第141回(2014年12月) 「数え年復活」

  

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。あっという間に今年も終わりに近づいています。月日が経つのは本当に早いですね・・・。すぐに年をとってしまいそうですねぇ。昔の人は自分の年齢を数えるのに「数え年」というのがあって、誕生日に関係なくお正月が来たら全員が一斉に一歳年をとるという制度がありました。私の母親などは「数えで何歳」みたいな事をよく言っていましたが、私が子供の頃は何のために「数え年」というものがあるのか分からず、混乱を招くだけなのになぁ・・・って思ってました。(皆様もそう思いませんでした?)本来は数え年にもきちんとした意味があるんでしょうけど、この年になると「確かに数え年っていいよなぁ」って単純に思うようになりました。だって一斉にみんなで年をとる訳でしょ・・・(^^)。誕生日が来た時みたいに「あ・・・これで私も○歳になったのかぁ・・・」なんて自分だけでシミジミ思う必要がなくて、周りの人がみんな一歳年をとってくれるってなんか安心しますよね。(同窓会ではみんな同い年なので年を気にしなくていいのと似てますね。)自分だけじゃなくて皆で一斉に年をとって、それを新年の到来と共にお祝いするというのって、優しい思いやりのような気がします。来年から「数え年復活元年」にしませんか?

・・・と、年の話はこの辺にして・・・^^;)。今年もいろいろな人との出逢いや再会がありました。新しいスタッフも増え、いろいろ波乱もありましたが、何とか無事に新しい年を迎える事ができそうで、これも一重に皆様のお陰と感謝に堪えません。このクリニック通信も2003年4月から書き始めて早11年。今回が141回目となりました。まぁ、素人の散文なので賛否両論あると思いますが、患者様から「毎回クリニック通信楽しみにしています!」と励ましていただいたり、新規の患者様が来られた際にやたらと話が弾むので不思議に思って聞いてみると「私、ホームページに掲載されてるクリニック通信、全部読んで来ましたから・・・」とさらりと言われたり(確かにクリニック11年分の歴史が分かる訳だ・・・^^;)・・・という事がモチベーションになって続けてきました。これからもクリニックがある限り続けていきたいと思うのですが、本音を言えば、「さぁ・・・今回は何を書けばいいかなぁ・・・あぁ、ネタ切れだぁ!」と毎回悩んでますし、あんまりネタが思い浮かばない時は「あぁ、なんでこんなの書く事にしたのかなぁ・・・」と自分を恨む事もしばしば。そんな時は大抵、過去に書いた通信を読み返して、この季節にはどんな事を書いてたかを参考にしようとするのですが、これがまた時としてヤバイ事になります。数年前の事でも通信を読み返しているとその時の記憶がどんどん蘇ってきて(人間の記憶って本当に凄いですよね。普段はすっかり忘れている事でも何かのきっかけでちゃんと思い出す事ができるのですから・・・)今度はその時代に頭がタイムスリップしてしまいます。そうすると今度はあまりにもその頃が懐かしくなってしまい、通信ネタに採用した事件をWEBで検索してはその後日談を読みふけったり、登場させてもらった歌手の歌をYouTubeで聞いてみたり・・・。そんな事をしているとアッという間に時間が過ぎてしまい「ああ!! こんな時間! 今日も書けなかった・・・ぐすん」となる訳です。

そんな事で今回もご多分に漏れず過去の12月の通信を読み返していたのですが、2003年12月号に「美女と野獣とパーティーと」というのを書いていました。別に大した事を書いている訳ではないのですが、12月になると宴会とかパーティーが増えて来るので「先生! 3日後にパーティーなんです。今すぐこの顔を何とかして下さい!!」という相談が増えるというような事を書いています。これって10年以上前に書いたネタなんですが、結局人間の営みなんてそう変わるものではなく毎年同じ事が繰り返されていまして、12月になると「今日何とかして欲しいんです。来週パーティーなんです!」っていうような駆け込み需要が急増します。そして、これまた10年前にも同じことを書いているのですが、「確かに気持ちは分かりますが、そんな急に効果を出す事ってなかなかできないですよ・・・ホントに・・・」ってやりとりが続く訳です。まぁ今も昔も試験勉強で一夜漬けが無くならないように、直前にならないと危機感を感じないというのは私を含めた一般人の性のようですね。(いつも締め切りギリギリの私に印刷屋のお兄さんがしびれを切らして「先生・・・毎月書くって分かってる訳ですから、もう少し前に準備したらどうですか?」と小言をブツブツ。そんな事分かってるねん! 分かってるけどできないのが人間でしょ! ・・・ブツブツ。と毎回、自己正当化をする訳ですが・・・だから進歩しないんだよなぁ。)

人間の営みって、毎年毎年同じような事を繰り返している訳ですが、それでも11年も経てばやっぱり少しは進歩しているんだなぁ・・・と思う事もあります。2003年12月号では明後日のパーティーの為に何とかして欲しいという知り合いの看護師S代の為に、超音波でお肌のシワを伸ばす器械を使って少しはなんとかできそうだ・・・という事を書いていました。確かに当時としては即効性のある治療方法が少なく、この方法でもなんとか1日くらいは持つので「溺れる者は藁をも掴む」という人にはお勧めしていました。ただ、これは11年前の話でして、最近ではこの超音波を使ったお肌のアイロンというものをお勧めする事はまずありませんし、そもそも殆ど使っていません。やはりこのような方法では効果が1日くらいしか持たないので、使ったその日は満足できても2日後には元に戻ってしまうからです。では最近、このような駆け込みの患者様が来られた場合には何をお勧めするのかと言いますと、やはりオーダーメイドエセリスカクテル注射です。ちょっと長ったらしい名前ですが、皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸を増やしてシワやクマを改善するFGFという薬にビタミンやプラセンタを混ぜ、少量のヒアルロン酸を加えたエセリスカクテル注射を進化させたもので、一人一人の症状や予定に合わせて効果やダウンタイムを調節できるようにした注射です。エセリスカクテル注射は術後必ず腫れますが、オーダーメイドエセリスカクテル注射はダウンタイムを調節できるので、「3日後の同窓会に間に合わせてください!」という要望にもそれなりの事ができるようになりました。(ただやはり本当に綺麗にしたいのであれば、せめて2週間以上前に来てくださいね・・・^^;)。内出血のリスクはゼロではありませんし、あくまでも応急処置でなんとかできる事があるという事なので。)

この2003年の通信を書いた時にもヒアルロン酸注入は行っていました。ヒアルロン酸注入はゼリーのような半固形物質を皮膚の下に注入する訳ですから、物理的に皮膚を盛り上げてシワやへこみを改善するという意味では即効性はありますが、カクテル注射より粘度が高いので細い針では注入しにくく、少し太い針を使うので内出血を起こすリスクが高いため、パーティー直前には向いてなかったんですよね。またヒアルロン酸注入はカクテル注射のようにお肌が若返ったり綺麗になるという効果はありませんし、ヒアルロン酸が吸収されると元に戻ってしまいます。そして、ヒアルロン酸を綺麗に注入するにはかなり技術を要します。比較的若くて肌にハリがあれば綺麗に入り易いのですが、たるみが強いとたるみの酷いところにヒアルロン酸が流れ易かったり、目の下など皮膚の薄いところはデコボコし易かったり・・・。最近ではヒアルロン酸も進化して硬さのバリエーションも多くなりましたが、当時は種類も少なかったので硬いものと柔らかいものを混ぜたり、いろいろ苦労して綺麗に注入する方法を研究していました。またヒアルロン酸は注入後から徐々に吸収されて1~2年で完全に吸収されると言われていますが、体質によっては注入直後よりも後で膨らんできたり、何年も残ってしまう事もあるのです。ただそういう場合は、ヒアルロン酸を溶かす注射はあるので、入れすぎた場合や思ったように仕上がらなかった場合でも「除去」する事はできます。当院では、他院でヒアルロン酸を注入されて残っている部位にカクテル注射をご希望の方には、ヒアルロン酸を溶解してから治療を受けていただきます。そうでないと本当に綺麗にするための薬剤の量が計算し難いからです。

ちなみに、この「一度入れたヒアルロン酸を除去できる」って画期的な事なんです。皆様もお料理していて失敗する時って、大抵調味料を入れすぎた時だと思いませんか? 煮込み料理の味見をして「何か自分のイメージと違うな・・・」と感じた時って、調整する為に更に調味料を入れますよね。そして「やっぱり違う」と思って更に別の調味料を追加します。そうしている内に完全に再起不能状態の訳の分からないものに変貌を遂げてしまう・・・訳です。調味料って一旦入れてしまうと除去できないので、それを隠そうとする為に別の調味料でごまかそうとする訳ですが、これはもう悪魔の巣へスパイラル突入する事を意味しています。美容の世界も基本的に似たようなところがあって、テレビで見る「整形しすぎて残念な顔になった人」って結局、気に入らないところを治す為にどんどん手を入れて、悪魔の巣へスパイラル突入しちゃった人達なんですよね。顔に何かを注入するって本当に慎重にしないといけなくて、一回入れすぎると通常は気に入らなくても効果が薄れるまで待つしかないのです。逆に待たずに更に手を入れていくと、殆どのケースでは更に残念な結果が待っています。そのような美容の世界にあって、「一度入れたヒアルロン酸を溶かして元に戻す事ができる」っていうのは画期的な事なんです。お料理の際に入れすぎた醤油をお鍋から醤油だけ分離して取り出せるってくらい画期的です。(う・・・ん。ちょっと例が良くないが・・・画期的である事は伝わったかな?)

そんな訳で最近では「他のクリニックでヒアルロン酸を入れて変になったんですけど、なんとかならないでしょうか?」という相談にも一応は対応できるようになってきました。ただ、一度注入したヒアルロン酸を溶解するのは、やはり注入したクリニックでしてもらうのがベストです。皮膚や皮下のどの層にどれくらいの量のヒアルロン酸を注入したかは、注入したドクターでないと、注入後の皮膚の上から見ても正確には分からないからです。注入したクリニックでなくても、注入した層を予想して溶解する事もある程度はできますが、何度も溶解しないといけなくなる事もあります。

そして私が、ヒアルロン酸を綺麗に注入する技法を確立したにも拘らず、ヒアルロン酸を単独で注入するのを止めてカクテル注射に移行した最大の理由は、ヒアルロン酸注入は一般に思われているよりずっとリスクが高いという事です。粘度の高いヒアルロン酸が血管の中に入ってしまうと、血管が詰まってしまう事があるのです。法令線に入れたヒアルロン酸が鼻に行く動脈に詰まって鼻が真っ黒になってしまったという報告や、鼻や目の周囲・眉間に注入したヒアルロン酸で網膜に行く動脈が詰まって失明したという報告、果ては脳に行く動脈が詰まって脳梗塞を起こしてしまったという報告もあります。最近の学会ではヒアルロン酸注入のリスクをいかに回避するかが大きな話題になっていますし、美容外科の先生の中には、スレッドリフトなどの糸の挿入や美容外科手術よりも、ヒアルロン酸注入の方が気を使うと言う人もいます。それだけヒアルロン酸注入はリスクが高いという事ですね。オーダーメイドエセリスカクテル注射をはじめとした当院のカクテル注射でヒアルロン酸を混ぜているものは、粘性のない薬剤と少量のヒアルロン酸を攪拌して粘度を下げているので、万が一血管に入っても血管が詰まるという事はまずありません。カクテル注射はヒアルロン酸注入よりは物理的にへこみを盛り上げる力は弱いのですが、安全で自然にシワやクマが改善でき、皮膚の若返りもできる画期的な治療という訳です。なので12月は「すぐになんとかしたい!」という事があっても、ヒアルロン酸を注入する時は絶対に経験豊富で信用できるクリニックへ行ってください。(勿論、ヒアルロン酸注入よりもオーダーメイドエセリスカクテル注射の方がお勧めですが・・・(^^)。)

 

そんな即効性はなくてもいいから絶対にリスクは嫌だという方には、PRPがお勧めになります。当院では低リスクで効果の高いFGF入りのカクテル注射をお勧めする事が多いですが、「少しのリスクでも嫌だ」という患者様もいらっしゃるので、そのような方はPRPが選択肢となります。ご存知の通りPRPは自分自身の血液に含まれる血小板を利用するので、基本的には副作用はゼロです。(PRPの血小板濃度が高すぎると一時的に盛り上がりすぎる事があるというリスクはゼロではありませんが、盛り上がりすぎても通常2~3ヶ月で治まります。)ただ、市販の薬剤を使うのと違ってPRPは一回一回本人の血液を採取し、遠心分離器で血小板の濃度を高める作業をしますし、作り置きができない「なまもの」ですからかなり手間がかかります。その為料金も高価になりがちですし、元々血小板が少ない人は血小板を濃縮すると量が少なくなってしまうので本数が多く必要だったり、効果が出るのがゆっくりなので変化が分かりにくかったり、年齢が進むと血小板の働きも落ちるので効果が出にくかったりというデメリットもあるので、お手軽なカクテル注射の方が当院では人気が高いのも事実です。そんな訳でどちらかと言えば「知る人ぞ知る」メニューであるPRPですが、10月は「一体何があったの?」って言うくらい、希望者が殺到しました。問い合わせもすっごく多くて、てんやわんや。通常の月の数倍の患者様がPRPを希望されたので本当に何が起きたんだろうとびっくりしてたんですが、聞くところによるとテレビでハイヒールのリンゴさんがPRPの体験談を語ったそうで、それがとっても良かったとの事。へぇ・・・ホントにテレビの力って凄いんだな・・・と改めて感じました。ただテレビも、もう少し事実関係をきちんと放送してくれたらいいんですけどねぇ。なにやら勘違いをされた方からの問い合わせが多かったのも事実ですが・・・^^;)。

さて、2014年も残すところあと僅かです。皆様はどんな一年でしたか? 世の中がどんどん変化して、年末の紅白歌合戦を見ていても知らない歌手の人達が大半になってきて、なんだか時代の流れに取り残されていくような寂しさを感じる時もありますが、最後の「蛍の光」の合唱の時は「変わらない事の安心感」をシミジミ感じたりします。時代の流れと共に変化してどんどん良くなって行く事もあれば、変わらない事で安心できる事もあり、それが色々と混ざって年をとっていくんだな・・・と思います。来年は皆様と一緒に、「せーのっ!」で一歳年をとりましょう。準備はいいですか・・・(^^)?