第3回 (2003年06月) 「ピーリングの進化:その2」 ~ホームピーリング剤開発奮闘記~1

  

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こんにちは!異人館通クリニック院長の柴田です。
クリニックも皆様のおかげで、無事1周年を迎えることができました。皆様への感謝の気持ちを表わそうと、さらに御期待に添えるような治療方法や製品の開発のため、研究に明け暮れる毎日です。
前回のクリニック通信では、友人のおちゃめな社長の登場がきっかけとなって進化したピーリングのお話を紹介しました。今回はホームケア用ピーリング剤のお話です。

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もう皆様おなじみのケミカルピーリングは、皮膚に弱い酸を塗って角質を除去し、皮膚の再生を促して、シミ・シワ・ニキビ・くすみなどを治療する方法です。お肌はつるつるになって、いろいろなお肌の悩みを改善できるので、当クリニックでも大人気のメニューです。
ただ難点は、クリニックに来てもらわないと施術できないことと、続けないといけないこと。ピーリングに精通したドクターがきめ細かなケアをしないと安全に効果を上げることが難しく、重症の場合は2-3ヶ月は続けないとはっきり効果が出てきません。
 特に日本人に向く最浅層ピーリングは、マイルドな酸で表層の角質だけを繰り返し除去する方法なので、週1回のペースで続けなくては効果が出にくいのです。(前回号でも述べましたが、日本人は深いピーリングをすると皮膚の再生時に色素沈着を起こしやすいのです。それに深いピーリングをすると2-3週間は外に出られませんから、忙しい日本人には向きませんよね。)
でも毎週クリニックに通うのは、近くで時間に余裕のある方以外は結構大変。続ければ絶対きれいになるのに、途中で忙しくて通えなくなったり、あきらめてしまう方も多く、残念に思う事もしばしばです。
なんとか続けてもらって、1人でも多くの人にきれいになってもらう方法はないかなぁと考え続け、たどりついたのがやはりホームピーリング。家庭でピーリングができれば週1回続けることは難しくありませんよね。

けれど、市販のピーリング剤でトラブルを起こした話は数知れず聞く話。それは市販のものだと、各人のお肌に合わせることは難しいからです。前回号でも述べたように、やはりお肌は千差万別・・・手の甲で試し塗りを何回もするとよく解ります。多くの方がグリコール酸はつるつる、乳酸はしっとりとなり、酸の濃度が高い程効果も上がるのですが、中には乳酸の方が驚くほどつるつるになるのにグリコール酸は全然・・・という方や、濃度が薄い方がよい方などおられて、ほんとにさまざまだなぁと感心させられます。中には超敏感肌で手にしかピーリングできず、それでもちょっと濃度を上げるとダメ!という方もおられますし、そうかと思えば50%まで濃度を上げてもピリともしない、という方もおられますから、各人のお肌に合ったピーリング剤でないと安全に効果を上げることはできません。

そこで考えついたのが、一度はクリニックに来ていただき、その方に合った酸の種類と濃度を選んで施術した後、それを持ち帰っていただく方法。一度クリニックで施術して大丈夫なら、家庭で続けても安心です。
毎回クリニックに来ていただいてどんどん濃度を上げていく方が早く効果は上がりますが、家庭でピーリングする場合も途中で濃度を上げたい時はクリニックに来ていただいて施術し、またそのピーリング剤を持ち帰っていただく・・・という方法なら続けやすいし、頻繁に通えない方でも効果の方も期待できます。
「これだ!」これなら遠くの方でも大丈夫・・・♪1ヵ月か2ヶ月に1回、神戸に遊びに来ていただいて、異人館通の散策のついでに気軽にクリニックに寄っていただければ、どんどんきれいになれるのですから、こんなにワクワクすることはありません。

さっそくホームピーリング剤の試作にかかりましたが、これが意外に難しい。家庭でピーリングできるには、やはり安全であることが絶対条件です。通常のピーリング剤は液状か柔かいジェル状ですので、液だれしたり目に入ったりしないように、塗る時には万全の注意が必要です。
クリニックのスタッフも新人の頃はお互いにピーリングしあって何度も練習し、院長の合格が出てから施術しますが、最初は目の下や小鼻の横にピーリング剤がたまらないように、などと注意されることもしばしば。まして家庭では座った状態でお顔に塗るので、液だれするようではいけません。また、各人のお肌に合わせるためには、いろいろな種類や濃度の酸を後で溶かせる基剤が必要です。酸が溶かせて、しかも粘性を保てるジェル状の基剤。酸の浸透性をよくするには基材は水溶性のジェルがいいのですが、現在クリニックで使用している基剤では合ったものがなかったので、出入りの薬品会社に基剤の製作を依頼しました。

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しかし酸を溶かして粘度を保つジェルを作るのは難しいらしく、何度試作してもらっても、酸を溶かすと水のようにシャブシャブになってしまってうまくいきません。何かいい方はないかなぁー・・・と考えつつ1ヶ月が過ぎてしまいました。

試作品はいつも薬品会社の担当者が持ってきてくれるのですが、薬品会社の担当者のことを、この業界では「MR」(Medical representative=医薬情報担当者 の略)といいます。一昔前「プロパーさん」と呼ばれていた人たちですが、「プロパーさん」ならご存知の方もおられるかも知れませんね。
本来の業務は、薬品の効果や副作用などについての情報を提供することで、「プロパー」というのは propaganda=宣伝する人 の略です。「宣伝」という表現がよくないというので、少し前に「MR」という呼び方に変わったのですが、昔は本来の業務を遂行する人は少なく、ほとんど雑用をこなす「便利屋さん」状態でした。