第6回 (2003年09月) 「BOTOXその後 ~ ベールを脱ぐすてきな効果」

  

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こんにちは!異人館通クリニックの柴田です。
なんとなくすっきりしなかった夏が、あっと言う間に通り過ぎてしまいましたね。アウトドア派の方やご旅行好きの方には少し物足りなかったのでは?でも、その分紫外線を浴びる機会が少なかったので、お肌に良かった、と前向きの発想で…。紫外線はメラニン色素を増やすだけでなく、真皮のコラーゲンを傷つけたり活性酸素を発生させたりするので、ニキビ・シミ・シワの大敵なんですよ。
さて、今回はそんな紫外線と関係の深いニキビ・シミ・シワの中でも特に「シワ」のお話です。シワはやっぱり「老け顔」の元凶。お化粧ではごまかしにくいし、お顔全体に疲れた印象を与えてしまいます。逆に、ちょっとシワがなくなるだけでも表情がいきいきとして見えるし、気分だって若返るというもの。人によっては気分が「若返り過ぎちゃう」ケースもあるんですが…。まあ、彼女は特別かな?う~ん。とにかく、今回のお話は先日行われた私のミニ同窓会、梅田にあるビアホールのテーブルから始まります。

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お誘いの電話をくれたのは、前にもこのクリニック通信に登場したことのある友人A(男性)。そう、ピーリングとプラセンタ点滴でニキビを解決してあげた、若社長兼三味線弾きの彼です。珍しく晴れ間の続いていたある日、彼から「久しぶりに懐かしい仲間で集まろうや」という連絡をもらい、仕事を終えた私はいそいそと(?) 梅田まで出かけて行きました。その場に集まったのは六人、高校時代の同窓生です。

私の隣に座ったのは、友人Aと、クラスでも有数のおてんばだったテニス部のB美。彼女と会うのは七年ぶりでした。インテリア・コーディネイターをしていると聞いたので、少しはおしとやかになったのかと思いきや、今でもテニスをしているらしく、相変わらず良く日焼けしていて、豪快にギャハハと笑っています。
そして彼女の顔を見ると、眉間や目尻に表情ジワがくっきり。もちろん彼女は私と同い年。ぴちぴちギャルとは言いませんが、普通にしていればそんなにシワが増えるほどの年齢ではありません。でもお肌の年齢は別物。彼女のように紫外線を浴び続けたり、ストレスの多い生活や乾燥しやすい環境などが続くと、老化は早く進んでしまいます。ましてや彼女は喜怒哀楽が豪快に顔に出るタイプ…こういう人は顔面の筋肉の収縮が頻繁なので、表情ジワができやすくなってしまうのです。

そんなわけでB美を見ていると職業意識がむくむくと頭をもたげてくるのですが、抑えて抑えて、ここは同窓会の席なんだ…と私はそしらぬ顔で昔話に興じていました。それなのに、隣にいた友人Aが女心にダンプカーで突っ込むような発言を。

友人A 「そやけどB美、おまえ、めちゃめちゃシワ多なったなあ!」
B美 「えーっ、そんなん言わんとってよー!あたしかて気にしてんのにー」
友人A 「セツコ(私のこと)に治してもうたらええねん」
B美 「ほんま? せっちゃんそんなことできるん?」
柴田 「う、うん…。(今日は営業に来たんじゃないのに、と苦笑い)」
友人A 「ピーリングしてもろたらええねん。僕もしてもろてんで」

どうやら友人Aは、前回ニキビを治してあげたのがよっぽど気に入ったのか、ピーリングのにわか信者みたいになっていました。

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柴田 「あ、でも、ピーリングでは難しいかも…」
友人A 「なんで?」
柴田 「細かいシワはともかく、そこまで深いシワ(あ…!言うてしもた…!)をピーリングで治そうと思ったら、すごい時間かかるよね…」
B美 「そこまで深いて、言うてくれるなあ。ほんまやからしゃーないけど。なあ、化粧品やったらあかんの?あたし、あほみたいに高い化粧品使てんねんで。ほら、コラーゲンやらレチノールやら入ってるやつ」

う~ん、でも…確かにレチノールはコラーゲンを増加生成しますが、一般の化粧品は濃度が規制されているので、シワを直すだけの威力はありません。おまけに普通のコラーゲンは分子が大きいので、外用で塗布してもお肌にはほとんど吸収されないのです。どちらも「できてしまった深いシワ」を解消するには、パワー不足なんじゃないのかな。私のそういう説明を聞くと、B美はがっかりしたように言いました。
B美 「そうかあ…そしたらどうしたらええのん?」
柴田 「う~ん…一番いいのはボトックスかな、やっぱり」
B美 「なにそれ? なにするもんなん?」

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ボトックスは第一回のクリニック通信でもご紹介しましたが、注射で薬剤を筋肉に注入し、表情筋を麻痺させてシワをなくす方法です。当クリニックでは、この3ヶ月ほど積極的に治療に用い、ほとんどの方にめざましい効果を確認しています。それだけでなく、各人に合った新しい打ち方を用いることによって、従来よりも副作用が少なく、よりきれいになれる方法を発見・確立することができたのです。
一番大きな新しい発見は、目の下の皮内や皮下に打つことによってたるみが改善し、「目がぱっちりする」という効果が確認できたことです。これは、目の下のちりめんジワにまで効果があることもわかり、目尻への注入と併用するとさらに効果的。冗談ではなく本当に、10歳は若返った方がたくさんいらっしゃいます。
 もう一つの新しい発見は、鼻唇溝(鼻から口の両脇のシワ)にも注入できるようになったことです。ボトックスは筋肉を麻痺させるため、鼻唇溝に注入すると表情がなくなってしまうので従来はタブーとされてきました。しかし、皮内や皮下に注入することによって、表情を失うことなく鼻唇溝のシワを改善できることがわかったのです。

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さらに、個人差による副作用の心配も低減できました。ボトックスの効き方は本当に個人差が大きく、「こんなに打って大丈夫かな」と思うぐらい注入しても効果の薄い人から、ほんの少量でも劇的な効果が得られる人まで様々です(おおむね、薬に敏感な方・お肌の弱い方は効きやすいようです)。ですから、最初は皮内や皮下に少なめに打ち、効きが悪ければ量を増やすか深めに打つ、という二段階方式にすれば、安全で無理のない治療が可能なのです(当クリニックではこの方式をとり、二回目の注入は無料で行っています)。
ただし、ある部分のシワやたるみが取れると、その近場にあったシワやたるみが目立つということがあります。ですから、気になるところにやみくもに打てばいいわけではありません。シワの出方やお顔のつくり、顔の筋肉の解剖を考えながら打つ部位や深さを調節し…一人ひとりの症状を的確にとらえたきめ細かな配慮がなければ、思ったような「きれい」を手に入れることはできません。このあたりがドクターとして腕の見せどころ、そして私の最も得意とするところなんです。

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さて、B美がその後どうなったかと言いますと…
行動力抜群のB美は、ミニ同窓会の翌日にさっそくクリニックにやってきました。「顔中全部やって!」とむちゃを言う彼女をなだめながら、特に表情ジワの目立っていた眉間と目尻、そして目の下にボトックスを注入。
施術後、B美は鏡をしげしげと見ながら一言。

B美 「なんや、全然効けへんやん」
柴田 「そんなすぐに効くもんと違うって。3、4日したら少しずつ効果が出てくるから楽しみにしといて」
B美 「ほんま? 失敗してうそついてんのとちゃう?」
柴田 「人聞きの悪いこと言わんといてよ。まあ、もし効きが悪かったらもう一回打ってあげるから」

実を言うと、一回ではあまり効かないかも知れないな、と私自身は思っていました。だって、最初だから量も控えめに打ったし、何よりも彼女は丈夫そうなお肌をしていたから。本人も「敏感肌」という言葉とは無縁だと言っていたし、まあ経過を見て二回目に勝負かな、と。

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ところがそんな彼女から、意外にもはしゃいだ声で電話があったのは一週間後。
B美 「めっちゃ効いたで!なあ、あたしこれやったら30で通るんちゃう?」
柴田 「ほんと?でも、電話でそんなん聞かれても…」
B美 「絶対いけてるて!目ェかてぱっちりしたみたいやし。な、な、こうして見たら、あたしちょっと黒木瞳に似てると思えへん?」
柴田 「そやから、電話で言うてもわかれへんって」
B美 「なんや、医者のくせに頼んないなあ。まあええわ、うん、とにかくばっちりや!」

私は苦笑しながら、それでも彼女の話をうんうんと聞いていました。何という単純なやつ。それでもまあ「効いた・満足した」という言葉は、誰からお聞きしてもドクターとしては嬉しい限りです。もちろん個人差はあるけれど、やはりボトックスは今のところ最も優れたシワ治療法である、ということも改めて確認することができました。

B美 「ほんまええわあ、気に入った!ほな、いまから行ってくるわ!」
柴田 「え? 行ってくるって…どこに?」
B美 「合コン!」
柴田 「ごっ、合コンーっ!?」
B美 「あっははは。ほんまはテニス仲間の飲み会なんやけど、コーチの友達で若い男の子もいっぱい来るねん。どうしょ-か迷ててんけど、せっかくきれいにしてもろてんから、元とるために行ってくるわ!」
柴田 「あ、そう…。でもB美、旦那いたよね?」
B美 「そんなん、ええねん、ええねん!ほな、また電話するわ。ばいばーい!」

うーん…はじけてる。ちょっと気分も若返り過ぎちゃったかも。
だけどこっちの方にはつける薬もないしなあ…。
B美のだんなさま、ゴメンなさいっ!