第26回 (2005年05月) 「究極のダイエット・・イブの逆襲??」

  

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こんにちは。
異人館通クリニックの柴田です。

今年は桜がとても綺麗でしたね。
でも一瞬にして散ってしまい、今ではすっかり夏支度のようです。
皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか?
今月は思いっきり私の趣味の世界であるグルメ情報に浸ってしまいませう。

先日、私の先輩の医師であるO先生が、神戸から京都へ転勤に なるという事で送別会に呼んで頂きました。
O先生は兵庫関連医師会の中では有名なグルメです。

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その送別会で「神戸で一番好きなおすし屋さんはどこでした?」と
聞いたところ
「そりゃ・・んじゃ・・なんや・・Uとちゃうか・・オレはUが一番すっきゃなぁ。
 それより・・・K子はええ女やなぁ・・・」
とわけのわからんような、わかったような返事。
ただ、O先生が神戸で一番 と言うのであれば、そりゃ、聞き捨てなりません。 次の日にクリニックの事で事務長と別件で電話をしている時・・

柴田 : 「昨日、O先生の送別会で、 O先生が神戸で一番好きなお寿司屋さんはUって言ってたけど、知ってる?」
事務長 : 「U? 、、知らんなぁ。 どこ?」
柴田 : 「神戸大学付属病院の近所らしいよ… 神戸で一番のお気に入りって!」
事務長 : 「・・・・」 (ゴクリと唾を飲み込む音)

以前の通信にも何度か登場しましたが、K氏と並んでうちの事務長もかなり 食べ物にはうるさい人なんです。
柴田 : 「行ってみたい?」
事務長 : 「そりゃ・・O先生がそこまで言うなら行かなあかんやろ。」
柴田 : (別に無理にいかなあかん訳ではないと思うけど・・)「じゃいつにする?」
事務長 : 「え・・あ・・いつでも・・なんだったら今日の夜でもいいけど。」

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げぇ! なんでそんなことだったらすぐに時間が作れるかなぁ。
いつも「めちゃくちゃ忙しい!」「死ぬほど忙しい!」と言ってはクリニックの大事な用事は結構後回しにされるのですが、こう言う事であればなぜかすぐに時間が作れるらしい・・・・(^_^;)

不思議なもので、今まで予約の電話をいれても小さなお店のようでずーっと一杯だったのに、本当に今日の夜だったらなんとか空き枠があると言う事で、その日の夜に探訪することになりました。

お店の様子は震災の後に改装したそうで、予想していたよりはモダンな 作り。 8人も座れば一杯の小さなカウンターにちょっと大きめのテーブル 席が一つ。 私たちが入ったときにはお客さんは4人くらい。
予約取るときはあんなに一杯だったのに意外にもすいている・・・。

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カウンター席にすわると「とりあえずビール」
(やっぱK氏と違って日本人は「とりあえずビール」でしょ。)
ビールをグラス一杯につぐと「乾杯」もそこそこにグビグビと一気に 飲み干し、「プファー!うまい!」 ・・・・ ああ、、誰がなんといっても、 人から年だ、オヤジだ、と言われてもやっぱり仕事の後のビールは最高!
アテにはお勧めのお刺身を適当に切ってもらう。

「はい。お待ち!」 とご主人が出してきたお皿には白身、イカ、ウニ、肝など がバランスよく盛られている。 さっそく鯛のお刺身を一口。
柴田:「う・・うまい!」
コリコリとした舌触りに、噛むほどにうまみがでると言うか、普段食べる鯛 とは別もののようです。 次々に「うまい。うまい。」とお皿にあった刺身を 平らげていくのですが、どれもこれも歯ごたえ抜群で、美味しい。
う・・・ん。 幸せ。 久しぶりに「当たり」のおすし屋さんめっけ。 よくネタケースを見ると不思議なことにマグロなどの赤身は一切ない。

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柴田:「赤身の魚は置いてないのですか?」
ご主人:「うちの魚はその日にとれた天然物しか置かないからね。
     天然物の中でも間違いない…と思うものだけを毎日、直接買い付けにいってるから、自然と白身ばっかりになってしまうな。」

 

おお、、そうでしょうね。 お任せのお寿司になっても次々に白身ばかりでてきます。 ただ、どれもがとても歯ごたえがあり、すごく新鮮な感じです。
「う……ん」 美味しい。
ご主人:「魚は天然物を食べだすと養殖のもんは食べられへんよ。
     うちらでも魚をまな板で切ってたら、養殖のもんはまな板とか
     包丁がべたべたになって気持ちわるうて、ようさばかんね。」

 

なるほど、魚の脂がのる…といってもここの魚は脂の質が違うような感じです。 冷酒の美味しいのを追加して、もう食べられへん…と言うくらいお腹一杯 になってようやくお勘定。 お値段もなかなかリーズナブルです。

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お店を出てからは事務長の総評です。
(本人はうるさくないなどと言っていますが、初めてのお店では必ずこの総評が あるのです・・(^_^;) )
事務長 : 「う・・ん 美味しかった。 でも個人の好みかも知れんけど、僕は
      灘のNの方が好きやなぁ。」
柴田 : 「え…そうなん。意外やね。こっちの方が美味しいと言うと思ったけど。」
事務長 : 「うん。美味しいのは美味しいけど、なんかもったいないなぁ。
      新鮮すぎるというか・・もう少し時間がたった魚の方がすきやなぁ。
      時間がたつと歯ごたえは悪くなるけど、魚の甘味がぐっとでるでしょ。
あの魚の甘味とご飯が混じる感覚が、握り寿司の醍醐味なんやなあ。」
ほほぅ・・そうですか。そう言われてみるとそうかもしれない。 確かに歯ごたえはいいんだけど、あまりにもあっさりしていて、下品だけど味の素の結晶を2粒ほど置いた方が美味しいかも・・・(^○^)
 
柴田 : 「でもO先生はここが一番好きや、って言ってたよ」
事務長 : 「だってO先生って年やろ? 人間、年を取るとあっさりしたもんが好きになるからねぇ。
      僕は、ほら、まだ若いから、、」

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…と今回の通信は異常に長い前置きでようやく本題に入るのでした。
(皆さん、今までの話は前置きです。 落語で言うところの枕ですね。)
一般的に若いときは脂っこいものを欲して、年とともにあっさりしたものを好むようになりますね。 稀に寿司屋に行くと、小学生くらいのお子ちゃまがヒラメ の縁側なんかを食べて「うん!いける!」なんていっているのを目にすることも ありますが、これは相当稀なボンボンのケース。 普通の子供はハンバーガーとか焼肉とか脂身が多く、味の濃いものを好みます。 それがなぜか年を取ると 野菜とか魚の白身などあっさりとしたものを好むようになるのは、体が自然と それらの食事を欲するようになるからですね。
体の変化とともに欲するものが変化してうまく年をとっていけば問題ないのですが、現代はなかなかそうも行きません。

何が問題かというと「肥満」・・です。
ちょっと太っているという程度であれば、もちろん問題ないですし、愛嬌みたいなものですが、度を越してくると「肥満」は立派な病気といえます。 肥満は生活習慣病と密接な関係があり、高血圧、糖尿病、心筋梗塞など さまざまな病気を引き起こします。 色々な病気を併発して、「病気のデパート」 みたいな人がいますが、大抵は太っています。

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医者の中にも色々な意見がありますが、私は年を取ってからの肥満はもっとも警戒すべきことだと考えています。
年を取ると老化が起こる・・といいます。
老化というと体全体が少しづつ衰弱していくイメージがありますが、まず起こるのは特定の臓器の疾患です。 現代の死因を見ても老衰で死亡することは極めて稀であり、特定臓器の疾患による死亡が圧倒的多数です。 すなわち、脳はもっと生きて行けるのですが、生命を維持するための臓器の一部に疾患が起こり、死亡してしまうと言う事です。 なんだかもったいないですね。私も今までに特定臓器はかなり重症だけど、見た目は元気で口だけは達者・・というご老人を何人も見てきました(うちの母親が典型的な例ですけど)。 肥満で体は大きくなるが、特定臓器の疾患で体のバランスを整えるために極少量必要なホルモンが足りなくなったり、ビタミン類などが極端な消費のされかたをして、体全体に行き渡らなくなる・・・と言う事がよく見受けられます。

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当クリニックでも「プラセンタ」や「ビオチン」、「アルファリポ酸」などを投与するとみるみる元気がでて、 別人のように回復する人もいれば、あまり変化がない人もいます。これは一重に現状においてそれらの栄養素が不足していたかどうかにかかわってきます。特定栄養素が不足すると疲れやすくなり、体を動かすのが億劫になる。運動しない→食欲だけはある→太る の悪循環に 陥ります。皆さんも頭では百も承知だけどその悪循環を断ち切れないという人が沢山いらっしゃると思います。

本当の意味で健康的で美しいプロポーションを維持しようと思うと
1)余計な食欲を抑える
2)特定臓器疾患があれば治癒させる
3)特定の栄養素が足りない人は補う
4)適度な運動をする
この4つを同時に行わねばならないと考えます。
どれかに偏ったことを行っても決して長続きしませんし、体に変調をきたします。
又、 一時的に体重が減っても、リバウンドで前よりも苦しむことになります。

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一般的に4)の運動が一番必要と思われているのですが、私はそうは思いません。 なぜならば「体がだるいのに、運動ができる訳ない・・」と思うからです。 つまり1),2),3)ができれば自然と体を動かす事が好きになるので、4)は意識 しなくても日常の中で割と簡単に習慣がつきます。
気持ちよい天気の日には自然と外にでて散歩をしたくなるようなものです。 そう言う意味で若い時のダイエットとある程度年齢がいってからのダイエット は全く違うと思うのです。

問題は1)なのです。この前、ある人が言っていました。
「人生はある年を過ぎると二つの道に分かれている。 右は緩やかな下り坂。 左は険しい上り坂。それはそのまま右はオバハンへの道。左は魅力ある熟女への道。」

ストレスの多い現代は食事は唯一の楽しみと言う人も多いでしょう。 医学的には副交換神経を優位にして、リラックスするためのもっとも手軽な方法が 食事なのですから、無理もありません。 「美味しいものをお腹一杯に食べる」ということは蛇にそそのかされてリンゴを 食べてしまったイブの子孫である私達には抵抗できない壁なのでしょうか?

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この度、当クリニックでは神様への挑戦! にあえて挑んで行こうと考えています。 ダイエットには運動ありき・・という常識をくつがえし、

1)余計な食欲を抑える
2)特定臓器疾患があれば治癒させる
3)特定の栄養素が足りない人は補う

を実施すれば、運動は自然と行うようになる・・という考えから、あえて運動指導は行いません。 2)3)は今までの実績から、プラセンタやαリポ酸など数々のサプリメント類があり、問題なし。 とすれば、残るは 1)だけです。
「食べることが唯一の楽しみ」の方は残念ながら一種の依存症に陥っているため 自力でその場を脱出するのは難しいのです。 それは「脳」からの指令だからです。 タバコも止めるくらいなら死んだ方がマシ・・という人は依存症になった脳からの指令ですので、自分の意志で止めることは非常に困難です。
そうであれば、こちらも「脳」へ働きかけて一時的にその指令を経つしかなさそう ですね。それには食欲抑制剤という薬を利用することになります。
もちろんこの薬は乱用すれば害になりますが、注意深く様子を観察しながら投与すれば、体への悪影響は通常の人であれば殆どありません。

今後、「究極のダイエット・・イブの逆襲」 (ちょっと大げさ過ぎ??)
と銘うってダイエットへも取り組んでいく予定です。
私自身もダイエットを行って成功した人間ですので言えるのですが、ダイエットは決して「食」の楽しみを奪うものではないのです。
むしろ、健康を維持することで美味しいものを美味しく食べられる究極の美食術だと思います。 この美食術に、皆様と一緒に今後取り組んでいけることを期待しております。

あ~あ。 この原稿を書くのに3時間もかかりました。
疲れたので、美味しいものでも食べに行ってストレス発散しなきゃ!