第196回「人生100年時代の到来」

こんにちは! 柴田エイジングケア・美容クリニックの柴田です。紫陽花が綺麗な季節になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。私はと言えば…雨の日が増えてテラスでシャンパンを飲む機会が減り、ちょっと寂しい今日この頃です。最近シャンパンがからんだ目から鱗の話を聞いたので、ご紹介しますね。ちょっと前置きが長くなりますが、お付き合いください。

私の親友である医者Mが歯が痛くなり、近くの歯医者に行ったら歯茎の炎症を起こしていると言われてずっと治療に通っていました。しかし、半年以上たっても良くならないので知り合いの矯正歯科医O先生に歯周病の得意なH先生を紹介してもらって行ってみたら、歯周病がひどくなってえらいことになっていると言われてびっくりしたそうです。「えっ、ずっと歯医者に通ってたのに? その先生にはましになってると言われてたんですが…」Mは絶句。聞くところによると、ずっと歯医者に通っていたのに歯医者を変えると「えらいことになってる」と言われる事って割とあるそうです。医者の世界では「主治医の裁量」っていうのは非常に大きいので、同じ症状でも、「最新医療設備を使って徹底的に精密検査する」というタイプの医者もいれば、痛み止めだけ出して「様子を見ましょう」というタイプの医者もいます。すぐに「手術が必要です」という医者がいれば「漢方でゆっくり時間をかけて体質改善しましょう」という医者もいて、実際の治療方針ってかなり裁量に任されています。(ただ、健康保険を使った診療だと「病名」と「処置」が一致していないと保険が下りないので、国による治療方針って「病名」が決まればある程度制約されているのですが「病名」を決める事についてはほぼ主治医に任されていると言ってもいいですね。ましてや自費治療になると完全に主治医任せというのが現状です。…という訳で違う医者のとろに行くと前の主治医の方針を否定されるという事が結構あります。ただここだけの話、「前の先生が有名なヤブだった…」っていうのは仲間内ではよく聞く話ではありますが…(^_^;)。

 

 

話は戻りまして、その友人MはH先生から歯磨きを朝晩20分かけてするように指導され、さらに親知らずが骨に埋まっていて、親知らずとその前の歯の間で炎症を起こしているので親知らずを大きな病院で抜いてもらった方がいいと言われたそうです。ところが大きな病院に行くと、すごく厄介で抜きにくいタイプの親知らずだから、抜いたら1週間は凄く痛いし、1カ月位腫れて痛いこともあるので他の治療を先にした方がいいと言われたらしい。「え、骨に埋まった親知らず抜いたらそんなに長い間痛いの??」私も親知らずが骨に埋まっているところがあるので、他人事とは思えません。「それで、それで?」しつこく聞くと、Mは「親知らずが神経の近くにあるので、抜く時に神経を傷めたら一生痺れが残るかもしれない」と脅され、ひるんで抜歯の予約は取らずに帰って来たと言い、「その病院の先生には『僕は山ほど親知らず抜いてきたけど、最大級位難しい親知らずやからできたら抜かん方がええ』って言われてん…」としょんぼりしてました。

 

 

その後の話も聞くと、Mはその時痛かったのは親知らずのところではなくて別の歯だったらしいので、病院で言われた事をH先生に話して「痛いところから治療してください」と言ったらしいのですが、H先生は「その病院の先生の言う事も分かるけど、炎症の原因は親知らずやから抜いた方がええと思うけどなぁ。上の歯は詰め物が取れているので、やり直すには歯を削らないといけない。歯を削ると神経に近くなるので、詰めたりかぶせたりしても痛みが残るかもしれないし…」と治療するのがいやそうだったらしいんです。一応痛いところから治療する事になって次の予約を取ったものの、H先生があんまりしぶしぶだったので心配になり、O先生に再び相談したのだとか。するとO先生が「僕が一番信頼してる先生を紹介しよか? ちょっと遠いんやけど…」と、加古川のN先生を紹介してくれたそうです。Mも三宮に住んでるので、加古川って遠いなぁ…と思ったらしいんですが、O先生が「歯周病だけやったらHもええんやけど、Nは補綴(ほてつ)も外科も歯周病も全部できるから。Hはどちらかというとできるだけ歯を削らず保存して様子を見る傾向が強いからね〜」と。ん?補綴って何? 聞きなれない言葉ですが、歯が欠けたり失われてしまった部分を補綴物(詰め物やかぶせ物、義歯、インプラントなど)によって補い、見た目と機能を回復する事なんですね。一般的な歯医者さんで虫歯の悪くなったところを削って金属などを詰めたりかぶせたりするのも補綴です。…歯医者さんって矯正歯科と一般歯科に分かれてるだけかと思ってたんですが、口腔外科・歯周病・補綴などに細かく分かれていて、歯医者さんによって得手不得手があるようです。

 

 

Mが「詰めたりかぶせたりはH先生よりN先生の方が上手なん?」と、ド直球の質問をするとO先生は「患者の数が遥かにNの方が多いから…技工士もそりゃNの方を丁寧にすると思うし、技工士サイドにも強く言えるのはNの方だと思います。小さな虫歯とか歯茎の炎症ならHでも通院しやすければいいと思うけど、事が大きくなればNの方がいいと思うよ」と歯科医療業界の裏話も教えてくれたんだとか。なるほど。技工士の問題もあるんですね。私も昔奥歯の詰め物が時々取れて、取れたのをくっつくけるのはすぐに済む近くの歯医者さんに行ってたんですが、いざ詰め直そうとした時には仮歯がしょっちゅう取れて、「これはヤブなんちゃうか」と思って歯医者を変えた事がありますが、後でその歯医者さんが親知らずを抜くのはすごく上手だという話を聞いて驚いた事があります。その歯医者さんは口腔外科出身で、補綴は苦手だったようです。歯医者も目的によって選ばないと駄目なんですね。

 

 

でも「一体どうやっていい先生見つければいいの?」って皆さんも思いますよね? そうなんです、「どうやっていい先生と出会うか?」って本当にその人の寿命を決めてしまうほど大事な事なんですけど、建前としては「医師免許を持っていれば技量はどの医者にかかっても同等」という事になっています。私達のように医者であれば医者仲間からの情報っていうのはかなり信頼性が高いのですが(知り合いからの情報もありますが、医者って大体学会に出席していますので、学会の中での発表とか評価などで力量が漏れ聞こえてくる事も多いんですね)、普通の人ではそのような情報にアクセスできません。そこで口コミサイトとかの情報に頼らざるを得ないのですが、残念ながら私から見ると口コミサイトもかなり問題があります。なぜならば、口コミで高評価になる先生はいわゆる「人柄の良いおじいちゃん」である事が多く、治療の技量や知識については正確に評価されていない事が多いと感じるからです。一昔前はよくいた「怖い先生」っていうのは今は全く駄目な評価になりやすく、「朗らかで人当たりが良く、痛くない治療をしてくれて、すぐに薬を出してくれる先生」の評価が高くなります。例えばひどい風邪で内科を受診した患者さんにはインフルエンザの検査をしてタミフル(インフルエンザに効くと言われている有名な薬)を処方するというのが一般的になりましたが、これも口コミサイトのせいではないかと思うところがあります。ある先生が「タミフルを処方しても意味がないので、家でおとなしく安静にしておいてください。それが一番です」と言って帰ってもらったところ口コミサイトに『あの先生はヤブだ…』と書かれてしまったので、もう仕方なくどんな場合でも全員にタミフル出すようにしたところ高評価になった」って言っていたのを思い出します。いずれにしても「いい先生」と出会うというのは本当に難しいですね。

 

 

Mの話に戻ると、彼は意を決して1時間かけて加古川まで行ったそうです。すると彼曰く、今まで行った歯医者とは全然違ってびっくりしたんだとか。先生は1人なのに10台くらいベッドが並んでてスタッフも10人くらいいて、レントゲンだけじゃなくてCTや神経が生きてるかどうか調べる器械などが揃っているし、レントゲンとCT・口腔内写真・歯形まで取って、N先生は動画も使って分かりやすく説明してくれたそうです。「痛みの原因になる可能性のある所を調べて、1つずつ消していきましょう。副鼻腔のアレルギーが歯の痛みの原因になる事があるんですが、CTで副鼻腔のアレルギーによる粘膜肥厚はありませんので大丈夫です。そして親知らずと前の歯の間にはCTで影がないので、炎症は起こしていません。親知らずと神経はCTを見ると離れているので、抜いても痺れは残りませんが、炎症を起こしていないので抜く必要はありません。先生の親知らずは全部が歯茎に埋まってるので、一部が歯茎から出ている親知らずよりは炎症を起こしにくいんです。一部が歯茎から出てると、歯と歯茎の間から細菌が入りやすいですからね。問題は食い縛りが非常に強い事です。奥の歯は食い縛りによって詰め物が取れてすり減っているので、噛むと痛いんです。神経はまだ生きていますからそこまで歯は弱っていないのでかぶせると痛みが取れる可能性は高いですが、また食い縛りによって取れてしまうかもしれませんので、最初は保険の利く金属でかぶせましょう。それが取れてしまった場合は歯茎や歯の周囲の骨を少し削ってかぶせ直す必要があるかもしれませんが」明快な説明にMは感動したそうです。この先生はただ者じゃない、今までの歯医者とは全然違う! と。歯周病はどのようにして起こるか、食い縛りが強いと歯にどういう変化が起こるかなども動画を使って詳しく説明してくれたそうで、今までの歯医者さんとは段違いの知識の豊富さにMは驚いたみたいです。O先生の言ってた意味が分かった、と…。

 

 

N先生は続いて「それとM先生は酸触歯があるので、注意が必要ですよ」と言われたそうな。ん?酸触歯? 何、それ? 酸触歯とは、酸性の強い飲食物でエナメル質が溶けてしまった歯の事です。口の中は通常PH6.5~7で、歯の表面を覆っているエナメル質はPH5.5以下の酸性のものに対して弱く、酸性の飲食物ばかりを取っていると歯のエナメル質が溶ける酸蝕症を引き起こすらしい。これはまずい! 飲み物のPHを調べてみると、Mや私がよく飲む白ワインはPH2.3とかなり酸性度が高く、大好きなシャンパンはさらに酸性度が高いとあるではないか! ショック大きい…。Mと私は飲食の好みが似てるので、Mに酸触歯があるという事は私にもあるに違いない。しかも私も食い縛りが酷い方なので、クリニックの移転前に歯の調子が悪かったのはそのせいかも…。そう思って調べると、ここ数年私の朝食と化しているリポD(リポビタンD)もPH2.5! 酸性度の高いものを飲食する時は酸性度の低いもの(PHの高いもの)で中和すると良いらしく、チーズはPH6~7、普通の水はPH7なので、ワインを飲む時はチーズを食べたり水を飲んだりした方が良いらしいんですが、私が10年以上愛飲しているペリエは水の中でもPHが低くて6.0。これじゃ中和しにくいやん…。がっくり。さらに調べると私の好きなスパークリングウォーターの中ではサンペリグリノがPHが高くて8.0だったので、早速リポDとペリエはやめてサンペリグリノを飲む事にしました。ワインとシャンパンはやめられないので、サンペリグリノをチェイサーにする事に。でも酔っぱらうとすぐに水を飲むのを忘れてしまうのでお酒をやめるのが一番いいんでしょうけど、気を付けないよりはましかという事で…(^_^;)。

 

 

私も以前、歯が痛くて硬いものが食べられないという時期があったので、Mの話は自分の事のように聞き入ってしまいました。だって、お肉とか硬いものを食べると噛む度に痛くて、柔らかいものしか食べられないんですよ! これって人生の楽しみの半分以上がなくなる(いや…90%と言っても過言ではないかも…(^_^;)訳です。生死をさまようような病気をされている人にとっては「あんた何言ってるの?!」と怒られそうな気がしますが、実際に食べられなくなって初めて「美味しいものを食べられる事」のありがたみをしみじみと感じます。たまに片付けとかをして翌日に筋肉痛になると「あぁ…ここにこんな筋肉があって日頃は黙って仕事をしてくれていたんだなぁ…ありがとう!! 存在すら気にかけた事がなくて申し訳ない…」って思います(すいません。例がマニアックで…元整形外科医だったもんで…(^_^))。日頃何気なく使っている体ですが、問題が起きると本当に「元気である事」のありがたみを感じますよね。

 

 

皆様もご存知と思いますが、歯医者って大学で歯学部を卒業する必要があるのですが、その他の医者は「医学部」を卒業する必要があります。誤解を恐れずに言いますと、単純な入試の偏差値で言えば医学部の方が歯学部より大抵は上です。そして実際に歯医者は医者のワンランク下だと思っている医者が多いのも事実だと思います。「歯が痛くても死ぬ事はない」って思われているからかもしれません。ただ、昔と違って人生100年という時代になってきました。「生き延びている」とは言え、人生の後半の何十年も美味しいものを食べる事ができないってどうなんでしょう?? 歯医者さんの重要性ってこれからますます高くなるように思いますよね。同じように医者の中では「美容とかアンチエイジングとかは生死にかかわらない」という事でワンランク下に見られる傾向がまだまだあるのも事実です。でもやっぱり人生100年という時代に「元気で生きる」とか「若々しく生きる」ってすごく重要じゃないでしょうか? 歯の治療も同じなんですが、「悪くなってから元の元気な状態に戻す」のは至難の業です。「元気な状態を維持する」事の方が「悪くなったものを治す」より100倍簡単だと言っていいと思います。人生100年時代ですので、皆様も「今の元気を、そして若々しさを今後も維持する」事を念頭に、アンチエイジングへの取り組みをされる事を強くお勧め致します。最後はなんか宣伝っぽくなってしまいましたが、本当に私達の世代から人生100年という事を真剣に考えて準備しないといけないと思うのです。長生きできるようになったのは良い事ですけど、しっかり準備しないととんでもない事になるし、なんだか複雑ではありますよね…。少なくとも私達より上の世代では経験しなかった事なのですから、私達の世代でその準備をしていかねばならないと思います。これからも皆様と一緒にその課題に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願い致します。