第167回 (2017年2月)「人の縁って・・・」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。寒い日が続きますが、皆様風邪などひかれていませんか? お正月はどう過ごされましたか? 私はと言えば・・・いつも当院に点滴に来てくださっている、おせち売上全国一のT社を経営されているO様に今年もおせちをいただき、美味しくいただきました。(O様、毎年ありがとうございます!)実家にまでおせちを贈っていただき、92歳になる父も大喜び。母が亡くなって2度目のお正月ですが、父はなんとか元気に迎える事ができました。今年は韓流B君の妹もお正月に日本に遊びに来たので、一緒にO様のおせちをいただいて感激してくれました。O様のおせちも、伝統を重んじつつ毎年新しい変化も取り入れられていて、今年は洋風のおせち素材も多くなっていました。やっぱり何でもトレンドに応じた変化は必要なんだなぁと勉強させていただいた次第です。伸びる会社ってコンビニ見ててもやっぱり常に変化していて、基本はしっかりしながら何かが少し新しいんですよねぇ。



実はお正月にはこのO様のおせち以外にも、毎年ある中華料理屋さんのおせちも買っています。この中華料理屋さんは以前は神戸で一番美味しいと思っていた時期もあるのですが、近年はご主人の高齢化からか営業時間がどんどん早くなり、ラストオーダーが19時とかになってしまいました。これでは普通に仕事をしている人はまず行くことができません。「料理人としては一流の腕なのになぁ・・・」と思いつつも、10年位行ったことがありません。ただここの中華風おせちは美味しいので、毎年一回は人に頼んで毎年買い求めていました。しかし、そんな年に一度の出来事にも今年は変化が・・・。どう考えても今年のできは良くないんですよねぇ。毎年食べているのですっかりおなじみの味なんですが、やはり今年は薄味になり過ぎていて、めっちゃ美味しいと思っていた椎茸も今回は滋味を感じない・・・。私の舌がおかしくなってきたのかと思って、同じように毎年賞味している友人に聞いても同じ評価でした。友人曰く「う・・・ん。今年はダメだねぇ。やっぱりご主人、寄る年波には勝てないのかもねぇ・・・人の事言えないけど・・・残念だね」なんだか一抹の寂しさを感じてしまったお正月でした。



そんなお正月でしたが、年末は非常に楽しい事もありました。京大再生医科学研究所のT教授からDDS再生医療研究会とT研究室の忘年会にお誘いいただき、どちらも参加してきたんです。DDS(ドラッグデリバリーシステム)というのは、ゼラチンなどで作ったゲルにFGF(線維芽細胞増殖因子)などの細胞増殖因子を混ぜて、体内で細胞増殖因子が徐々に放出されるようにし、細胞移植や組織修復の治療効果を高める方法です。DDS再生医療研究会では、高脂血症の治療薬であるシンバスタチンやEPA(エイコサペンタエン酸=青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸。血液サラサラにするってやつですね)とDDSで軟骨細胞の変性を抑制し、膝の軟骨が擦り減る変形性膝関節症の進行を抑制したという研究結果や、PRPとDDSによる皮膚潰瘍の治療、FGFとDDSによる鼓膜の再生治療、コラーゲンスポンジによる真皮の弾性線維の再生医療など、興味深い発表がたくさんありました。DDS再生医療研究会はT先生が代表世話人をされているんですが、今年の研究会の会長は神戸大学整形外科教授のK先生。K先生は以前から膝の軟骨の再生医療の研究をされていて、数年前の細胞再生医療研究会で発表されていたので、その時いろいろ質問して研究会後に名刺交換させていただいたんですが、DDS研究会が終わった後、ホテルの前でK先生と久しぶりにお話する機会がありました。
K先生:「あ、先生! 今日はありがとうございました! 名簿見て、あ、柴田先生 来てはるわ、どこにいて
            はるんかな~って思てたんですよ」
柴田: 「覚えてくれてはったんですか? ありがとうございます!
            先生、EPAとか膝に打ってはるんですか?」
K先生:「いえいえ、まだ実験の段階で・・・。最近は幹細胞の方が多くて」
柴田:  「FGFはどうですか?」
K先生:「骨折には効きます!」
母が骨折した時、FGFを骨折部に打ったら骨癒合が促進した話で盛り上がり、母のために整形に入ってTKA(人工膝関節全置換術)をした話のついでに、遺伝的素因で私も膝が悪くなるだろうという話をすると
K先生:「心配しなくても、あと5年10年したらいい治療できますよ!」
う・・・ん。間に合うかな・・・(^_^;)。



再生医療って、医療に光が見えてきますよね。再生医療研究会に行くと、再生医療ってこんなに進んで来てるんだなぁとか、みんないろんな研究頑張ってるんだなぁ・・・と思うと、元気とやる気が出てきます。 もう一つの元気の素が、京大のT先生。変わらぬ大きな声でいつもめちゃくちゃ元気です。忘年会にお誘いいただいた時も、いつも「共同研究しよう!」とお誘いいただいているのに、私の方がバタバタしていてなかなか進んでいないので「忘年会だけ参加させていただいてもいいんでしょうか?」と聞くと「共同研究のことなんかは関係ありません! 忘年会は是非ご参加ください。いろいろな分野の方と交流を深めてください!」という返事が。300人くらい集まる大きな会と聞いて、T先生以外知り合いもいないので恐る恐る参加しました。会場に行くと確かにすごい人数です。私は縁ないですが、300人の忘年会なんて政治家のパーティとかの規模じゃないんでしょうか? なんだか研究者というレベルを超えています。T先生は私を見つけると「先生、こっちこっち! ここ席空いてますよ!」全然知らない人の間に座って「T先生以外知り合いはほとんどいないんですが・・・」と言うと、隣の席の人達も「僕たちも同じようなもんです」・・・。T先生に誘われて、いろいろな分野の人達が集まっているようです。



開会の挨拶でT先生は、「この忘年会を僕は『名刺交換会』と呼んでいます! いろんな分野の人と知り合いになれますから、ぜひ名刺交換してください!」といつもの大きな声。乾杯の後、早速名刺交換が始まります。そうすると、偶然にも前や横の席の人達はK先生の部下、神戸大整形の先生達だったのです。そこに遅れてK先生が登場。部下の先生達に私を「神戸で美容皮膚科してはる先生やねん」と紹介してくださったので、まず神戸の話題で盛り上がり、さらに「前は整形外科してはってんで」と説明してくださったので「へぇ~、そうなんですか!」と整形話で盛り上がってしまいました。中には私の以前の専門と同じ「手の外科」の若い先生もおられて、TFCCという手首の軟骨のマニアックな話で盛り上がったり・・・。そこにいろいろな機械メーカーの人とか旅行会社の人まで入り乱れていろんな話で盛り上がり、いやはやT先生の求人力はすごかったです。こうやって人の「縁」って広がっていくんでしょうね。




人と縁と言えば面白い研究があって、全く赤の他人が出会った時に実はそれが友達の友達だったって事ありますよね。そんな時「へぇ・・・世間は狭いもんですよねぇ。」なんて話になりますが、実はほとんどの人は気づいてないだけで、3名程度の友達を介在すればどこかで知り合いにつながるという事なのです。つまり「友達の友達のその又友達」位で70%位の人がつながるそうです。まぁ・・・自分の行動範囲なんて狭いので「そうかもなぁ」と思うでしょうけど、これが世界規模になったらどうなると思います? 60億人以上も人間がいるので、そりゃ何百人も人を介在しないと知り合いのつながりなんてないと思うのですが、実は世界規模でも平均すると6名位、多くても7名介在すれば誰かの知り合いにあたるそうです。これは大規模な実験でも実証されています。その秘密は、人間関係はHUB型ネットワークで構成されているからなんですね。HUBというのは多くのものが集結するターミナルのような事を意味しています。有名な言い方ではHUB空港とかいいますね。シンガポールのように多くの航空会社が乗り入れている(集結している)ところをアジアのHUB空港なんて言い方をします。例えば日本からアルゼンチンに行くのに直通便がなければ、まずどこかのHUB空港まで行けば、そのHUB空港を経由して目的の空港まで行けますよね。世界には一体どれだけの空港があるか分かりませんが、どんな辺鄙なところでも5回乗り継がなくても行けてしまいます。これがHUBの威力です。先の友達関係の話に戻ればT先生はまさにこの人間関係のHUBの役割をしている人であって、T先生を経由して色々な人と間接的に繋がっている訳です。普通の生活している人は知り合いなんてせいぜい数十人でしょうけど、人間社会にはT先生のような大規模なHUBみたいな人が少数ですが必ず存在して社会を構成すると言われています。学校のような閉じた世界で友達関係の調査をしても少数のHUBとなる人を経由して友達関係の輪が形成されているらしいのです。



私も最初にこの話を聞いた時はにわかには信じられず、「え? じゃ・・・例えば私と芸能人の郷ひろみを繋ぐには一体何人の人が介在すればOK? 芸能人に知り合いなんていないから、数人では絶対無理だよね・・・」って思いました。ところがよく考えると、冒頭に登場した中華風おせちを作っているご主人の奥様は、ある宝塚の大女優の妹さんなんですよね。この大女優Oさんは名前を聞けば日本では知らない人はいないと言うくらい(ちょっと大げさかな・・・でも本当です)有名な人です。以前三宮で歩いているところを見かけましたが、嘘ではなく200メール位先から歩いて来てても「あ! Oさんだ」って分かるくらい、女優として風格と華があるのです。一方で妹さんの方は美人ではあるのですが、お姉さんと比較すると「本当に姉妹ですか?」って思うくらい違っています(失礼な言い方ですが、本当に「普通」の方なんです。実の姉妹でもこんなに違うもんなんだなぁ・・・)。それを思い出すと、大女優のOさんだったら郷ひろみと知り合いである可能性は十分にありますよね。もしそうだったらわずか2名の介在で「私も郷ひろみと繋がるんだ!」(だから何なんだ・・・という事は別にして・・・(^_^;)あ! そう言えばこの妹さんのお店に食事に行った時(まだラストオーダーが21時位だった10年前ですね・・・)大女優Oさんが「西城秀樹」の結婚式に行った時に出席者に配った引き出物という「ヒデキカンゲキ!」(このコピー分かる人はかなり昭和です・・・(^_^;)と書かれたバーモンドカレーのパロディ品が飾ってありました。・・・って事は西城秀樹と繋がるのに介在2名、西城秀樹と郷ひろみは新御三家だったので(これまた昭和ですいません・・・(^_^;)彼らは絶対知り合いです。やった! 最低2名、最大でも3名の介在で私は郷ひろみと繋がりました!(だから・・・なんだ・・・って事なんですけどねぇ・・・)いやいや・・・思い出した! 郷ひろみは高須クリニックのイメージキャラなんで高須院長と知り合いだよね。そうすれば高須クリニックの幹部ドクターである後輩のH君経由で繋がるから、やっぱり2名の介在で繋がるじゃん!(なんか嬉しい!・・・でもだから・・・?)



話がだいぶ脱線したんですが、このHUBの役割をしている人って人間なんで勿論死んでしまったり、権力者が失脚したりと姿を消す事もあるのですが、そうなると必ず誰かがまたこのHUBの役割をするようになると言うのですから、人間に組み込まれたDNAって恐ろしいですね。ある研究者によると、「HUB型人間」のDNAを持っているからと言ってすぐにHUBになるとは限らないが、既存のHUBがなくなったらDNAにスイッチが入ってその人がHUBになるそうです。DNAに書き込まれた情報ってウイルスみたいな役割をするものが結構あって、ウイルスを持っているからと言って必ず発病するとは限らないが環境が変化する事で突然発病するように、環境が変わるとDNAにスイッチが入ったりする事があるらしいのです。そう言えば大企業で不祥事があって社長が突然辞任するというような事件がある時に、新聞などでは「後継者が育ってない中で○○社長が辞任するとこの企業も危ない」というような記事を読む事がありますが、意外にもその後普通にその会社が存在していたり、場合によっては育ってなかったはずの後継社長の元でもっと伸びたりしているケースがありますね。これってまさに「前任社長が突然いなくなり、自分が社長になるという環境の変化によってスイッチが入った」んでしょう。



まぁ私なんかはこの歳になってしまうと良い方向に働くスイッチはもう存在してなくて「遺伝的な膝の病気のスイッチが入りませんように」というような事しか考えられませんが、クリニックの若いスタッフを見ていると「あ・・・どこかでスイッチ入るとすごいんだろうな・・・」って思う事もあります(そう思うのは留学生の人が多いですが)。その留学生も何かの縁で日本に来て私のクリニックで働いている訳ですから、「縁」って本当に不思議です。勿論患者様とのつながりも何かの縁ですので、この縁を大切にして今年も切磋琢磨していきたいと思います。2017年もよろしくお願い致します!(そうそう、この通信を読んでる皆さんも、私を経由して介在3名で郷ひろみと繋がりましたよ!・・・ってしつこい?)