第132回 (2014年3月) 「ウチのクリニック」

  

こんにちは! 柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。立春とはいえまだまだ寒い日が続きますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? この原稿を書いている時は神戸も少し雪が降っていたのですが、関東は記録的な積雪のようでした。ニュースを見ていると東京の人が慣れない手つきで雪かきしているのがなんだか微笑ましくて笑ってしまいました。(当事者にとっては切実な問題なんでしょうけど…実際に交通機関も大幅に乱れていたようですし、笑い事ではないんですけどね。)私の東京にいる知り合いもFacebookに子どもと一緒に雪で作ったカマクラの写真をアップして「雪不足で悩むソチに運んであげたい!」ってメッセージ書いてました。そう言えば、開催前は雪不足とか安全面での問題とか何かと不安なニュースの多かったソチオリンピックも、無事開幕して連日熱戦が繰り広げられているようです。

ただ、非常に個人的な主観で申し訳ないのですが、冬季オリンピックって夏季のそれと比べて、どうしても入れ込みが薄いんですよねぇ。これは一重に「冬季オリンピックの種目は自分でやった事がないものが多い」って事なんでしょう。私も若かりし頃はスキーはよくしましたが、まさかジャンプなどの経験はないですし、モーグルとかクロスカントリーなんかも勿論、未経験。もうスノーボードに至っては完全に世代の格差なのか、全く分からない…。(世の中にはスノボをやっている世代とやらない世代で完全に世代格差があるんだとか…。なんかBCGの跡が肩にある人達とない人達で年を判別するようようでヤダねぇ…。私? 勿論BCGの跡ありますけど、それが何か?)ましてやボブスレーやカーリングなんてどこに行ったらできるのかすら分かりません。一体、あの手の競技は何がきっかけで始めるんでしょうか? 普通の生活してて近所にボブスレーできる施設なんてないと思うんですけどねぇ。その点、夏季のオリンピック種目は分かりやすい。100m走とか走り幅跳びなんて誰もが経験しているし、球技なんかも学校でやった事があるものが多いでしょ。(何よりも卓球がオリンピック種目である事が私には大きい…(^^)。愛ちゃん頑張れ!)

まぁ…そんな訳で冬季オリンピックは私の中では盛り上がりがイマイチですが、この為に青春のすべてをかけてきた若者がいる訳ですから、なんとか栄冠を掴んで欲しいという気持ちは人一倍あります。それに何が素敵って、あの表彰台に上がった時の選手の顔です。特に金メダル! 日の丸が上がって君が代が流れる時に表彰台で必至に涙をこらえている選手の表情と言ったらもうこれはどんな映画にもまさる感動のシーンで、あれは決して演技ではできないですよね。本当に胸にジーンときます。君が代だってあの低音で「ズゥ…ン。ズゥ…ン」とお腹に響く出だしで、最後まで安易な盛り上がりを持たずに静かに、静かに終わっていくあのサウンドは、日本の伝統文化「侘び寂び」ですよ。どこかの国のチャラチャラしたマーチソングとは訳が違うのだぁ! 日の丸だってあんなにシンプルなデザインで統一された国旗はないでしょう。どこかの国のようにチャラチャラと星が沢山あったり、色々なカラーを無理に一枚の布に閉じ込めている妥協の産物とは訳が違うのだぁ! 何かと歴史的な観点で批判している人がいますが、オリンピックの時は「日の丸」と「君が代」は絶対にワンセットでしょ。頑張れ日本!!フレー!フレー! ニッポン、チャチャチャ! やっぱり根が体育会系なので、冬季オリンピックはイマイチといいながらどうしても熱くなってしまいます。ちょっとクールダウンしなきゃ…^^;)。

…という訳で冬季オリンピックの真っ最中ですが、暦の上では立春なので、すでに春になっているという訳です。話はいきなり変わりますが、春と言えば別れと出逢いの季節ですね。当院でもコロコロS君の天敵だったHちゃんのルームメイトで去年からアルバイトに来てくれていたMちゃんが大学を卒業し、就職のために巣立っていく事になりました。「ハゲ」とか「ブタ」とか「鼻毛が出てる」とか「足が臭い」とか言われたり、アンパンマンや子豚の似顔絵を書かれたりしていつもみんなにからかわれているS君をかばってくれる、唯一の優しい子だったのに…。S君の立場が厳しくなるのは必至です。そしてもう一人、4年近く当院で常勤として勤めてくれていたYちゃんが、音楽関係(彼女はジャズ・サックスをしてたんですね~)の仕事に方向転換するために辞める事に。長らくクリニックの顔として、受付や電話で活躍してくれていたYちゃんがいなくなるのも寂しい限りですが、留学生と学生バイトの多い当院では電話に出られるのがYちゃんとS君の2人だけだったので、S君は大慌て。急遽スタッフ募集をかける事になりました。

すると今回はすごくたくさんの応募があり、中には九州や中国地方の人も。「勤務地を間違えたのでは?」と思って確認のために電話してみると、そうでもないんです。「地元を出たい」という人や、「引っ越すので神戸で仕事を探している」という人など。こういうのって、縁というか、不思議な出逢いですよね。「関西で仕事を探し始めたら、たまたまそちらのクリニックを見つけて…」とかいうのって、たまたまその人が思い立って仕事を探し始めた時期と、当院が募集に力を入れ出した時期が合致しなければ出逢いもないと思うんですよね。さらにその人が当院で働きたいという気持ちと、私が当院に来て欲しいという気持ちが合わないといけませんから、たまたまが重なってすごく不思議な縁っていう気がします。そういう縁は大切にしないといけませんよね。そう言えば3年前、コロコロS君が当院に来た時も、研究できる職場を探していたS君はインターネットのサイトを100ページくらい探して、当院を見つけてくれたそうです。当院も当時は研究したいという人を探していたんですがなかなか見つからなかったので、両方の希望が一致して、「待ち人来たる!」って感じでしたねぇ。最近はインターネットのお蔭で全国からそんな人が当院のホームページを見てくれるようになり、「インターネットの成せる業」はすごいなーと改めて思います。

そうやって縁もゆかりもなかった人達が何かのきっかけで同じ土地の同じ職場で仕事を始めると、最初はぎこちなかったスタッフ達もだんだん慣れてきて「仲間意識」が芽生え、「ウチのクリニックが…」というようになります。自然に彼らの口から「ウチの…」という言葉が出るようになるともうそれは仲間であり、家族同様になったんだな…って思います。外国出身の留学生ですら、慣れてくると自然に「ウチのクリニックでは…」って言ってるのを聞くと、なんだか嬉しくなります。そうやって仲間になったかと思うと、高校野球のシーズンになると自分の出身地の高校を応援しているし、オリンピックになると自分の生まれ育った国を応援しています。人間の持つ帰属意識ってとっても複雑なんですよねぇ。 ところで以前クリニックにいた留学生のアルバイトの子が、こんな事を言ってました。「先生、日本って凄い国ですね。すっごく曖昧な事を曖昧なままに認めてしまうじゃないですか。国の正式名称すらニッポンと読んでもニホンと読んでもどちらでもいいなんて、そんな事を認める国は世界中探しも日本くらいでしょう」…と。うむ…。さすがは国費援助をもらって来日している留学生。なかなか言う事が鋭い。

確かにお札には日本銀行券って書いてるけど、これはニホンギンコウケンって読みますよね。でもオリンピックの応援は「頑張れニッポン!」ではないか。日本の正式呼称って本当に決まってないの?と思って調べてみました。 すると確かに民主党の岩國哲人議員が2009年に「日本国号に関する質問主意書」としてニホンとニッポンのどちらかに正式呼称を統一するのかという質問に対して、当時の麻生内閣が「統一はせず、どちらを使っても良い」という答弁しているようです。国会答弁における内閣の見解なので、これが日本政府の公式見解と考えていいそうです。へぇ…そうなんだ。本当にどっちでもいいのね。改めて言われると確かに不思議な国ですね。国の名前と言えば先日、Yahooニュースに「中央アジア・カザフスタンのナザルバエフ大統領が国名を変更する考えを表明した」という記事が載ってました。…なんで国の名前を変えるのかというと、「大統領はウズベキスタン、タジキスタンなどスタンの付く国が多い地域でカザフの知名度が埋没しているとの認識を表明。人口が約1600万人のカザフより少ないモンゴル(約280万人)を引き合いに「スタンの付かないモンゴルが外国人の関心を呼んでいる」と述べ、国名変更の必要性を指摘した…と。う~ん。スタンのつかないモンゴルは外国人の関心を呼んでるって本当?? それはともかく、要するに「もっと目立つ名前に変えて皆に私達を知ってもらおう!」って事ですよね。かなり昔に「山陽相互銀行」というお固い銀行さんが「トマト銀行」に名称を変更して一躍有名になった事があったんですが、それと同じ事を狙っているのでしょうか? だとしたらかなりアバンギャルドな名前にして欲しいですよね…(^^) 。

私も以前は「異人館通りクリニック」という、なんとなく「おしゃれな響き」のある名前でクリニックをやってましたが、現在の場所に移転するにあたり「柴田美容皮膚科」と名称を変更しました。(トマト銀行とは逆のパターンですね。)これは私が自分のクリニックに自分の名前をつけることで、雇われ院長がやっているチェーン展開のクリニックではなく、すべての診療に対して私自身が責任を持つという事を表明したかったからです。そう言う意味ではカザフスタンの大統領はこれからの国造りにかけるコンセプトを明確にする為に名前を変更したいという意図を持っているのでしょうし、日本は敢えて呼称を「ニホンでもニッポンでもよい」とする事で長い歴史の持つそれぞれの言葉への思いを大切に守っていきたいという事の表明なんだと思うのです。う~ん。奥が深い…。

春に向け、これから新しいスタッフを迎えて、色々な事にチャレンジしていく事になります。それぞれのスタッフの出身は違っても、何かの縁でこの時期に神戸の三宮に集まり、一緒に仕事をする事になる訳です。休みの日にはそれぞれの故郷に帰る事もあり、オリンピックやワールドカップの時にはそれぞれの国のチームを応援して熱狂するけれど、試合が終わればまた同じ仲間として「ウチのクリニック」での生活に戻るんですよね。オリンピックでそれぞれの国の故郷からの声援を一身に受けて表彰台に立った人達も、宴の後にはそれぞれ「ウチの生活」に戻って行くんですね。国とか出身地というのは普段の「日常生活」の中では意識されていなくて、職場とか学校とかのコミュニティに帰属意識があるけど、オリンピックとか高校野球みたいなものがあると出身地としての帰属意識が芽生えて、そのお祭りが終わるとまたコミュニティへの帰属意識に変わる…。お祭りというのは普段はコミュニティに対する帰属意識を持っている人に、一時的に「出身地」に対する帰属を思い出させる為にあるんじゃないでしょうか? 人の縁や絆はかくも不思議で奥が深いものなんだなぁ…。そんな事を考えていると、当院でもスタッフだけでなく、患者様からも「ウチのクリニック」と呼んでもらえるようなクリニックにしていかないといけないな…と改めて思った次第です。これからもご声援よろしくお願い致します…(^^)。