第138回 (2014年9月) 「アレルギーなんて気にしない?? 」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。朝晩は少し涼しくなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私はと言えば・・・先日、なぜか頭の右半分が痺れるような症状があってしばらく引かなかったので、念のために・・・と思って近くの脳外科医院で頭部MRIを撮ってみました。手足が痺れたり動かしにくかったりといういわゆる脳神経の障害のような症状はなかったので、おそらく何もないだろうと思っていたのですが、なんと「小さな脳動脈瘤(脳の血管の一部が膨らんで弱くなっている部分)がある」と指摘されてしまったのです! だいぶお年を召した先生の説明によると、動脈瘤は2つあって、一つは破裂するとくも膜下出血を起こす部位なんだとか。「ええぇ!!」これはえらいこっちゃ! でもその先生曰く、「血圧は上げたらあかんけど、ほっといてもまぁ・・・大丈夫でしょう。運動をしても問題ないです」との事。あれ? 先般このクリニック通信で毎日筋トレします・・・と宣言したように卓球教室に行き始めたところだったので、もしかしたら卓球もしばらくお休みなのか・・・と一瞬落ち込んだのですが意外なアドバイス。さすがにこの御体のご説明がちょっと???だったので、データをもらって、大きな病院の脳外科部長をしている大学の卓球部の後輩に見てもらいました。すると動脈瘤ではなく、血管の分岐部の基部が拡張している「漏斗状拡張」というものの可能性が高いとの事。(皆様も健康診断で何か指摘されてもパニックにならず、まずはセカンドオピニオンを求めましょう・・・(^^)。)ちょっとほっとしましたが、造影CTを撮らないとはっきりしないとの事で、後輩のいる病院は京都の田舎で遠いので、先輩の友人がいる神戸の大きな病院で造影CTを撮ってもらう事になりました。

ところがその検査の前日。たまたま来客があり、カフェでガレット(最近流行りの蕎麦粉入りクレープですね)を食べたところ、2時間後くらいから全身に蕁麻疹が。薬を飲んでも効かず、痒くてたまらないので自分でステロイドを注射したんですが治まりません。クリニックのコロコロS君も大慌て。

コロコロS:「あ! 先生、全身真っ赤ですよ。早く病院行った方が
             いいんちゃいます?」
柴田:   「ここ、一応病院やねんけど」
コロコロS:「いや、あの・・・普通の病院に・・・」
柴田:   「・・・(沈黙)」

そうこうしている内に注射後も蕁麻疹はどんどん広がってくるので、さすがにやばいかなと思って救急病院(普通の病院より上位クラス?)に行ってしまいました。しかし、ちょっと態度の悪い看護師に「息苦しくない?」と聞かれて「はい」と答えると、命には別状がないと思われたらしく2時間待ち。(やっぱり普通の病院だった・・・^^;)待ってるうちに治まってきたので「治まってきたので帰ります」と言うと「診察次ですけど」・・・。結局診察だけしてもらって、もうする事はないと言われて帰って来ました。しかし、今まではとこぶし(あわびの小型のような貝)を食べた時だけ少し蕁麻疹は出てましたが、こんなに酷いのは初めてです。ガレットは以前食べた事あるし、今までは蕎麦アレルギーもなかったし、ガレットに乗ってたホタテや野菜も食べた事あるものばっかりだったのになあ。前日はすごく睡眠不足だったけど、睡眠不足なんて事はよくあるし・・・。何がいけなかったんだろ

ま・・・それでも一応気持ちを整理して、落ち着いて考えてみる事にしました。最近アレルギーに関しての最新情報は勉強不足なので、まずもう一度きちんと最新情報を整理する事から始めます。文献であれこれ調べたり、アレルギーの専門家である卓球部の後輩に聞いたり・・・(この年になると後輩もいろいろな科の専門家になっていて、情報源には重宝します。気兼ねなく聞けるし・・・。やはり持つべきものは後輩なのだぁ。)それらの情報を整理しますと、まず食物アレルギーの診断の基本は、特定の食物を食べて症状が出て、なおかつIgE抗体の存在が証明される事(これは基本中の基本)。血液検査では陽性だが症状が出ないものを食べ続けても通常は問題ない。アレルギーの血液検査で陽性に出たからと言ってすべてに症状が出る訳ではなく、アサリやハマグリ・トリ貝など共通のアレルゲンと言われているものでも、抗原を採取する部位などによって違う事もある。血液検査の値から判る事は、負荷試験(原因物質を食べてみる検査)をした時に陽性(症状が出る)なのか陰性なのかの見当がつくくらいで、最終的には負荷試験を実施してみなければ分からないのが事実。血液検査よりもプリックテストという、皮膚に針で傷をつけてそこにアレルゲンエキスを落として反応を見る検査の方が精度が高いらしい。

・・・うむ・・・。ちょっと光が見えてきました。検査の判定がクラス2と出たホタテとアサリはできれば避けた方がいいとは言われましたが、ほとんどの貝が食べられないよりはましです。もう一つの救いは、マグロ、サケ、サバ、イカ、タコ、アジ、イワシなどの魚介類は、ヒスチジンという物質を多く持っており、古くなってくるとヒスチジンがヒスタミン生成菌によって蕁麻疹の原因となるヒスタミンに変換され、ヒスタミンが多く含まれている物質を摂取するとアレルギーでなくても蕁麻疹や呼吸困難を起こすという話。ヒスタミン摂取による蕁麻疹はアレルギー反応とは別らしいので、もしこれだったとすると古くなければ次に食べても大丈夫という事ですよね。それに、本当のアレルギーだと体調に関係なく出る事が多いが、このヒスタミン中毒には睡眠不足などの体調が大いに関係あるそうです。ホタテにもヒスチジンは含まれているし、古いワタは食べない方がいいと言われているので、やっぱり睡眠不足とワタが悪かったのかも。

花粉症などは子供の頃はなんとも無かった人が大人になって突然発症する事もあるので、アレルゲンが体の中に蓄積されて一定以上の閾値を超えると症状が出るという「アレルギーバケツ理論」というのも巷では広く信じられていますが、専門家の間では正しいとはされていません。これが本当であれば魚屋さんは全員魚アレルギーになっているし、豆腐屋さんは全員大豆アレルギーになっているはず。アレルギーの治療法としては、減感作療法と言って、症状を起こさない程度のアレルゲンを少しずつ注射して体を抗原に慣らしていく方法がありますが、最近は経口の減感作療法もあるようです。ただしこれは、子供の主要な食物に対するアレルギーに行うようで、大人に対してはあまり行わないらしい。コロコロS君の検索で、アレルギーには皮膚から吸収された食べ物の成分が原因となって起きるケースがあり、発症には特定のタンパク質が関与しているとの研究結果を、兵庫医大の研究チームが発表している事も分かりました。特定のタンパク質というのは免疫に関わる「TSLP」で、この働きを抑えられれば、乳幼児に多い食物アレルギーの予防や新たな治療法の開発に役立つとされています。実験でマウスにアレルギーの原因成分を皮膚から取り込ませ、皮膚の上皮細胞がTSLPを作り出した後に、原因成分を口から投与するとアレルギーを発症し、人為的にTSLPが働かないようにすると、原因成分を与えても発症しなかったそうです。新しいアレルギーの治療が開発されるかもしれませんね。しかしそれには時間がかかりそうなので、問題は当面の食事です。8月末から9月にかけて東京で2つ学会があるので、皆様にはご迷惑をおかけしてしまいますが、その間を夏休みにして東京に滞在する事にしたので、グルメ三昧しようと思ってたのに・・・。後輩から西宮にアレルギーにすごく詳しい先生がいて、そこでプリックテストができると聞いたので受けてこようかな。

・・・と考えながらふと気づくと、時間を忘れてアレルギーについて色々と調べていました。もともと実験とか調べ物とかは好きなタイプではありましたが、今回は自分の事だけに力が入ってしまいます。気がつくとネット検索に集中しすぎて首と肩がガチガチに。これはマッサージに行かないと明日が大変だぁ・・・。ただ、客観的に考えるとこのエネルギーは「これからの人生で貝類を食べる事ができるのか、できないのか」という、私にとっては非常に重要な問題であっても、どう考えても社会的には「本当にどうでもいい事」が最大のモチベーションであるという事がちょっと情けないような気もしてきました。

最近のニュースを見ていると皆様もご存知の通り、エボラ出血熱がアフリカを中心に大流行しているようでですね。多くの医師が患者様を治療している最中に感染して命を落としています。(ある情報によれば、すでに80名以上の医療関係者が命を落としたらしい。)エボラ出血熱は現代の医学では有効な治療方法は見つかっておらず、感染すればその死亡率は70%とも80%とも言われています。この病気は感染源がウイルスなので治療に当たる人に感染するリスクは非常に高く、文字通り治療に当たる医師は命がけです。それでも生命を救うという職業倫理を持ち、治療に当たる皆さんには同じ医師として本当に頭が下ります。このようなリスクをとって人命の救助に当たる医療関係者の皆様には尊敬の念を禁じ得ません。私も以前は整形外科医でしたので、その頃は交通事故で運ばれて来た人に緊急手術をするなど、人を救うという倫理観に燃えて医師という仕事をしていました。あの頃の緊急手術と言えば、どんなに時間がかかっても容態が安定する見通しがつくまで手術室に入っている全員が緊張感を持って仕事に当たっていましたし、それが当たり前と思っていました。最近たまに新人の採用面接をする際に、開口一番「私は残業がない職場がいいので、ここは残業があるかどうか聞きたいです」というような人が来ると、本気で「残業があるかないかで職場を選ぶんだったら来なくていいです!」と言ってしまう時があります。(まぁ実際には今のクリニックではそれ程残業はないんですけどね・・・^^;)でもそれは結果として・・・なのであって、開口一番就職条件・・・みたいに言われると、どうしても反発してしまいます。考え方が古いと言われればそれまでですが・・・ ^^;)。そんな訳で当時の整形外科は本当にやりがいのある仕事でした。ただ、私の場合はある時から「どうして医療という先端技術を健常者の皆さんがより良い人生を送るという為に使わないのだろうか? それはそれで医療のあるべき一面ではないか?」という疑問が浮かび、大きな病院の勤務医ではそれを実践する事はできないと考え、独立開業する道を選びました。それが今の自分となっています。「健常者の皆さんが人生をより良く生きるために医療技術を活用する」という目的であれば、自分がやっているこのアレルギーの調査だって決して無駄にはならないな・・・と改めて思い直した次第です。アレルギーの仕組みはまだまだ解明されていない部分も多く、腸内の善玉菌を増やすといいとか、実際に調理油を亜麻仁油に変え、肉やお菓子をやめて野菜やきのこ・納豆などを摂るようにしたらひどいアレルギーが良くなったという人もいるので、治療法も様々ですよね。

そうこうしているうちに3週間が経ち、造影CTの日が来ました。検査後若干腕に痒みが出ましたがひどい蕁麻疹は起こらず、検査結果も血管の拡張している部位の先から細い血管が出ているようなので、おそらく脳動脈瘤ではなく「漏斗状拡張」というものだろう、という事になりました。CTの画像を見せてもらいましたが細い血管というのは一部の画像でちらっと見えるくらいではっきりとは分かりませんでしたが、念のため1年後にMRIを撮る事にして、あとは通常の生活をしても大丈夫と言われてほっ・・・。脳動脈瘤の疑いのためにしばらく卓球を休んでたんですが、晴れて卓球もできる事になりました。残るはアレルギー(というか食べ物)の問題です。最近食物以外でもアレルギーも出易くなっているし、患者様も最近アレルギーの方が多いので、もう少し研究して、自分を実験台にいろいろな治療を試してみようと思っています。もしかしたら新しいアレルギーの治療法が見つかるかも・・・? 現在のクリニックは美容医療とアンチエイジングをベースにしていますが、上記の通りもともと私が開業した時の目的は「健常者の皆さんが人生をより良く生きるために医療技術を活用する事」でした。その事からも、美容に関係なくても自分の興味があれば色々な事に首を突っ込んで行く事があるかもしれません。

最後に一つ。アレルギーのパッチテスト関連の事を調べていた時に面白い話を見つけたので皆様にシェアを。パッチテストとは色々なアレルゲンを実際に皮膚に貼り、その部位の反応を見てアレルギー反応を確認するテストですが、この方法を応用して異性との相性をパッチテストで検証する方法を研究している人達がいるそうなんです。実際に対象となる異性の体液や唾液などでパッチテストを行い、その反応を確認した後に、実際にその後そのカップルがどのような結婚生活をしたかとか、どのような子供が生まれたかを追跡しているらしいのです。一節によると、女性が男性を選ぶ最大の要素としてはその男性の「匂い」(フェロモンの一種でしょうね)と「唾液」(キスした際にパッチテストよろしく瞬時にDNAを解析判定するのだとか・・・)と言っている研究者もいるそうです。この研究が進めば最近流行っている婚活も、先に唾液を送っておいてパッチテストした後に相性が+++以上の人だけ実際に会ってみる・・・というような形に変化するのかもしれませんねぇ。将来のFacebookには「要唾液」のアイコンが登場するのかな。それはそれで怖い未来のような気もする・・・。そんな訳で、パッチテストなんか気にせず好きなもの食べてアレルギー反応が出なければそれでよし!って割り切った方が幸せな人生なのかも・・・と、現在自分の中に芽生える葛藤と戦っております・・・^^;)。また私のアレルギーに関する話は、後日機会があれば書いていきたいと思っています。乞うご期待(^^) 。