第49回 (2007年04月) 「黒七味で13代」

  

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こんにちは、異人館通クリニックの柴田です。今年は暖かくなったかと思うと急に寒くなったりしていましたが、やっと桜の季節になりましたね。皆様はいかがお過ごしでしょうか。寒さに震え、おうちにこもっていた私も、やっと外出する気が少し起こってきました。おうちにこもっている間は、例によってネットで食材を取り寄せていたのですが、先日面白いものを見つけてしまいました。九州に出張に行ったグルメ友達が、興奮気味に報告してきた土産話。
友人N:「九州のおでん屋でね、めちゃくちゃ美味しいもの見つけたんよ!」
柴田 :「え! 何、何??」
友人N:「七味唐辛子!」
柴田 :「え?? 七味? そんなものが美味しいの?」
友人N:「それがねー、うまいのなんのって! それがあるのとないのでは、おでんの味が全然違うんやけ
     ん!」 
(たった数日間の出張だったのに、なぜか九州弁の真似している・・・が、とっても変。)

 

 

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ほんとに七味唐辛子くらいでそんなに違うのかな。でもグルメ仲間でも確かな舌と定評のあるNの言葉とあらば、聞き捨てなりません。普段使った事がない携帯カメラでなんとかその七味唐辛子の写真まで撮ってきたのですから、その気合の入れようは見逃すわけにはいけんとよ・・(う・・ん。これもなんか変。)・・とさっそくネットで調べてみました。携帯に写っていた写真を見てもよくわからないので、メモリーカードから写真ファイルを取り出しして、パソコンに転送。そして文字の写っている部分を拡大ツールで拡大していくとそこには「原了郭」の文字が・・・(うん。ジャック・バウアーもびっくりの活躍!)インターネットで「原了郭」を調べると、京都の老舗で確かにこのパッケージの七味が販売されているし、Blogなんかでも確かに美味しいと評判のようで結構全国的に有名な商品なんですね。(この通信をお読みのグルメな皆様の中にはご存知の方も多いのでしょう。)

調べて驚いたのは、その店の商品数の少ないこと。黒七味と一味、粉山椒と何種類かの御香煎(香りのある素材を粉末状に加工し、白湯に入れて飲用するものらしい)しかありません。そしてさらに驚いたのは、創業元禄16年、なんと13代続いているお店なのだとか・・・。元禄16年と言えば、1704年。時は江戸時代、教科書でも有名な上方を中心に花咲いた元禄文化の時代に創業し、その後300年以上に渡って続いているお店・・という事になります。
「ふーん、七味唐辛子を販売していて13代も続くんやねぇ・・・」
これは取り寄せないわけにはいきません。さっそく黒七味と一味、粉山椒を取り寄せてみました。

 

 

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たまたま黒七味が届いた日は、寒くて出かける気もしないところに友人が焼き鳥を買って遊びに来たので、
「これをかけたらローソンの焼き鳥が高級料亭(高級料亭に焼き鳥なんかあるんかいな・・・)の味になるかもよ」と冗談を言いつつ黒七味と粉山椒を一振り。すると・・・ 「 ・・・ん、んまい!!」 (誤植ではありません。発音をそのまま。)
 なんと、本当に高級料亭にも負けない味になるではないか!
それからしばらくは例によって「黒七味ブーム」が我が家に到来。黒七味のとりこになってしまい、何にでも黒七味をかけてみました。すると和食でも洋食でも、ほとんどが品のある素晴らしい味に早変わりするではありませんか。中でも美味しかったのが「黒七味ペペロンチーノ」。 これは単ににんにくをオリーブオイルでいためて塩とおだしを加え、麺を絡めた後に仕上げに黒七味を振り掛けるというもの。イタリア人もびっくりの美味しさです。
その他にはエリンギをオリーブオイルで炒めて黒七味を振り、野菜に加えたサラダ。このサラダはわが家の定番メニューになってしまいました。ただ、トマトソースのパスタには黒七味は合わないようです。(これだけは一味でないとしつこくなるようです。そんなことも見通しているのか原了郭には通常の一味唐辛子もあって、これがなぜかうまい。)ほんとに何にかけてもほとんどのものが美味しくなるので、黒七味サラダを食べながら感心することしきり。
「いい物はやはりずっと人気があるんだなあ・・・ 。13代も続くわけだ」
時代の流れによって流行りすたりはあるものですが、本当にいいものはやはり根強い人気があるものですね。

 

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閑話休題(それはさておき)
美容医療の世界にも、流行りすたりはあります。ある・・・と言うよりは、かなり激しい方ではないでしょうか。クリニックをオープンした頃は、ピーリングの全盛期でした。誰もが「ピーリングをしてみたい」という時代。美肌目的でクリニックに来られる方の希望はほとんどがピーリング・・・という時期もありました。そこで、より安全で効果のあるピーリングを開発しようと研究を重ね、皆様のご要望にお答えしておうちでできるホームピーリング剤も開発しました。しかし今はピーリングを希望される方はかなり減っています。ピーリング自体はニキビにはよく効きますし、くすみを取ったりお肌のきめを整えるのにはいい治療だと思いますが、シワやたるみに即効性がないのがその原因でしょうか。時代の波はすっかりシワやたるみに即効性のあるメソリフトに移った感があります。美容医療機器でも、レーザーからフォトフェイシャル、サーマクール、ポラリス・・・と次々新しい器械が出て流行ってはすたれていきます。そんな中、クリニックでも黒七味とまではいきませんが、根強い人気のメニューがあります。それはレチノイン酸療法とプラセンタ点滴です。

 

 

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レチノイン酸療法は、レチノイン酸クリームを使ったシミの治療法ですが、シミ治療ではいまだにこれの右に出る治療法はないと思います。毎日クリームをシミからはみ出さないように塗ったり、クリームの濃度を調節したり・・・という手間と、赤くなって皮膚がむけるというリスクはありますが、赤味はお化粧で隠れる程度ですし、何よりも目に見えてシミが取れていくという即効性が人気の理由のようです。レーザー治療のように、肝斑というシミはかえって濃くなる・・・というリスクもありませんし、テープを貼ったりする必要もありません。今まで100人以上の方にレチノイン酸療法を行ってきましたが、効果がなかったのはたったの2人。それもあざのようなもので「効果がない可能性が大です」と説明したのに「ダメ元でやってみたい」と言われた方のみでした。もちろん個人差はあり、0.1%のレチノイン酸クリームで1ヶ月もたたないうちに濃いシミが取れてしまった方から、どんどん濃度を上げてもなかなか効果が現れず、2.5%まで濃度を上げてやっと効果が出た方などさまざまですが、これほど100%に近い効果のある治療というものはなかなかないでしょう。

 

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そしてこの治療のもう一つの魅力は、遠隔地治療ができるということです。最近クリニックの主要なメニューとなっているメソリフト・メソセラピー・ヒアルロン酸注入・ボトックス療法などはいずれも注射ですので、クリニックに来ていただかなければ治療することができません。ところがこのレチノイン酸療法は、クリニックに来ていただかなくてもシミが取れるのです。もちろんクリニックに来ていただいてレチノイン酸導入やイオン導入・プラセンタ点滴などを併用した方がシミは早く取れますが、遠方の方がまったくクリニックに通えなくてもシミ治療ができるというのは、非常に便利な事だと思います。実際、遠隔地治療ではこのレチノイン酸療法がとても人気があります。また、無理をすれば通えるけれど毎週は難しいという方も、写真を送っていただければ遠隔地治療と併用できるというのも便利ですね。レチノイン酸療法はクリニックをオープンした年に導入したのでもう5年近くになりますが、いいものはやはり根強い人気を持っているものです。原了郭の13代にはかないませんが・・・。

 そしてもう一つの人気メニュー、プラセンタ点滴。このメニューはオープン当初から、本当に根強い人気があります。シミ・シワ・クマやニキビにはもちろんですが、肩こり・腰痛・冷え性・更年期障害・疲労・風邪・アトピーやアレルギーにも効くという万能選手の感があります。特に疲労には即効で、風邪をひいた時などは私も点滴をするのですが、一気に楽になって助かります。中でも喜ばれるのは、アトピーやアレルギーの方です。最初は間隔をあけずに点滴をされないと症状の改善に時間がかかることもありますが、中には短期間で効果が現れる方もあり、続けられるとほとんどの方に「何をしてもなかなか良くならなかったアトピーがとても良くなった!」と喜んでいただけるので、こちらとしても嬉しいかぎりです。

 

 

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肩こりや腰痛にはプラセンタを直接痛い所に打つツボ注射の方が良く効きますが、「注射はこわい」と言われる方も多く、やはり点滴の方が人気です。美肌のために点滴をされて「あまり効果を感じられない」という方もたまにおられますが、プラセンタは体の「異常を正常に近づける」という効果(例えば免疫力が落ちていれば上げ、アレルギーのように過剰な免疫反応は抑える効果)の出方をする事が多いので、あまり異常のない方が点滴をされても効果を感じにくいのだと思います。

遠方の方には点滴は難しいですが、プラセンタの内服薬というものがあり、こちらも遠隔地治療ではかなりの人気です。点滴ほど即効性はありませんが、飲み続けていただくと、いろいろな症状が改善されたとのお声とリピートが多く、いつも嬉しく思っています。最近は不妊治療にプラセンタの内服薬を使われることもあり、私も婦人科系のことを調べていろいろ勉強になりました。

 

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去年の10月からプラセンタの注射をされた方は当面の間献血ができないということになり、当院でも詳しい説明書と同意書を作りました。BSE(狂牛病)に関連性のあるvCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)の感染リスクをできる限り少なくするという名目だそうですが、当院で使用している「ラエンネック」というプラセンタ製剤は、感染症や海外渡航経験がないかどうか厳重にチェックした方の胎盤を使用し、製造過程でも厳重な検査と3種類の滅菌工程が組み込まれていますので、既知のウィルスや病原菌に関しては安全性が確立されています。またBSE(狂牛病)を起こす病原性プリオンに関しても検査を行っていますし、1980-1996年の間に英国・フランスに1日以上の滞在歴のある方の胎盤は使用していません。胎盤には正常プリオンも0.4%しか存在せず、正常プリオンが病原性プリオンに変異するには30ヶ月以上を要すること、胎盤は10ヶ月弱しか体内に存在しないことを考えると、病原性プリオンの感染リスクはほとんどないと言えます。私はお肉を食べるよりずっとリスクは少ないし、リスクよりメリットの方がずっと大きいと思っているので、自分にもどんどん使っています。

ちなみに業界ではこの措置は厚生労働省の「自費治療いじめ」ではないかという声もあり、そんな中でもプラセンタ点滴を希望してこられる方はあとを断ちません。そんなこんなでプラセンタの人気はずっと続いており、ありがたいかぎりです。やはり本当にいいものは皆様ご存知ですね。プラセンタは古くはクレオパトラや楊貴妃も愛用していたという話ですので、こちらは原了郭に勝っています!

 

 

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話は黒七味に戻りますが、よく調べてみると「原了郭」は10代目までは御香煎一筋だったらしく、黒七味は10代目が考案したものだそうです。私は黒七味で13代続いていると思っていたのですが、黒七味はまだ3代だった訳です。(普通の企業の平均寿命は30年です・・と経済学の先生が言っていたことを考えると3代続くだけでもすごいことなのでしょうけれど。)3代でこれだけ美味しいんだから、今度はその「御香煎」というものをぜひ取り寄せてみよう!と思っています。薫り高い白湯・・・ということなので「桜湯」のようなものでしょうか。あ、そうそう、「桜香煎」というのもありました。お花見にいいかもしれませんね。皆様も優雅に桜香煎でお花見・・・と洒落こまれてはいかがでしょうか?

最後に・・・よくテレビなどで、タレントが自分のお気に入りの商品のことをしゃべって宣伝したところ、その会社からその商品が1年分届いた・・なんて話をしていますが、私のところにも「黒七味」1年分届かないかなぁ・・・。だいぶ「原了郭」の宣伝したんだけど。この通信だけでの紹介では、あまりにも影響力なくて無理かぁ。でも、もっとこのコラムも人気が出て、ここで紹介されると「翌日には行列ができる」というようになる日が来るかも・・。そうすれば、提供される商品だけで一生グルメには困らないなぁ・・ふふふ・・・などと淡い妄想をいだいてしばらく一人でニタニタしていたのですが、その前に「たとえ30年でも続くクリニック」にしないとなぁ・・はぁ、道は遠い・・・と現実に戻る私でした。