第169回 (2017年4月)「復活なるか? 忘れられた施術」

  


こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。もうすぐ春だというのに、まだ寒い日もありますね。早く暖かくなってほしいけど、暖かい日は花粉症が大変という方も多いのではないでしょうか。プラセンタ点滴は花粉症にも効果的ですので、ぜひお試しくださいね!・・・って、いきなり宣伝になってしまってすみません。私も花粉症やアレルギーがあるんですが、点滴をするとやはり楽なので、ついお勧めしてしまうんです。
さて今月は、久々のクリニック潜入調査です! かなり長い事やってなかったので最近の患者様には馴染みが薄いと思いますが、私が患者さんを装って他の美容クリニックに行き、そこで得た情報を記載させてもらうというもので、過去数回このクリニック通信に書いたのですが、いずれも大反響でした。最近はインターネットの口コミサイトである程度の情報はとれるようになりましたが、ネットの口コミって極端に文句を言う人や、逆にステマじゃないかと思うようなベタ褒めコメントもあったりして、誰の言う事を信じていいのか分からないですよね。そこで私の目から見てどうなのかというのを潜入調査して、レポートをお届けするのがこの企画です。(勿論、治療費は自腹です・・・(^_^;)





以前は神戸のクリニックなども潜入調査をしてたのですが、最近は流石にバレてしまう事が多いので、もっぱら学会のついでに東京の美容クリニックに行く事が多くなり、先日も東京で開かれた「医療アートメイク学会」に参加して、そのついでに潜入調査をしてきました。アートメイクって、法律上は医師が施術しなければならない・・・って、知ってました? でも実際には医師が施術してるアートメイクなんてすごく少ないですよね。日本でも、韓国や中国でも、法律上はアートメイクの施術には医師免許が必要だけど、無免許での施術が黙認されている状態のようです。しかし先日、クリニック内なのに医師免許を持っていない人が施術したという事で、院長まで逮捕されるという事件があったようです。(よっぽどひどい事してたのか、患者さんからのクレームがあったのか??)それを受けて、あのフィロルガを打って元気いっぱいの東京のI先生が、厚生労働省の協力のもと、アートメイクを安心で安全なものにするべく研究および技術の研鑽をしていこうと立ち上げた学会が「医療アートメイク学会」みたいです。まだ立ち上げたばかりの学会なので、これから安全な機器や色素の選定・開発、レーザーでの安全な除去方法の確立、技術の向上や認定制度の設立など、しなければならない事が山積みのようですが、無資格のアートメイクはやはりリスクが高いので、早く安全な「医療アートメイク」が浸透すればいいですね。




学会には有名なメイクアップアーティストの講演もあり、眉やアイラインのトレンドやデザインのコツなどの話もあってなかなか面白かったです。アートメイクって皮膚に針を刺すので医療の範疇である事は分かりますが、やはり満足度を上げる為にはメイクアップのセンスがないとダメですね。医療って医師免許が個人に割り当てられるので仕方ないのですが、実際の現場の仕事は一人の人でバランス良く必要なスキルをすべて持っているケースは本当に稀です。例えば外科手術にしても医師としての知識や頭の良さは必要ですが、それ以上に細い血管を縫合したり、神経を避けて綺麗に腫瘍を切り取るなど「職人」としての手技が必要になります。前者だけであれば研究所の研究者タイプになりますし、後者は伝統工芸の職人さんみたいな人ですので、両方を持っている外科医って本当に稀なんですね。さらに言えば手術中はどんな不測の事態が起こるか分からないので、常に冷静で鉄の心をもっていなければなりません。そうなると、もうブラックジャックくらいしかいなくなってしまうんですよね・・・。アートメイクは古くは入れ墨から発展した世界ですが、それと医療とメイクアップ技術が結びついて新たな世界へと進化してくれるといいのですが。




さて、学会の後は潜入調査です。今回は美ST No.1クリニックに選ばれた「Gお肌の研究所」にターゲットロック。・・・ホームページを見ると、「シミ・シワ・たるみ治療専門美容皮膚科クリニック」ん? どこかで聞いたような? 先生は真面目でこだわりの人のよう。どうしてこのクリニックを選んだかというと、少し前から美STで話題の「ミルクピール」を体験したかったからです。え? ピーリング? 皆様はご存知ですか? 15年前、私が開業してすぐの頃にはどこの美容クリニックでも凄く流行っていましたが、いつの間にかすっかりすたれてしまい、今ではメニューから外れてしまった施術です。ニキビはまだしも、シミやシワには効果ない・・・と学会でも発表されていました。そんな過去の栄光と忘れられたピーリングに、最近久しぶりにスポットライトが当たっているらしいのです。




美ST紙曰く、「他のどんな治療でも得られないような艶肌を15分で手に入れられるフランス発のミルクピールは、直後効果の勝利。肌の入れ替え治療として一時流行ったフラクショナルレーザーですが、1週間のダウンタイムを根気強く我慢するのが残念ながら当たり前。今年も美容医療のキーワードはノーダウンタイム。遠くからでも輝きが認識できる美肌が15分で手に入るミルクピールは、期待のニューカマーと言えるでしょう。フランス発のミルクピールが韓国女性を虜にした後、満を持して上陸!」なんだとか。ダウンタイムがなく安全で、直後の艶感が半端ない!ってほんと? 私も開業当時は相当ケミカルピーリングを研究しましたが、やはり酸なのでお肌の弱い方には合わない事も。当時は乳酸とグリコール酸の濃度を変えて手で試し塗りをし、その方に合う方の酸と濃度を診断して・・・と結構手間暇かけていましたが、ミルクピールの記事を読むと「3種類の酸を絶妙な割合で配合し、リスクを最小限に抑えつつ、各々のメリットを最大限に発揮できる」とあります。誰にでも同じ濃度の酸を塗ってリスクが最小限? ほんまかいな・・・でも芸能界でも一発屋として消えていった後に数年のブランクを経て見事に復活を遂げた「美川憲一」のような人もいるし。う・・・ん。古すぎて分からない人には「有吉弘行」みたいな人という事にしておきましょう。彼は一度芸能界を干されたのに、復活を遂げた後は見事に進化してパワーアップしましたね。そんな事を考えながらカウンセリングに。





先生は雑誌に載ってる笑顔より、かなり愛想が悪い・・・(まぁ、私も全然愛想ないので人の事は言えませんが・・・(^_^;)。リスクやダウンタイムの事を聞くと、やはり雑誌の謳い文句よりはずっとリスクが高そうです。ミルクピールの他にもマッサージピールというのもあって、これはTCAという非常に強い酸に過酸化水素を加える事によって、皮膚表面の反応を抑えて奥の方の反応だけにし、お肌にハリを出すものだとか。私があれこれ聞くと、先生は英語の文献まで出して説明してくれました。しかし、いざ施術・・・となると、私が花粉症が出ていて肌が荒れ気味だったので「やっぱり赤くなったりかさぶたができたりする事はありますよ。酸だからね。酸の濃度が合計で65%もあるし、調子の悪い時はしない方がいいよ」とあっさり断られてしまいました。その慎重さがいいんですかね。まぁその日は別件の打ち合わせもあるし、かさぶただらけになってもなぁ・・・と断念。「ウルセラなど他のたるみ治療は・・・?」と食い下がってみましたが、「痛いし時間がかかるよ」と何もしてもらえませんでした。私がよっぽど胡散臭かったのか? 潜入調査がばれたのかな? 残念。今回の潜入調査は失敗・・・。ま、実際にリスクがあるからできませんよ・・・と断るというのは良心的な話であり、そういう結果になったというのも、事実をありのままにお伝えするのがこの企画の良さだと自分で勝手に認識して帰路につく事にしました。




帰りは有名なTクリニックの幹部ドクターである後輩H君と新幹線を一緒にして色々と情報交換をする事にしました。H君は昔私が開業する前に大阪で美容外科の雇われ院長をしてたので、見学に行って美容医療のイロハを教えてもらった人です。(当時、私のおでこに大量のボトックスを打って怖い顔にしたのも彼ですが・・・。)元々は整形外科時代、私がS病院にいた頃の後輩とH君が仲が良かったので、一緒に飲みに行ったりしていた仲でした。彼は途中から整形外科を辞めて形成外科に転科し、その後美容外科を始めたのです。私が整形外科から美容医療に転向してからは学会にも何度か一緒に行った事があり、PRPの発表を見て「なんかすごい効果の出る新しい注射があるみたいですよ」と教えてくれたのも彼でした。しかし彼はその頃人生に疲れていて「美容外科なんか嫌いだ。全然面白くない。ブツブツ・・・」と愚痴ばっかり言ってたので、あまりにもブラックなオーラを発していた彼とはだんだん会わなくなってしまいました。そのうち数年が経ったんですが、年賀状のやり取りやごくたまにメールや電話はしていたので、Tクリニックに勤め出したのは知っていました。今回はせっかくH君に会うので、有名なTクリニックにも行ってT院長を紹介してもらい、Gひろみの若さの秘訣でも聞こうかな・・・(^^)なんてミーハーな事を考えてたんですが、彼の語るTクリニックの話は非常に面白くて、Gひろみの話はつい聞きそびれてしまう程。ちょっと内輪の事情が多いので紙面で書く事は憚られますが、どこのクリニックにもそれなりな事情があるようです。




しかし10年が経って彼も腕を上げたのか、Tクリニックの稼ぎ頭になったようで、一人で月何千万も売り上げを上げてるんだとか。売り上げの10%が歩合になるそうなんで、それだけでもたいした収入です。昔愚痴ってた頃は、なんだか良くわからない先物取引で負けたり、家を買ったら変な物件を掴まされて大損したり、何かとついてなかった彼ですが、今はTクリニック以外にも病院を買ったり転売するような事業もしていて、ついには豪邸?も買って、とっても人生が上向きになったようです。以前のような愚痴は減って、かなり前向きな話が多くなっていました。彼も有吉弘行みたいに見事に復活した人の仲間入りかな。いや彼の場合は芸風変えて再ブレイクを果たした美容外科界のオリエンタルラジオって感じかな。人生ってどうなるかは本当に分からないもんですねぇ。「人生楽ありゃ苦もあるさ・・・♫」って相変わらず古い曲が私の頭を駆け巡りました・・・(^_^;)。




さて東京から帰って、今まで好評だった人気企画をこのまま失敗談で終わらせるのは良くないと思い、再度チャレンジを決意。神戸でミルクピールをしているところを探してスタッフNちゃんの名前で予約したんですが、「保険証を持って来てください」と言われてしまいました。私の保険証を持っていくと流石にバレるので、仕方なくNちゃんに代わりに行ってもらう事に。身代わり役を果たして無事帰還したNちゃんの一言目は「先生! めっちゃ痛いですよぉ!!」Nちゃんはめちゃ痛がりだからかもしれませんが、ヒリヒリしてビックリしたそうです。施術後もしばらく痛く、赤くなって翌日はガサガサに。ニキビはひいて1週間ほどしたらツルっとしたそうですが、雑誌で謳われてるような「ランチタイム15分で艶肌に!」ってものでもなさそうです。一度沈んだピーリングが見事な復活劇を果たすには、まだまだ研究の余地がありそうです。ただ、私も興味があるので取りあえず薬を取り寄せて試してみる事にしました。結果はまたご報告しますね。H君のように芸風変えて?バンバン稼げる訳ではないですが、地道な研究もそれはそれで楽しいので、私はこっちの方が合ってるような気がします。「人生楽ありゃ苦もあるさ・・・♫」これからも皆様のお役に立つ治療を研究して提供していこうと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します!