第43回 (2006年10月) 「こおろぎや 夜風に吹かれ・・・」

  

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こんにちは! 異人館通クリニックの柴田です。 朝晩は涼しくなって秋らしくなりましたね。皆様はいかがお過ごしでしょうか?
秋といえば芸術の秋、文学の秋、食欲の秋・・・(私には最後の秋が最もしっくり来ますが・・・ )。
日本は四季のある美しい国である・・・とよく聞くのですが、正直に言いますと私自身は四季の無い国・・・の方がなじみが少ないです。私たちが旅行などにでかけるのは常夏のリゾート地を除いては、大抵が先進国なので四季がある方が普通・・・と思ってしまうのですが、世界を見渡すと四季がある国の方が少数なんだそうです。 

そんな美しい四季に恵まれた日本に生まれ育った訳ですが、四季を実感するのは私はなんといっても秋です。暑くもなく、寒くもなく、美味しいものが食べられる最高の季節じゃないかな・・・と思います。もちろん、皆さんの中には春の方が好きな方、夏の方が好きな方、そして冬が好きな方もいらっしゃると思います。それぞれの季節には特徴があり、そして季節が巡ってくるっていうのは同じ日常に変化をもたらし、日常生活に潤いをもたらすものですね。古来から日本人は最も四季の変化を楽しみにしていたということは、数々の俳句が生まれている事から容易に推測できます。

 

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私自身は俳句を詠む・・・というような高尚な趣味はないのですが、高校生の時、国語の授業で習った松尾芭蕉の「奥の細道」はなぜか今でも心に残っています。中でも
「草の戸も住替る代ぞひなの家」

の句は自分が年齢を重ねるにつれ、何かと思い出す句です。私が解説をするようなものではないのですが、念のため記載しますね。
芭蕉が住んでいた時は男やもめで掃除も行き届かない草の戸だったのだが、自分が旅に出るというので家を出たところ、そこに引っ越して来た人たちはひな祭りの飾りを行っているような暖かい家庭になっていた・・・という事で「変われば変わるもんだなぁ・・・ 」という感慨を残しつつ、旅に出るという情景を詠ったものです。( ・・・そう国語の先生に解説されたはず・・・私の思い込みでなければ)

 

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最近、私もクリニックを開業してから自分の生活が変わった事に、何か「変われば変わるもんだ・・・ 」という感慨が重なります。

「キャンドルに映える人影 クリスマス」

勤務医の頃はとにかく忙しく、宿直もしょっちゅうだったので、正月とかクリスマスなどの感覚すらなかったような慌しさだったのですが、最近ではクリスマスは自宅でキャンドルを灯し、街行くカップルを自宅の窓から眺めながら、ゆっくりとした時間を過ごすことができるようになりました。以前は、自分が働いている時に楽しそうにクリスマスを過ごすカップルは人類の敵だ・・・と思っていたのですが・・・そんな恨みも最近は晴れてきたように思います・・・(^○^) 

 

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「秋風や生ハムメロン、シャンパーニュ」

最近はめっきり涼しくなって、窓をあけて鈴虫の音を聞きながら、北海道から取り寄せた夕張メロンと生ハムでオードブルを作り、冷えたシャンパンで秋の夜長を過ごすともう「幸せ!!生きててよかった!!」と実感するひと時です。生ハムといえばイタリアのパルマ地方のものが最高とされていますが、なんのなんの・・・北海道の生ハムで世界の最高のものと比べても引けを取らないすばらしいものがあるんです。どこで買ったかを書くと買い占めらては困るので名前は出せないのが残念ですが。イタリアのどちらかと言うと淡白な味わいのメロンに塩辛い生ハムの組み合わせも「さすが本場のプロシュット・エ・メローネ!」と思うのですが、日本の異常ともいえる甘味をもった夕張メロンに、塩味をかなり控えた、とろけるような生ハムの組み合わせは、多分イタリア人もびっくりの逸品です。さすがに夕張メロンの季節は過ぎてしまったようですが、北海道の某所の生ハムは健在です。

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・・・って文学の話をしようと思って書き出したのですが、結局食欲の秋かぁ。 もうこうなったらついでなんですが、先日K氏に連れていただいた銀座のお鮨屋さん「さわだ」のお話を。 何年も前からK氏と、東京と神戸で「鮨対決」をしようと企てていて、先日やっと実現したのですが、以前にもクリニック通信で紹介した神戸のお鮨屋さん「N」の対戦相手が「さわだ」です。「N」は魚が大好きで気のいい大将が毎日市場に仕入れに行って、儲けを度外視したいいネタを仕入れて驚くほど安く出してくれます。原価率はめちゃ高そうで、「このお店やっていけるのかな・・・ 」と心配になるくらい。それでも大将は「いいもん見つけたら嬉しくてたまらなくなる」そうで、「この鯵がまたおもしろいっていうかな!」と、魚の話をしだしたら止まりません。そしていくら食べてもお値段はほとんど変わらない・・・というお店です。K氏が神戸に来られた時は、「N」の皮だけ炙った鱧のお刺身のあまりの美味しさに「負けたかも・・・」と言われていました。

 

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ところがどっこい「さわだ」もすごい。大将は見た目はプロレスラーのようで一見怖そうなんですが、「リングネームは『プリティさわだ』って言いますんで」と茶目っ気たっぷり。独立するために佐川急便で働いてお金を貯めた苦労人だとか・・・ 。そんな大将に似合わない(?失礼、)いかにも高級そうな白木のカウンター7席だけのお店で、凛とした和の雰囲気が漂っています。そしてお料理も雰囲気以上。見たことがないくらい分厚いひらめの縁側や何種類もの白身が、もみじやきゅうりの葉のあしらいと共に出てきます。
カウンターの奥には「氷室」があり、そこで熟成させたとろの真ん中だけ炙ったものや、産地の違う3種類のうに、驚くほど大きなあわび、などなど・・・ 。最近、氷室なんて見ないですよね。大将曰く「魚は絞めた直後よりちょっと置いて熟成させたほうが美味しいんです。ただ、その辺に放置していては腐ってしまうし、冷蔵庫の中では冷えすぎて熟成せずに、乾燥して品質だけが悪くなってしまいます。本物の氷を使った天然の氷室であれば乾燥しませんし、外気が寒い時は冷たくなりすぎず、暑い時は氷が溶けてひんやりした状態をキープして、いつでも最高の状態の魚を出す事ができるんです。」なるほど・・・味わい深いお刺身はそうして「素材」と「技」によって生まれるんだなぁ・・・と感心してしまいます。

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その後もすばらしい素材が季節感あふれる演出で次々と出されます。その季節感と、酢橘の皮をおろしたほのかな香付けや何種類もの白身の違った味わい、3種類のうにの味わいの差といった微妙な違いは日本の文化を感じさせてくれました。日本人ってそういう微妙な差を大切にしますし、それを感じる感性がありますよね。おそらく何にでもケチャップをかけてしまうようなアメリカの文化にはないものです(アメリカには別の「良さ」がありますが・・・食文化だけはちょっと・・・(^_^;) ) 。 皆様も銀座にお越しの際には「さわだ」を探してお尋ねください。すばらしい世界が広がると思います。(ただ、とってもお高いと想像しています・・・ K氏がご馳走してくださったのではっきりとはわからないのですが・・・ )

 

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ところで美容の世界にも「日本の文化」というものはあると思います。アメリカなどではあっと驚くほど胸が大きくなったり、顔が変わったり、若返ったり・・・というのが好まれます。 しかし、日本では人にはっきり判るほどの変化は好まれません。お顔全体がほんの少しリフトアップしたり、少しふっくらしたり、毛穴がしまってお肌がきれいになったり、下がった瞼や眉が少し上ったり・・・という微妙な若返りが好まれます。10歳ではなく自然な感じで5歳若返る・・・というのがいいようです。人に判らないくらいの微妙な差を求めるのが日本人の奥ゆかしさであり、その差が判るのがまた日本人の鋭い感性ですよね。そういう意味では「メソリフト」や「アイリフト・ボトックス」は日本の文化に合った美容医療ではないかなあ、と思う今日この頃です。
私自身は海外のスターがやっているような「明らかに手を入れている・・・ 」という美容整形の類がどうしても好きになれません。せっかくのお寿司でもびちゃびちゃに醤油をつけているような気がしてしまうのです。氷室でゆっくり熟成させた白身のお刺身に酢橘と荒塩・・・っていうのがいいと思いませんか?(もちろん、ちょっぴりお醤油はOKです。)

 

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人間も年をとると老けるだけではなく、「味」がでてきますよね。この「味」を大切にし、それを引き立たせる美容でなきゃ・・・って思うのです。まぁ、とは言え、やっぱり若い時のお肌に戻りたい!! って思いますよね。

「畑(はた)の地も生まれ替るよぞひなの肌」(ちょっと字余り)

こんな画期的な方法がないかと日夜研究に没頭しています。日本人の美しさはなんと言っても「素肌」にあります。この素肌がいかに美しいかで、外見年齢が決まってしまうと言っても過言ではありませんので、皆様も素肌は大事にしてくださいね。
しかし、ある程度年齢がいってしまうとどうしても気になるのが皺です。深い皺ができてしまった方は残念ながら素肌のケアの前に、皺を取らねばなりません。こちらはアメリカ流の方が優れていますね。

「美しや、皺にしみ入るボトックス」

結局美しさを求めるときりがないのかも。でも深い皺ができる前に手を打っておいた方がいいと思います。皆様も日頃のケアを大切に!