第114回  (2012年09月)  「草食系男子のサバイバル」

  

こんにちは。柴田美容皮膚科クリニックの柴田です。今年もやっぱり暑いですね・・・。本当にいつまでも暑いですが、皆様は夏バテなどで体調を崩しておられないでしょうか? しっかり水分を取って、外出の時には日傘と日焼け止めをお忘れなく。

今年はクリニックの夏休みと私の卒業した大学の卓球部の合宿が重なったので、年甲斐もなく合宿に参加してしまいました。和倉温泉の旅館が合宿の宿だったので、久しぶりに温泉もいいな・・・と思ったのですが、これが大失敗。学生の合宿所になる旅館なので期待はしていませんでしたが、学生の間では評判のいい宿で、ホームページの写真も綺麗だったので、これならまだいいかなと思ったのです。

 


ところがどっこい・・・宿はホームページの写真とは大違い。しかも節電で冷房が全然効いてなくて、暑くて暑くてしょうがない。文句を言っても扇風機を持って来るだけで、冷房は一向に効きません。普段はずっと冷房の効いたところにいるので、これは参りました。おまけに一人部屋だったので一般料金を払ったのに、食事は学生と同じ合宿用。海の近くなのにお刺身も出ず、まずいフライ物ばかり。こんなん騙しやん!(しかしこんなに綺麗にホームページを制作する会社があるのには驚きました。確かに現実にある部屋や温泉の写真なんですが、ここまで綺麗に撮れるものなのかと・・・多少修正しているかもしれませんが、それでも全体として現物の5倍は綺麗でお洒落な印象を与えています。この会社だけはプロだ!って変な所で感心しちゃいましたが。)料理が合宿用だったら料金が安くなるはず、と旅館に文句を言っても「シングルユースなので割高になるんです」とごまかされるし。ビール1本800円もするし、お土産もめちゃ高いし、ほんまぼったくり旅館やん。皆様、和倉温泉に行かれる時はD荘だけは避けましょう・・・^^;)。その上、行き帰りの電車では窓が大きかったせいか直射日光に当たってないのに日焼けしてしまってぐったり。帰ってから慌ててプラセンタとビタミンを大量に入れた点滴とローションで手当しましたが、普段日光を浴びてないと肌も敏感になりますね。まぁ・・・他にも色々あって散々な合宿でした。(しかしそのお陰でUV対策点滴とローションを思いつきました。こういう仕事をしてると、転んでもタダでは起きなくなりますねえ・・・(^^)。)

 

 

しかし、面白い発見もありました。合宿の夜、学生たちの部屋で飲み会をしたんですが(旅館のお酒は高いので、私の差し入れのお酒とコンビニで調達したビールとつまみで)、ハゲの話題で盛り上がったんですねえ。十数人集まった学生の中で、なんと3人もM字ハゲを気にしてる子がいたんです。3人ともお父さんがハゲてるので悩みは深刻。こんなに若くてもハゲを気にしてる子が多い事が判り、「ぜひ育毛の研究をしてください」と頼まれて、真剣に研究してみようかな・・・^^;)と思ったくらい。そう言えば先月参加した細胞再生医療研究会でも、「毛髪は蘇るのか」という講演があり、普段からクリニックで事あるごとに「ハゲ」とからかわれているS君はかぶりついていましたねえ。最近では自分の毛包細胞を培養して移植する再生医療も研究されているそうです。
女性はホルモンの関係から男性のようなハゲは殆どなく、もっぱらハゲは男性の心配事なんですが、こんなに若者の間でハゲを心配している人が多いとは思わなかった・・・。確かに男性はハゲると一気に老けて見えちゃいますね。女性が肌のハリを気にするのと同じレベルで、男性諸氏の間ではハゲが気になるというところでしょうか。

 
 

 

私はもっぱら肌の方に感心を持っていた為にあまり男性のハゲを気にしたことがなかったのですが、彼等と話をしてから街を行き来する男性を眺めてみると、確かに「若いのに髪が薄い人」が数十年前に比べると圧倒的に増えたような気がします。もっともそんな統計がある訳ではなく、あくまでも私の感覚に過ぎませんけど。医学的に考えるとハゲは男性ホルモンに大きな影響を受ける事から、男性ホルモンが多い人ほどハゲやすいと言われてます。女性がハゲない理由は男性ホルモンが少ないから。逆に男性ホルモンが多いと髭は濃くなるのにハゲは進む。そう言われてみると、昔アメリカなどで真っ赤なオープンカーに乗っている親父は「ハゲ+髭」のマッチョなナルシストと相場が決まっていたような気がするなぁ・・・(^^)。ただ、おかしな事に草食系男子が増えていると言われるこの現代、男性ホルモンがいかにも少なそう・・・なひ弱な若者も若ハゲに悩んでいるように思うんですよね・・・。卓球部の合宿でも若ハゲに悩む若者はとても男性ホルモンがギラギラのマッチョとはほど遠い子達だったし。






話は全然変わりますが・・・この前久しぶりにテレビをつけると、色々な会社の社長さんを集めて来て、その名物社長と会社をお笑い芸人が中心に紹介するというバラエティ番組をやってました。ちょうどスイッチを入れた時にあまりにもインパクトのある映像が飛び込んできたので、思わず見入ってしまったんです・・・。その社長さんは中古のブランド品とか海外から直輸入でブランドものを仕入れて格安で販売している会社をやっているようなんですが、もうそんな会社の事はどうでもよくて、インパクトはその髪型なんです。今時ありえない山盛りリーゼントで、30年前に出てくる漫画のキャラクターみたいなんですよ。(もし皆さんも興味があれば「リーゼント 社長」でGoogleの画像検索をしていただければ、私がどれだけ仰天したか解って貰えると思います・・・(^^)。)一応その番組ではその会社の仕事内容を紹介する仕立てにはなっていますが、絵面があまりにも良い為か、話題はもっぱらその髪型が中心になっていました。その中でその社長さんに「どうしてそんな髪型にしてるんですか?」と出演者から質問があると、社長さんの答えは「私は昔は薄毛で凄く悩んでたんです。このままではハゲてしまうと思って、とにかく髪の毛が増えると言われる事はすべて行いました。するとどんどん髪が生えてきて、頭の上に向かって毛が生えてきたもんで、最初は伸びるに任せていたのですが、長くなってきたのでこうやってまとめてリーゼントにするようになったんです」との事。まぁ・・・存在そのものが宣伝用のチンドン屋みたいなキャラの人なんで、嘘かホントかわからないですし、そのまま信用する気にはなりません。ただ彼の言った最後の一言だけがどうしても耳に残りました。「髪の毛が増えるって話があればなんでもチャレンジしましたよ。公園に行ってそこにいる全員の浮浪者も観察しました」・・・ここで発言終わり。なんかその先があったのかもしれませんが、編集でカットされたのかも。私としてはなんか納得できません。「うん? 公園の浮浪者? それと薄毛対策と何の関係があるわけ?」



そのテレビ番組はそんな私の疑問にはお構いなしに次々進んでいくのですが、私の頭の中はこの公園の浮浪者のクエスチョンでいっぱいになり、もう番組を見る気がしません。そこでテレビのスイッチをオフにしてしばしの思考実験です。あまり映像としては良いものではありませんが、公園にいる浮浪者の皆さんを記憶の限り思い浮かべてみます。(あんまりジロジロみた事がないので、なかなか思い出せなかったのですが・・・)薄毛・浮浪者・薄毛・浮浪者・・・なんか相関関係あったっけ? そして「あっ!!!」っと思いつく事が。そう言えば浮浪者の人でハゲてる人って見たことないな、と。大体、お風呂にも殆ど入ってないくらいだから髪の毛のケアなんて全くしていないと思われるし、その頭皮の状態たるや想像を絶するような状況になっているに違いない・・・でも誰もハゲてない・・・なんで??う・・・む。そんな事を考えていると、またまた自分の中にある「気になって仕方ない」虫がむずむず湧いてきます。さっそくネットで調べると、もうすでに多くの人がその事に気づいて話題にされているのですねぇ。ネットの質問コーナーとかにも「なぜ浮浪者の人にハゲは少ないのですか?」みたいな質問が沢山挙がっています。その中の一つに非常に説得力がある?回答があったので、長くなりますが引用させてもらいます。




「ハゲた浮浪者は、浮浪者になる前にハゲた方達でしょう。毛が抜ける程のストレス社会に耐えきれなくなって、ドロップアウトしたんだと思います。そんな人達は都市部に多く見掛けます。モンゴルの遊牧民やアマゾン奥地の原住民で若ハゲになる人はまず居ません。これらの人達は風呂に入る習慣が無いのにハゲません! つまり、頭皮の汚れとハゲは一切関係無いという事です。動物も良い例ですね。むしろシャンプーするからハゲると言っても過言ではないでしょう。ハゲは都市化が進んだ国の人達がなる病気です。やれ仕事だエチケットだ流行だのと他人に気を遣い、ごく普通の日常生活の中でストレスに侵されているのです。ケータイやPCなど、直近の一点を長時間凝視する行為も頭皮にとってはストレスです。先述の人達(ホームレスも含む)の様に、自然の中で、自然に則したストレスの少ない生活をすれば、ハゲる事は無いのです。」 —-Yahoo知恵袋より




どうです? 学術的な根拠はともかくとして、非常に興味深い仮説だと思いませんか? 私もこの分野は専門でもなく勉強不足もあり、なんら医学的な根拠を持ってお話できるような状態ではありません。でもなんとなく、清潔でオフィスワークをしているひ弱な草食系男子がどんどんハゲていき、現代のジャングルとも言うべき公園でサバイバルをしている浮浪者の方の髪の毛がどんどん伸びていく事が、自分の頭の中であまりにもしっくり来ちゃんですよね。論理的な説明はできないんですが、「ああ・・・あり得るね!」って感じです。そう言えば私の知ってる人でハゲてる人って頭のいい人が多いんですよね。これも単なる偶然なのかしら・・・。 これだけ科学が進歩して、ウランの原子核に中性子をぶつけてバラバラにした時に発生するエネルギーを利用できる時代に、人間の体なんて本当に謎だらけなんですよね。人間が病気を克服する歴史は栄養学の進歩と衛生概念が進んだ事によって築かれたと言っても過言ではないと思いますが、衛生概念が広まると今度はアトピーのような別の問題が出てくるようになってきました。空調もよく効いた、清潔で快適な高層オフィスで働くサラリーマンの皆さんが、今度は若ハゲで悩むようになるのかな・・・と思ったりします。

 

 

今回の通信はなんだかハゲの話一辺倒でS君に怒られそうですが、私の中ではハゲに拘りがあるのではなく、美容医療という分野でも「現代という一見快適で清潔な生活」が新たな問題を引き起こしている事が多いな・・・と思っていた事とハゲの原因の仮説に、何か共通したものを感じたんです。化粧品にかぶれ易い人や何らかのアレルギーを持っている人は10年前よりも明らかに増えていますし、最近特に多い気がします。スキンケアは大抵の場合私もお勧めしますが、肌がボロボロになったと悩む人の中には過剰なスキンケアが原因の人もいます。綺麗に洗顔しようとして擦りすぎてお肌を傷めている人も多いですし、肝斑というシミは擦りすぎが原因である!と断言している有名な先生もいます。泥パックなんかが一時期流行りましたが(今でも根強い人気がありますね)、そもそも泥を顔につけるという発想がどこから来たのかというと、昔の生活の中で土を触っている人の方が肌の状態が良い人が多かったのではという考察から来ています。(土の中に含まれる天然の微生物が肌に良い影響をもたらしていたという説ですね。)皆様も病院で抗生物質を処方された事があると思います。抗生物質は細菌に対してよく効くのですが、その反面、人間の中に生息して良い影響を与えていた微生物まで死に追いやる事が多く、下痢をしたりお腹の調子が悪くなるという副作用が多く見られます。私は整形外科出身で、整形の骨や関節の手術では細菌に感染するとなかなか治らないため清潔にはものすごく気を使うので、感染の怖さを知っているせいか注射前後の清潔には他のクリニックよりもずっと気を使っていると思います。しかし手術や注射という特別な場合を除く普段の生活においては、私達も清潔一辺倒から人間により良い影響を与える微生物との共存って事をちゃんと考えていかなければならないなと思っています。これは今後の私の重要な研究テーマの一つです。まぁ・・・何年かかるか分かりませんが、気長に取り組まなきゃ。