺麗にする方法はあるはず・・・と思いました。今もその考えは変わっていません。


 

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そうして北野で「美容生活医療」を始めた訳ですが、始めた頃はプラセンタの威力に自分でも驚き、ピーリングもお肌がツルツルになる、と大人気のメニューでした。ところが人間良くなり出すと欲が出るもので、治療する側も受ける側も、もっと即効性のある治療はないものか・・・と考え出します。そこで導入したのが、シミにはレチノイン酸療法、シワにはボトックスとヒアルロン酸注入でした。そしてシミにもシワにもある程度即効性のある治療ができるようになったのですが、その頃から美容クリニックも少しずつ増え始め、他のクリニックの噂もちらほら聞くようになり、美容外科医と話す機会も多くなりました。患者様の話で多かったのは、他のクリニックでボトックスを注入したが効きすぎて怖い顔になった、ヒアルロン酸を注入したらデコボコになった・・・などの訴え。ボトックスは効き方に個人差があるので、当院では初めての方は少なめに打って足りなければ追加するという方法を取っています。実際、ごく少量でもすごく効く方もおられるので、最初のうちは、怖い顔になった方は効きやすい体質だったのかなと思っていました。ところが、複数の美容外科医の話を聞いてびっくり。「効き方に個人差なんてないから誰にでも同じ量を注入してる」と言い切る人や、ひどいところでは「看護婦が用意してるので何単位打ってるか知らない」という人までいました。あまり他の美容医院の批判をするのは好きではないのですが、やはりこのままでは美容医療界全体が駄目になる・・・と思いました。

そういう思いは、新しい治療法を導入するたびに強くなっていきました。2006年の4月にメソセラピー、9月にメソリフトをメニュー化しましたが、その研究には1年近くかけました。私は何か始めると、とことん理論を追求しないと気がすまないたちで、納得のいくまで調べたり試したりしてしまいます。勤務医時代も実験や新しい手術の研究などに没頭していましたから、元々そういうことが好きだったのかもしれません。(その代わり専門バカで、世情にはものすごく疎かったのですが・・・ 。今でもYahooニュースがなければ世の中の事は殆ど知らないのかもしれません・・・ )
そうして新しい治療法を研究開発しようとするにつけ、「効果と安全性の検証」や「適正な治療のための研究」の重要性をもっと訴えなければという思いが強くなり、昨年クリニックのコンセプトをそれらを前面に出したものに一部修正しました。


 

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しかし時代の流れは私の思いとは逆の方向に進んできたようで、「医療はサービス業である」という概念は思いの外早く世の中に浸透し、美容クリニックの乱立に伴ってエスカレート。最近はどこのクリニックもサービス重視で、ラグジュアリーな内装やゴージャスなサービスを売りにするところが目立ちます。しかしオープン当初に掲げた私の「医療はサービス業である」というコンセプトは、あまりにも横柄な医療業界において、せめてもう少し相手の立場に立とうということで、ラグジュアリーで過度なサービスをしようということではなかったので、最近多くのクリニックが謳うサービスには違和感を覚えていました。また肝心の治療に関しては、昔ほどではないにしても、真面目に研究をしている医師はまだまだほんの一握りだという印象です。そういう時代の流れにおいて、異人館通クリニックは「日常生活にやすらぎを与える」という役割においては卒業し、私が医療の真髄と考える「治療効果と安全性の追求」をもっと極めたいと思うようになったのです。
そこで異人館通クリニックは、6年間の任務を終えたと考え、4月末に一旦閉院することにしました。そして新たに、シミ・シワ治療に専門特化し、より安全で確実な効果を出せる治療法を研究開発する研究所兼クリニックを5月、三宮駅前に新規オープンすることを決定しました。新クリニックの名前は「柴田シミ・シワ専門クリニック」。シミ・シワ・クマ・たるみ治療を専門とし、治療効果の追求とそのための研究 を医療の真髄と考え、「安全で確実な治療」についてはどこにも負けないクリニックにするつもりです。
これまでいろいろな人に相談し、多くの人の協力も得てこの計画を進めてきました。ある人からは「なんかダッサイ名前やなぁ・・・異人館通クリニックの方がかっこええんと違う?」と言われたこともあります。 もちろん「今風」でない事はわかっていますが、敢えて自分の名前を入れる事により、自分が責任をもった治療を実施する事を宣言したいと思いましたし、私共が何に力を入れているかを表現できるものとしてこの名前を選びました。


 

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新しいクリニックがどんなところになるのか・・・ちょっとだけ皆さんにもお知らせしますね。
まず、場所は三宮駅から徒歩五分程度のところで、地下通路と連結されていますので、雨の日も風の日もお気軽にお越しいただけます。(今まではこんな坂道を歩いて来ていただいた患者様には本当にご不便をおかけしました・・・)
新クリニックは「研究所」に併設されたクリニックというのがメインのコンセプトです。だから受付の後ろにガラス張りの研究室を作る予定です。レストランで言えばオープンキッチンの状態です。もちろん、患者様の写真などプライバシーに関係するものは外からは見えないような工夫をさせていただきますのでご安心ください。 研究室は、まさに「鮨屋のカウンター」。「こだわりの鮨屋」のような専門院を目指すので、そういう形がいいと思いました。

今まではどちらかと言うと女性患者様が来院される事を前提としていましたが、シミ・シワ・たるみの相談は男性の皆様からも多く寄せられていましたので、男性の患者様も立ち寄っていただけるような作りを考えています。よって、今のようなオープンな待合はなくして基本的に洗顔も診察も個室の中で完結し、患者様のプライバシーは極力守れるようにしたいと思います。より確実な効果を出す・・・という事と、患者様へ過度なサービスは行わないが居心地のよい空間を提供するという事を両立させるつもりです。
また、昨今なにかと話題になる個人情報保護にも力を入れます。コンピュータシステムは一新し、カルテ情報はもちろんの事、患者様に関係するあらゆるデータは専門のコンサルタントを入れて厳密に管理し、決して漏洩などがされないような工夫を取らせていただきます。


 

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診療メニューも一新します。ただ、今まで行ったきたノウハウをベースにしますので、何か特別に変化するという事ではないのですが、この機会に新メニューも導入致しますので、ご期待ください。 それから、非常に根強い人気のある疲労回復点滴シリーズは、シミ・シワ専門医院になっても裏メニュー(?)で残しますので、引き続きご利用いただけます。 点滴など時間がかかる治療については、パーソナルモニターを設置して、テレビやビデオなどのエンターテイメントもお楽しみいただけるようにするつもりです。

思えば6年前の5月19日にこの異人館通クリニックをオープンさせました。そして、その役割を終え、7年目の同じ日、5月19日に新クリニックをオープンしたいと考えております。 5月19日は私の人生の中でもっとも重要な記念日になると思います。
こういう新しい出発のために異人館通クリニックを閉鎖するので、まさしく「発展的離婚」ならぬ「発展的閉鎖」ですね。今後の計画の進み具合はブログでも紹介していきますので、楽しみにしていてください。さらに、新クリニックオープンと同時に、研究に研究を重ねた「柴田式PRP注入療法」もメニュー化する予定です。 あ・・・もちろん、オープン記念企画も行うつもりですよ。 何か皆様に喜ばれる事を考えなきゃ・・・と思いつつ、この段階では決まっていません。決まり次第、発表させていただきます。ご期待ください!!