第54回 (2007年09月) 「次世代のシワ治療」

  

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こんにちは! 異人館通クリニックの柴田です。
今年の夏は本当に暑かったですねえ。皆様は夏バテなどされていませんか?私は珍しく暑さに負けず、お盆休みを返上して横浜まで学会に行ってきました。
 実は行く前は、あまりにも暑いので行くのがちょっとおっくうになっていて、クーラーのきいた部屋で生ハムメロンとシャンパーニュで涼んでいたい・・・などと思っていたのですが、学会のためにクリニックも休みにしてしまったので、そういう訳にもいきません・・・ 。
「そうだ、せっかく横浜まで行くのだからK氏を誘って横浜グルメ大会にしよう!」

 

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柴田:「もしもし、Kさんですか?今月の17日って横浜にいきませんか?」
K氏:「え・・・ 17日ですか?その週は私、お休みをもらっておりますも
   ので・・・」
柴田:「ちょうどいいじゃないですか、お休みなら」
K氏:「いえそれが・・・ほらセカンドハウスの方で・・・ 
   ワイフにも約束してますし・・・ 」
あ・・なるほど、房総半島最南端の新居で水面と水平線が一体になるホライズン型のプールにつかり、プールサイドではシャンパン三昧かぁ・・・。 そりゃだめだ。勝ち目なし。そこで、K氏の代わりに横浜に住んでいるいとこや友人に連絡し、学会の準備(?)を整えました。一応グルメの準備を整えると今度は学会の準備です。(なぜか順番が逆なのですが、これはいつもの事なので・・)

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学会に入会しているとあらかじめ抄録集(学会発表の内容を簡単にまとめた雑誌)が送られてくるので、事前にすべて目を通し、興味のある演題にめぼしを付けます。そうしてインターネットなどを駆使して、ある程度下調べをして行くのです。
今回参加した学会は日本美容皮膚科学会で、特に目を付けていた演題は、以前から興味のあったPRP(多血小板血漿)療法というものです。
今までのシワ治療にはボトックスとかヒアルロン酸などクリニックでもおなじみの治療法がありますが、PRP療法は今までの治療とは違う理屈の、最近マスコミなどでもよく取り上げられている注目の再生医療です。

皆様も怪我をした時に傷口が盛り上がって(腫れて)しまった経験があるでしょう? それは人間が怪我をしたときに、傷口をふさごうとして血液の中の血小板が集まって血を凝固させようとし、血小板から出される成長因子が傷ついた組織を再生しようとして、皮膚の中のコラーゲンやヒアルロン酸を増加させるからなのです。この人間の持っている組織再生能力を利用して、あえて血小板を注射することで組織が傷ついたと勘違いさせ、組織の再生能力を急激に刺激するのがPRP療法という方法です。血小板は自分の血液から採取するので、拒否反応もなく非常に安全です。10年位前から歯科領域のインプラントなどの再建手術の際に、組織再生の目的で使われだしたものですが、そのPRPを皮膚に注射してシワやたるみを改善するという新しい治療が1年程前から始められたのです。

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学会では朝から夕方までいろいろな発表を聞いた後、ポスター会場に向かいました。目指すはPRP療法のポスター討論です。
ポスターで実際に治療した人の写真を見ると、1ヶ月から3ヶ月と時間はかかっていますが、目の下のたるみや小ジワ・鼻唇溝(ほうれい線)などが改善し、お肌全体も綺麗になっています。驚いたことに、目の下のたるみが全くなくなった人もいました。48歳の女性は2週間で目の下の小ジワが改善し、70歳の女性は1ヶ月で目の下のたるみがほとんどなくなり、鼻唇溝(ほうれい線)もすごく浅くなっています。60歳の女性も3ヶ月で目の下の小ジワ・鼻唇溝が浅くなり、顔全体のたるみも改善しています。54歳の女性は3ヶ月で首の横ジワが改善していました。
実際に治療している先生の話を聞くと、気になるシワの部分だけでなく、顔全体にまんべんなく打つと全体にハリが出てしわも伸びやすく、若く見えるようになるそうです。上瞼には打たないけれど、下瞼や目尻に打つと、なぜか上瞼も綺麗になるのだとか。

 

 

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自己治癒力を利用した根本的なシワ治療・・・というのはメソリフトやメソカクテル注射と似ていますが、注射が1回でいいということや(海外では何回か注射してそのたびに若返っている人もいるようですが)、注射後の腫れが少なくダウンタイムが短いこと、自分の血液なのでアレルギーの心配もなく安全ということなどが利点と言えます。問題点としては、改善まで1-3ヶ月と時間がかかること、徐々に改善するため変化が判りにくいこと、効果に個人差があること、始まってまだ1年半なので長期成績がわからないこと、装置や採血キットが高いこと・・・などが挙げられます。即効性はありませんが、なかなか面白い治療法です。それまでに聞いた発表ではレーザーの発表が多かったのですが、シワやたるみの改善という点ではPRPの症例写真の方がずっと効果が出ていました。
 

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さて・・・盛りだくさんの学会1日目が終わって懇親会に少し顔を出してみると、着物姿のコンパニオンが沢山。 学会なので出席者の皆さんはほとんどが医者なのですが、みなさんコンパニオンに囲まれてご満悦の様子。なんかこちらの方を楽しみに出席されている御曹司も多いのでは・・・。まぁ、男ってこんなもんですね。 私はずっと医者という「男社会」で生きてきたので、先輩の先生につれられて昔はよく、コンパニオンの皆さんがいるお店にも行ったものですが・・・(整形外科は体育会系なので、そんな誘いも断るような雰囲気ではない)。今まで私たちに散々、厳しい口調で指導していた先輩が急に猫のようにゴロニャンとなってしまうのはまだしも、店のママさんから散々な口をたたかれているにもかかわらず、ニヤニヤ顔で「ママも口が悪いなぁ・・・(^^♪・・・モグモグ)なんていっている姿は日常茶飯事。今更驚くこともなく、私もすんなりその輪の中に溶け込んでしまいました。 この手のお金のかかっている学会は大抵、製薬会社か医療機械メーカーの強力なサポートがあるのが普通なのですが、「皮膚科から見た美容医療のあり方」という演題を発表された先生はスピーチの中で堂々と 「機器メーカーに騙されてぼったくられないように・・・」なんて平気で言ってたので、医者という人種は極めて使いにくい人種なのでしょう。
その後懇親会を抜けていとこと待ち合わせ、「クイーンアリス」に行きました。 電話の際にK氏に「横浜の美味しいお店ってどこでしょうね?」って聞くと、「横浜はあまり知らないんですが・・・。あ、あそこはどうですか? 石鍋さんのとこ」・・・ってのたまっていたお店がクイーンアリス。どうやらK氏はシェフとも親しいらしい。わりとグルメのいとこも知っている店のようで意見が一致し、みなとみらいの観覧車を見ながらいただくフレンチもなかなかでした。

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話は全然かわりますが、普通の総合病院では治療にどのような薬を使うのかという決定にはその診療科の部長が絶大な力を持っています。そこで、部長になるとそれこそ色々な薬品メーカーのMRさんが、なんとか接待をしようとあの手この手を使ってアプローチしてきます。私も勤務医の最後は整形外科の部長職でしたので、MRさんから「先生、とっておきのレストランで穴場を見つけましたので是非・・・」というようなお誘いをいただくことがありました。ただ、総合病院の部長職は目が回るほど忙しい・・のが普通なので、お誘いいただいたからといってそう簡単に行くことができません。3ヵ月後の約束なんてのはざらでした。そうしてようやく取り付けた約束なので、MRさんもこの時に自社の薬を売り込まねば・・・と必死になります。(薬を売り込むのに製品説明ではなく、接待をがんばる・・というのはおかしな話ではありますが。)
そういう時、最初の「とっておきのレストラン」まではすんなりといき、私も「おいしかったです。ありがとうございました」と順調です。ところが、そのメインの食事が終わるころにMRさん達は大抵ソワソワするようになります。それは私が女性なので、二次会にどこにつれていけばよいかがわからないからなのです。

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整形外科なんて圧倒的に男性の医者が多いので、男の接待はまかせとけ・・みたいな人がMRに割り当てられるもんですが、女性の整形外科部長は極めて稀なので、「さて・・・どうしたものか・・」と悩んでしまうのでしょう。 まさかコンパニオンのいるお店につれていく訳にもいかず、もじもじしているのがわかるので、私の方から「今日は残った仕事があって早めに帰らないといけないので・・」と引き取ることになります。そんなこんなで先輩に無理やり連れて行かれたり、先輩先生の接待の随行でコンパニオンさんのいるお店に行った事は何度かありますが、過去に一度だけ自分のお金で自分の意思で、その手のお店に行った事があります。
4年ほど前に、いわゆるニューハーフの患者さんがいて、その方が勤めていたお店にクリニックの新人歓迎会のニ次会に、酔った勢いで皆でなだれ込んでしまいました。ニューハーフさんといっても、毎月ピーリングやイオン導入に来られており、プラセンタを初めとして綺麗になる事に労力を惜しみません。もちろんお肌はつやつやですし、見た目もすっごく綺麗ですから、普段は誰もが女性と信じています。(保険証の名前が ××義男 と言うのを見た時はさすがに驚きましたが・・・(^^♪) 

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おじさま達の園に若い女性ばかり数人(私だけは若いとは言えないが・・)でがやがやと入ってきたので、お店の雰囲気は一変してしまいます。その義男ちゃんも「まぁ、センセ! いらっしゃい・・びっくりするじゃない、急にくるとぉ。でも、嬉しいわ・・まぁ、座って座って。 あ・・ら! 皆さんも一緒? 感激!!」ってな感じで手際よく席に案内すると、お店の女の子が数人来て、横に座って接客してくれます。このボックスだけは、お客もお店の人も全員女性なので、(義男ちゃんは戸籍上は違うが)盛り上がる、盛り上がる。流し目でひそひそ話しのおじさま達を横目に、ヤンヤの話し声で、すっごく楽しいひと時を過ごすことができました。今でも義男ちゃんの歌っていた本田美奈子の歌が心に残ります。(とっても上手なんです・・・ホントに誰も彼女が男性だとは想像もしていないでしょうね。)残念ながら義男ちゃんはその後、「彼氏」と分かれてしまい、傷心の状態で遠くに引っ越してしまいました。もしクリニックに今でも来ていたら、絶対にPRPの一番最初のモニターに応募してくれたと思います。男性でもこれだけ綺麗になれるのですから・・女性の皆さん、がんばりましょう!!

さて、かくいう私も、ちょうど知り合いの先生がPRP療法用の器具を購入されたという話を聞き、早速注射をしてもらう事にしました。次世代のシワ治療は、やはり自分で試してみなくては・・・ 。 また結果を報告しますね。こうご期待!