第9回 (2003年12月) 「美女と野獣とパーティーと」

  

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こんにちは! 異人館通クリニックの柴田です。
いよいよ本格的な冬の到来ですね。この季節はどうしてもお肌が乾燥しがち。もちろん乾燥は美容の大敵です。保湿ケアをしっかりして下さいね。特にこれからはおよばれの増える季節…そう、パーティシーズンが始まります。日頃磨いた美貌を発揮し、ちょっとお肌を出してドレスアップして、素敵な夜をお過ごしください。
ただまあ、そうした華やいだ夜を目前に焦っている方も少なからずおられるようですが…

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私がまだ勤務医をしていた頃、病院では毎年恒例でクリスマス・パーティが盛大に開催されていました。なにしろ大きな病院なので、医師、ナース、技師、職員は言うに及ばず、患者さんまで参加して大賑わい。カジュアルなパーティなので、普段は粛々とした雰囲気の人たちの意外な面も垣間見えたりして、とても楽しいものでした。

出し物で多かったのは、物まねやギターライブ。特に、患者さんのする婦長さんの物真似や病室コントは大爆笑。ほかにも、なりきり海援隊やスティービー・ワンダーなど、芸達者な人たちが私たちを大いに楽しませてくれました。そんな中でも、とりわけこのパーティに燃えていたのがベテラン看護婦のS代。毎年恒例でちょっとした寸劇をするのですが、これが半端じゃなく面白くて、彼女の芸を見たさに退院した患者さんまでもがパーティにやってくるほど。彼女もまた気合が入っていて、ほとんど一年をかけて準備をし、芸に磨きをかけていました(ナースとしても優秀です、彼女の名誉のため…)。

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私が開業して一年目の12月、そんなS代から突然、電話がかかってきました。
S代 「ねえ先生、あたしの顔、20歳くらい若くなれへんかなあ?」
柴田 「ななな、何よいきなり。そりゃまあ、何とか努力はしてみるけど」
S代 「時間ないねん、明後日までに何とかしてもらえへんやろか」
柴田 「あ、明後日~っ!?」

そうなんです。彼女は恒例のパーティで「喜劇:シンデレラの秘密」というお芝居をする予定で、自分がシンデレラ役なので、なんとかそれっぽく見えるようにしてくれないかと。そんな無茶な、とは思うものの、電話の向こうのS代は真剣そのもの
S代 「な、な、先生頼むわ。どんなお化粧したかて何かシンデレラっぽくなれへんねん」
柴田 「う~ん…(そらそうやろなぁ…)」

彼女は平安時代ならいざしらず、中世ヨーロッパのお姫様とは対極の顔立ちをしています。おまけに40代後半のお肌のたるみはメイクではごまかしようもないし…

柴田 「もうちょっと早く相談してくれてたら…。明後日までには無理やわ、やっぱり
    (ナースだったらそのぐらい解れよっ)。継母役か何かに変えてもらったら?」
S代 「ええ~っ、そ、そこんとこ何とかなれへんの?」

私としても、何とかしてあげたいのは山々なのですが、あまりにも時間がなさ過ぎます。S代はがっかりして電話を切りました。

数日後、送られてきたパーティの写真を見て私は吹き出してしまいました
柴田 「シ、シンデレラというよりは、金髪のヅラをかぶった淡谷のりこ…」

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彼女には心から「悪かったなあ」と思うのですが、美容医療というものはほとんどの場合、長い時間をかけて結果を出すものです。よく広告などで見かける「使用前・使用後」の比較写真なども、半年以上かけて築き上げていった成果なのです。

これはもったいをつけているわけではなく、「体組織」という言葉で表現するとわかりやすいかも知れません。つまるところ医療というのは、問題を抱えている、あるいは老朽化した体組織を健康な状態に戻していくものなので、年齢や個人差もありますが、組織の生成や正常化には最低2~3ヶ月はかかるのです。
ただ、実際に「即効性」が求められることもあるのが現実ですし、徐々にではありますが、それに対応する技術も開発されてきています。

前回のクリニック通信でご紹介した「お顔のアイロン(=超音波美顔器)」などもその一つです。当クリニックでも、「即効性」を求める声に何とか応えたいと、メーカーさんにマシンをお借りし、私とスタッフの二人、首と顔の左半分でテストしてみました。

スタッフ 「わあ、顎もほっそりしたし、首のごりごりもなくなったし、いい感じ!」
柴田   「(鏡を見ながら)う~ん…私はあんまり変わらへんような…」
スタッフ 「何言うてはるんですか、右と左、全然お顔の感じ違いますよ!」
柴田   「そうかなあ…それに、展示会でテストした時はもっとすべすべに
       なったような気がするねんけど…」
スタッフ 「先生、元々お肌すべすべやから…手の方が違いがようわかっただけちゃいますか?
      でも先生、リフトアップはいけてますよ、輪郭まで違ってますって!」

私は効果として展示会の時に手でテストした「すべすべ感」を強くイメージしていたのでピンとこなかったのですが、デジカメで写真を撮ってコンピューターの画面に映してみると、

柴田   「アレ、ほんまや!顔の左半分だけ上がってるわ! それに目の下の小ジワも左だけ
      ましになってる!」
スタッフ 「だから言ったでしょー?」

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そして1週間後に私ともう一人違うスタッフで再度試してみました。今度は施術時間を少し長くしてみると、これは驚き!お肌はしっとりきめ細かくなり、手触りが全然違う!おまけに二人とも顔の左半分だけきゅっと上がっているではありませんか!

「これはすごい!」
持続性はあまりないかもしれませんが、こまめに続けるとかなりいけるかも。超音波に関する美容の研究は医学的にはあまり進んでいないので、これから研究するのが楽しみです。
(ちなみに私はすごい肩こりなので、肩にも施術してみました。すると終わってからもポカポカして、かなり楽になったのです。腰や足も疲れてよく痛くなるので試してみると、一気に楽チンに。これは一石二鳥です。)

根本的に体組織を改善して「美しさ」を手に入れたければ従来療法の方がいいかもしれませんが、簡単で安全ですし、何よりもありがたいのは即効性。だから「明日のパーティまでに何とかしたい!」という、まさにシンデレラの魔法を求めるようなニーズにはぴったりです。そして、女性にはそういう緊急避難的な需要が多いのも事実。最新の美容医療の現場には、こういう技術も必要なのではないか…とも思います。

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そんなわけで、当クリニックでもそのマシンを導入することに致しました。効果を長く維持する方法やボディへの応用など、研究すべきテーマは多いのですが、それらは随時、ご報告していきますね。
さて、「お顔のアイロン」の導入を決意した私は、さっそくS代に電話を入れました。彼女のことだから今年のクリスマスも必ず寸劇をやるだろうし、今度こそ、一晩くらいは彼女をきれいにしてあげられるはずです。

柴田 「ねえ、今年の出し物は何?去年は申し訳なかったけれど、今年は役に立てるかもよ」
S代 「え? あ、今年は『美女と野獣』のパロディやるんですけど…」
柴田 「よかった! パーティの前日にいらっしゃい、ばっちりシワ伸ばししてあげるから」
S代 「……………(重い沈黙)」
柴田 「ど、どうしたん? シワ伸ばして奇麗にメイクしたら、20歳は若く見えるって!」
S代 「あたしは『野獣』の方なんです…」
 チャラリーン♪

柴田 「あ、あは、そ、そう…そうなんだ…はは…が、頑張ってね!
    今度、毛深くできる器械がないか聞いておくからっ」

皆さんの中で「美女」の配役をされる方は、一度相談に来て下さいね。
そうそうそれに、クリスマスも近いので、いつ枕元に精霊が立って現在・過去・未来の自分を見せられるかわかりません。一晩限りの魔法だけじゃなく、素敵な未来の自分に出会いたい方も、クリニックにどうぞ…。