第50回 (2007年05月) 「クリニック5年間の進歩」

  

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こんにちは、異人館通クリニックの柴田です。待望の新緑の季節がやってきましたね。皆様もお出かけにお忙しいのではないでしょうか? 出不精の私も珍しく活動的になれる季節です。先日も、形成外科の学会で東京へ行ってきました。
学会では新しい治療方法の発表や問題のある治療の報告・医療機器の展示などが行われます。形成外科学会では顔や頭の手術の報告が多いのですが、美容医療に関する報告もあるので情報収集もできますし、器械展示では何か面白い器械が出てないかも楽しみです。また、多数の専門書の展示販売もあるので重宝します。それともう一つ・・・学会の開催される土地のグルメも楽しみなんですが、今回はせっかく東京なのに例のグルメオヤジK氏(K氏についてはクリニック通信第21・22回をご覧ください)がヨーロッパに1ヶ月の出張(ほんとに仕事かな・・・)で不在だし、同行する形成外科の友人は全くのグルメ音痴なので期待薄・・・(何をしに学会に行くのか?と言われそうですが)。でも学会会場になるホテルにスパと屋外ジャグジーをみつけ、それをちょっと楽しみにして出かけました。

 

 

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珍しく早起きして学会会場に行ったのに、美容医療の会場は朝から人がいっぱいです。次々発表される演題の中、興味深いところでは、シワ・たるみに自分の血液から取った血小板血漿を注入する方法や、「コラーゲン誘導法」というメソリフトに似た方法の発表がありました。また、「注入異物後遺症の問題点」として、非吸収性の注入物が膨らんできて、腫瘍(できもの)との鑑別を必要とした例の報告があり、やはり吸収されない注入物は危険である事を再認識できました。
形成外科学会では、美容以外の発表はほとんどが大学病院かその関連病院の先生で、美容医療の会場だけ少し雰囲気が違います。チェーン展開している美容外科の発表では表題のスライドが派手だったり、中には内容が薄かったり統計がきちんと取れていない発表もあり、「形成外科の重鎮」のような年配の先生に厳しくつっこまれる場面もありました。それでもこういう学会に来る先生というのは比較的勉強熱心な先生で、数多い美容外科医の一握りなんだろうと思います。

 

 

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休憩時間には「コラーゲン誘導法」を発表された先生とお話する機会ができ、有意義なディスカッションができました。学会では同じ興味を持っている先生と直接意見を交わす事ができるのも魅力の一つです。
器械展示では、今度メソセラピーを白髪の改善に使う研究をしようと思っていて、メソガンを使いたかったので探したのですが、いい物がありませんでした。そこで急遽、去年K氏に紹介していただいた先生にお願いし、そこで使われているメソガンを見せていただきました。学会はお台場であったのですがその先生のクリニックは上野なので昼休みに上野まで行き、お台場にとんぼ返りという強行軍。普段ほとんど外出しない私には考えられない行動範囲だったので疲れましたが、得るものは多くなかなか充実した一日となりました。
 
夜は忙しかった一日の疲れをホテルのスパで癒そうと、待望のスパに出陣! 夜景の見える屋外ジャグジーはなかなかいい感じで、ベイブリッジを見ながらほっと一息・・・。
形成外科学会では、ここ何年かは美容医療の会場はいつも聴衆がいっぱいなのに、他の会場は結構すいています。時代の流れかなあ・・・と思いふけることしばし。そう言えば異人館通クリニックがオープンした頃は神戸にはまだ美容クリニックも少なかったのに、この5年でずいぶん増えたものなあ。

 

 

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うちのクリニック自体も、この5年でずいぶん変遷しました。3年前、2周年の時にそれまでの治療の変遷を振り返りましたが、それから3年で新しい治療も増え、その他の治療も進化しています。新しい治療の代表は、メソセラピー(脂肪溶解注射)とメソリフトです。どちらもモニター試験と血のにじむような(?)研究を重ね、確実に効果の上がる独自の方法を開発しました。その苦労話は以前のクリニック通信でも紹介したとおりです。メニュー化してからもさらに統計をとって研究し、進化し続けています。どちらも痛みは軽減し、メソセラピーは多かった内出血もほとんどなくなりました。麻酔の研究の成果でメソリフトは今やほとんど痛くなく、初期の頃とは全然違うと言われます(初期にメソリフトを受けられた皆様、ごめんなさい・・・今はほとんど痛くありませんので、ギブアップされた方も再度挑戦してみてくださいね)。現在は針跡の残りにくい器械を研究中です。

その他にも、ヒアルロン酸は種類が変わってもちも良くなりましたし、注入の手技もかなり向上したと思います。最近はさらに注入しやすく仕上がりも綺麗だという新しいヒアルロン酸も出てきたので、導入を考えています(もちろん自分達で試して、モニター試験もしてからですが・・・)。ボトックスも、シワの治療だけではなく、たるんだ瞼を引き上げるアイリフトボトックスや、えらをスッキリさせて小顔にする方法、肩こり・頭痛・腰痛・関節痛の改善などいろいろな方法に使えるようになりました。そして現在は新しい痩身指導の開発に取り組んでいます。

 

 

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そうやって日々研究の毎日を5年間過ごしてきましたが、1月号のクリニック通信にも書いたように、この業界ではそうして効果と安全性を検証してから新しい治療を行ったり、日々研究を重ねている所は非常に少ないということが解ってきたのです。そこで5周年を機にホームページの理念の部分を、今までのものに新しい項目を付け加えて変更することにし、今まで5つだったクリニックの目標を7つにしました。その「7つの目標」は以下のとおりです。
 
1,効果と安全性を検証していない治療法は導入しません。
2,常に研究を怠らず、適正な治療を適正な価格で提供します。
3,健常者に必要な総合医療を提供し、日常生活に安らぎと豊かさを与えます。
4,医療はサービス業であると考え、「満足と心地良さ」を提供します。
5,遠方の方や忙しい方でも受けられる、広がりのある医療にチャレンジします。
6,医療と美容のコラボレーションを目指します。
7,スタッフの目標を明確にし、スタッフ自ら向上しようとするクリニックを目指します。

 

 

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1-5はオープン当初から掲げていた理念ですが、1と2は以前は融合していたものを独立させたものです。新しい治療を導入する時はもちろん、その後も研究を続け、常に「安全で確実に効果が出る治療」を「適正な価格」で提供し、「一人でも多くの人を幸せにできる医療」を目指すというものです。
1-3の目標に関しては、かなり成果は出せていると思います。
4に関しても、最近はスタッフも充実してきて患者様にも「雰囲気が良くなったね」と言っていただけるので、以前よりもサービスは向上したのではないかと思います。皆様に少しでも心地よく過ごしていただこうと、ベッドのマットや枕を変えたり、音楽を変えたり、接客やサービスの本を読んで勉強したり、スタッフも一生懸命してくれています。「心地良さを提供したい」という思いはすごく強いのですが、今のクリニックではおそらく私が一番口下手で接客も下手なので、私が一番勉強しなくてはいけない部分であると思っています。

 

 

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5の遠隔地治療に関しても、最近かなり充実してきました。遠隔地治療のレチノイン酸療法は確実に成果を上げていますし、プラセンタの内服薬もたくさんリピートしていただいています。先日も秋田の患者様から、「ようやく桜の開花が聞かれるようになりました」というお便りをいただき、神戸ではもう葉桜だったので「こんなに遠くの方ともつながりが持てるんだ」という素敵な実感がありました。

そして今回新しく付け加えた項目が6と7です。クリニックで「多くの人を幸せにできる医療」を提供するには、院長だけでなくスタッフの力が不可欠だと思うからです。患者様を理解することから始め、どのような治療で悩みを解決できるかを患者様の立場に立って考えるカウンセリング、実際の施術、治療をスムーズに進めるためのアシスタント、患者様に心地良さを感じていただける接客・・・患者様に本当に満足して喜んでいただくためには、それらすべてに高度な知識と技術、そして誠意が必要です。その知識や技術を身に付けるには、スタッフ自らの向上心と熱意が必要ですが、それを起こすためには明確な目標が必要だと考えたのです。

 

 

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クリニックをオープンしてから、スタッフを育てるのがずっと課題でした。私は元々整形外科の男社会でずっと生きてきたので女の子の扱いが苦手です。そんな私でもついてきてくれた今のスタッフには、本当に感謝しています。その彼女らを幸せにするには、やはりプロとして独立できるようにしなければ、と思ったのです。そのための教育を今後頑張ろうと思っています。
患者様はもちろんですが、クリニックに来てくれるスタッフにも「ここに来て良かった」と思って欲しいですし、そのためにはここに来れば身につくものがあり、明るい未来が開けなくてはいけないと思うのです。

 

 

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そして同時にこれからの美容医療を考えると、一人の女性を綺麗にするには医療だけではなく、日常のお手入れやボディメイク・ヘアメイクやファッションまで、トータルなケアが必要であると考え、医師とエステティシャン・美容カウンセラー・ヘアメイク・ファッションアドバイザーなど、各分野の専門家とのコラボレーションが必要だと思いました。将来的には医療と美容・健康に関する各分野の専門家とのコラボレーションを実現し、トータルケアができる新しい分野を開発して、クリニックに来てくれたスタッフにもプロとして活躍できる場を提供できればと考えています。スタッフを幸せにしなければ、患者様も幸せにはできないと思うからです。そのために今後は、美容に関係する各分野に興味を持ち、それらの研究も進めていこうと思っています。そして何よりワクワクする楽しい仕事をみんなでし、患者様にもワクワクしていただきたい・・・そのためには私自身が頑張ってもっと成長しなければ、と思う今日この頃です。

・・・そんな思いをめぐらせながらジャグジーにつかっていると、ふやけそうになってしまいました・・・。 スパ後の食事はホテルでグルメ音痴の友人とだったので、やっぱりいまいちでがっかり。 でもグルメは別にして今後は学会にも積極的に参加し、情報収集をしてクリニックのさらなる進歩に役立てようと思っています。そして皆様に「また行きたい」「行くのが楽しみ」と思っていただけるクリニックを目指したいと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します。