第42回 (2006年09月) 「メソリフト物語 続編」

  

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こんにちは! 異人館通クリニックの柴田です。 今年の夏は本当に暑かったですね。皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はこの夏はメソリフトの研究に捧げた・・・と言っても過言ではないと思います。 先月号ではメソリフトの研究を始めた頃の苦労話をご紹介しましたが、今月はその後どうやって研究成果を出せたかのお話をしようと思います。例によって東京でのグルメ話なども交えちゃいましょう・・・。(そちらがメインになってしまいそうですが・・・)

先月号でお話したように、滅菌すると曲がってしまったデルマローラーやしょぼいメソガンなど器械の壁を乗り越え、やっとモニター試験にこぎつけたのですが、1回目から効果が出た方もおられるのに「全く変化がない」と言われる方もおられ、またもや壁に直面してしまいました。しかし悩んでいる所に、ブレインK氏の取り計らいで、東京でメソリフトを大成功させているT先生を紹介して頂く事になり、早速東京に出張したのです。・・・が、例によってK氏との打ち合わせはグルメ話になってしまいます。

K氏:「せっかく東京にいらっしゃるんですから、お食事でもご一緒しましょう。どこがいいですか?シャネルの上のベージュでも行きましょうかね?でもあそこは料理はそこそこですしねえ。ランスはうまいけど、先生はもうよくご存知ですし・・・ 」
柴田:「ランスは大好きなので、何回行ってもOKですけど・・・」
K氏:「そうですか?それは良かった!あそこはうまいですよねえ。じゃあ、ランスにしましょう!」

 

 

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ランスというのは(ご存知の方も多いかと思いますが)フランスのシャンパーニュ地方にあるシャンパンの生産で有名な村です(ヴーヴ・クリコもポメリーも、そして後に登場するクリュッグもランスが本拠地です)が、ここの会話に出てくるランスは、ランスで修行したシェフが思い出の村の名前を取って店名にしたという、東京のフレンチレストランです。美味しいシャンパンをグラスでも何種類も置いている私のお気に入りのお店で、そこの温泉卵と海の幸のコンソメゼリーがまた絶品。昔は東京で学会があるたびにランスによってはそのコンソメゼリーを頼んだものでした。開業してからご無沙汰していたのですが、この春K氏との「定例会」の際に久しぶりに訪ねたところ、シェフはもちろんソムリエのS氏とサービスのWさんも変わらぬ顔ぶれで、私がいつもコンソメゼリーを頼んでいたのを覚えていてくださったのには感激しました。 例によってK氏とソムリエS氏の高度な会話の後、K氏は「う~ん、グラスでこのワインを置くところはなかなかありませんよねえ。素晴らしい選択だ・・・ 」とうなり、お料理も美味しくてお値段もリーゾナブルなのに感嘆。K氏はそれからいたくランスをお気に召したようで、一人でランチにもいかれているようです。そういう訳で東京に着いた日の夕食はランスに決まり、翌日T先生のクリニックを訪問することになりました。

そして待望のランスに向かったのですが、肝心のK氏が急遽来られなくなってしまったのです。K氏「先生、ごめんなさい。中学の恩師が亡くなって、お通夜に行かなければならなくなってしまいました」中学の恩師・・・なんて、さすが律儀なK氏です。代わりにT先生のクリニック担当のSさんと、T先生のクリニックでメソリフトのモニターをされたAさんがお食事に付き合って下さる事に。Sさんがお迎えに来てくださったのですが、思わず「ク、ッククク」と笑いを押さえる事ができない状態になっていしまいました。 事前にK氏からは 「T先生のクリニックにはムーミンパパがご案内いたします!」 というお話をお聞きしていたのですが、その時はなにやら意味がわからず・・・。しかし実際にお会いして納得! 「おお、ムーミンパパだぁ・・・」(ごめんなさい・・・Sさん・・悪い意味では決してありませんので。) 

 

 

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それはさておき・・・
柴田 :「Aさんはメソリフトのモニターをされたんですよね?
    何回目くらいから効果がありましたか?」
Aさん:「ええ、右半分は生理食塩水、左半分をプラセンタだけで実験したんです。
    1回目は痛いだけで何の効果も見られなくて、『なんだ、痛いだけじゃない』
    って言ってたんですが、2-3回目から左がリフトアップして来ましたね。
    3-4回目から両方がきめ細かくなって来まして、5回したんですが
    左はリフトアップしたまま半年もっています」

そう言われてAさんの顔をまじまじ見ると、確かに左半分だけが明らかにリフトアップし、目の下のクマやシワも左の方がずっと少ないのです。両方きめが細かくなったというのは針の刺激で線維芽細胞が活性化されるという理論どおりのようです。
Aさん:「もともとは左の方が下がった顔だったんですよ。それがメソリフトの後は反対になってしまいまして」
Sさん:「僕も1回見ただけでどっちをしたか当ててしまいましたもんねえ!」

これはすごい!実際に治療を受けられた方が目の前におられて、しかも左だけはっきりとリフトアップしたお顔を目の当たりにすると「これは本当に効果があるんだ!」と実感できました。そしてそんな方でも1回目は効果がなかったと聞いてちょっと安心。やはりこれは何回かしないといけない治療らしい。

 

それにしても、手術でもレーザーでもないのに、2-3回目からリフトアップするという即効性と、5回したら半年後もリフトアップしている・・・という持続性はすごい。しかも皮膚に有効成分を注射するだけなので、レーザーのようにお肌に負担をかけません。ピーリングではこの即効性は得られないし、レーザーではこの安全性は保証できない。これはまさしく東洋人にぴったりの治療だ!と思いました。
東洋人の肌は西洋人と違って、ダメージを受けた場合、治る過程で傷跡が残りやすく、色素沈着などのトラブルを起こしやすいのです。アメリカで大流行した深いピーリング(酸で皮膚を真皮まで溶かし、新しい皮膚を再生させる治療)が東洋人にはトラブルが多く、ダメージの少ない浅いピーリング(表面の角質のみを溶かして新陳代謝を促す治療)しか勧められないのもそのためです。そのためピーリングでは効果を出すのに時間がかかってしまうのです。今流行のレーザーも熱でダメージを与えて皮膚を再生する方法ですから、本来は東洋人向けではありません。5年後・10年後のトラブルは保証されていないのです。メソリフトは皮膚にダメージを与えずに針の刺激で線維芽細胞(コラーゲンやヒアルロン酸を作る細胞)を活性化させ、有効成分をダイレクトに補給して皮膚本来の若返りを可能にする、まさに東洋人向けの治療法といえます。

 

 

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感心しているところにソムリエのS氏が飲み物を聞きに来てくれました。いつもはK氏がワインリストを独占しちゃうのですが、ムーミンパパはほとんど飲めないらしいのでAさんと私がワインを選ぶことになりました。AさんはさすがK氏の直属だけあってワインにも詳しく、相当なグルメのようでした。二人でシャンパンリストを眺めていると・・・あのクリュッグを見つけてしまったのです!フランスでは一番大切なお客様をもてなすためのシャンパーニュで、「クリュギスト」と呼ばれる熱狂的なファンも多いのだとか。一度でいいからクリュッグを飲んでみたい・・・というのはAさんも同じだったらしく、「クリュッグ飲みたいねえ・・・ 」(しかしK氏がおられない時にあまり美味しい(高い?)シャンパンを飲むのも悪いし・・・という気遣いも含みつつ)と二人でつぶやいているとお酒のことは何もわからないSさんが「いいんじゃないですか?」とあっさり。嬉しくなって思わずクリュッグを頼んでしまいました。K氏に気遣ってちょっとかわいくハーフボトルにしましたが・・・。その味わいは複雑かつ繊細で、絶妙でした・・・ 。オードブル、メインは3人とも違うものをとって交換しちゃったのですが(そんなことを許してくれるのもランスのいいところ!)どれも素晴らしく美味しくて、大満足でした。そして皆で「K氏ごっこ」をしてめちゃくちゃ盛り上がった楽しい夜でした。(K氏ごめんなさい・・・ )

 

 

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さて翌日、Sさんの案内でT先生のクリニックへ。T先生はメソリフトをもう100人近くされているそうで、1週間に1回、10回を1クールとしたコースを組まれています。1回5万円で10回だと結構なお値段ですが、患者様の満足度は高く、1クール終了した方も必ず2-3ヶ月に1度はメンテナンスに来られるそうです。最初のうちは皮膚に薬剤がとどまっている2-3日だけいい状態らしいですが、4-5回続けて皮膚の血行動態が改善されるといい状態が続くようになるので、10回コースにされているとのことでした。T先生は親切に血行を良くする効果的な薬剤のことなどを教えてくださり、実際の治療も見せてくださいました。デルマローラーとメソガンはどちらが効果があるかという私の質問には、デルマローラーは使ったことはないが、メソガンの方が注入時に圧力をかけられるので薬剤が確実に入るのではないかというご意見で、他にもT先生とのディスカッションは、とても勉強になりました。

 

 

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その日の夜は六本木へ繰り出しました。驚いたのは夜の10時を過ぎても昼間のように人通りの多いこと。たいていのレストランも12時を過ぎてもあいています。ホームページで調べた六本木ヒルズのお洒落なイタリアンレストランを訪ねてみると、お店の雰囲気はNYスタイルでモダンスタイリッシュ。すごく若い雰囲気です。一歩踏み込むなり、「ボナセーラ!!」とあちこちから声がかかります。周りを見てみるとイケメンのウェイターばかり。おまけにここでは注文を通すのはすべてイタリア語。カプレーゼを頼むと、ウェイター君「ウノカプレーゼ、プレファヴォーレ!」奥の厨房から「セイ!」「セイ!」・・・・「すごーい。やっぱり東京はちゃうねー」なんだかこちらまで若返った気分。「でも、イタリア語で『はい』って、『スィー』とちごた?」ま、ありがちなコンセプト先行型のイタリアかぶれ店・・かぁ・・・でも細かいところは目をつぶりましょう・・日本の将来を担う若者(イケメン)達のためにも。そこへお料理とワインが運ばれてきました。あまり期待せずに口にすると・・・「ん?旨い!」神戸ではよほどの口コミがないと、初めてのお店やお洒落なお店はまず失敗するのですが、イタリアンに関しては東京ではあまり失敗がありません。行き当たりばったりで、お洒落で美味しいお店に出会ったのは久しぶり。しかも若さと活気があふれています。夜も3時過ぎまでやってるとか・・・やっぱり東京は違うなー・・・と、ご機嫌で帰路に着いたのでした。

 

 

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さて、神戸に帰ってから早速T先生に教えていただいた薬剤を取り寄せました。例のFGF(線維芽細胞増殖因子)もあるし、これで薬剤は準備万端。新しい薬剤を使ってみましたがやはりその方が効果が出るようです。
また他のブレインに頼んでいた情報も入ってきました。韓国製のデルマローラーのビデオも送ってもらい、それを見ると血みどろになるくらいグリグリと激しくローラーを転がしています。「わあ、あんなに激しくするの?」確かに出血するのは真皮まで針が届いているからなので、出血する方が効果も高いのですが、そこまでするのは麻酔なしでは無理そうですし、針跡や内出血も残ります。韓国の人は2-3日のダウンタイムを見込んで週末に治療を受けるので、長い針の方が人気があるらしい。そしてダウンタイムが過ぎると「肌に革命が起こる」のだとか。

しかしデルマローラーとメソガンはどちらが効果が大きいのだろう?韓国のDr.からの情報では注射器を使うよりはデルマローラーの方がはるかに効果があり、患者様の評判もいいとか。その理由はあけられる穴の数が注射器やメソガンよりはるかに多いからだと言います。しかしT先生の「注射の方が圧をかけられるので薬剤が確実に皮膚に注入できる」という理論も捨てがたい。実際に試してみると5分5分・・・という感じでメソガンより少しデルマローラーの方がいいようでしたが、その時ふと思いついたのです。「そうだ、両方のいい所を取ればいいんだ!」デルマローラーかメソガンかどちらかで、という事にこだわらず、両方の長所を利用できる方法を取ればいいのです。さらにメソガンより確実に注入する方法もひらめき、早速新しい器械の開発にかかりました。

 

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デルマローラーにはもう一つ問題がありました。何回も使うと針がへたってきて、10回くらいしか使えないというのです。韓国では患者様に買って頂いてキープ制にするらしいのですが、10回ごとに買って頂くにはあまりにも高価です。そこで何かいい方法はないかと、クリニックの皆で知恵をしぼり、デルマローラーのように皮膚に穴をたくさんあけられる器械を考案しました。そして針も1回ずつ取り替えられるように工夫してこの問題をクリアしたのです。

痛みの感じ方は本当に個人差が大きく、モニターの方でも最後まで麻酔なしで大丈夫だった方から、出血しない深さでないと全くダメだった方までさまざまでしたが、できるだけ痛みが少なく効果の出る方法を開発するため麻酔の研究も同時に進め、濃度の高い麻酔薬を取り寄せてフェイスシートに染み込ませてみたり、クリームにしてみたり、スタッフもモニターになって麻酔時間を測って何分でどの程度効くかを調べたりしました。また針の長さや本数を変えたり、「蚊の刺す原理で痛くない針」という特殊な針を取り寄せたりして、針の長さや太さと効果・痛みとの関係を調べ、統計をとりました。
出血するほど刺すのであれば、表皮のバリア機能が落ちるので、雑菌が入らないように器具も滅菌し、清潔な方法をとらねばなりません。日々そういう研究にあけくれ、本当にこの夏はクリニックがメソリフトの研究一色でした。
そうして研究しながらモニター試験を進めていくと、苦労の甲斐あってモニターの皆様全員に一定以上の効果が出るようになってきました。以下はモニターにご協力いただいたT様のお写真です。お二人とも5歳は若返られましたよね。他のモニターの方の写真も見たい・・・という方は、ぜひクリニックにお越しください。

 

 

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T様 42歳
「左頬がそげていて何をしてもダメでしたが、何年かぶりにふっくらして驚いています。目の下のシワもほとんど気にならないくらい薄くなり、とても自然に効果を感じることができました。色も白くなって化粧崩れもしなくなり、たるみもすごく改善したので、1ヶ月に1回でも続けていきたいと思っています。」

T様 51歳
「一番気にしていた口元のたるみが目に見えて改善し、とても満足しています。全体にハリが出てリフトアップし、『お肌が綺麗ね』と人から言われるようになって嬉しいです。」

 

例の六本木のイタリアンで食事をしていた時に一緒に付き合ってくれたMさんに冗談で
柴田 :「ねぇ、うちのクリニックも南イタリアの雰囲気に改装しちゃって患者さんが来られた時も
    『ボンジョールノ!』とか言ったりしたら皆びっくりするよね」
Mさん:「まぁ、そんなアホな事するクリニックはないから話題にだけはなるね」
柴田 :「電話に出るときも『プロント?』とか言ったりして・・・」 (プロント=もしもし・・・のイタリア語:実際に
    イタリア旅行するとあちこちで聞こえてくるので、私が最初に覚えたイタリア単語です。)
Mさん:「ああ・・・それだけはやめた方がいいね」
柴田 :「どうして?」
Mさん:「私の母親が以前にイタリア旅行した時に不思議がってたから」
柴田 :「どうしたの?」
Mさん:「イタリアのホテルはベルキャプテンでもルームサービスでも、どこに電話しても全部
    フロントにつながるから内線番号分けている意味ないじゃないか・・・って」
柴田 :「もしかしてそれって『プロント?』=「フロント」・・・て思ったの?」
Mさん:「・・・・・たぶん・・・」
もしクリニックをイタリアの雰囲気に改装する事があっても、正しい日本語を使って応対を行う事だけは間違いないので、ご安心ください・・・(^○^)